「取材?」
「うん、そうだよ」
取材……ねぇ……?
「でも久南さん、現世について取り上げるって話だったような……」
「大丈夫! あいりんは現世のお菓子とかも作っているから、ちゃーんと現世のことを紹介する記事になってるのだ!!」
「そ、そう……なの……?」
ふと浮かんだ疑問を口にすれば、そんな妙な理屈で押し切られました。
「でもどうせなら、最初はあいりんのマッサージについて取材しておこうと思ったの」
「……へ!?」
び、びっくりしたわ。思わず変な声が出ちゃった。
「久南さん……? なんで……??」
「え? だってあたしまだ、あいりんのマッサージって受けたことないし」
そうだったかしら……えーっと……
…………あら、本当だわ。そういえば、久南さんってまだだったのね。
リサは揉んでいたし、そうでなくてもあの頃は大体の女性死神をマッサージしていたから、久南さんも揉んだと思い込んでいたみたい。
「あの頃のあいりんの手作りお菓子、本当に美味しかったんだもん! だからマッサージとかいらないって思ってたんだ。でも九番隊でもあいりんのマッサージが話題になってたから、あたしも受けなきゃって思って」
「えーっ、なにそれなにそれ!」
久南さんの言葉に興味を惹かれたのか、草鹿三席が食いついてきました。
でもね久南さん。
取材して記事にしても、もうみんな知ってると思うわよ? 知らない死神の方が少ないと思うの。
だからおそらくだけど、自分が流行の波に乗り遅れていた不満からこんなことになったんでしょうね。
「やちるん知らないの!? あいりんのマッサージを受けると、美人になるって評判なんだよ?」
「ましましそれ本当!? だったらあたしもやるー!!」
「いいよ! それじゃあ、一緒に受けちゃおう!!」
……知らない間に、二人が何やらそれぞれにあだ名を付けてました。
"やちるん"と"ましまし"ねぇ……
やちるんの方は、久南さんらしい名付けよね。
一方のましましって……あ、でもそういえばネムさんを"ねむねむ"って呼んでたわね。となるとこの呼び方も普通の範疇……なのかしら……?
……じゃないわよ! まさか、草鹿三席にもマッサージしなきゃいけないの!? 幼女は大変だって少し前に痛感したばっかりなのに……!!
「えーっと……久南さん、まさか今からマッサージしないと駄目なんですか?」
「うん、そうだよ! だから取材に来たの!」
「アポとかは……?」
「……? なにそれ??」
平然と言われました。
アポは無いけど、用はあるってこういうことかぁ……やられる側は迷惑極まりないわね。
「ねーねーあいりん! はやくはやくーっ!」
「取材取材取材ーっ!!」
気がつけば両手を掴まれ、おねだりされています。
まるでダダを捏ねる子供とその母親みたいな構図ですね。
これってもう……諦めた方が良いわね……
うう……気晴らしと慰労を兼ねてお菓子作っていただけなのに……まだ業務時間中なのに……午後の仕事もあるのに……
「もう! わかったわかりました。その施術、今から二人に行いますから手を離してください!」
「わーい! わーい!」
「やったあ!!」
不承不承頷けば、二人とも諸手を挙げて喜んでいました。
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「最初に断っておきますけれど」
場所を炊事場から隊首室へと移動し、簡単にマッサージの準備を整えたところで、私はそう切り出しました。
「急な依頼だったのと、取材の為の体験ということ。それから二人同時に施術するということで、一人一人にはそれほど念入りなマッサージは出来ません……それでいい?」
「うん、わかったあ!」
「へーきだよ!」
二人とも返事だけは良いんですよね……
「はい、じゃあ服を脱いで。脱ぎ終わったら、そこに寝てください」
「はーい!」
「おー!!」
私の指示に従って、躊躇うことなく久南さんと草鹿三席……もう心の中での呼び方は草鹿さんでいいわよね? ――は死覇装を脱ぎ捨てました。
草鹿さんは、見ての通りの子供体型です。
凹凸が殆ど見られない代わりに、身体全体から活力が漲っていますね。肌も白くて本当に柔らかそうです。見ているだけでぷにぷにしているのが分かります。
久南さんも、凹凸は少なめです。ですが胸元には小さいながらも確かな
肉付きの薄い身体の中で、小さな
そしてどちらにも言えることだけど、健康優良児の身体って感じですね。
二人とも元気いっぱいの身体をしています。
「じゃあまずは、久南さんから」
「えー! ましましからなの!?」
「そんなに時間は掛からないから待ってて――」
「あはははは! 何これ何コレえ!?」
草鹿さんの不満に答えつつオイルをトロリとお腹へ垂らしたところ、そのぬるぬるとした感触が面白かったようで。
久南さんはオイルに手で触れると指先でぬるりとした粘液をオモチャの様に弄び始めました。
「うわあ、ぬるぬるしてる……! でも、何だか面白ーい!」
「ああっ! いいないいな!」
「はいはい、遊ばないでね。取材なんでしょう?」
「……あ、そっか」
神妙な面持ちで呟きましたが、人差し指と親指の間には粘液の橋が出来ています。それを名残惜しそうに諦めながら姿勢を元に戻しました。
「それじゃあ力を抜いて、じっとしててね」
「は~い」
まずはオイルを末端部分から塗り広げて、それと同時にマッサージをしていきます。腕から肩、それが終わると足の裏から太ももの順番で、手早く行っていきます。
マッサージを受けている間、久南さんは目を閉じて気持ちよさそうな表情を浮かべていました。
「ん~……極楽極楽……噂通り……暖かくて、きもちいい……」
身体の疲れが取れていく快感を、じっくりと噛み締めているのでしょう。
……そろそろいいわよね。
「それじゃあ、次の場所ね」
「……ッ!?!?」
オイル塗れの手で
小さく息を呑む声が聞こえて、それまで弛緩していたはずの表情も一転、目を丸くしながら私のことを見ています。
「ああああああいりん!? そこ、おっぱい……だよ……?」
「ええ、そうよ。久南さんも女の子なんだから」
「えっ……! おかしいのってあたしなの……!?」
顔を真っ赤にしながら「おっぱい」と口にして、精一杯の抗議をしてきます。
ですがそんなものどこ吹く風というように断言しながら、私は胸周りのマッサージを続けます。さらに小声で抗議をしてきましたが、聞く耳は持ちませんよ。
「……ふぁ……っ……!」
先ほども言いましたが、小さめではあるものの谷間が出来る程度には膨らみのある
具体的に
なだらかな膨らみに手を当てて、ゆっくりと揉んでいきます。
「こうやって身体の中の流れを整えてあげると、大きくなるの。だから、くすぐったくてもガマンガマン」
「くす、ぐったい……わけ、じゃ……~~!!」
ぬるぬるとしたオイルを
あまり重さを感じないものの弾力は強めで、
手の平全体でゆっくりと撫で回していくと、敏感な肌がゆっくりと上気していくのがわかります。
ねっとりとしたオイルの感触と指で揉まれていく感触に耐えようと、久南さんは手足にぎゅっと力を入れて無意識に堪えようとします。
「あら、力を抜いてって言ったでしょ?」
「ひゃんっ!」
胸元をマッサージする手を一瞬止め、片手を首筋に這わせて擽すぐります。
突然の刺激に久南さんは背筋がビクッと跳ね上げたかと思えば、潤んだ瞳をこちらに向けてきました。
「ふぅ……こ、こんなの……はぁ……むりだよお……」
「はいはい、もう少しで終わるから」
「ひゃ……っ……!!」
額にじっとりと汗を滲ませながらの訴えですが、止めることは出来ません。
だってこれは取材ですからね。記者の方には一通り体験して貰わないと。
なので、マッサージを続行です。
小さな
指を動かせばぷるぷると弾んで、そのたびに久南さんの口からは切なそうな嬌声が漏れ出ていきます。
だらんと伸びた手足が時折ぞくっと震えたかと思えば、小さな
「…………んっ……」
久南さんが背筋を反らして自分から胸元を手のひらに押しつけようとしてきました。
無意識かそれとも意識してなのかは分かりませんが、一瞬だけ漏れた切なそうな声から判断するにおそらくは――
「はい、こんなところかしらね」
「……え? ええええええっ!!」
――といったところで、私は手を放して終了を宣言します。
続いて聞こえてきたのは不満と文句に満ちあふれた悲鳴でした。
「あいり~ん、もっとぉ……もうちょっとだけ、ねえってばあ……」
「駄目です。最初に"時間は短め"って言ったでしょう?」
「うー……あいりんのイジワルー……」
ぷくーっと頬を膨らませながら上目遣いに文句を言ってきます。
そこだけ見れば、可愛いんですけどね。けれど、これ以上は駄目です。
試作品といえども、食べ物の恨みは恐ろしいんですよ?
それにしても久南さん、自分が何を言っているのか気付いているのかしら?
今までは「色気よりも食い気、楽しいこと最優先!」みたいな
「さてと……草鹿三席、お待たせしました」
「うん、お願い!」
軽く手を洗って汚れを落としてから、草鹿さんに向かいます。
……この子、隣で久南さんが何をされたか見ていたはずなのに全然動じないわね。
ロリとメノリなんて、お互いがこっそり覗き見しながら自分を慰めていたのに……
「ねえねえあいりん?」
そんなことを思い出していると、声を掛けられました。
「あたしもあいりんみたいに、ぼいんぼいーんになれるかな?」
「え……?」
「だって、さっきましましのおっぱいがおっきくなるって言ってたでしょ? それに見てたけど、すっごく効きそうって思ったから!」
なるほど……草鹿さんもそんなことを気にするのね……
正直に言って、意外でした。もっとこう「剣ちゃんの~~」みたいな事を言うのかと思っていたので。
とはいえこの体型で胸を大きく、かぁ……
「……努力はしてみますね」
「おねがーい」
可愛らしくお願いされてしまいました。
さて草鹿さんですが、先ほども述べた通り幼児体型です。
多分、私がマッサージをしてきた中でも一番の小柄。なにしろ身長だけ見ても
用意した簡易な
見た目にそぐわない柔らかそうな気配が、見ているだけでも伝わってきます。
「それじゃあ、まずは……」
久南さんのときのようにオイルを広げようとしたところ――
「きゃはははっ! くすぐったーい!!」
「あ、ごめんなさい」
――こそばゆい刺激を受けて、草鹿さんが笑い出しました。
いけないいけない、落ち着きなさい私。
何のためにリリネットで失敗したと思っているの? あの経験を無駄にしちゃ駄目! 幼女をマッサージするときの力加減は覚えたはずでしょ!?
軽く深呼吸をして息を整え直してから、再挑戦です。
「いきますね」
「うん」
あのとき覚えた絶妙な力の入れ具合を反芻しながら、マッサージを始めました。
本当に触れるか触れないか程度を意識しつつ、身体をほぐすだけの最低限必要な力を込めながら揉んでいきます。
「どう?」
「んん~……うん! これなら平気みたい!」
「そう。じゃあこれくらいの力加減で行くわね」
よかった……お気に召して貰えたみたい。
ホッとしつつも気を抜くこと無く、マッサージを続けていきます。
ですが、その……なんと言いますか……すごいわね、この肌……
どこを触ってもスベスベでぷにぷにだわ……本当に、赤ちゃんみたいな肌……
柔らかいのに弾力があって、指先を押し込めばどこまでも潜っていくんじゃないかって錯覚しそうなくらい。
ぷにぷにの腕も脚をマッサージしてリラックスさせたところで、次は
「草鹿三席、それじゃあいよいよお待ちかねのおっぱいですよ?」
「うんっ!」
胸元にオイルを垂らして広げながら揉んでいきます。
ですが当然というべきか残念というべきか、
肩からお腹までの間も同じく、特にこれといった凹凸もないまま。私の手はスムーズに動いていきました。
柔らかさもお腹と同じです。
特筆するまでもないというか……
と、いけないいけない。
だからって手を抜いて良い理由にはならないわよね。
草鹿さんのご希望通り、おっぱいの周りを丹念に揉んでいきます。大きくなあれ、大きくなあれと願いを込めながら。
「……ひゃあんっ」
何回か撫で回してたところで、草鹿さんの口から今まで聞いたことの無いような色っぽい声が上がりました。
あまりに意外な声色に、思わず私も手を止めてしまいました。
「くすぐったいよぉ、あいりん~」
「あ、ごめんなさい」
「でもでも、これがおっぱいが大きくなる感覚なんだよね? だからあいりん、もっとやって!」
「え、ええ……」
もっと、ねぇ……
……それって、久南さんみたいなことになるかもしれないってことよね?
そうなると、最悪更木副隊長が殴り込んでくる可能性があるかもしれないってこと?
「でも今回は体験だから、控えめにしてくわね」
ぷにぷにの肌を二回だけ揉んだところで、切り上げました。
……弱い私を許して……
「うーん……おっぱい、大きくなったかなぁ……?」
「えーとえーと……記事……うーん、果物……じゃなくて、ふわふわの記事……じゃなくて……おっぱ……じゃなくて!」
マッサージも終わり、二人は元の姿に着替え終わりました。
草鹿さんは自分の胸をぺたぺたと触りながら、感触の違いを必死に探しています。
久南さんは自分で言った通り記事にしようとしていますが、思い出すのはお菓子のことばかりみたいですね。
ああ、そうそう。今のうちに注意しておかないと。
「二人とも。今回は特別に施術はしたけれど、次からはちゃんと予約してくださいね。じゃないと受け付けません」
「「はーい」」
返事は良いんですよね……返事だけは……
そう思っていると、草鹿さんがやってきました。
「あのねあいりん! 今から剣ちゃんのところに行ってくる!」
「更木副隊長のところに? またどうして?」
「なんだかあたし、今凄く調子が良いの! だから、剣ちゃんにもおすそわけ!!」
お裾分け……?
元気のお裾分け、ということかしら……??
でも、なんだかニュアンスが違うような気もするわね……どういうこと???
「えへへ、待っててねあいりん! 今度は剣ちゃんと一緒に来るから!! そのときはちゃーんと剣ちゃんの相手をしてあげてね」
……えっ……!! 今なんて言ったの!?
去り際にとんでもない爆弾発言を投げ込まれました。
……まさか卍解が……卍解で挑まれるの……!?
「どうしよう……」
草鹿さんが去った後の空間に向けて、呆然と呟くことしかできませんでした。
刀に、油を塗って、手入れをする。
●久南
36巻(六車たちの過去)で、胸元をはだけながら涎垂らして寝てるシーン。
アレが一番おっぱいの参考になりました。
……そういえば、
妹からマッサージのことを聞き、しかも妹は既に体験済みと知って慌てて自分も受けに来た。
みたいな理由もアリだったかな? と思いましたが、気付かないことでこの問題を回避します。
なぜならニコを揉む際のネタが何も無いからです。