何が延長戦よ! むしろここからが本番になるんでしょうが!!
タイトル! 適当なことを書くんじゃないわよ!! 怒るわよ!?
『
『そうそう! 人生もっと楽しく生きなきゃ。剣の字もあんな仏頂面ばっかりしてるんだから、つまんないんだよ!!』
『つまりもっとこう、自由に生きるべきだと?』
『キハ! そうなんだよ! あんた、真っ黒な鞠みたいな姿なのによくわかってるじゃないか!』
『当然でござるよ! 懐の深い射干玉ちゃんとして業界では誰もが知っていますからな! さあ、悲しければ拙者の胸でお泣きなさい! 涙は粘液が隠してくれますぞ!!』
『おおー、いいねぇいいねぇヌルヌルだねぇ!! この粘液で擦られたら、私も一瞬で虜になっちまいそうだよ!! キヒッ! けどさ、射干玉ちゃんの胸ってどこだい?』
『おお、これは一本取られました!! 実は拙者の胸はここに……』
『へぇ、これが射干玉ちゃんの胸……ほら、もっと良く見せてごらん』
『いやん、エッチ♥』
『いいじゃないか、減るもんじゃないだろう?』
あーもう! あんたたち! ちょっと黙ってなさい!!
のっけからボケの連発でこっちの身が持たないのよ!!
『おおっ! 流石だね
え、な、なんでそれを……
えっと、違うからね……
『ああ、駄目でござるよ雨露柘榴殿! まずは毎回恒例、前回のあらすじから始めないと!! これはもはや様式美でござる!!』
え? そんなのやってない……
『では拙者から! あらすじの"あ"ーっ! "あ"っちのほうで!!』
『キハ! じゃあ次は、あらすじの"ら"だね?
え、えーっと……す、す……"す"っ飛んでいったら! って、違あああぁぁうっ!!
『"じ"いさんだった――と、なんでござるか
『キハハ!! 山本のお爺ちゃんの裸かい? そりゃ残念だったね射干玉ちゃん』
『いえいえ雨露柘榴殿! これが中々、山本殿の裸は一見の価値がありまして……』
えーい!! だからいい加減にしなさいっての!!
まず雨露柘榴!!
あなた本当に雨露柘榴なのよね!? 痣城剣八の斬魄刀の!?
『キハッ! そうだよ。正真正銘、私は剣の字の斬魄刀さ。そこで一生懸命説明している夜一ちゃんの前に出りゃ、間違いなく太鼓判を押してくれるよ』
そんなに自信たっぷり……
……じゃあ、もう一つ質問。あなた、なんでここにいるの?
『キヒヒヒッ!!
それはそうだけど……まさか成功するなんて……
『こっちも懐かしい話が聞こえてきたと思ったら、転神体の気配まで出てきたんだ。そりゃあ、顔の一つくらい見せるってもんだろ?』
……いやいやいや! ここ、私の中だから! 外で具象化したのとは全然違うから!
『私もこんなのは初めてだよ。いつもは剣の字と話してばっかりだったからね、他の死神とこれだけ話せるのが新鮮で新鮮で。村正が斬魄刀を実体化したあの事件、アレに一枚噛めなかったのがようやく帳消しにできそうだよ』
あの事件、知ってるの?
『知ってるも何も、ずーっと見てたからね。剣の字と一緒に、あの真っ暗で退屈な牢屋で。ああ、ほらほら。夜一ちゃんが丁度その辺りのことを説明してるだろ?』
ええまあ……確かに説明してるわね。
斬魄刀の能力で、痣城剣八は瀞霊廷全体と融合している。
だから瀞霊廷内の様子は全てが筒抜け、自分のことのように見聞きできる。
けど無間の封印で斬魄刀の能力が弱められているから、見聞きするのが精一杯。
これが完全解放された状態だったら、霊子単位で融合して色んな物質に干渉が可能。それこそ当時十一番隊で活躍していたときみたいなことができる、と……
『キハ! そういうことだよ、
……ってことは、今もこの会話を聞いてるってこと!?
「そうじゃな? 痣城剣八」
私の疑問を肯定するかのように、夜一さんが虚空を見上げながら言葉を紡ぎました。
えっとね……今までのシーンはね……
雨露柘榴の能力を説明したり、瀞霊廷全体と融合しているから痣城剣八の霊圧を探ろうとしても上手く探れなかったんだって納得したり、痣城剣八が脱獄したのはザエルアポロのそっくりさんが暴れて封印が緩んだのが原因だとかで。
それで今まさに「脱獄したのは破壊や混乱が目的じゃなくて、何か狙いがあるんだろ?」って夜一さんが尋ねたところで……
『そんなことしなくても、私に聞いてくれたら剣の字の居場所から何から全部おしえてあげるのにさぁ……夜一ちゃんもつれないね、キハハ!!』
あのここ、一応真面目なシーンだから……
そうしたら問い掛けに答えるように痣城剣八が部屋の中に突然現れて、隊長のみんなが驚いたの。
「説明を省いてくれたことを、感謝すべきだろうか」
それよりも雨露柘榴は、痣城の居場所を本当に教えてくれるの? 持ち主に対する利敵行為になるんじゃ……
『おおっ! ほらほら見てみなよ
『うーむ……イケメンでございますなぁ……』
ええ、その評価だけは同意ね。
見た目は良かったから、当時も隊長就任した最初の頃だけは女性隊士の噂になってたけど、でも性格がとっつきにくくって……
『ん、剣の字の居場所かい? いいよそのくらい、家賃代わりに教えてあげるさ。キハハ!』
本当に!?
「丸くなられましたな総隊長。その失った腕を治したと同時に、かつての厳然さを取り戻したとかと考えましたが……少しだけ残念です」
「……何が言いたい、小童」
「黒崎一護と朽木ルキアの一件が、変えましたか? それともそこの湯川にでも絆されましたか? ならば、少しだけ残念です」
『嘘はつかないよ。けど、剣の字はどこにだって行ける。何せ空気とすら融合できるんだから。今この瞬間にも、一瞬で別の場所に現れることだってできるのさ』
……それ、まさかとは思うけど、どこかで何かをやってきた後ってこと?
『さすが、鋭いね! 剣の字はちょいと、弱点の対策をしてきたんだよ。万が一にも邪魔をされないために』
弱点……?
『キヒヒッ! ちょっと考えればすぐにわかるよ。霊子単位で融合する能力、じゃあその弱点はなーんだ?』
『はいはーい! 霊圧を直接どうにかすることでございますな!?』
『射干玉ちゃん正解!』
……双魚理! ……あ、違う! 瑠璃色孔雀!!
『おおー!
そっか……双魚理は受け流すから、結局は融合した霊圧を回収されちゃう……
でも、瑠璃色孔雀は吸収する。天敵ってわけか……
『そうそう、抑えておけば敵は
目的って?
『ああ!』
『それってあのロカちゃんって
どこの遊戯王のアニメなのよ……
……え!!
「ロカちゃんを狙ってるの!?」
「……ッ!?」
油断していたようです。とうとう口に出してしまいました。
途端に、それまで総隊長とやりとりをしていた痣城が私の方に鋭い目を向けます。いえ、痣城どころかこの場にいた全員が私の方を向きました。
『あーらら、とうとうやっちゃったね
『ある意味最悪のタイミングでやってしまいましたな! 再び視線を独り占めでございますぞ!!』
「湯川、一体どういう事じゃ……何を知っておる?」
えーっと……まず外のやりとりのおさらいだけど……
総隊長と痣城が会話していたのよ。ただ痣城が言うには「瀞霊廷や
そこに私が口を挟んだ形になるってわけね。
……それって、最悪のタイミングじゃない!!
『ほらほら、頑張って
『頑張れ頑張れ
ううー……
「……なるほど。湯川はあの半面が髑髏に覆われた
道理か、じゃないわよ!! 何を勝手に納得してるのよ!!
あんたの恋人に茶化されてつい声に出しちゃっただけだから!!
『こ、恋人だなんて……』
『照れますなぁ……ねえ、雨露柘榴殿?』
『そうだね射干玉ちゃん……そりゃま、剣の字とは離れられない関係だけど……』
『がーん! でござるよ!!』
黙ってなさい!
えっと……ヒントがあるとすれば、現世学。それとあのロカちゃんの能力……
痣城が姿を消した能力とちょっと似てるあの能力……
そういえば昔、痣城が投獄されることになった理由って……!!
『キハハ! じゃあもう一つヒントだ! 剣の字は、あらゆる"物"と融合することができるんだよ』
…………あっ! 刳屋敷隊長との決闘!! あのときは直接刃を生やしてた!! それを応用すれば!!
「ロカちゃん――あの
いえ、何かしっくりこないわね。同じ事の繰り返しじゃ芸が無いし……
現世学って言ってたから……
「……まさか、現世の人間を改造する気……?」
「なんじゃと!!」
総隊長が強烈な反応を見せます。
痣城からも、無表情ではあるものの驚いたような気配が伝わってきました。
「ほぼ正解だ。私が行おうとしているのは、現世の人間達の脳髄と魂魄の一部を改良し、人を
平然と言ってのけましたが、隊長たちは驚いています。
「それが、お主が言っていた敵対する気がないという根拠か?」
「そうだ。
「アホか」
平子隊長が口を開きました。
「そんなん何年かかる思っとんねん。東京だけで一千万人はおんねんで?」
「一日千人を改造したとしても、一万日か……いや、それを可能とするための、あの女
浮竹隊長が言葉を繋ぎます。
日本だけで億単位だもんね……それがましてや、世界全体となれば……
……ロカちゃんの能力って、そこまで万能なの?
『ああ、そうだよ。なにしろあの女の能力は剣の字をまねた物だからね。あらゆる物質と繋がって霊力や情報を共有するのさ』
『痣城殿とつながって共有することで、改造をしやすくするということでございますな? まさしくお前の物はオレの物! オレのものはお前の物! 大事な物は貸金庫へ!!』
えー……それでも十年くらいは掛かるんじゃ……
「その通りだ。だがあの女
チラリと私に視線が向けられました。
やだ、顔に出ちゃったかしら?
まるで私の考えていることを見透かされたような痣城の言葉に、一瞬ドキリとしてしまいます。
『ん……? ああ、大丈夫だよ。剣の字のあの顔は、そんなこと勘付いちゃいないから』
わかるの!? 昔からよく見た無表情のままなんだけど……!?
それに視線も私の方に向いているわよ? 疑問を口に出した平子隊長とかを見るものじゃないの?
『それはね……キヒヒヒヒヒッ!!』
……?
「そこで、もう一人。湯川、お前だ」
「……私?」
ご指名が掛かったんだけど……
「お前の持つ、卍解の能力。それを貸せ。生物と物質の中間に位置するその能力を仲立ちにすることで、改造は更に容易となる」
「な……ッ!!」
「事実、総隊長の腕を治したのもその能力によるもの。それと同じことを現世の人間全てに行うだけだ。湯川、私と共に来い」
『キハハハハハ!! 言っちゃったよ剣の字! 私って女がいるのに、まるで愛の告白じゃないか!!』
愛の告白って……
『完全に拙者の身体だけが目当てでござるよ!! 男の人はこれだから嫌でござる!! 拙者のことをなんだと思っているでござるか!! ちょっと顔が良いからってホイホイ粘液を分泌すると思ったら大間違いでござるよ!!』
『大丈夫だよ
『では拙者が雨露柘榴殿に告白を!! そして二人は結ばれて、雨露柘榴殿と拙者のコンビプレイ! 初めての共同作業!! これはもう結婚!! そして出産!!』
『けど産むのは射干玉ちゃんで、私は突っ込む方だけどいいのかい?』
『問題ありませんな! 雨露柘榴殿がお相手ならば差しつ差されつ前から後ろから! どうぞご自由にでござります!!』
『じゃあさ、さっそく子供の名前を考えなきゃね?』
『お任せ下され! 男だったらケンタロウ、女だったらカツヨでいかがかな!? あ、ちなみにこの名前はカタカナを適当に集めただけのランダムな名前ですので、万が一にも実在の人物・団体などを連想しても全て完全に余すところなく気のせいでございます!!』
うわー、なぜだかさっぱりわからないけれど、料理が凄く上手そう……
なぜだかさっぱりわからないけど!!
『おお、準備がいいね? けど射干玉ちゃん、もしも同性の双子だったらどうするんだい?』
『むむっ、それは盲点でした! 双子……うーむ、ソウでござるなぁ。そのときはじっくりとミクラべてから――』
それ、よくわからないけど双子よね!? どう考えても双子でボケてるわよね!?
『おいおい射干玉ちゃん。その名前、つけるのがカノウかどうか、ちゃんとしらべなきゃ――』
そっちは双子じゃなくて姉妹! てか、実際の姉妹ですらないでしょうが!!
というより雨露柘榴はどこからその知識を持ってきたぁぁっ!!
『さすがは
『ホントホント、羨ましい限りだね。ウチの剣の字じゃ、こうはいかないよ。どうしようかね、私もここん家の子供になっちゃおうかな?』
『なんと! それは誠にござるか!? でしたらこの部屋をお使いください! 少々同居人もおりますが――』
あ、それは嘘でしょ? さすがにわかるわよ。
卍解まで至れるような斬魄刀が、持ち主をそう簡単に見捨てるわけが無いからね。
『……ホント、
『ええーっ! 嘘でございますかぁ!?』
『ところで使って良い部屋ってのはここかい? どれどれ……ってうわ!! ……射干玉ちゃん、これは駄目だよ……』
……ブランって覚えてる? ほら、私の中で同居している
雨露柘榴がドン引きしてるわ……テンションが下がりすぎて地面を這いずってるレベルになってる……
「…………」
「その沈黙は、否定ということか」
「え……?」
いや、ゴメンね……無視してごめんね……
でもだって、アンタは知らないだろうけどさ……今私の中が大変なことになってるのよ!!
中で大変なことになっているのに、そこへさらに外からも爆弾を投げ込むような真似は止めて!! てか私がこうなった半分くらいはアンタが原因なのよわかってんの!?
『いいねいいね! もっといってやんなよ!! キハハハハ!!』
「それとも、お前が築いた新たな繋がりが邪魔をしたか? もっと早くに気付いていればあるいは……現世の人間や
……なんだか呟いているけれど、何が言いたいのかしら?
多分だけど、織姫さんとかハリベルと知り合う前に勧誘すればよかった、とか思ってるのかしら?
『そういえば
唐突ねぇ……けど、何を?
『剣の字はさ、自分の不要な感情を私の中に捨ててくるんだよ。邪魔だからゴミを押しつけてくるなんて酷いだろう?』
……それって、自分の弱さとか不安とかから目をそらしているってこと?
『そういうこと! その中にはさ、ほら……みてごらん?』
『おおおおっ!! こ、これはなんと!!』
あらこれって、私がマッサージしているところ?
『そうそう!
ええーっ!
『いやいや
『"湯川が女性死神へ按摩を施している場面に、奇妙な感情が沸き上がった――排除する"だってさ!! しかも毎回捨ててくるんだから、こっちとしてもムラムラしちゃって仕方ないんだよ!! なんとかしてくれないかい!?』
な、なんとかって言われても……
だ、駄目……我慢できない……
下を向きながら、肩をふるわせて……なんとか我慢……
「……ふふっ……」
無理に決まってるでしょ!! 吹き出しちゃったわよ!!
ほらもう! 途端に痣城が凄い目で私のことを睨んできた!!
もおおおおっ!! こうなったらやってやるわよ!! ごまかしきってみせる!! 笑ったところから繋げればいいんでしょう!?
「ふふふ……あははははっ! 何を言うのかと思えば……私がそんな人の尊厳を無視するような事に手を貸すと、本気で思っていたんですか!?」
「……」
よし、黙った! それに他の隊長たちも不自然には思ってないみたい! このまま……
『ほらこれなんか、剣の字が何度もしつこく捨てたやつだよ』
『あーこれは……痣城殿も男ですなぁ……それにしても、こういう方が好みですか。中々お好きですなぁ!!』
『捨てるんなら見なきゃいいのに、見ては捨てるんだから……キハハハハ!!』
『ぬほほほほほほ!!』
……止めて!! 見たい! 凄く見たいけど……今は駄目!!
「それとも死神は全員、現世の人間がどうなろうと関係ないと割り切っているとでも? だとすればその考え、今ここで力尽くでも正してあげます!」
「湯川の言う通りじゃ」
斬魄刀の柄へと手を掛けたところで、総隊長の援護射撃が飛んできました。
正直、凄くありがたいです。これでなんとか、笑いを堪えるのに集中できる……
『けどね、こういう女も結構……』
『おおー! ムチムチですな!!』
……まだ、まだ表情を崩しちゃ駄目よ私!!
「現世と
「敬意、か……無駄なことを。死神はただ、世界のために回る歯車であればいい……無論、私自身も含めて」
痣城は周囲の隊長達をぐるりと見回すと、嘆息しながらそう言いました。
そして最後、再び私に視線を向けます。
「現世の人間や
ほとんど消えそうな声で呟き、その姿を空気の中に溶け込ませました。
最後のアレは「織姫さんやハリベルと知り合う前に勧誘していれば、賛同しただろう」って意味かしらね?
『だろうねぇ。アテが外れて残念だったね剣の字!』
あ、雨露柘榴がここにいても能力は使えるのね。
『そりゃそうだよ。意識がこっちにいるだけ、能力は剣の字の方に置いてきているから』
便利……
『それに戻りたくなりゃ、いつだって戻れる! 私からすりゃ別荘みたいな感覚だね! キハハハハ!!』
向こうにもいるって考えた方が良さそうね……
……ところで雨露柘榴。なんで痣城は、現役で隊長だった時に私を勧誘しなかったの?
『そりゃ、
『そうそう! 銀蜻蛉の前で退いたのも、
『やったでござるな
隊首会って何でしたっけ?