「逃げた……いや、件の女
痣城が姿を消した空間を眺めながら、総隊長が口にしました。
『そうそう、流石に察しがいいね!』
誰だって気付くでしょう……それで、痣城はどこに行ったの?
『今は
空座町? またあの町に……
けど、なんで? 一護がいるから??
『ありゃ、
うわぁ……スパイって便利なのね……
藍染もこんな気持ちだったのかしら……?
『これ、本当に大丈夫でござるか……?』
射干玉が心配する辺り、相当よね……
『ちなみに報告していたのは、十三番隊の……なんだっけ? ほら、あ、アフロ……?』
車谷君かぁ……でも、私は聞いてないわね。
管轄が違うし、隊も違うから当然といえば当然なんだけど……
『
……ああっ!! 確かに、可能性があったかもしれないのね!!
あそこで接触できたら、もしかしたらこんな事件は起きなかったかもしれないのに! 今頃は普通にロカちゃんのマッサージが出来たかも知れないのに!!
……正座させてお説教してる場合じゃなかったわ……車谷君!! 恨むわよ……!!
『(と、このように。昔の行動の裏の理由説明を行う健気な射干玉ちゃんでござるよ)』
「となれば当然、こちらも追いかけるべきでしょう。あのような計画、断固として許すわけにはいきません」
「そうだね」
「せやな」
「無論だ!」
卯ノ花隊長の言葉に、隊長たちが頷きます。
「しかし、問題の痣城はどこへ行ったのか……刑軍もいまだ捜索中ですが、発見の報告は上がってきておりません」
「ピカロとかいう
夜一さん、何やってるの……? 希ノ進さんがまた怒るわよ……?
いや、それよりも。
せっかくの雨露柘榴からの情報、使わせて貰いましょう。
「痣城剣八ですが、おそらく空座町へ向かったのだと思います」
「む?」
「
「空座町で、女性
「え、ウチかい? ……そういえば、車谷から報告があったような……」
浮竹隊長が記憶の底から引っ張り出して来ました。
どうやら殆ど覚えていなかったみたいですね。
『雲を掴むような話でございますからな!!』
『あのロカちゃんってのは元は蜘蛛型の
「ふむ……その情報が事実であれば、痣城双也が現れる可能性は非常に高かろう」
「では、痣城剣八退治の役目は十一番隊にお任せください」
総隊長が納得したように頷くと、卯ノ花隊長がにっこりと微笑みました。
「彼は八代目の剣八……間が開きましたが、更木剣八が刃を交えるには丁度良いでしょう。それに、私も初代としての責任がありますから」
責任って何なのかしらね……
見物するって意味かしら……
『ああ、剣八といえばあの戦い! 凄かったねぇ!! 卯ノ花のお婆ちゃんと更木のがとんでもない斬り合いをして! 剣の字がビビってたよ! 負けるって感情を何度私の中に注ぎ込んだことか!! あんなにいっぱい受け入れられないよ、溢れちまう!』
何を!? ……刀傷かしら?
『刀傷なんてついたら、剣の字が死んじまうよ! だって、能力の代償で身体は貧弱なお坊ちゃまなんだから!!』
え?
『融合しているからね、身体が鍛えられないのさ! 単純な力比べじゃ、死神で一番弱いザコザコなんだよ剣の字は!』
ふーん……それって、それもまた弱点よね……
……ってちょっと待って雨露柘榴!! あなた今、卯ノ花隊長のことなんて呼んだの!?
『お婆ちゃんだよ?』
それはやめて! いえ、絶対に止めなさい。
聞こえないから大丈夫とか、そういう考えは今すぐに捨てること! いいわね!?
『あ、ああ……』
『雨露柘榴殿……拙者からも、やめておいた方が良いとアドバイスさせていただきますぞ……』
「ですので、重ねて言わせて頂きます。痣城剣八の討伐は、十一番隊にお任せ頂けますか?」
「……よいじゃろう」
あ、総隊長が首を縦に振りました。
不承不承というか、コレは問答しても無駄だって悟ったんでしょうね。
『お爺ちゃんもこの十年で延々と振り回され続けたからねぇ! 悟ったんだろう? あ、でもひょっとすると……! キハハハッ!!』
「では此度の件、十一番隊と
…………え?
『キハハハ! やっぱりそうだ、やっぱりそうなった! そりゃそうなるよね!!』
「わ、私もですか!? 十一番隊だけでなくて!?」
「うむ」
普通に頷かれたわ……
「痣城剣八を相手に、あれだけの啖呵を切ったのです。湯川隊長も出るのは当然でしょう?」
「加えて湯川は、更木剣八の目付役も兼ねておる。お主ならば問題なかろう」
……出るの? やっぱり出なきゃ駄目なの……??
『初代護廷十三隊隊長のお二人は、やり手でございますなぁ!! 実質、面倒ごとが全部
『やったね
「また、彼奴はお主の能力を利用すると言っておった。裏を返せば、お主の斬魄刀は雨露柘榴への対抗策となるのではないか?」
……ああ、なるほど。
で、なるの?
『なるんじゃないかな? まあ、やってごらんよ! 物は試しって言うだろう!?』
『はははは、なるほど! ではまず拙者たちだけで試してみましょう!! 行きますぞ雨露柘榴殿!! そーれっ!』
『レシーブ!』
トス……と見せかけて、アターーック!!
『おおおおおおおっっ!! なんだか懐かしいでござるううぅぅぅぅっ……!!』
まだ原作開始前の時期に、こんなこともやってたわね……
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「――というわけで」
隊首会が終わり、四番隊に戻るなり炊事場へと向かいました。
そこでお菓子作りをしながら、勇音に事情を説明しているところです。
「私も明日、現世に行くことになったの」
「隊長~……またですかぁ~……」
「総隊長命令だから、ごめんね勇音……」
謝りながらも、作業の手は止めません。
ちなみに材料は、最初の痣城騒動で駄目になったやつです。まだ使えるのを拾い上げて、加工中ってわけです。
再利用って素敵な言葉だと思いませんか?
『隊長ってのも大変だねぇ……』
そう思うんなら、持ち主を説得してよ雨露柘榴!!
『ああ、無理無理。そう簡単に言って聞くようなタマじゃないんだよウチの剣の字は!』
『牢獄暮らしでこじらせましたかな?』
『さて、どうだろうねぇ……キハハハ!!』
この二人は……
でも、こんなのでも今は大事な情報源なのよね……
……そういえば、ザエルアポロっぽい人ってどうなったのかしら……?
全然出てこないけれど……
涅隊長に捕まってたら楽なんだけどなぁ……
「ところで隊長、何を作ってるんですか?」
「これ? 秘密兵器よ」
「秘密兵器ですか……?」
「そう、出番があるかは分からないけどね」
話数も300……
これ、いつ終わるのかしら……