お前は天に立て、私は頂をこの手に掴む   作:にせラビア

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二話前の曳舟さんと話をしているシーンで

藍 俚「昔は薔薇みたいな美人だったのに……」
射干玉「今はバラ肉みたいになってるでござるな」

みたいな感じのボケを入れられなかったのを、ココにお詫びします。



第362話 あいつは話を聞かないからな

「あの……私、ですか……? 総隊長や卯ノ花隊長ではなくて……?」

「うむ、おんしじゃよ」

 

 両肩を掴まれながらも、必死の抵抗とばかりに指で自分を差しながら。

 ついでに、自分よりは可能性があるであろう最古参のお二方の名前を身代わりのように出しながら尋ねてみましたが、和尚の答えは変わりませんでした。

 

「一護君は、まあ……分かるんだが……」

「忘れたかい浮竹? 藍俚(あいり)ちゃん、僕らよりも先輩だよ」

「なんと……だが、今までの積み重ねから判断すれば……」

「零番隊に名指しで使命されるとは……凄いです藍俚(あいり)様……!」

「まさか湯川殿も霊王宮へと……!?」

 

 周囲からは、他の隊長たちのヒソヒソ話が聞こえてきます。

 

 ……え、ちょっと待って! 私も、霊王宮に行く流れなの!?

 やだ困る! そんなのすっごく困る!!

 

『おやおや藍俚(あいり)殿、どうしてですかな? 住めば都でドッコイショと言うではありませんか。行ってみたら案外楽しいかも知れないでござるよ?』

 

 だってぇ……だって霊王宮って、零番隊の人しかいないんでしょ!?

 曳舟さんと千手丸さんしか、心のオアシス(おっぱい)がないって事でしょ!?

 そんなところ、誰が好き好んで行くのよ!?

 

『流れ的にルキア殿もおりますが……』

 

 あれは阿散井君の物でしょうが!!

 くっ……まさかここで私が引き込まれることになるなんてえ……!!

 

 トンデモ展開はもうお腹いっぱいなのよ!!

 修行パートとかもう要らないのよ! しばらくは日常パートをさせてよ!!

 

 考えろ私……なんとかして切り抜け……あ!

 

『なにか妙案でも浮かびましたかな?』

 

 そうよ! なにも私が修行に連れて行かれるって決まったわけじゃないのよ!

 ただ「私に用がある」って言っただけなんだから!! だから先に謝っちゃえばいいのよね!!

 

「……申し訳ありません」

「その謝罪は、何に対しての謝罪じゃ?」

「自分の立場を忘れ、破面(アランカル)の手助けをするために虚圏(ウェコムンド)まで出向き、瀞霊廷を離れたことに対してです……身勝手な行動、誠に申し訳――」

「なんじゃ、そのことか! 別に気にしておらんぞ」

「ありませ……え……?」

 

 なん、だと……?

 

「おんしが行かねば、ユーハバッハのやつは破面(アランカル)共を殺し回っておったじゃろう。そうなれば三界の魂魄の均衡が崩れてもおかしくはなかった。尸魂界(ソウルソサエティ)はその対応に追われ、今回の襲撃まで後手に回っても不思議ではなかった。結果的にじゃが、おんしの取った行動は間違いではなかった――ということになる」

 

 こ、効果がない、だと……!?

 

『むしろちょっと好感触でござるな。ほら見て下され、表情がちょっと柔らかくなっておりますぞ? 周囲の皆様からも「まさか、そこまで考えて……!?」のような空気がうっすらと……』

 

 い、いらない……

 

「では、私に対する用事というのは……? 護廷の戦いに遅れたことでしょうか?」

「その辺については既に片が付いておるじゃろうが。そもそも儂らは管轄が違う。瀞霊廷での事にはそこまでとやかく言わぬ」

「で、では……私への用事、というのは……?」

「黒崎一護と同じじゃ。おんしも霊王宮へと連れて行く」

 

 やっぱりそうなるのおぉっ!?

 い、いや! 絶対に嫌あぁっ!! 拒否する、断固として拒否してみせるわ!!

 

『口で言うのは簡単ですが、果たして藍俚(あいり)殿に出来ますかな?』

 

 やるのよ! 今からやってみせるわよ!!

 

「そ、それも霊王様の御意志、なのでしょうか……?」

「いんや、霊王はおんしについては何も言っておらんかった」

 

 ……え? 違うの……? じゃあなんで……?

 

「で、ではどうして私を?」

「見極め兼、勧誘兼、首に縄を付けに来た――というところかの?」

 

 首に縄って……何!? まさか絞首刑!? 絞首刑ってこと!?

 

『それが目的なら見極めだ勧誘だという理由は付けないかと……』

 

「勧誘、ですか……? ですが、私は零番隊に招かれるほどの"何か"を生み出しては……」

「別に生み出しておらずとも、例えばほれ。用心棒としての勧誘なら三百年ほど前にもあったじゃろ。忘れたか? じゃがまあ、今回の勧誘はついでじゃ。本命は――」

 

『……おや? なにやら熱い眼差しが……』

 

 そう言いながら和尚は私の腰に視線を……いえ、正確には腰の斬魄刀に視線を注いでいました。

 まさか……

 

「おんしの持つその斬魄刀。ユーハバッハが欲し、手玉に取った力を確実に見極めようと思っての」

 

 嗚呼……またかぁ……また射干玉なのね……

 

『やはり世界は拙者を必要としているのでござるな……! この隠しても隠しきれない己の才能が憎い!!』

 

 隠しきれない才能って……けどまあ、そう言う理由なら狙われるわよねぇ……

 でも凄いわね射干玉。色んな勢力から力を狙われまくってるわよ?

 ひょっとして前世で何かやらかしたの?

 

『あれは今から36億……いえ、1億4000年前でしたか? まあ、拙者にとってはつい昨日の出来事ですが、藍俚(あいり)殿にとっては多分、明日の出来事……』

 

 明日じゃなくて今!! 現在進行形で話題に上がってるのよ!?

 堕天使みたいなこと言ってないでよぉっ!!

 

「そもそもおんしの持つ斬魄刀、儂の目を持ってしても名が知れぬ。それが不可解でならぬのじゃが……王悦、おんしの目にはどう映っておる?」

So(ソー)だね……元々は、ちゃんボクも知ってる浅打なんだけど……」

「えっ……! い、いつの間に……!?」

 

 ふと腰の辺りが軽くなったと感じられ、急いで手を伸ばしたものの感触は何もありませんでした。

 いつの間に抜き取られたのか、気がつけば私の腰にあった斬魄刀は王悦さんの手に握られています。

 鞘に入ったままの、浅打状態の斬魄刀をしげしげと眺めながら、口を開きました。

 

Do(ドゥ)いうわけか、ちゃんボクでも分からない変化をしてるんだYo()。変な物の影響を受けた? 妙な物にのっとられた? 無茶な改造を受けた? NonNon(ノンノン)、そんな浅い言葉じゃ言い表せないほどにNe()

「その、妙な影響が原因かの……? こうして何度眺めても、名前が一文字も読めぬ……いや、見えたと思うた途端、すぐに別の名が見えてくる……こんなことは初めてじゃ……」

 

 王悦さんが斬魄刀を眺めている横に和尚も並ぶと、こちらはじっと目を凝らしています。相変わらず鞘に入ったままですが、上から下まで食い入るように見つめたかと思えば、嘆息しながら呟きました。

 顎に手を当て、髭を擦りながら悩むその姿は、どうやら本当に分からないようです。

 

『拙者には72兆通りの名前がありますので、何と呼べば良いのやら……』

 

 そのネタまだひっぱるの!? 

 ていうか私、そのゲームのことはそこしか知らないんだけど!?

 

 斬魄刀を作った人物と、名前を付けた人物――言うなれば"生みの親"と"名付け親"が揃っているのに、何も分からない。

 さっぱり過ぎて妖精が踊るくらい、何一つわかっていない。

 

 ……そりゃ、危険視されるに決まってるじゃない!!

 

『まあまあ、そうお気を落とさずとも……いいんじゃないかな?』

 

 何が「いいんじゃないかな?」よ!!

 ほらぁ……隊長の皆さんとか、曳舟さんとか、一護達までがちょっと可哀想な物を見る目で私を見てる……

 得体の知れない斬魄刀を使ってたのか? 可哀想に……みたいなことを絶対に思われてるわよコレ……

 

「じゃがまあ、これでハッキリとしたの。この斬魄刀は霊王宮へと持ち帰り、徹底的に調べる必要がある。じゃから湯川、おんしも一緒に来い」

「……っ!!」

 

 そういえばそうだったわね。そういう類いの話をしていたんだっけ。

 

「この、用途どころか真実の名すら分からぬ斬魄刀、これ以上の看過はできぬ。今まではそれでも問題なかったかもしれぬが、ユーハバッハを相手にはその偶然も続くまい。何より知ってしまった以上、このような不可解な物をこれ以上放置はしておけぬ」

「で、ですが……」

「安心せい。王悦に打ち直させるし、儂自ら新しく名前もつけてやる。斬魄刀は正しく真打(しんうち)となり、おんしも今以上の強さとなれるように鍛えてやるわい」

 

 し、真打? 落語家さんかしら……?

 

 って、そんなことはどうでもいいのよ!!

 

 これは誘い……というより、半分以上は零番隊からの命令なのは分かっています。

 分かってはいるんだけど……

 

 私にはまだ瀞霊廷でやることがあるの!!

 なにより! 報告にあった四人の滅却師(クインシー)の女の子たちを誰よりも真っ先にお出迎えするって使命があるの!!

 それと多分、その中の一人がバンビエッタって()なんでしょ!?

 だから、最悪でもその()だけは絶対に私の手でお出迎えして、お持ち帰りするって決めてるの!!

 霊王宮なんて所に行っていたら、その時間が無くなっちゃうでしょうが!! こっちにはそんな悠長に、霊王宮に行ってチンタラ鍛錬している暇は無いのよ!!

 

『なんと素晴らしい理屈でございましょうか!! 藍俚(あいり)殿の背中に決意の炎が漲っているでござるよ!!』

 

 だから――

 

「……せっかくのお言葉ですが、お断りします」

「なんじゃと!?」

「瀞霊廷にはまだ怪我人が大勢います。今も部下たちが必死に看病しています。その全てを放り出して私だけ霊王宮に行くなんて無責任なことは出来ません。もうしわけありません」

 

 謝罪の言葉と共に頭を下げると、和尚は勿論、この場の全員が目を丸くしました。

 零番隊は死神からすれば名誉なことだし、あとクドい様だけど上からの命令を拒否しているわけだからね。

 しばらく沈黙が続き、やがて最初に口を開いたのは曳舟さんでした。

 

藍俚(あいり)ちゃんと、久しぶりに一緒に料理が出来ると思ったんだけどねぇ……」

「すみません、曳舟さん。ですが、これは私の意地みたいなものなんです。今までずっと、私は射干玉と一緒に戦ってきました。それを急に、全部偽物だったなんて否定をされたくないんです……私は、射干玉のことを誰よりも信じていますから……」

 

『あ、今ちょっとウルルンっと来たでござるよ』

 

 そうでしょそうでしょ? もっと言って良いのよ?

 

『新しい藍俚(あいり)殿と、出会ったぁ~』

 

 ……もうツッこまないわよ。

 

 あと、首輪を付けに来たっていうのも納得ね。

 自分たちでもよく分からない。射干玉の力を見通せない。そんな力が、万が一にも霊王様に危険を及ぼすことになるかもしれない。最悪、私が第二の藍染になるかもしれない。

 その辺を危惧して、手を打っておこうって腹づもりかしら。

 

「おんし、自分が口にしておる言葉の意味をわかっておるのか? その斬魄刀は得体が知れぬ。今は良くても、後々裏切るかもしれぬぞ?」

「問題はありません。射干玉は裏切りませんし、そもそも裏切らせるような真似なんて絶対にさせません。それでもまだ無理矢理連れて行こうというのなら、零番隊相手といえども抵抗させていただきます」

 

 きっぱりと「いざとなれば力尽くも辞さない覚悟がある」と告げたところ、反応したのは意外にも王悦さんでした。

 

「……Hey(ヘイ)、和尚。一つ相談があるんだYo()

「なんじゃ?」

「これ、思い切って抜いてみようKa()?」

「ぬ……! いかん、いかんぞ! それは霊王宮にて、安全を確保してからの予定だったはずじゃろう!?」

 

 え……射干玉って、核シェルターか何かじゃないと駄目なの? 知らない間にそのレベルの危険物に指定されていたの? 刀身を直接見たら目が腐るとか思われてたの……?

 まあでも、なんで今まで鞘から抜かなかったのか、その理由はわかったわね。

 鞘に収まったままの斬魄刀を軽く揺らし、カチャカチャと鍔鳴りの音を上げながら王悦さんは自らの意見を口にします。

 

Do(ドウ)やら、自分が手にしている斬魄刀の危険性を理解していないみたいDa()。なら、このタイミングで本人にしっかりと教えるのもMust(ひつよう)Show(ショウ)?」

「む、むう……」

 

 ……え、これって私が悪いの?

 危険性を理解していないって思われてる……?

 

『零番隊の、それも専門家の皆様から見ればそうなってしまうのでは?』

 

「なーに、安心しなよカワイコちゃん。ちゃんボクがキチンと打ち直してあげるからNe()

 

 カワイコちゃん……?

 世界中で多分私だけが首を捻る言い回しをしながら、王悦さんは射干玉を鞘から抜こうと手に力を込めます。

 

『おやおや、これはこれは……ですが、こういう時には伝統的な手段があるでござるよ』

 

 伝統的な手段……?

 ……い、一応聞くんだけど、これ以上何をやらかすつもりなの……?

 

『それは勿論…………逃ぃーげるんでござるよぉ~!!』

 

 はぁ!?

 

 射干玉の言葉を理解するよりも先に、王悦さんの手の中にあったはずの斬魄刀がヌルリと抜け出ていきました。

 

「Wow!? 滑った!? いや、まるで斬魄刀が逃げ出したみたいな感じだYo()!? Yo(ヨッ)! Ho(ホッ)! ちょ、ちょっと待てってVa()!!」

「あっははははははっ!! なんだい王悦、その姿は!? まるでウナギを捕まえようとして失敗してるみたいじゃないか!!」

 

 滑る斬魄刀を慌てて、なんとか掴もうと必死になっている王悦さんの姿がツボに入ったらしく、曳舟さんがお腹を抱えて笑いました。

 ですが王悦さんはそれどころではないようです。

 ヌルヌルと逃げる斬魄刀を落とさないように、必死に格闘し続けています。

 

「ギーウナ!? そんなもん目じゃないSa()!? 全然掴めな……Wait(まって)! Waaaaaait(まってぇぇぇぇ)!!」

「王悦、どこにいくつもりかえ?」

「そんなの斬魄刀に聞いてくれYo()!!」

 

 ……あったわね、そんな落語。

 

『題目は鰻屋でござるよ!! ……むむ、何やら巨乳の何でも屋が浮かんでくる響きでござるな!!』

 

「ええい、何をしておるか! 儂が……むおっ!?」

「和尚!? どいてくれ……アウチッ!?」

 

 業を煮やした和尚が斬魄刀を掴み取ろうと手を伸ばせば、そのまま勢い余って二人は頭をぶつけてしまいました。

 しかも激突した拍子で、斬魄刀はそのまま滑って私の手の中に収まります。

 

『ただいまでござる』

 

 おかえり、やってくれたわね。

 これ、今からでも「射干玉を守るために始解を使いました」って言って通じるかしら?

 

『さあ?』

 

「…………」

 

 まるで喜劇(コント)のようなやり取りに、一護たちや総隊長たちが不安そうな目になっていました。

 そりゃあ、そういう顔にもなるわよね……

 鳴り物入りで登場してきた、最強の死神のはずの零番隊が、その中の二人がこんな醜態を曝け出しているんだもの……

 零番隊って本当に大丈夫かって気にもなるわよね……

 

「よくやった湯川、儂の目論見通りじゃな。そのままよぉけ抑えておけ」

 

 あ、和尚が復活した。

 しかもさっきの衝突劇を無かったことにしたいのか、計算通りだって態度を取ってる。でも目がかなり本気だから、イマイチ誤魔化し切れてないわね。

 そのまま和尚はどこからか丸太のように巨大な筆を取り出すと、私に向けて構えました。

 

「いかん、湯川! あれは……!!」

「え、え……?」

 

 総隊長が注意の言葉を口にしてくれましたが、何をどう反応すればいいのやら。

 戸惑っている間に、その巨大な筆が振るわれました。

 筆には墨汁が染み込んでいたらしく、そのまま射干玉の全体が一瞬にして真っ黒に塗り潰されていきます。

 

「安心せい! 控えめにしておいてやるわ!!」

 

 ああっ! なんてこと! 射干玉がこんな、真っ黒でベトベトした姿に……真っ黒でベトベト……?

 

 

 

 ……普段と変わらないわね。

 

『そうですな』

 

 

 

「やれやれ、これで大人しく……ならん、じゃと……!?」

 

 べっとりと染み込んだはずの墨は、射干玉の全体から溢れ出る粘液によって浮かび上がり、そのままヌルヌルと流れ落ちていきます。

 まるで布に染み込んだ血液を、大根を使って綺麗にお掃除している時みたいな光景ね。

 

「「「「「…………」」」」」

 

 この光景に、とうとう零番隊の全員が絶句しました。

 

 そういえば和尚は、筆を使って名前を付けたり消したり塗り潰したり出来るって。

 名前を付ければ役割が変わるし、名前を塗り潰せば力を失うって、大昔に聞いたことがあったわね……

 

 つまり射干玉の名前を塗り潰して、力を失わせてから改めて捕まえようって魂胆だったわけか。でも見事に失敗した、と。

 ……あら?

 それってつまり、今現在もの凄い大変なことをしでかしているんじゃ……?

 

『墨で汚れるのはちょっと』

 

 ……そうね。墨で汚れるのは仕方ないわよね。

 

「…………ま、まあ、なんじゃな……今日はこのぐらいにしておいてやるとするかの」

「え……?」

「合格じゃ。それだけの力を見せられては、儂らも無理におんしと斬魄刀を引き剥がせぬわい。のう王悦?」

「ソ、ソソソソSo(ソー)! You(ユー)! ことだYo()! 見事なくらい立派にやってるじゃないKa()! こんな愛し合ってる斬魄刀に手を出すなんてチャンぼくには出来ないのSa()!!」

 

 ウソだぁ!

 明らかに本気だったでしょ!? それが失敗したから、なんかこう、後方師匠ヅラしたポジションっぽい感じで、しぶしぶ諦めた雰囲気を出しているだけでしょ!!

 説得された気配を醸し出しているだけでしょうが!!

 

 

 

 

 

 

 

 ……こうして、射干玉騒動は謎が謎を呼んで謎のまま謎に終わりました。

 私を連れて行く件も「そこまで言うのなら仕方ない! 儂らも胸を打たれた!」ということで、霊王宮に行かなくて済みました。

 

 その後は志波家にまで天柱輦を運び、打ち上げて零番隊たちは帰って行きました。

 あの柱、打ち上げの機能が無いからね……志波家に頼んで霊王宮まで打ち上げて貰わないと駄目なのよね……

 

 けど、報告書も提出したし一護たちはパワーアップイベントに向かったし。

 これで多少は落ち着けるかしら? 一週間くらいは、ゆっくりしたいわねぇ……

 

『ところで藍俚(あいり)殿……本当に霊王宮には行かなくてよろしかったのですかな?』

 

 何言ってるのよ。

 射干玉を打ち直しなんてさせないし、今の射干玉が消えるようなことなんて絶対に嫌。

 そもそも霊王宮に行っても得るもの(おっぱい)が無いでしょうが。

 

『いえ、その……ナイショにしておりましたが、王悦殿の鳳凰殿にはキャバクラっぽい建物がありまして、そこには綺麗なお姉さんたちが山の様にわんさかと……』

 

 なにそれ!! 聞いてないんだけど!?

 

『言っておりませんからなぁ……ちなみに色とりどりで選り取り見取りのパラダイスでござるよ。正体は斬魄刀で、かつて飛梅殿や袖白雪殿が実体化した時のアレなのでございますが……』

 

 よ、よりどりみどり……!? え、ウソ!? 本当に……? そんな夢みたいな場所があるの!?

 

『グッバイ、燧ヶ島(ひうちがしま)メラ殿、鑿野(のみの)のの()殿、槌宮(つちみや)罪子(つみこ)殿、箸原(はしはら)ハス()殿、砥ノ川(とのかわ)時江(ときえ)殿……もう会えないでござるか……』

 

 ああっ! 名前!! 具体的な名前を出しているってことは事実なのね!!

 斬魄刀のマッサージまでした私に対する挑戦状よねそれは!?

 

 カムバーーーック!! 戻ってきてぇぇっ!!

 私も行く!! 霊王宮に行くからああああぁぁぁっ!!!!

 




●考えたけど没にした展開
藍 俚「アヒャヒャッヒャヒャ!! 任せて下さいよこのハゲ!!」(和尚の頭をバンバン叩く)
曳 舟「藍俚ちゃん、性格変わったねぇ……」
千手丸「桐生。この漬物、酒精が入っておるな?」
曳 舟「あらやだ。そういえば藍俚ちゃん、お酒弱かったねぇ」
藍 俚「文字通り! 命がけでぇ! 誰が行ってもおんなじやおんなじ思ってぇ!! じゃあ、私が! このヨァアアアアアア!!」

(みたいな感じで、酔っ払いに大言壮語を吐かせる流れ)

●霊王宮にはおっぱいがない
一応、零番隊以外にも神兵がいます。
ですが、そこに女性がいるかがイマイチ不明ですし。

他にも
・藍俚は霊王宮に対する知識の薄さから、神兵のことを失念している。
・仮に知っていても女性がいるとは思っていない(野郎のみと思い込んでいる)
・何よりバンビエッタの出迎えの準備をしたい。
などの理由から「おっぱいが無い」と勝手に断言しています。
(グッバイ、王悦親衛隊)

●鰻屋(落語)
料理人不在のウナギ屋で注文が入り、店主が代理でウナギを捌くことに。
だがツルツル滑って掴めない。
手の中から逃げようとするウナギを必死に掴もうとして店主は店の外まで行ってしまう。
「どこに行くんですか!?」
「前に回ってウナギに聞いてくれ!」

という落語。
現世の何でも屋さんは関係ない。
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