お前は天に立て、私は頂をこの手に掴む   作:にせラビア

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第328話 身体が勝手に動いただけだ

「一応、僕もいるんだけどね……」

 

 そう言いながら雨竜は、戦いを続ける二人に視線を集中させる。

 

「銀城、頼む! 話を……話をさせてくれ!!」

「言ったはずだ! もうお前と話をすることなんざ何もねえ!! ただこの力で、お前ら死神どもを殺すだけだ!!」

 

 雪緒の作り出した空間に隔離された瞬間、銀城は浮竹目掛けて襲いかかっていた。相手の命を奪い取らんと手にした巨大な剣を振り回すその姿は、悪鬼羅刹のようだ。

 邪魔者のいない場所に閉じ込められたことで、抑えていた最後のタガすら外れてしまったのだろう。

 同じ空間内には他に一護や海燕といった死神もいるのだが、銀城は二人の存在など見えていないように鬼気迫る表情で攻撃を繰り広げていた。

 

「万が一の時には手を出そうと思っていたけれど、どうやら僕の出る幕はなさそうだ……」

「ああ、やめといた方がいいぜ石田……んなコトすりゃ、浮竹さんに一生恨まれるぞ?」

「その前に俺が止めてやるよ」

 

 雨竜の呟きが聞こえたのだろう、一護と海燕が揃って諫めるような言葉を放つ。

 とは言うものの、二人も雨竜と同じ気持ちなのだろう。立ち振る舞いや言葉の端々からは"いざという時には何時でも飛び出す"という気配が漂っていた。

 

 ――どうやら同じ穴の狢だな。

 

 そう胸中で独白しながら、雨竜は浮竹と銀城の二人へと視線を向け直した。

 

「それでも話をしたいってんなら、死んでいったあいつらに……殺された俺の仲間たちに詫び続けてろ!!」

「詫びが欲しいのなら、俺は一生を掛けてでも詫びるつもりだ! だが銀城、お前が欲しいのはそんな言葉じゃないだろう!?」

 

 叫びながら浮竹は、銀城の大剣を紙一重で躱す。

 だが強大な霊圧が込められたその剣は掠っただけでも、いや紙一重で避けた程度でも相手に影響を与えていた。剣圧にすら霊圧が混じり、間違いなく避けたはずの浮竹の身体からうっすらと血が流れ出た。

 

「…………くっ!」

 

 その出血を、浮竹は一瞥しただけでそれ以上何もすることはなかった。

 

 彼がこの空間に囚われ、銀城と戦いを始めた時からずっと、何度も同じようなダメージを受けていた。その証拠に、先ほどの傷以外にも体中に無数の傷跡が刻まれている。

 だがそれは避けていないのではなく、避けきれないが故の傷だ。

 それはすなわち、一護の完現術(フルブリング)を奪い取り強化された銀城の力は、浮竹の力を上回っていたことの証明でもある。

 

「頼む、話を……」

 

 付け加えるのなら、浮竹が無抵抗なのも傷を負う原因の一つだ。

 彼は戦いが始まってからというもの、攻撃はおろか斬魄刀を抜く事すらしていない。始解などもっての外。ただ何度も何度も「話をさせてくれ、理由を聞かせてくれ」と同じ言葉を繰り返し訴え続けていただけだった。

 

「……チッ!」

「銀城……話を、してくれる気になったのかい……?」

 

 その姿を見るに見かねたのか、銀城は吐き捨てるように舌打ちをすると攻撃の手をようやく止めた。

 銀城の様子に、自分の気持ちが通じたと判断したのだろう。浮竹は若干青くなった顔色で笑顔を浮かべる。

 

「なら、教えろ。どこまでがお前の命令だった?」

「どこまで、だと……? それはどういうことだ……?」

「今更言い訳しようとしてんじゃねえよ! 代行証なんてモンを渡されたんだ、俺がカケラも信用されてねえことは分かってる!! だけどよ、なんでアイツらを殺した? なんでアイツらは殺されなきゃならなかったんだ!?」

 

 どこまでが、という具体性を欠いた問いかけに浮竹は言葉を詰まらせる。

 その反応を銀城は「言いにくいこと、あるいは言えないことがある」と捉え、さらに語気荒く詰め寄っていった。

 すると今度は気づく部分もあり、浮竹は顔色を変える。

 

「その口振り……! そうか銀城、お前は代行証のことを……」

「ああ、気づいたよ。仲間が殺されたときに、な」

 

 

 

 

 

「代行証に、何かあるって言うのかよ……?」

「あー……まあ、な……」

 

 二人の言葉を聞いて、一護は海燕へと問いかける。

 だが海燕はその問いかけに、ばつが悪そうに髪を掻きながら言葉を濁しながら答える。 

 

「覚えてるか一護? お前が代行証を渡されたときになんて言われたのか。代行証を他の死神に見せたときにどんな反応だったのかを……」

「どんな反応……だったか……?」

 

 ――わ、わかった! 代行証! 多分きっと効果があると思います!! 保証します、私が!

 

 ……いや、違う。これは何かこう、違う。代行証の力じゃない。絶対に。

 過去の記憶を掘り起こし、一護はかぶりを振る。

 

「多分、効果は無かったはずだ」

 

 そんな一護の思い出など知らぬ海燕は、続きを口にする。

 

「代行証の本当の役目は……相手の監視の為、のものだ……尸魂界(ソウルソサエティ)と通信し続けて、お前を監視するのが目的なんだ……お前が害を与えないように、見張るための……」

 

 そう告げる海燕の表情は、なんとも苦しそうなものだった。

 なにしろこれは一護に対して「お前のことは信用できない」と告げているのと同義だからだ。

 加えて一護は海燕の身内でもある。それを告げねばならなかったときの海燕の苦悩はいかほどだっただろうか。 

 

「けどこれは、元々は先代の死神代行……銀城のために制定されたんだ……けど浮竹隊長は、最後まで反対していた。お前の時だってそうだ。隊長は『(海燕)の身内であるお前(一護)に監視なんて必要ない』って最後まで反対してくれた……けどよ、銀城っていう前例があったことで、結局押し切られて……」

「そっか……」

 

 海燕の言葉をただ黙って聞き続けていたが、やがて堪えきれなくなったとばかりに一護は口を開く。

 

「……話してくれて、ありがとうな。海燕さん」

「な……!? なんで礼なんて言ってんだよ!? 俺たちは……いや、俺はお前のことを……」

 

 おそらくは、恨み言の十や二十は飛んでくるのだろうと思っていた。それどころか拳が飛んできてもおかしくは無いと覚悟すらしていた。

 それだけに真逆の言葉を聞かされ、海燕は混乱してしまう。

 

「確かに騙されていたのかもしれねえ……けどよ、海燕さんはさっきからずっと辛そうな顔してるんだ。だからきっと、本意じゃねえんだってことは分かった。それに代行証を渡すときに、浮竹さんも湯川さんもきっと、それとなく教えてくれたんだ……俺が気付けるようにってよ」

「……っ!!」

 

 けれど一護は、海燕を責めるでもなくただ淡々と、自分の決意を口にしていく。

 

「そして俺は選んだんだ。自分の力でみんなを守りたいって……けど、銀城の場合はそうじゃなかった。詳しい理由や背景はさっぱり分かんねえが、浮竹さんを憎むようになっちまった……そうだろ?」

「あ、ああ……そうだ……」

「銀城は……アイツは、もう一人の俺だ……もしかしたら、ああなっていたかもしれねえ俺なんだ……」

 

 そう告げると一護は銀城を厳しい目で見つめる。

 

「けどよ、俺は気付けたんだ。だからよ銀城、お前だって気付ける筈だぜ……?」

 

 ――その志は立派だよ一護……けどよ、お前は仲間が殺されても、同じ事が言えるか……? 隊長はそんな相手を説得しようとしてんだぜ……? 失敗する可能性は高い……そうなった時は……!

 

 一護の言葉を聞きながら、海燕は心の中だけで呟く。

 そして、腰に差した二振りの斬魄刀の柄へ、誰にも気付かれぬ様にそっと手を置いた。

 

 

 

 

 

「代行証による監視! その決定を下したのは他ならぬお前だ! 違うか浮竹!?」

「違……わない、な……どんな理由があったにせよ、最終的に折れてしまったのは俺だ……」

 

 肩を落とし、意気消沈したように呟く。

 その姿をみて銀城は、ニヤリと笑ってみせる。その一言は浮竹が全てを認めたも同然だ、と言わんばかりの様相だ。

 

「けど銀城! お前が死神たちを殺したのはそれが原因なのか!? 代行証による監視がお前を追い詰め、あんな凶行に走らせてしまったのか!?」

「何を言ってやがる! 先に襲ってきたのはお前ら死神じゃねえか!! そのせいで俺の仲間達は死んだんだ!! つまりは全部、お前の仕業って事で良いんだな!?」

「ま、待て銀城! 待ってくれ!! 先に、だと……!? お前が乱心して死神たちを――」

「まだそんな詰まらねえ嘘を吐いて言い逃れてえのか、浮竹ええぇぇっ!!」

 

 言っていることが明らかに食い違っている。

 そのおかしな差異に理解が追いつかず、浮竹はどういうことかと必死で頭を巡らせ原因を探ろうとする。

 だが銀城にとっては、もはや語るに値しなかった。

 語るべきことは全て語り終えたとばかりに、浮竹へ向けて再び剣を向け襲いかかる。

 

「チッ! 隊長ッ!!」

 

 銀城の動きに海燕が反応した。

 話し合いが失敗した場合に備え、何時でも動き出せるように身構えていたことがどうやら幸いしたようだ。両手に斬魄刀を握りしめながら、二人の間へと割って入ろうとする。

 

「来るな海燕!!」

 

 だが海燕が動くよりも先に、浮竹が動いた。

 彼は海燕の動きを邪魔するように身体を滑り込ませると、自ら斬られに行くように前へと進み、銀城の大剣をその身で受ける。

 

「がはっ!!」

「た、隊長おおおぉぉぉっっ!!」

 

 海燕も急いだものの、どうやら刃が浮竹の身体を切り裂くのが先だったようだ。

 袈裟斬りに振り下ろされた大剣は胴体に深々と食い込み、深い傷跡を刻むと同時に大量の血を噴出させる。

 その衝撃に耐えきれなかったのか、海燕の目の前で浮竹は崩れ落ちそうになる。だが海燕が必死に身体を操ると、肩を貸してどうにか倒れるのを防いで見せた。

 

「浮竹さん!!」

「馬鹿な! 自分から、だと……!?」

「隊長、しっかりしてください隊長!」

 

 一護と雨竜も、遅まきながら動き出していた。異常事態に気づき、浮竹へと駆け寄る。そして海燕は浮竹を支えながら意識を取り戻させようと必死に呼びかけ続けていた。

 そんな四人の姿を見下ろしながら、銀城は冷たく笑う。

 

「ハ……ハッ! たった一撃でおねんねかよ!? オマケにお仲間に守られて、いいご身分だなぁ!!」

「テメエ、銀城ッ!!」

 

 それは挑発の言葉、というよりも困惑の度合いが強い言葉だった。浮竹のことを自らの仲間達の仇と信じていた銀城からすれば、仇敵を切り裂けたのは喜ばしいことだろう。

 だがそれは決して今の様に、自ら刃に飛び込むような真似ではない。

 

 彼が欲していたのは、浮竹が被っていたであろう偽善者の仮面を引っぺがし、彼が計略していたであろう事柄を口にさせること。

 仲間達が死なねばならなかったのには、このような理由があったのだと白日の下に晒させた上で、その首を切り落として仲間達の墓前に添えて報告するような――そんな復讐だ。

 

 それでも浮竹を斬ることが出来たという事実は事実であり、自らの感情を無理矢理納得させるような言葉を口にしていた。

 多少なりとも銀城を慮れば、その実態には容易に気付けただろう。

 だが、眼前で浮竹を斬られ冷静さを欠いた海燕には、その言葉は額面通りにしか受け取る事が出来なかった。

 今にも飛びかかり斬りつけようとする海燕だったが、横合いから伸びた血塗れの手が彼の身体を力なく押さえつける。

 

「よ、せ……海燕……まだ、話し合いの、途中だ……手出しは、無用……」

「ッ! 隊長!?」

「すまない、な……ぎん、じょう……俺の部下、が……続きを……」

「浮竹、テメェ……」

 

 すっかりと血の気の引いた顔色になりながらも、それでも浮竹は懸命に対話を続けようとする。既に声を出すことすら苦しいはずなのだが、そんなことはお構いなしにと言葉を紡ぎ続けた。

 

「頼む、銀城……教えて、くれ……ないか……? お前は突然乱心して、仲間と、連絡役の死神、を、斬り殺した……そう教えられている……」

「…………」

 

 吹き飛びそうな意識を気力で必死につなぎ合わせ、痛みを堪えながら訴えかけるその姿に、傷を刻んだ張本人である銀城ですら呑まれていた。

 ここで何か動作をしたり口にしたりするのはマナー違反だとばかりに、全員が押し黙って浮竹の言葉を聞き続ける。

 

「映像庁、からの証拠も、見せられた、よ……けど、俺は、信じられなかった……だから俺は、事実を確認、したくて、部下を……ぐっ!!」

 

 だがそれも限界だったようだ。苦痛に耐えきれなくなり、浮竹の表情が歪む。

 それを見た三人が大慌てで介抱に走る中、銀城だけは首を横に振った。

 

「何を言ってやがる!? お前らが先に、俺の仲間を……見たこともねえ死神が来て、そいつが俺の仲間を……!!」

「ちが、う……俺は、そんな命令は……」

「この馬鹿野郎!! 浮竹隊長がそんなこと命令するわけねえじゃねえか!!」

 

 とうとう我慢の限界だったのだろう。

 浮竹に全てを任せるつもりでいたはずの海燕は、気づけば腹の底から叫んでいた。

 

「この人はな、誰よりもお前のことを信じていた。そりゃ確かに、四十六室の命令に負けて代行証を渡すことだって最終的には決定したさ!! けどな、最後まで反対していた!!」

「な、に……!?」

 

 そんなことは知らない、聞いていない――そう言わんばかりに、銀城の顔色が変わる。

 

「それだけじゃねえ! お前が死神と仲間を殺したと聞かされた時だって、ずっとお前のことを信じていた!! 何かの間違いだ、銀城空吾がそんなことをするはずが無いって、ずっと最後まで反対していた!!」

「馬鹿な、そんなことが……」

「本当は、お前のところへすぐにでも飛んでいきたかったんだよ! 現世に行って、お前と直接話をしたかったんだ! けどよ、余計な横やりが入って、それで……隊長は、俺たちは、仕方なく……」

「よせ……海燕……」

 

 そこまで叫んだところで、浮竹の手が再び海燕の身体を押さえ込んだ。

 力の無い――本当に力無い、羽毛が触れるか触れないかといった程度の感触。だがそんな僅かな感触を感じ取り、海燕は動きを止める。

 

「ごめんな、銀城……結局、俺は、お前のことを……本当に、信じ切れて、いなかったんだな……本当に、信じて、いたのなら……何よりも先に、真っ先に、お前の、ところ、へ……」

「お、おい!!」

 

 浮竹の頭がガクンと一気に沈み込み、声が聞こえなくなった。

 それが危険な状態であることは誰の目にも明らかだった。

 

「浮竹! くそ、死ぬな!! まだだ! お前にはまだ俺に言うことが残っているだろうが!! あの死神どもは! アイツらを殺したあの死神はお前の仕業じゃ無いのか!? 言え! 言い訳してみろ!! 勝手なことばかり言ってんじゃねえよ!!」

「くそっ! 血が……止まらねえ……石田、なんとからねえのか!? 一応医者のタマゴだろ!?」

「無茶を言うな、今の手持ちじゃ応急処置にすらならない!!」

「湯川と比べりゃド下手くそな回道ですけど、辛抱してくださいよ隊長!!」

 

 一護らだけでなく銀城までもが、浮竹をなんとかしようと試みる。

 だがその全ては、焼け石に水でしかなかった。唯一効果があるのは海燕の回道だが、それとて「今の浮竹の命を繋ぎ止められるか?」と聞かれれば、答えは否だ。

 だが海燕の一言で、一護が気づく。

 

「……そうだ湯川さん! あの人なら!!」

 

 即座に助けを呼びに行こうと振り返り、けれどもすぐに思い直す。

 

「けどこの空間、俺が修行していたあの空間だよな……? ってことは破壊不可能か!? いや……そんなはずはねぇ! 何か方法が……外部と連絡を方法が……」

 

 額を手で押さえながら、一護は必死に考えを巡らせる。その最中、彼の肩に手が掛けられた。

 

「湯川……? オイ黒崎、その湯川ってのは誰だ!? そいつなら浮竹を治せるのか!?」

「あん!? 死神たちの中にいただろ!? あの髪の長い女性の死神だよ! あの人ならこんな傷、すぐにでも!!」

 

 髪の長い女性の死神と説明されたものの、銀城の記憶には残っていなかった。何しろあの時の彼は浮竹へ直接復讐できるという歓喜に打ち震え、高揚状態だった。

 だが何らかの手段があるのだと理解すると、彼は即座に中空へ向けて叫びだす。

 

「雪緒! 開けろ、この空間を解除しろ!! 雪緒!! ……くそっ、聞こえてねえのか!?」

 

 忌々しそうに舌打ちする。

 銀城たちを包むその空間は、実際には雪緒本人であっても解除不可能な特殊な空間なのだが、そんなことすら思い出せないほど精神的に追い詰められていた。

 ともあれ外からの解除が不可能だということだけは理解した銀城は、自らの大剣を掴むと空間の端を睨む。

 

「オイ、何する気だよ銀城!?」

「この空間をぶち壊すんだよ!! そうすりゃ浮竹から話が聞けるんだろうが!?」

 

 彼が次に選んだ手段は、力尽くであった。

 確かに空間そのものが耐えきれないほどの霊圧を放てば、破壊できる。この空間の支配者と連絡が付かない以上、それが一番手っ取り早い方法だ。

 

「まてよ、破壊不可能なんじゃねえのか?」

「馬鹿言ってんじゃねえ。確かに頑丈な空間だが、絶対に壊せねえものなんざそうそうありゃしねえよ」

 

 続いて銀城は霊圧を自らの持つ剣に集中させていく。

 その隣に、一護はスッと並び立った。

 

「……だったら」

「あん?」

「だったらよ、力は多い方がいいだろ?」

 

 不敵な笑みを浮かべながら、一護は手の中に戻った自らの斬魄刀を見せつけるように軽く掲げた。

 それだけを見て一護の意図を察し、銀城もまた笑みを返す。

 

「……へっ! ナマイキなこと言うようになったじゃねえか!! しくじるんじゃねえぞ黒崎ィ!!」

「あいにくと、随分と長ぇ時間を一緒に修行したからな!! テメエの癖やら力加減やらは身体に染みついてんだよ銀城!!」

 

 まるで口喧嘩の様に叫び合うと、二人とも手にした刀へ力を込め始めた。

 

「「――卍解!!」」

 

 二人の姿が瞬時に変化する。

 

 一護の手にする斬魄刀――斬月だが、どこか西洋剣を思わせるような鋭利な形状へと姿を変えていた。

 そして身に纏った死覇装も斬魄刀と似たような影響を受けたのだろうか。Xの文字をあしらったような意匠や小手が見受けられ、全体的により攻撃的な印象を持つ姿となっていた。

 

 そして銀城の姿だが、こちらは悪魔を思わせる風貌へと変わっていた。

 髪の毛が白くなり、下半身は体毛に覆われている。それでいて上半身には髑髏を連想させる文様が浮かび上がっている。自らが持つ大剣もまた悪魔のような意匠へと変化している。

 どうやら奪った完現術(フルブリング)以外に(ホロウ)の影響を多大に受けているだろうことが、一護にも見て取れた。

 

 だがそれを指摘する暇など無かった。

 銀城が大剣――クロス・オブ・スキャッフォルドを構えると同時に、一護もまた斬月を構え、集中する。

 

「「――月牙! 天衝!!」」

 

 二人の放った一撃は、空間に巨大な亀裂を生み出していた。

 




時灘はきっと、
この浮竹と銀城のやりとりを見ながら、腹抱えて笑ったり、「ケッ、つまんねぇ。ベタに和解してやがんの」とか思ってるんでしょうねきっと。
(でも同時に「新しいネタが出来た!」とかも思ってそう)

(雪緒の空間の中だから監視出来ないかもしれないけど、代行証の監視機能とかで盗撮していそうでもあるので。多分見てると思うんだ……間違いなく……)
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