お前は天に立て、私は頂をこの手に掴む   作:にせラビア

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(間が開いてしまいまして、大変申し訳ございません)


第344話 Nの悲劇

「つ、強えなアイツ……」

「ああ……」

 

 喉の奥から絞り出されたコンの言葉を、九条は首肯する。二人の言動の中には「まさかここまで手強い相手だとは思っていなかった」という雰囲気が込められていた。

 即座に卍解を発動させて斬りかかった一護に対し、アキュトロンはまるでその場から消えたような速度で動き相手を翻弄している。

 そればかりか、月牙天衝の一撃すら容易に対応してみせたのだ。相手の実力を認めないわけにはいかないだろう。

 危険なときには加勢すると言ったものの、果たして割って入れる好機があるのかは疑問だった。

 

「一護……こんなに強くなってたんだ……きっと大変だったんだよね……なのに……」

 

 二人とは違い滅却師(クインシー)の実力を肌で直接知っているネリエルは、アキュトロンを油断なく睨む。

 比較対象がユーハバッハであることを差し引いても、アキュトロンの実力が飛び抜けたものなのは嫌というほど理解できる。

 そのアキュトロンを相手に食い下がっているだけでも、ネリエルが知る一護よりもずっと成長していることが理解できて、彼女は熱く強い視線を一護へと注ぐ。

 

 ようやく出会える機会に恵まれて、話をしたいことがいっぱいあるのに。けれど、どうにも状況がそれを許してくれそうにない。

 虚圏(ウェコムンド)が襲われ、尸魂界(ソウルソサエティ)が襲われ、現世までもが滅却師(クインシー)に襲われている。

 視線の先の滅却師(クインシー)がいなければ、少しは時間が作れたかも知れないのに。言葉を交わす機会に恵まれてたかもしれないのに……

 

 自分が元の姿に戻れるようになったこと。

 一護が霊力を取り戻せたこと。

 一護が霊力を失っている間に、一度現世に来たのにすれ違ってしまったこと。

 空白の間に、虚圏(ウェコムンド)で起きたこと。

 

 話題なんて、いくらでもあるはずなのに……

 

「ああ、もうっ! なんであんな奴が!!」

「おわっ! お、(おっどろ)いたぁ……」

「そう苛立つな、割って入れない歯がゆさは私も同じだ」

 

 苛立ちから思わず地団駄を踏み叫び声を上げてしまったネリエルの様子に、コンたちが反応する。

 一護とアキュトロンの戦いを目にしていた三名だったが、その想いはちょっとだけズレていたようだ。

 

「……ネル様、不機嫌だな」

「まさか現世にまで滅却師(クインシー)が来てるなんて、考えもしなかったでヤンスよ……そうでなければきっと、一護に抱きつくくらいはしていたでヤンス」

「それはつまりドサクサ紛れというやつか!? アテが外れたわけだ」

「ペッシェ!? ドンドチャッカ!? な、なんで二人とも現世(ここ)に!?!?」

 

 いつの間にか現世に来ていた従属官(フラシオン)二人の言葉に、頬を真っ赤に染めながらネリエルは叫ぶ。

 

「なんでって……ネル様、それはあんまりなお言葉では……?」

尸魂界(ソウルソサエティ)で『一護を頼って現世に行く』って言ってたから、オラ達もお供するはずだったでヤンスよ。なのにネル様、どんどん先に行ってしまわれて……」

「あ、ゴ、ゴメンね……でも、急いで知らせなきゃと思って……」

「良いのです! 我々の足ではネル様に追いつかないのは仕方ないこと! ですがせめて、せめて……!!」

「出発前に一言くらいは欲しかったでヤンスよぉ~~!!」

 

 わざとらしく泣き真似をする二人の様子に、けれども自分にも多少の非はあるかと思って気遣うネリエル。

 その姿をコンと九条は遠巻きに眺めることしかしなかった。

 触らぬ神に祟り無し、というやつである。

 

「……これは何の騒ぎだ? どうして一護が戦っているんだ?」

 

 ただし、トラブルは向こうから来る場合もある。

 

「九条さーん! コンくーん!」

「おおっ! 井上さん!! ……あだだだだ! やめろ望実!! 頭を掴むんじゃねえ!!」

「黒崎の相手……この霊圧、この波長、この距離なら間違えるはずもない……滅却師(クインシー)だ……!!」

 

 死神となった一護が敵と戦っているのだ。

 その霊圧に、力ある者たちが気付かないはずがない。

 ネリエルの後を追ってペッシェたちがやってきたのに少し遅れて、異変に気付いた石田達もまたこの場へとやって来る。

 だが状況は、ネリエルらよりも多少複雑だった。

 

 同族故に、というべきか。

 遠くから感じていたものが、ここに来て絶対の感覚となって雨竜に確信させる。

 今まで感じていたのは滅却師(クインシー)の霊圧。それも自分と父親以外の、まるで知らない滅却師(クインシー)が現れたということを。

 

「え、黒崎くんと戦っている人って滅却師(クインシー)なの!?」

「石田と同じ……!? だ、だが、確か滅却師(クインシー)というのは……!!」

 

 そして、口を突いて出たその言葉に織姫たちもまた驚かされた。

 彼女らも滅却師(クインシー)という種族については、ある程度は知っている。

 それら知識を踏まえた上で「どういうことなのか?」と二人は視線を雨竜へと向けながら次の言葉を待つ。

 返事をしたのはネリエルだった。

 

「詳しい事情は知らない。けど、アイツが滅却師(クインシー)なのは間違いないわ。自分で言っていたし、虚圏(ウェコムンド)を襲ったユーハバッハ達と似た霊圧をしているもの」

「え……ええっ!?」

虚圏(ウェコムンド)が襲われた、だと……!!」

「詳しい事情は知らないって言ったでしょう? ただ滅却師(クインシー)たちが虚圏(ウェコムンド)を襲って、次に尸魂界(ソウルソサエティ)を襲ってきた。私はそれを一護に知らせに来たの。けど現世に来たら一護はあの男と戦っていて、手伝いたいのはやまやまなんだけど……」

 

 混乱する三人に、ネリエルは分かっている範囲の事柄を端的に告げる。

 その説明に一番大きな反応を見せたのは、やはりというべきか雨竜だった。

 

滅却師(クインシー)が……どうして……一体、何が……僕の知らない何かが起こっているんだ……」

「石田君……」

「……無理は、するな……」

 

 予期せず同胞たる滅却師(クインシー)に出会ったかと思えば、その相手は友人の黒崎一護と戦っている。

 手を貸すべきか貸さざるべきか……もし貸す場合、どちらに加勢すべきか……

 口から零れ出た弱気な言葉には深い深い葛藤が混ざっているのが手に取るように理解できてしまって、二人の友人はどう声を掛けるべきか分からなかった。

 

 

 

 

 

 ――おかしい……絶対におかしい……!!

 

 肩で軽く息をしながら、一護は一瞬前の出来事を胸中で反芻していた。

 アキュトロンが放った巨大な神聖滅矢(ハイリッヒ・プファイル)目掛けて月牙天衝を放ち、相殺して迎撃する。

 そこまでは、目論見通り。奇妙なのはその先だ。

 

 一護の月牙天衝は、神聖滅矢(ハイリッヒ・プファイル)を打ち消すどころか容易に食い破っていた。

 あれだけの威力と霊圧ならば、もっと拮抗――下手をすれば多少焦って放った自分の方が押し負けていても不思議ではないのに。

 見た目にそぐわぬ奇妙な攻撃を前に調子を狂わされたのか、一護は焦った様に何度か目を瞬かせる。

 さすがに戦闘中ということもあって、瞬きは片目ずつだったが。

 

「眼が痛むかな?」

「なにがだッ!!」

「眼を何度も瞑ったり開いたりをしているんだ、そう考えもする。ならばいっそ――」

 

 困惑する一護を余所に、アキュトロンは冷静な態度をいささかも崩さない。

 強烈だったはずの攻撃があっさりと打ち破られたのに動揺一つ見せず、一護の様子を観察しながら口を開いたかと思えば、その姿が一瞬にして消える。

 

「ッ! やべぇっ!!」

 

 消えたと本能的に感じた瞬間、一護は直感に従ってその場から飛び退き大きく距離を取った。

 それとほぼ同時にアキュトロンの手にする拳銃から光と共に霊圧が放たれ、直前まで一護の頭があった部分を通り過ぎていく。

 

「その目を撃ち抜けば楽になると思ったが、躱すか」

「当たり前だ!! てか、目玉なんざ撃ち抜かれてたまるか、よ……っ……!!」

 

 回避したその足で、アキュトロンの悍ましい言葉に反論しつつ、ほんの一度だけ。

 気分をリセットさせて雑念を振り払うかのように、一護は軽く頭を振る。

 その様子を眺めながら、アキュトロンは一瞬だけ一護から視線を外した。

 

「……おや?」

「……まさか!」

 

 動きに釣られたように、一護もまた僅かに視線を動かす。

 二人の視線の先には、石田ら三名とネリエルらとが何やら言葉を交わしている様子があった。

 

「石田! それに織姫とチャドも!」

 

 叫び声を上げれば向こうも気付いたのだろう。

 はっきりとは聞こえないものの、微かに一護の名を呼ぶ声が耳まで届いてきた。

 

「霊圧を隠蔽しているわけでもない。感知し、集まってくるのは当然のことだ……ならば、少し急ぐ必要があるか」

 

 それらを確認したところで、アキュトロンの攻撃に変化が生じた。

 例えるなら、破面(アランカル)の使う虚弾(バラ)に近いだろうか。威力を落とす代わりに手数と速度を重視した、機関銃を連続掃射するような攻撃へと切り替わる。それでいて、アキュトロン本人は一護から距離を取るように少しずつ離れていく。

 

「はっ! この程度なら!!」

 

 いわゆる引き射ちへと戦法を切り替えた敵の後を追うように、一護は距離を詰める。

 無数に降り注ぐ霊圧の銃撃を前にしながらも、それらの一つ一つをしっかりと補足し、紙一重の最小限で回避する。

 動きの無駄を極限まで削ることで移動速度を極力落とさないようにするやり方だ。

 弾幕は隙間が出来ぬように巧みに組み立てられてこそいたが、今の一護であれば対処はそう難しいことではない。

 

「むぅ……!!」

「どうした! 攻撃が温くなってんぜ!? 余裕ぶってたワリにゃ大した――」

 

 焦りを感じたのか、アキュトロンの口から呻くような声が小さく漏れた。続いて、一護の真正面を目掛けて攻撃が放たれる。

 おそらく戦いの決着を急ごうとして焦ったのだと判断しながら、一護は馬鹿正直に放たれた霊圧の銃撃を先ほどまでと同じように紙一重で避けようとする。

 

「――がああっっ!?!?」

「黒崎!」

「黒崎くん!!」

「一護!!」

 

 だがその目論見も今回ばかりは外れた。

 

「な、んでだ……!?」

 

 完全に躱したはずだった。

 だが銃撃が横を通り過ぎようとするその瞬間、一護は全身を撃ち抜かれたような衝撃に襲われた。

 体中がバラバラになりそうなほどの衝撃と痛みに、思わず手にしていた斬魄刀を取り落としそうになったほどだ。

 それでも四肢に必死で力を入れ、なんとか斬魄刀を手放すことだけは避けられたものの、動きは完全に止まってしまった。

 片膝を突き、倒れるのに必死で抗いながら、朦朧とする意識の中でアキュトロンの姿を探す。

 だが痛みと驚きが原因からか考えは上手くまとまらず、彼の名を叫ぶ仲間達の声も上手く聞こえなくなっていたほどだ。

 

 そこに、やけにはっきりとアキュトロンの声が響いてきた。

 

「何が起きたか理解できず混乱しているようだが、残念だが解説は無しだ。黒崎一護、ここでお前を倒し陛下へ吉報を一つお届けするとしよう」

「――ッッ!!!!」

 

 底冷えするような殺気を突如して叩き付けられ、一護の意識が強制的に覚醒させられる。

 米神(コメカミ)に銃口が押し当てられ、今にも引き金が引かれようとしているのが分かる。

 だが、身体は動かない。身体がこわばって、上手く動かせない。

 

 一護が抗おうとするよりも早く、銃撃が放たれる――

 

「お、おおおおおっっ!?!?」

「……邪魔が入ったか。こうならないためにも、決着を急いだのだがな……」

 

 ――と、そこへ。

 

 死覇装の襟首を掴まれ、もの凄い力で強引に引っ張られた。

 何が起きたか理解できず混乱の声を上げる一護の目の前を神聖滅矢(ハイリッヒ・プファイル)が通り過ぎていき、それらを眺めながらアキュトロンは無念そうに呟く。

 

 どうやら誰かに助けられたようだ。

 そう判断した一護は、救い主の姿を確認しようと首だけを上に向ける。

 

「……浦原さん!?」

「やーやーどうも黒崎サン、大ピンチでしたね。アタシがちょいと手助けしなきゃ、今頃は脳天を撃ち抜かれてましたよ?」

 

 そこには、顔なじみの胡散臭い店主の姿があった。

 今もまた飄々とした態度で、一護のことをニヤニヤと見下ろしている。

 

「あ、ああ、助かった……」

 

 とはいえ、助けてもらったのは事実だ。

 一言お礼の言葉を口にしてから――

 

「……ってか絶対(ぜってぇ)あのタイミング、狙ってただろ!? じゃなきゃあんな間一髪になるわけねえだろ!!」

「やだなぁ、男同士の一対一の戦いですよ? そこに無理矢理割り込むなんで野暮ってもんっスよ」

 

 ――勢いよく立ち上がり、続く文句の言葉を並べていく。

 だが浦原はどこ吹く風だ。

 

「……それに、お相手の能力がちょっと未知数でしたからね。少し時間を掛けてじっくり観察させてもらいました。申し訳ありません」

「お、おう……」

 

 真剣な眼差しで告げられたその言葉に、一護は押し黙る。

 浦原の視線の先にあるのは、アキュトロンの姿だ。

 

「浦原喜助……結局、特記戦力二人を同時に相手にすることとなったか」

 

 嘆息しながら、仕切り直しとばかりに眼鏡を片手で押し上げながら呟く。

 だが言葉とは違い、眼鏡の奥の眼光は些かも衰えてはいない。

 

「骨が折れる。だが、不可能ではない」

「あいつ……!」

 

 またしても、アキュトロンの姿が煙のように消えた。

 眼にも映らぬほどの速度で移動しているであろう相手の攻撃に備えるべく、一護は斬魄刀を構える。

 

「……そこっス! 破道の四、白雷(びゃくらい)!」

「む……っ!」

 

 だが浦原は、一護が警戒していたのとはまるで見当違いの位置に向けて鬼道を放つ。

 指先から放たれた光線はその途中で水に沈んだように消え、光線が消えた地点の少し横からアキュトロンが姿を現す。その様子は、とても超高速で移動している最中のようには見えなかった。

 むしろ、悠然と歩いていた最中とでも表現した方がよほど適切だろう。

 

「え……っ……!?」

「あらら、まだちょっと計算が違いましたかね?」

「ど、どういうことだ……!?」

 

 理解が追いつかず、何かを振り払うように頭を軽く振って、何度も瞬きをしながら一護は尋ねる。

 その疑問に浦原は敵から視線を切らぬまま答えた。

 

「簡単に言うと、相手は見た目を誤魔化しているんスよ。光を操っている、とでも言えばいいんでしょうかね?」

「光! ……ってことは幻覚ってことか!? 藍染の斬魄刀みたいに!!」

 

 説明を聞いて彼が真っ先に思い浮かんだのは、鏡花水月だった。完全催眠の能力ならばハエを竜に、毒沼を花畑にも思い込ませることが出来る。

 だが浦原は軽く首を横に振る。

 

「理解の方向性としてはそれで間違ってはいませんが、どっちかっていうと砂漠の蜃気楼の方がイメージとしては近いんスよ。そこに在る物を無いと見せたり、逆に無い物を在るように見せる。他にも小さい物を大きく見せたり、逆に大きい物を小さく見せたり……とか……」

「……あ!」

 

 在る物を無いと思わせる……まるで眼にも映らぬ速さで移動している……様に思わせる……

 

 小さい物を大きく見せる……月牙天衝を放たなければ防げないほど強大な攻撃を放った……様に思わせ、実際は牽制程度の攻撃を放つ……

 

 大きい物を小さく見せる……回避が容易な弱い攻撃を放った……様に思わせ、実際は避けられないほど強烈な一撃を放つ……

 

 言われれば、それら全てが思い当たる。

 鏡花水月による完全催眠とは趣の異なるものの、けれどもそのどれもが厄介な使用方法だ。

 

 浦原が鬼道を放ったのも、姿を消して移動している最中を狙ったのだろう。

 本来ならば直撃させようと放ったのだろうが、本人の言う様にどこかで計算が違ったのか掠めるだけの結果となっていた。

 鬼道が途中で消えたのもアキュトロンの幻覚の範囲に入り見えなくなったのだろう。

 

「けど、それだけなら黒崎サンならここまで翻弄はされません。所詮は幻覚、目で見ているだけっすスからね……」

「まだ……なにかあんのかよ……!?」

「霊圧知覚ってご存じですかね? 霊圧を以て戦う人は全員、無意識に視覚以外にこの霊圧知覚で物を見ているんスけど――」

 

 今度は浦原が、大きな溜息を吐き出す。

 

「どうもこの人、霊圧そのものも誤認させてるみたいなんスよね……それも能力の一部なのか、それもと技術なのかはともかく……」

「はァ!? なんだよそれ!? それに技術って……」

「いえいえ、腕の立つ死神には霊圧を固めて放置することで『自分はここにいる』と誤認させる技を持ってる人だっているんスよ? 死神が出来るなら、滅却師(クインシー)が出来ない道理はありませんってば」

「……流石は特記戦力の一人か。こうも早く気付かれるとは思わなかった」

 

 霊圧を固めて居場所を相手に誤認させる。

 その説明だけでも驚かされたというのに、実際に出来る死神がいるという言葉に一護はさらに驚かされる。

 そして、それらすべての説明を「真実だ」とでも言うかのようにアキュトロンはゆっくりと頷いた。

 

「改めて自己紹介だ。星十字騎士団(シュテルンリッター)"(エヌ)"、飾燈(ザ・ネオン)のロバート・アキュトロン……」

「……うぅ……っ……!!」

 

 ただ名前を名乗っただけなのに、アキュトロンの姿はまるで後光でも差しているかのようだ。

 頭の中が爆発しそうな奔流に苛まされ、このまま倒れて意識を失ってしまいたいほどの苦痛が身体の中から湧き上がってくるのを一護は感じていた。

 少し視線を向ければ、浦原も同じなのだろう。

 一護ほどではないものの、苦しそうな様子が見て取れる。

 

「能力を知られたところで勝てるとは思わぬことだ。すでにお前達は、私の術中に落ちている」

「……ぐうっ!?」

「黒崎サン!」

 

 再び放たれた拳銃での一撃を、強ばった身体を無理矢理動かして何とか避けようとする。

 だがそれだけでは足らず、先ほどコメカミを撃たれ掛けたときのように浦原の手を借りることで何とか直撃は避けられた。

 だが即座に反撃へと転じるのではなく、浦原は一護へと視線を注ぎ始める。

 

「……? な、なんだよ……?」

 

 怪我の具合を確認しているのかと思ったが、それにしては視線の向かう先が少し違う。

 それが何を意味するのか分からず、一護が頭の上に疑問符を浮かべたところで、浦原は納得が行ったとばかりに手をポンと打つ。

 

(エヌ)……飾燈(ザ・ネオン)……ああ、そういうことっスか……」

「……陛下が特記戦力に指定されるわけだ」

 

 アキュトロンは再び嘆息する。

 だが今回はどこか「降参だ」とでも言わんばかりの感情が込められていた。

 

「黒崎サン、突然ですけどアニメって見ます?」

「……は?」

「んで、アニメの冒頭とかで『部屋を明るくして離れて見てね♥』ってやってるんスけど、ご存じっスか?」

「いや、何が言いてえんだよ!!」

 

 全身を襲う謎の不調を無理矢理押さえつけながら、一護は叫ぶ。

 

「……アレ、視聴者に"光過敏性発作"を起こさないように注意してるんスよ」

「ッ!!」

 

 そう耳にした途端、一護は一瞬息を呑む。

 

 仮にも医者の息子である。本格的な医学については知らないものの、大雑把な知識くらいは持っている。

 また、その症状は一時期とても話題となり多く耳にしていた。

 ニュース番組などで取り上げられ、全国的な話題となったほど。

 おそらく全国民の大半が耳にしており、加えて「そういう症例あるから注意しよう」ということを広く認知させたほどだ。

 

「じゃあ……まさか、この不調は……」

 

 

 

 つまり、早い話が――

 

 

 

「ええ、そういうことっス。あの人は、光過敏性発作を黒崎サンに発症させているんスよ。能力で光を操って、ね……」

 

 

 

 

 

 ポケモンショックの再来!!

 

 

 

 

 

 ……そりゃ原作で能力が明かされないわけだよ……

 

 アニメ放送したら、視聴者が病院に担ぎ込まれちゃうもん……

 




●Nの能力が飾燈(ザ・ネオン)(というオリ設定)
なんでこんな能力にしたの?
ベタに敏捷(ニンブル)とか付近(ニアー)とかで良いのでは?
しかも元素記号のNeじゃなくてネオンライトの扱いですよね?
間違ってますよ。

と自分で自分を問い詰めたいです。

 ですが原作で聖文字(シュリフト)の能力が明かされていませんし。
 そもそもネオンって言いながら「(描写的に)光」になっているのは、自分が一番分かってます。

 ネオンライトは暗闇で輝く! 神が歩くのは光り輝く道! 輝いて道を作り出す! 歩いた道が光り輝く! だから神の道!
 という感じの強引な理屈を思いついちゃったから仕方ないんです。
 (LEDのある時代に何を言ってるんでしょうね私は)

●妄想したNの能力
 光学迷彩的に姿を消すとか、幻影を被せて攻撃を誤認させるとか、そういう感じです。
原作での一瞬の移動も「姿を隠す(→接近する)→(姿を現して)攻撃」の順で、相手から見たら「瞬間移動した!?」と思わせている。
 そんな感じで、なんとなく説明を付けられる。
 なので、Nの能力としてはきっと問題は多分無い。
(能力で光を操っている関係上、霊圧感知も誤認させられる。なので見つからない。
 京楽隊長の片目を奪ったロバートなら、そのくらい出来るはず)

●光過敏性発作
光の刺激に対する異常反応。てんかんの一種。
20世紀の中頃以降、人の視覚が人工的な強い光刺激に晒されることで顕在化した。

日本で広く周知されることになったのは、某ポケモンアニメの事件。
劇中に「激しい光を点滅させる」演出があった。それを見ていた視聴者の多く(主に児童)が、光過敏性発作を起こして病院に緊急搬送された。
(分かっているだけでも600人くらい病院に)
この事件はニュースなどで広く知られ、その結果ポケモンが学級王ヤマザキに差し変わった。

能力で、フリッカー現象とかそういう感じで、発症させている。
神の威光を目にすると魂を焼かれて立っていられないとか、そんな感じのイメージ。
(一護の微妙な不調とか、眼がチカチカする感じとか、そんな描写をチョコチョコ入れていたのもコレのため)

●ポケモンショック
ポリゴンは悪くない。
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