お前は天に立て、私は頂をこの手に掴む   作:にせラビア

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第282話 マッサージをしよう - リリネット・ジンジャーバック -

 突然のリリネットの言葉に、私はどうしたら良いのか分かりません。

 「ロリとメノリにしたやつ」って言ってるけれど、それって多分……アレ、よね? マッサージ、よね……?

 だってそれ以外に考えられないもの!

 

 でも、でもちょっと待って! 確認、一応確認しないと……!!

 

「リリネット、ちょっと確認させて貰っていい? ロリとメノリにしたやつって言うのは――」

「マッサージって言うんだろ? それを、さ……」

 

 知ってた! 間違ってなかった!!

 でもなんで、どうして!?

 こう言ったらもの凄く失礼だって分かっているけれど、リリネットって色気より食い気って感じの()じゃないの!?

 

 それがどうして、こんな風にモジモジと顔を真っ赤にしながらお願いしてるの!?

 

「ほ、ほら! 藍俚(あいり)はこの間からずーっと、ロリとメノリの世話してただろ? それでそのマッサージをしてから、二人ともなんかさ……素直になったっていうか……」

 

 そこまで語ったかと思えば、俯いて蚊の鳴くような小さな声で続きを口にしました。

 

「美人になったっていうか……だったら、あたしも……ちょっとくらいは、さ……」

 

 言いながら、自分の胸元をそっと手で押さえています。

 

 まさか、胸のサイズを気にしてるの!? ロリよりも小さいから……!?

 リリネットより下ってもう、破面(アランカル)だとネルちゃんくらいだから?

 その「有るか無いか」の慎ましやかな膨らみを、もう少しだけでもメリハリをハッキリさせたいってことなの!?

 

「そう……あ、でもスタークはこのことを知ってるのかしら……? 許可とかは?」

「スタークが!? アイツに言うわけないだろ!! ……知られるの、恥ずかしいし……うー、だからわざわざこうやって藍俚(あいり)が一人になったタイミングを見計らってるんだよ!」

 

 恥ずかしいから、スタークには知られたくないのね。

 可愛いところがあるじゃない。

 

 でもそれなら、怖い怖い狼さんは出てこないわけか。だったら問題なし。

 

「そっか、気がつかなくてごめんなさいね。その頼みは、勿論受けさせて貰うわ。ただ急なことだから完璧には出来ないけれど、それでもいい?」

「い、良いのか!? やったあぁっ!!」

 

 ホッと胸を撫で下ろしながら、子供のように飛び跳ねて喜んでいます。

 しかし、こうやって改めて見るとリリネットって小さいわよね。

 ルキアさんと殆ど背の高さが変わらないくらい……目測だけど四尺六寸(142cm)ってところかしら?

 でも背丈は同じくらいでも、情緒面が……

 

 ま、なんとかなるでしょ。

 

 

 

 

 

 スタークには知られたくないということだったので、場所を移動しました。

 虚夜宮(ラス・ノーチェス)内の空き部屋の一室を勝手に拝借、近場にあったテーブルの上へシーツを被せて簡易ベッドを作りその上で施術という、即席マッサージになってしまいました。

 ですがリリネットはそれでも良いと言ってくれました。

 

 ……どれだけスタークに気付かれたくないのかしらね。

 

「それじゃ、まずは服を脱いで裸に――」

「ぬ、脱ぐのか!?」

「――……ええ、そうよ? 素肌に直接施術をするから」

「うー……」

 

 難色をしめしていますね。

 と言っても、リリネットの今の格好なんて肌面積だけで言えば裸と同じようなもの。

 

 下は陸上競技の女性みたいな、ランニングショーツ。

 上は、一見すればぴったりと張り付いたレーシングトップみたいだけども、実は胸元が左右に開いていて、どっちかというと肌に張り付いたベストってところかしら。

 おまけに腿の半ばまであるロングブーツに、二の腕まであるロンググローブ。

 肩とかお腹とか腰回りとかは肌色が丸出しです。

 

 ……改めて見ると、攻めた格好してるわね。

 

「わ、わかったよ!」

 

 じーっと観察していたのを"急かされている"と感じて観念したのか、リリネットは服を脱ぎ始めました。

 とはいえ色気はありません。

 いそいそとブーツとグローブを外し、ベストとショーツも脱ぎ捨てます。

 

「こ、これでいいんだろ?」

 

 うん、ほとんど凹凸がないわ。

 むしろ元気いっぱいな少年って印象すら受けるくらい。

 

「ええ、じゃあこの上に寝そべって」

「こうか? ……わっ、冷たっ!!」

「準備不足なのはごめんなさい」

 

 肌に伝わる冷たさに驚きつつも、素直に俯せになってくれました。

 

「さて、それじゃ開始するわよ。痛かったら、教えてね」

 

 そう声を掛ければ、小さく首肯するのが見えました。

 それを合図に、まずは彼女の肩に手を当ててマッサージを――

 

「あっ、あははははははっ!!」

「えっ!?」

 

 ――ちょっと揉んだだけ……いえ、指を這わせたくらいなのに、リリネットが笑い出しました。

 その反応に驚きつつも、長年のマッサージで鍛えられた私の身体は動きを止めません。指先はそのまま彼女の肩から背中へと這い回っていきます。

 

「ご、ごめ……っ! く、くすぐったい……あはははっ!!」

 

 刺激から逃れるようにゴロリと半回転したところで、ようやくリリネットの笑いが止まりました。

 あと私の手も止まりました。

 

「あはっ……はぁ、はぁ……び、ビックリしたぁ……あんなにくすぐったいなんて……」

「私も驚いたわ。まさかリリネットがあんなに笑い出すなんて」

 

 これってつまり、肌が刺激に敏感ってことです。

 それともう一つは、身体が疲れていないということでもあります。

 肩や背中が凝っていないから、マッサージをしても気持ちよいとは思えない。それどころか、敏感すぎる肌が刺激を必要以上に強く受けてしまう。

 子供に肩揉みをしても、気持ちよく感じられないのと同じ理屈です。

 

「……困ったわね。このままだと、施術は難しいかも……」

「ええっ! そうなのか!? な、なあ藍俚(あいり)。なんとかならないのか!?」

「うーん……」

 

 マッサージオイル? アレは肌を敏感にする効果があるから、今回は無理です。今のリリネットに必要なのは、鈍感にする効果の方だからね。

 ……なんだか、どこかで「がーんっ!!」って泣き声が聞こえた気がするわ。

 

 とはいえ、そうなると……

 

「……我慢して」

「え……ええっ!?」

「くすぐったくても我慢して! 私もできるだけ刺激を弱くしてみるから! ロリやメノリみたいな変化、したいんでしょう!?」

「あ……ああっ! あたし頑張るよ!!」

 

 力押ししかありません。

 勢いで押し切って、マッサージを再開します。

 

 とはいえ。

 

「……ぅっ! ……く……っ……! うぷ……っ……!」

 

 背中から腰を撫でるたびに、リリネットの肩が震えています。

 口からは"ぷすぷす"と笑い声も零れ出て、なんとなく集中できないんですよね。

 はぁ……力も全然入れられないから、肌の具合もよく分からないし。

 

 しかたありません、このまま事務的に――

 

「ひゃっ!!」

 

 ――あら?

 リリネットのお尻を撫でた途端、なんだか今までとは違う声が聞こえました。

 身体と同じで、全然お肉がついてないスレンダーすぎる健康的なお尻です。別に撫でたところでそんな反応を見せるとは思えない……

 

「あひゃひゃ! ちょ、ちょっと待って藍俚(あいり)!! ストップストーップ!!」

 

 あらら、また逃げられちゃいました。

 

「……止めておく?」

「~~~~~っ!! やるっ!!」

 

 そんなこの世の終わりみたいに悩まなくても良いのに……

 

「じゃあ、もう一度……」

「ひゃあああっ!!」

 

 嘘でしょ!? ちょっと撫でただけよ!?

 あ、触った感じは薄かったです。

 

「やっぱり、止めておく?」

「……うん」

 

 悔しそうに頷きました。

 でもリリネットって、そんなにお尻が弱いのかしら……? 何かお尻が弱点になるようなことが……

 

 ……あっ!

 そういえばスタークがリリネットのお尻をゴリゴリやってたわよね!!

 そんなシーンがあったはず!! まさかそれが原因で!?

 

 ……スタークも罪な男ね。

 

「じゃあ次は仰向けになって――そうそう、それじゃ続きをやってくわよ」

「ん……っ……」

 

 今度はお腹と腰回りからです。

 この辺も、すっきりと引き締まっているというよりも肉付きがなさ過ぎる感触ですね。

 せめてもうちょっとお肉がついて、異性の視線を惹くようになってね。

 

 リリネットもこっちはまだ我慢できるみたいで、奥歯をグッと噛み締めながら唇を真一文字に結びながら耐えています。

 こうやって懸命に堪えて声を上げないようにしている姿は、ドキッとします。

 

「それで、最後は胸よ」

「おうっ!?」

 

 胸元に手を当てると、僅かに鼻に掛かったような声が出てきました。

 あら? これってひょっとしたら……

 

「リリネットも女の子だものね。もう少しくらいは、色っぽくなりたいわよね?」

「ん……っ……! あっ、ああ……っ……!」

 

 そう説明しながら、手のひら全体を使って胸回りを撫で回していきます。

 こちらも肉付きが薄くて、ぺったんこ。掴むどころか指を押しつけるのがやっとの弾力しかありません。

 ですが真っ白い肌は急激に赤く染まっていき、口の端からは可愛らしい吐息が漏れ始めました。

 

「ああ、なるほど。このくらいの力加減だったら……」

「ふああぁっ……!!」

 

 脇の下辺りからお肉を引っ張ってきて、中央まで寄せて上げるように意識しながらマッサージを続け、要望にあった胸が大きくなるように何度も揉んでいきます。

 ゆっくりと、力強さと繊細さを織り交ぜながらマッサージをしていけば、手の平に固い物が擦れるような感触を感じ始めました。

 手の中の小さな小さなお山(おっぱい)

 その山頂をよく見れば、小さな粒が真っ赤になりながら必死に顔を覗かせています。

 

「やっ……! だ、駄目……っ! 藍俚(あいり)、ちょっと待……っ!! あたし、なんか胸……変……ッ!!」

 

 どうやらリリネットも気付いたようです。

 身体の変化に戸惑い、そしてお山(おっぱい)の先の方からの刺激をどうやって受け止めたら良いのか分からないのでしょう。

 マッサージを止めるように懇願してきます。

 

「大丈夫よ、それは普通のこと。ただの反応でしかないんだから」

「嘘、絶対にそれ嘘……ッ!!」

「本当よ? ロリもメノリも、こんな感じだったんだから」

 

 ですが、ここで止めるわけにはいきません。

 最初に理由に使ったロリとメノリの名前を出して、リリネットの逃げ道を封じます。

 

「あの……ふ、二人ッ! ……も……っ!?」

「ええ、それにもう終わるから。もうちょっとだけ耐えて」

「が、がんば……んふぅぅぅっ!!!!」

 

 終了の合図代わりに、ちょっと指先で強めに摘まみ上げます。

 リリネットは体中をゾクゾクと震わせながら、一際甲高い声を上げました。

 

 

 

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「うー……これ、本当に効果があるのか?」

 

 マッサージ終了後、我に返ったリリネットは自分の胸元をペタペタと触りながら疑問の声を上げます。

 

「リリネットの場合、ちょっと身体が小さいからね。大きくなるのにも時間が掛かるの」

「そっか……残念……」

 

 しゅんと項垂れたかと思えば、続けて呟きます。

 

「もう少しくらい、強くても良かったのか……」

「……?」

 

 ……今のって、どういう意味だったのかしら……?

 




●リリネット
「リリネットが本体」説、割と好きです。

「弱くなりたい。それが無理ならせめて俺と同じくらい強い仲間を――」と原作(43巻)でも言ってたことから。

・強い仲間 ⇒ スターク(本体が、力の殆どを与えて生み出した)
・弱くなる ⇒ リリネット(自分は、ツルペタ幼女になりたい)

という形で、望みを叶えた。みたいな解釈ですね。
(ですので、そのノリ(解釈)が話の中に微妙に混ざっています)

(『ツルペタ幼女になりたいと願うのは仕方の無いことでござるよ(うんうん)』)
(「銃の姿の時にスタークにお尻を擦られてたのも、内心は大喜びで癖になったのね」)


●マッサージ
うまく でき なかた
くやし です
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