お前は天に立て、私は頂をこの手に掴む   作:にせラビア

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第322話 ずっとスタンバってました

 主に穿界門(せんかいもん)の中で。

 

『タイトルと本文の合わせ技で一本! というわけでございますな!!』

 

 大変だったのよ、これでも!

 元々は一護に力を戻したときに、どういう選択をするかを見届ける役目ってだけだったのに!!

 そんなに大変な仕事じゃ無いって思ってたのに!!

 

 それが気がついたらなんだか一触即発の大事件になってて! 浦原から「黒崎サン、今ちょっとピンチみたいなんで」とか「相手の中に過去を操作する能力を持ったヤツがいるみたいなんスよね」とか「良いタイミングを選びますんで少々お待ちください。カッコよい登場シーンを是非お願いしますよ!」とかいう連絡が来て、断界(だんがい)の中で五人の死神が雁首揃えて待つ羽目になったりしたんだから!!

 

『それはそれは……』

 

 てか、普通に登場させてよおおぉぉっ!! なんで舞台の緞帳(どんちょう)を開ける、みたいな感じで大きな穿界門(せんかいもん)を開かなきゃならなかったのよ!!

 演出優先って何!?

 けど必死で作ったわよ!! 百人くらいが横並びでも一斉に通れるくらいにデッカいのを!!

 

『ご愁傷様でござるよ……』

 

 もう無理ぃ……こんなおっきいの私、見たことない……

 

 それに加えてね。

 スタンバイしている最中に浮竹隊長からは「一護君と空吾のことは俺に任せて欲しい」って念を押されたわ。

 海燕さんも基本的には同じ気持ちだから「隊長、お供させて貰います」って感じだし。

 まあ、そこは良いのよ。事前に聞いていたから。

 

 他にも――

 

 海燕さんが一心さんの一護への対応が遅れているのを聞いて、ちょっと文句を言ったりとか。

 

 月島って相手の能力を聞かされた時に、朽木隊長が静かに怒っていたりとか。

 

 逆に私は過去に経験を挟み込むって聞いたときに「(それ、ひょっとしてエロい事に使えたりするのかしら……?)」と本気で考えたりとか。

 

 そうやって利用方法について本気で悩んでいる最中、つい口から出てきちゃった言葉が「……過去、心的外傷(トラウマ)になるような記憶や経験だけを除去できれば、治療の助けになるのかしら……? 見える傷だけじゃなくて見えない傷を癒やす、苦しんでいる人の力になるには……」だったせいで、全員から尊敬の目で見られたりとか。

 

 ――そういうことがあったんだけどね。

 概ね大きな問題は起きることも無いまま、一護に死神の力が戻りました。

 

 ……というか、良かった……本当に良かったわ!

 あれだけの霊圧を込められて、無事で良かったわ!

 ぱぁん! ――って感じにならなくて、本当に良かった!!

 阿散井君が「その刀には俺たち全員が霊圧を込めてんだ!」とか得意そうに言ってたけど、私は一護の身体が気になって気になって仕方が無かったわ!!

 

『ふむ……身体が気になる……むふふふ……!』

 

 そういう意味じゃ無いからね!

 繰り返しになるけど、そんなことになったら絶対に治せないから、それが気になっていただけだから!!

 それに私が気になってるのは織姫さんなのよ!

 連絡は取っていたけど、実際にどのくらい成長したのかを確認したいの!! あのお山(おっぱい)がどれだけ成長しているのかを、この目でちゃんと見たいのよ!!!

 

 浦原からの情報連絡によると、この場所に居るらしいんだけど……どこかしらね?

 ちょっと離れた場所に居るのかしら……? 早く見つけないと……!!

 

 

 

「空吾!!」

「……浮竹!」

 

 

 

 ――と、私が周囲へと目をやっているその一方で、ちょっと色々ありました。

 

 まず一護です。

 彼は力を取り戻すと、それを銀城に見せつけるように振るいました。

 ちょっと剣圧を放ったんですが、それでも今までの月牙天衝くらいの力です。

 ……なんというか、めちゃめちゃ強くなっていますね。多分、今やり合ったら負けると思います。

 

 ですが銀城はその一撃を月牙天衝だと勘違いしたらしく「アテが外れたな!」などと叫びます。

 そこに一護が「今のは月牙天衝(メラゾーマ)ではない、剣圧(メラ)だ」と、どこぞの大魔王様のような事を告げ、本命の一撃を放とうとしました。

 そこに浮竹隊長が割り込んできます。

 

「待ってくれ一護君!」

「浮竹さん!? けど、銀城は……!!」

「君からすれば、空吾は許せないのかもしれない……だけど、頼む! 少しで良いんだ、俺に話をさせてくれないか……?」

「……っ!」

 

 そう言いながら一護の肩に手を掛け、月牙天衝に待ったを掛けます。

 一護も一護で、詳しい事情は知らないものの思うところは有るのでしょう。それとも銀城から、何かを聞かされたのでしょうか?

 苦々しい表情をしながら、浮竹隊長と銀城を交互に見比べていました。

 

「悪いな、一護。俺からも頼めねえか?」

「海燕さんまで!?」

「お前も薄々感づいてるかもしれねえけどよ。浮竹隊長と銀城との間にゃ、ちょいと根深い因縁――みてえなものがあるんだ。今回のことはそれを解決する、またとない好機でもあるんだ。だからよ……この通りだ!」

 

 浮竹隊長が肩を掴んだのとは逆側――ちょうど一護を両側から挟むような形で、海燕さんも隣に立ちます。

 隊長と副隊長、二人掛かりで頭を下げられた一護は困ったような表情を浮かべながら答えました。

 

「あー……ったく、仕方ねえか!!」

 

 月牙天衝を放つべく構えていた斬月を下ろしたかと思えば、自分の感情を発露させるかのように切っ先を乱暴に地面へと突き刺しました。

 

「この力、浮竹さんたちだけじゃねえ……どうやら色んな死神のみんなが協力してくれたみてえだし……その借りは、返さねえとな」

「すまない……恩に着るよ……」

 

 一護の承諾を得たことで、浮竹隊長がずいっと前に出ます。

 その後ろにはいつでも飛び出せるような心構えと姿勢で海燕さんが続きます。

 ……いえ、一護も同じ気持ちみたいですね。任せると言ったものの、銀城が動けば即座に自分も動いてやろうという狙いが見え隠れしています。

 

「浮竹……来てくれて嬉しいぜぇ……!!」

 

 そして銀城ですが。

 凶悪な笑みを浮かべ、舌なめずりすらしながら浮竹隊長を睨み付けていました。

 そればかりか、骸骨に似た全身鎧を身に纏い強力な霊圧を放っています。おそらく一護から奪った完現術(フルブリング)を使ったんでしょうね。

 

 ……それにしても、完現術(フルブリング)……ねぇ……浦原から簡単に説明は受けたんだけど……

 何それ知らない! 人間ってそんなことも出来るの!? ということはつまり、ドン観音寺も出来るの!?

 

『(アレは霊王殿もビックリの超天然チートでございますからなぁ……比較してはダメでござるよ!)』

 

「お前を真っ先に斬れる! 復讐の狼煙を上げる相手としちゃあ最高の相手だ!!」

「ま、待て空吾!!」

 

 巨大な両手剣を片手で持ち上げ、切っ先と殺気を浮竹隊長へと向けます。

 銀城のそれらを受けながら、浮竹隊長は困惑したように叫びました。

 

「復讐、だと……!? それは……――」

「何と! やはり!!」

「――……っ!?」

 

 ですが全てを言い終えるより早く、銀城のお仲間の完現術者(フルブリンガー)たちがやってきました。

 どうやら霊圧から異変を感じ取って集まってきたみたいです。彼らから少し離れた場所では、九条さんがやや遠回りに私たちのところに集まってきているのも見えますね。

 

 そして彼らは「一護の力を自分たちにも分けろ」と訴えます。多分、元々の約束だったんでしょうね。

 その申し出に銀城は、少しだけ苛立った様子を見せながらも剣を振るいます。

 どうやらそれが分与のための動作だったらしく、全員の霊圧が大きく変化しました。それぞれが自身の変化に驚きの声を上げています。

 

 

 

 

 まあ、それはそれとして。

 

 

 

 

「織姫さん、茶渡君も。お久しぶり」

「……ッ!」

「ゆ、湯川、さん……」

 

 一護と浮竹隊長と銀城が睨んでいる最中を狙い、私は織姫さんに会うことにしました。

 

「伝令神機では連絡を取っていたとはいえ、こうして直接顔を合わせるのは随分と久しぶりよね……二人とも成長したわね」

 

 織姫さんだけどね、本当に成長してるの!

 顔を合わせていたときはまだ高校一年生だったけど、今は高校三年生だから! 現世の人間の成長って本当に早いわよね!!

 髪はあのときと同じくらいなんだけど、なんだかふわっとしてて大人っぽくなってて。

 容姿も子供っぽさが抜けてムラムラするような色気が身体の内側から漂ってきてる!

 でも極めつけは何と言ってもお山(おっぱい)お山(おっぱい)なの!!

 

 以前の時も十分に大きかったんだけど、この一年半で何があったの!? あのときとは比べものにならないくらい大きくなってる!

 いえ、そのね……伝令神機で連絡を取ってたときに写真を添付されたこともあったから、大きくなったのは知ってたわよ!!

 だけどね、直接目視すると迫力が違うの!! 全然、全く、これでもかってくらい違うの!!

 

『このお山(おっぱい)で未成年は無理でござるよ!! いやマジで!! というやつでございますな!!』

 

 ええ、もう……本当に……射干玉の一言に、私の言いたかったことが全て濃縮されているわ……

 

 これで、高校生なんでしょう……?

 しかもあと三ヶ月もしたら季節が夏になるのよね……!? つまりアレが学校指定の水着の中に収められるのよね!?

 はち切れるわよ!! 間違いなく!!

 

 教師とか、目のやり場に困って仕方ないと思うわ……

 いえ教師よりも男子学生の方が大変なことになってるわよね! 絶対に隠し撮りした写真とかが高値で取引されてると思うの!

 あと多分だけど、大半の子から「先輩おはようございます!」とか挨拶されているんだけど、その子たちは心の中で「(毎晩お世話になってます!)」って感じでお礼を言ってるんでしょうね……多分だけど!!

 

 ……織姫さんも大変よねぇ……

 

『ですがそうなった原因には、藍俚(あいり)殿も一枚噛んでおりますからな!!』

 

 え、私が!? な、何かしたっけ……!?

 

『お忘れですかな!! 織姫殿をマッサージしたことを!! おかげで彼女のお山(おっぱい)は、爆発的な成長を遂げたのです!! そう、さながら活火山のように!!』

 

 わ、たし……が……!?

 

 ……じゃあ「わしがそだてた」とか胸を張っちゃってもいいの!?

 

『全く問題ありませんな! 胸を張って胸を誇ってくだされ!! 拙者も応援いたしますぞ!!』

 

 そうね! このままなんとかして織姫さんを再度マッサージできないかしら!?

 

 

 

 ……あ、茶渡君も、成長して筋肉とかついてたわ。

 

 

 

「本当に……見違えるくらい立派になって……」

 

 にっこりと、心の底から微笑みながらそう告げれば、二人はなんだか驚いたような申し訳ないような、そんな表情をしました。どうしてかしら?

 

「ゆ、湯川さん! その、なんで、どうして……黒崎くんを止めてくれないんですか……?」

「一護の側につくなんて……どうして……!!」

 

 ……? 何を言ってるのかしら……

 

 ……………………あ!

 

 そうだった!!

 過去に記憶を挟む能力を持っているのがいるんだったっけ!

 織姫さんの立派すぎるお山(おっぱい)を見た感動で忘れていたわ。

 

『記憶もぶっ飛ぶような衝撃でございましたな!!』

 

 これ、私が説得しなきゃダメ、よね……? 多分だけど……

 

「織姫さん、私に連絡をしてきたときの気持ちを思いだして!」

「あ、う……うぅ……! あの時、あたしは……!?」

「茶渡君! 狛村隊長が心配していたわよ!!」

「左陣、が……? だが、それならどうして一護が……!?」

 

 あ、ダメっぽい。記憶が混乱しているわね。

 となると別の手段を……

 

「どうした? 二人とも」

「っ!?」

「何か、過去に疑問があるのかい」

 

 少し悩んでいると、織姫さんたちの後ろから声が掛けられました。

 現れたのは、見た目は優男といった感じの風貌の男。それと、かなり背が高いです。

 六尺一寸(185cm)の私が軽く見上げる程度ですから目算で……六尺五寸(198cm)くらいはあるわね……

 そう思っている間にも彼は二人に自分を信じるような言葉を投げかけ続けました。

 一方的な言葉に混乱したのか、二人の表情がみるみると変わっていきます。

 

「あ、ああ……へ、へんだなあたし……あたしが今生きているのは……月島さんの……ち、ちが……なんで……」

「俺は……俺は月島さんを……」

 

 ……なるほど、これが件の月島君なのね。

 

『ええ、そうでござるよ藍俚(あいり)殿! これがみんな大好き月島さん……』

 

 そんなことはどうでもいいのよ!!

 

『……!?』

 

 射干玉、今の表情を見た!?

 織姫さん、すっごい顔してたわよ!

 頭の中が記憶でぐーるぐるになって、今にもイきそうなアホになっちゃいそうなそんなとんでもない表情してたでしょ!

 

『し、していましたが……それが一体……?』

 

 これ! こんなの少年誌で出して良い顔なの!! 薄い本なら御用達だけど!!

 ありがとう月島君! 君のおかげで、すっごいレアな表情が見られたわ!! そこだけは感謝しても良いくらい!!

 

『お礼!? まさかの心の底からのお礼の言葉でござるよ!! というか藍俚(あいり)殿! 藍俚(あいり)殿のお山(おっぱい)や行動も仮に少年誌だったらアウトでございますよ!?』

 

 嘘ッ! 私ってアウトな存在だったの!?

 で、でもほら! 私の場合は胸はサラシで隠しているし!

 隊首羽織を着ているから露出控えめだし!

 羽裏色だって灰桜色で色気が控えめだからセーフ! セーフよ!!

 

 まあ、それはそれとして。

 

「はい、そこまで」

「……ぁ!」

「……っ!」

「!!」

 

 これ以上アヘ顔を晒し続けるのは精神的に危険と判断したので、二人の意識を強制的に飛ばさせてもらったわ。

 具体的には――

 

『後ろに回って首をトーン! というアレでございますな!?』

 

 え……?

 そうじゃなくて、普通に麻酔……ほらコレ、穿点(がてん)を使ったのよ。

 二人とも混乱して弱っていたから、すごく簡単に気絶させられたわ。

 

『あー……確かに合理的ですが、そこはその、様式美といいますか……原作準拠といいますか……』

 

 というか首トンなんて、やったら危険でしょ!!

 織姫さんの柔肌に傷が付いたらどうするのよ……って、ああああああ!! そっか、そうなったらそうなったで治療できたじゃない! 私の馬鹿!!

 

『お、おう……藍俚(あいり)殿、お気を落とさずに……』

 

「目論見が外れて驚いているところ恐縮だけどね。これ以上、二人を利用させるわけにはいかないの」

 

 月島君が驚いている内に気を失った二人を担ぎ上げると、急いでこの場から離れます。

 向かう先は浦原のところ。多分、一番安全な場所のはずだから。

 

「浦原さん、この二人をお願いします」

「あらら、こりゃ湯川サン。どーもご苦労様です」

 

 私が現れば、浦原はさも予定通りといった感じで二人を当然のように受け取りました。

 

「いやぁ、あたしらもお二人のことは心配していたんスけどね。湯川さんが動いているのが見えましたんで、こういうのは専門家にお任せするのが一番かなぁと思いまして……あ、後の処置はしておきますんで、湯川さんはドーゾあちらの方へ」

「はいはい。黒崎君も浮竹隊長も、まだ安心できる状況じゃないものね……」

 

 そして浦原に促されるまま、一護たちの方へと視線を向けます。

 状況を見れば、どうやらお仲間たちに力の分与が終わったところみたいですね。

 

 はぁ……このまま織姫さんを治療したいところなんだけどなぁ……

 行かなきゃ、ダメよね……

 

「――……あ、そうだったわ。一心さん」

「俺、ですか?」

「海燕さんがお話があるそうです。だから、この騒動が終わっても勝手に帰らないように。伝えましたからね!?」

「え、ちょ……ちょっとま……っ……!!」

「ご愁傷様っス」

 

 一方的に告げてから、返事を待たずにその場を後にします。

 後ろからは困惑する声が聞こえてきました。

 

 

 

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

 

 

 

 戻って来てみれば、どうやら九条さんもこちらに無事に合流できたようで。ルキアさんと何やら会話をしていました。

 お忘れかもしれないけれど、九条さんも管轄の都合で十三番隊の所属だからね。ルキアさんとは面識や交流はあるのよ。それにコンちゃんもいるから、会話も弾んでいるみたい。

 

 個人的にはこのままルキアさんたちに注意を払い続けたいところなんだけど、それを我慢して浮竹隊長たちの方へと意識を向けます。

 

「これは……まさか一護君の力を!? 空吾、一体何を考えているんだ!?」

「お前ら死神への復讐に決まってんだろうが!!」

「それだ! 復讐とは一体どういうことなんだ!? 教えてくれ空吾!!」

「今更何を言ってやがる!! テメエと話すことなんざ、もう何もねえんだよ!!」

 

 どうやら話し合いは、平行線……みたいね……

 でも、なんだかすれ違っているみたいな感じ、かしら……? お互いにお互いで、相手が悪いって思っているみたいな雰囲気が……

 

「そうですとも銀城さん!! もはや語る必要はありません!! 我々はこの力で目的を果たすべきなのです!! 邪魔する者は一護さんであろうと死神であろうと叩き潰せばいい!! 違いますか!?」

 

 私の思考を遮るように、眼帯をした壮年男性が高らかに叫びました。

 ただ、なんというか……力に酔っていますね。言葉の端々からその片鱗が見えています。

 そして彼の言葉に従うように、完現術者(フルブリンガー)たちから殺気が立ち上りました。

 どうやら、やる気みたいですね。

 

 ……でも、何というか……可愛い殺気よね。

 子猫が精一杯に威嚇しているみたいで、なんだか微笑ましい……

 

 とと、いけないいけない。微笑んでる場合じゃないわ。

 

「浮竹隊長! 当初の予定通り、銀城の相手はお任せします。こちらは邪魔が入らないように、露払いに徹させて貰いますから!! 黒崎君も同席してあげて!!」

 

 叫んだ言葉に返事こそありませんでしたが、了承したような気配が感じられました。

 それと同時に、眼帯男性が怪訝な表情で私を睨んできます。

 

「ん……? なんですか貴女は? まさか貴女一人で我々全員を相手にするとでも?」

 

 彼の言葉に、私は手をぽんと叩きます。

 

「なるほど、それは考えつかなかったわ。まとめて治療できる分だけ楽ができそう」

「なんという傲慢な考え!! 万死に値します!!」

 

 あらら、怒っちゃったわね……? なんでかしら……?

 

『それはひょっとしてギャグで仰っておりますか!?』

 

 え、だって……

 この人たちって霊圧は高いけど、隙だらけよ?

 卯ノ花隊長がこの場にいたら、もう全員斬られているわよ? 未だに無事なのは参加者に恵まれてるだけだもの。

 でも、どうやらそれが分からないみたいで、眼帯男性以外もなんだか不機嫌です。

 

 はぁ……あの男性が言ったみたいに全員の相手をしないとダメなのかしら……?

 

「まあまあ先生、俺たちにも手伝わさせてくださいよ」

「我々も力になりましょう……ゆくぞルキア」

「はい、兄様!」

「姐さん、俺たちも手伝いますぜ! なあ望実!?」

「ああ!」

 

 そう思っていたところ、阿散井君たちが前に出てきました。

 手伝ってくれるみたいです。

 

「ふーん……どうやらみんな、やる気みたいだね……それじゃ、"部屋分け"してみようか」

 

 両陣営が殺気立つ中、完現術者(フルブリンガー)の一人――金髪の少年が口を開きました。

 そして彼が腕に付けた機械を操作したかと思えば黒い空間が生み出され、私たちを分断するかのように取り囲みました。

 

 

 

 ひょっとしてこれ、それぞれ一対一で戦わせられるってこと……?

 ……そんな楽していいの!?

 




●~~羽裏色だって灰桜色で~~
入れなきゃならない一文だったんです。
(具体的な理由は319話の後書き)
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