隊首会は終わりましたが、私の仕事はまだ終わってません。
総隊長もちゃんと「彼の者達の面倒を見るように」って言ってましたからね。
ということで――
「湯川!!」
「
まずは
私が無事に帰ってきたってことは、他の死神から聞いているはずなんだけど、それでもちゃんと顔を合わせるのは嬉しいのか、ハリベルたちはホッとした顔を見せてくれました。
なにしろあのウルキオラですら柔らかい表情を見せているんだから。
『それだけ
ねえ、もうこれだけで感謝しても感謝しきれないわよね……
「ううん、皆こそありがとう。私のことを
ということで、まずは皆に深々と頭を下げて感謝の意を伝えます。
「それに襲ってきた
続いて命を賭けて戦ってくれたことに対するお礼を伝えます。
すると
「ケッ! 別にンな気はねえんだよ」
「ああ、そうだな……どちらかと言えばあのユーハバッハに一矢報いてやりたいという気持ちと、同胞の
ああ、あの話ね……私も聞いてるわ。
捕まえた
『任侠映画やギャングの映画でも、もう少しマシな扱いをしてくれるはずでござるよ』
「それでも、よ。ハリベルは日番谷隊長を助けてくれて、グリムジョーは海燕さんたちを助けてくれた。ウルキオラも桃の護衛をしてくれたし、スタークは敵の一人と一対一で戦っていたって聞いたわ」
「日番谷、か……アイツらは、なんというかその……大変だったな……」
「あのヤローは
「いや、俺は大したことはしていない」
「
「クソマズイって言われてたもんな、スターク」
ハリベルは言いながら、加勢に向かったときのことを思い出しているみたいで……なんだか渋い顔をしています。
けど十番隊の惨状を考えると、ねぇ……
本当ならハリベルってシロちゃんと激戦を繰り広げたはずだったんだけど……
『なんの因果でこうなってしまったのやら!! これも全てハリベル殿と乱菊殿のおっぱいが悪いでござるよ!! ぺぺ殿もきっと多分間違いなくそういっております!!!』
グリムジョーは本当に、ツンデレのテンプレみたいなことを言ってるわね。
海燕さん狙いなのは相変わらずで、そのついでに邪魔な敵を相手にしただけってことね。
ウルキオラは、口では謙遜して「もっと大物を狙うべきだったか?」みたいに悩んでいるけれども、桃たちの班を護衛して怪我をした多くの死神を間接的に救ってくれたの。
ありがたいわ。
スタークは……敵の幹部の一人と戦ってたって聞いたんだけど……
マズいって、何が……?? なんでスタークはマズいって言われたの?
味が悪いという意味の不味い……? それとも下手なことをしたという意味でのマズい……?
『(リルトット殿に霊圧を喰われて、文字通り味が悪い意味だとは……この時点の
そんなことを思っていると、死覇装の袖が横からクイクイと引っ張られました。
「あ~い~り~? あたしたちもいるんだけど?」
「ふふ、ごめんねチルッチ。アパッチたちも、それからロリとメノリもありがとう」
可愛らしい嫉妬を見せるチルッチ……何この子、可愛い……
思わず抱き締めたくなるのを、理性を総動員しながら必死に我慢して、お辞儀だけに留めておきます。
「ハリベル様の命令ってだけだ。勘違いすんな」
「確かに、あの巨人の相手はもう二度とゴメンよ」
「お、珍しく意見が合ったなスンスン」
「ですから、次からはお二人だけでお相手して下さる?」
「「なっ……!!」」
アパッチ達はいつものコントみたいなやり取りね。
それからロリとメノリなんだけど……こっちはロリがなんだかそっぽを向いてます。
「べ、別にあたしたちは……大して役にも立たなかったし……お礼なんて要らないわよ!」
「ロリ……そ、それはそうだけどそういう言い方って……」
「でも、お化粧が流れ落ちるくらい頑張ってくれたんでしょ? だから、ありがとうってお礼を言いたいの。ロリにも、メノリも」
「あ……」
「う……」
元も含めた
へそを曲げるロリの元へ行くと、汗やら戦いやらで崩れかけた彼女のお化粧を、指先で軽く直してあげます。
続いてメノリにも同じ事を。
急ごしらえの応急処置みたいなものだけど、今までよりは随分マシになりました。
「はい、こんなところかしら。ちゃんと可愛くなったわよ」
「…………ありがと」
下を向いて、聞こえるか聞こえないかくらいの小声で、ロリがお礼を言ってくれました。
『かわいいでござるな……もうこれ、
とっても魅力的な案だけど、持ち帰って検討させて貰うわね。
今は先に決めなきゃいけない事柄があるから。
「それでハリベルたちはこれからどうするの? 手助けして貰った手前、できる限りのお礼とか歓迎くらいはするわよ? ……非公式になるけど」
「いや、歓待は無用だ。我々の立場を考えれば、長居をするつもりもない」
そう、よね……それは仕方ない、か……
このままなし崩しでずーっと仲間にいてくれれば良いなって思ってたんだけどね。
と思っていると、ハリベルが少しだけ言いにくそうに口を開きました。
「ただ、少しだけ我が儘を言わせて貰えるだろうか?」
「我が儘? ええ、何でも言って! 協力させて貰うわ!!」
「今回、
そこまで口にすると、彼女は深々と頭を下げてきました。
けど、それは……うーん……まぁ……仕方ない、わよね……?
うん! 仕方ない!! 何よりハリベルの頼みだもの!! 彼女に頭を下げられちゃ、仕方ないわ!!
『
そういう射干玉は凝視してるクセに!!
「わかったわ。彼らも被害者みたいなものだもの。亡骸は可能な限り回収しておくように、指示を出しておくわね」
「本当か! 恩に切る……!!」
感極まった様子で握手してくれました。
うれしい……感触が、感触が……柔らかいわぁ……
「けど、早くても一日仕事になるだろうから。明日以降になるだろうけど……平気?」
「ああ、分かっている」
「それともう一つ。もう遅い時間だし、共闘した間柄といって、その……勝手に出歩かれると……」
「つまり、お前達に拘束されろ、と?」
その言葉に、私は首を横に振ります。
「ううん、泊まっていって!」
「……?」
キョトン、とした顔のハリベルがとっても可愛かったです。
『お泊まり! お泊まりでござるな!! つまりこれから、へっへっへ今夜は寝かせねえぜ!! な展開が!? 一つのお布団の中でくんずほぐれつなコトに!! これは見逃せないでござるよ!!』
そうなると良いわねぇ……
……そういえば、ネリエルがいないんだけど……どこにいるの!?
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
正解は、ここでした!
ということで――
「お待たせしちゃってごめんなさい、黒崎君」
「いや、いいんだけどよ……」
「本当にごめんね。
面倒を見る相手その2こと、一護達ご一行
石田君がいないのは、まあ仕方ないわよね……同じ
さて問題の一護たちですが、なんでも現世で
加勢に来てくれるなんて、やっぱり主人公は違うわねぇ……
これで遅刻していなければもっと良かったのに!!
『(ロバート殿が"撤退しろ"の連絡を受けた時点で、ユーハバッハ殿は
それもそうよね。
来てくれたっていう彼の心意気を評価したいわよね。
『それから補足になりますが、一護殿らが来たことは隊首会の前くらいには知らされておりました! ですが優先順位的に色々とあって、後回しにされてしまったわけでござるよ!!』
総隊長に「全員治すのにどのくらい掛かる?」と聞かれた時には、織姫さんの能力まで計算に入れてたの。
最大限だとか、何を使っても、みたいな事を考えていたのは、そういう理由からなの。
「しかし、助けにきたと思ったらもう全部終わってたとか、情けないっスね。こりゃもう、笑うしかないっスよ」
「浦原さん、そういうことを言わないの」
私が思ってても言わなかったこと、浦原が全部言っちゃったわね。
「それに浦原さんにはやってもらたいコトが山ほどあるから、仕事には困りませんよ」
「あ、アタシちょっとまだ現世でヤボ用が……」
「逃がしません」
こっそり逃げようとする浦原の首根っこを押さえると、こっそり耳打ちします。
「そっちもご存じかも知れませんが、何名か卍解が奪われました。取り返す手段を模索してもらえませんか? 詳細や涅隊長に聞いて下さい」
「……へえぇ……なるほど、そりゃ大変っスね」
帽子の奥で浦原の瞳が輝きました。
「ま、せっかく来たんですし。すぐに帰るのもアレですし。アタシは旧交でも深めておきますか……」
「ああ、それから浦原さん。個人的な頼みなんですが、伝令神機を一つ都合を付けて貰えますか? 今まで使っていたの、壊れちゃって。以前頂いたのと同じのが欲しいんです。データのバックアップは諦めますから」
ついでなので、忘れないうちに伝令神機の依頼をしておきます。
今まで使っていたのは
だから浦原にしか依頼できなくって。
「おっと、そういうことでしたら、勉強させて貰いますよ。湯川サンにはお世話になってますからね」
「ええ、お願いします」
依頼した途端、研究者の顔から商売人の顔になり、どこからか取り出した算盤まで弾き出す浦原でした。
はぁ、また出費が……仕方ないんだけどね……
「湯川さん。俺たちも何か手伝えねえかな?」
「え?」
「ここに来る途中、瀞霊廷のあちこちが壊れてんが見えた。怪我人もいっぱいいた。そういう復旧の手伝いくらいなら俺たちだって!!」
「力仕事なら、任せて欲しい」
「あたしもあたしも!! 湯川さんのところでお手伝いする!!」
黒崎君たちが手を挙げながら協力を申し出てくれました。
ありがたいわぁ……すっごくありがたいんだけど……その、ね……
「嬉しいんだけど、良いの?」
「ああ、当然だぜ!」
「そうじゃなくて……黒崎君たちって、高校三年生よね……? まだ夏にもなってないとはいえ、この時期よ……? 現世だと受験だ就職だって大事な時期だったはずじゃ……??」
「う……い、いや大丈夫だ! なんとかなる!!」
ちょっとだけ心当たりがあるのか、一筋の汗を流しながらも一護が言いました。
「そう? それならいいんだけど……でも今日はもう遅いから、良かったら
「なんかその売り文句、前にも聞いたな……」
「湯川さん、そのフレーズひょっとしてお気に入りなんじゃ……?」
あらら、バレちゃった。
『藍染が天に立った後の話……具体的には163話でも使っているでござるよ!!』
だって、本当のことなんだもの。
四番隊だもの! 病院なんだもの!! 清潔さくらいはウリにするわよ!!
「けどま、世話になるぜ」
「ええ、歓迎するわ。そうそう、黒崎君達の顔見知りも一緒に泊まっているから、仲良くしてあげてね」
「顔見知り……?」
「ネリエルも、ちゃんとハリベルと話し合ってから自分の行動を決めること。いいわね?」
「はーい」
「……あっ、まさか!」
首を傾げていた一護でしたが、ネリエルにハリベルの名前を出しながら伝えたところで気付いたみたいです。
積もる話もあるでしょうし、一晩だけとはいえ色々お話とかするんでしょうね。
『しますかなぁ……?』
わ、分からないけど……でもきっと多分、話くらいするはず!!
原作通りなら、翌日には零番隊が来るんですよね……