お前は天に立て、私は頂をこの手に掴む   作:にせラビア

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第380話 マッサージ(お仕置き)をしよう - バンビエッタ・バスターバイン -

 射干玉から受け取ったバトンを手に、私は一人残されているバンビエッタの所へと顔を覗かせます。

 ……まあ、実は四人ほぼ同時進行なんだけどね。

 

「なによ、これ……なんで爆発が……また霊子を流された……? いえ、これは……吸収されている……!?」

 

 さて、肝心のバンビエッタなんだけど。

 バンビーズのお仲間が一人一人連れ去られて、最後に一人だけ残されるというホラー展開でプレゼントしてみたものの、効果は結構あったみたいね。

 

 闇の空間に一人きり。

 声を掛けても仲間の言葉が聞こえない。自分もいつ襲われるかもしれないという不安と恐怖に駆られて、彼女は何もない空間目掛けて爆撃(ジ・エクスプロード)を放ったの。

 けど、何も起こらない。さっきまでは間違いなく爆発していたのに。

 なにしろココは、射干玉のお腹の中みたいなもの。となればそりゃあ、霊子の一つや二つは平気で吸収します。

 ましてやバンビエッタみたいな美女が相手なら、それこそ上から下まで何でも吸収すると思うわ。

 けど、彼女はそんなことは知りませんからね。

 

 最初は私がやったみたいに霊子を流して無力化したのかと思ったみたいだけど、実際は霊子そのものを吸収されていると気付き、同時に自分の攻撃手段が封じられたことに気付いたいて青ざめています。

 

「だ、だったらこれでどう!?」

 

 表情や気配からはかなりの焦りの色が見え始めていますが、どうやらまだ抵抗する気はあるみたいね。

 バンビエッタは軍服の胸元を留めているボタンを一つ引きちぎると、それを放り投げてから爆撃(ジ・エクスプロード)の能力を放ちました。

 

「あは、あはははははっ!! なーんだ、効果があるじゃない!!」

 

 爆煙で空間の闇が僅かに揺らぎ、それを見たバンビエッタは続いて手袋を片方外すと同じように爆発させます。

 

 ……なるほど、この空間の外から持ち込んだ物を爆発させて攻撃をする、か。

 爆発の様子を見ながら、どうやら彼女は私が見立てた以上に焦っていることに気付きました。

 

 だってそうでしょ?

 攻撃手段を取り戻したところで、この空間を突破する手段を見つけたわけではない。

 オマケに、着ている物や身につけている物を爆破させるってことは、自分で自分の攻撃回数に制限を付けているわけだし。

 

 そして何よりも――

 

「お友達は、もう終わったわよ……?」

「きゃああああっっっ!?!?」

 

 胸のボタンが一つ減ったことで締め付けが緩くなって、バンビエッタが動く度に胸元の揺れが大きくなったの。

 その動きに誘われたわけじゃないけれど、私は彼女の背後に現れると、後ろからそっと抱きつきます。

 

 ……あ、すっごい良い匂い。それに香水も付けてるわね。

 うなじから漂ってくる香りに、頭が軽くクラクラしちゃう。

 

 そうそう、バンビエッタなんだけど。見ての通り、突然現れた私に驚いて悲鳴を上げたわ。案外可愛い悲鳴だったから、胸をドキドキさせられたわ。

 

「な!? あ、あんた死神! それにお友達って、まさか……!!」

「ええ、聞いた通りの意味よ」

 

 今頃はきっと、射干玉なしじゃ生きられない身体にされてるわね。

 けど、彼女はどんな想像をしたのやら、覗き込んだ表情には絶望に近い色が加わっていました。

 

「……キャンディ、ミニー、リル……」

 

 あ、やだぁ……その、今にも泣きそうな表情、すっごくいい……

 きゅん、って来ちゃう……ものすっごく、イジめたくなっちゃう……

 

「さあ、次は貴女の番。ふふ、そうねぇ……貴女には、こんなのはどうかしら?」

 

 妙案を思いついたので、彼女の耳元に口を寄せてそっと囁きます

 

諸々(もろもろ)禍事罪穢(まがことつみけがれ)有らんをば、八百万神等共(やおよろずのかみたちととも)()こし()せと(かしこ)(かしこ)みも(もう)す――」

「ひっ! なによそれ……鬼道ってヤツ……?」

 

 ああ、すっごい怖がってる! バンビエッタってば、もう私に爆撃の能力を放つことすら忘れて怯えてるわ!!

 でも攻めの手は緩めないわよ。

 聞き慣れない言葉を、何らかの鬼道を唱えるのだろうと思ったようですが、私は首を横に振ります。

 

「いいえ、それよりもっと厄介な物よ……裏縛道の六十一、秘色呪詛(ひそくじゅそ)

 

 いかにもそれらしい言葉を口にすれば、バンビエッタは一瞬だけギュッと目を瞑りました。ですが何も起きていないことを感じ取ったのか、恐る恐る目を開けて状況を確認すると、やがてゆっくりと勝ち誇ったように笑いだしました。

 

「……は、あはは……あはははは! なによ、別に何にも起きてないじゃない! 裏縛道とか言っちゃって、本当はそんなの使えないんでしょ!?」

「いいえ、ちゃんと発動してるわよ? 右手を見てみなさい」

「え……?」

 

 バンビエッタが自分の片手に視線を落とします。

 

「爪が、うっすらと赤くなってるでしょう? それが秘色呪詛(ひそくじゅそ)が発動した証拠」

「こんなものが、何だって言うのよ……?」

「鬼道には、一般の死神に存在を秘匿されているものが――隊長以上だけが知っている禁術があるのよ。秘色呪詛(ひそくじゅそ)はその一つで、相手に誓約の呪いを掛けるの」

「の、呪い……!?」

 

 あらら、バンビエッタの顔がとっても分かり易く蒼くなったわね。

 

「ええ、そうよ。その爪に刻まれた誓約は"一定時間、私の責め苦に耐え続けること"よ。貴女が負けを認めて私に屈服していく度に、その爪は段々と赤く染まっていく。そして、爪が真紅になると――」

「なると……?」

「ふふ、ナイショ」

 

 内緒、と言いながら耳にふっと息を吹きかけました。

 くすぐったいのか、バンビエッタは私の腕の中でモジモジと身体をくねらせながらも、強気な言葉を投げ返してきます。

 

「なによ、それ!? け、けどアンタに屈服しなければいいんでしょ? そんなの簡単じゃない!! このあたしが死神なんかに――んっ!?」

「そうでしょうね。だから、力尽くじゃなくて快楽で心を折らせて貰うわね。私の按摩(マッサージ)、死神のみんなから評判なのよ」

 

 ボタンが一つ外れて緩くなった胸元に手を差し込み、彼女のお山(おっぱい)に手を掛けます。

 下着ごしですが、ふっくらと大きなお山(おっぱい)の感触が手から伝わってきました。指先に少し力を入れればふにゃっと柔らかく沈み、けれどもむっちりと詰まったお肉が力強く押し返してきます。

 ゆっくりと、手のひら全体でお山(おっぱい)を撫で回していくと、腕の中のバンビエッタが震えた声を上げ始めました。

 

「な、何がマッサージ、よ……こ、こんなの……マッサージでもなんでも……んんっ!」

 

 胸を揉まれて気持ちいいんでしょうね。

 片目を瞑りながら、両足をモジモジと擦り合わせながらも必死に耐えています。

 

「そういえばバンビエッタって、男性をつまみ食いしてるんでしょう?」

「なんで、そんなこと……!?」

「そのお相手と比べて、私の按摩(マッサージ)はどう? 感想を聞かせて貰える?」

「…………っ……!!」

 

 頬を真っ赤に染めながら、きゅっと奥歯を噛みしめて声を押し殺し始めました。

 どうやら私の問いかけはお気に召さなかったみたい。それとも、今までつまみ食いした男性たちよりも私の方が良いっていう無言の肯定なのかしらね。

 

「だんまりかしら? だったら」

「ちょ、ちょっとぉ……そ、そっちは……」

 

 片方の手で胸をマッサージしながら、もう片方の手をスカートの中へ突っ込んでお尻へと添えます。

 緩急を付けながら、コリをほぐしていくように絶妙な力加減で刺激を与えていくと、腰がガクガクと小刻みに跳ね上がりました。

 

「こっちも肉付きがいいのね。それに感度も」 

「くっ、ひぃ……っ……! や、なんで……ぇ……こんな死神、なんかにぃ……」

 

 こちらも下着越しの刺激です。上質な素材を使っているのか、触り心地が良いですね。

 けれどもバンビエッタのお尻は、それに負けないくらいぷるぷると弾んでいます。

 そして、私のマッサージが気持ち良いのでしょう。とろんと蕩けた、甘えるような猫なで声を上げ始めました。

 

 ……んー、このままでも良いんだけど、ちょっとそれは面白くないわよね。

 なので、少し緊張を持たせることにします。

 

「ああ、そうそう。まだ爪が赤くなったときのことを説明していなかったわね」

「……ふぇ?」

 

 私の言葉に彼女はとろんとした目を向けてきました。

 

「爪が真っ赤に染まると、呪いで貴女の身体はヒキガエルになるの」

「……っ! う、ウソでしょう!? ヒキガエルって……そんなこと、出来るわけが……」

 

 口では否定しながらも、心のどこかでは信じたみたいね。

 バンビエッタは焦った様子で自分の指先へ視線を向けました。その視線の先では、より赤く染まった爪があります。

 それを確認した瞬間、それまで上気していたバンビエッタの顔色が変わり表情も引き締まりました。

 

「ウソ……」

「くすくす……さて、嘘か本当かは自分で考えてみなさい。敵が本当の事を言っているのか、それともただのハッタリか。私の言葉をウソだと思っているのなら、好きにすればいいわ。耐えるのを止めて攻撃してみれば、真偽はハッキリするから」

「く、う……っ……!」

 

 説明の途中で止めていた指の動きを再開すると、彼女は両目を瞑り口をへの字に結んで必死の抵抗を始めました。

 そうそう、そうじゃないと面白くないもんね。少しは堪えてくれないと、射干玉に怒られちゃうわ。

 

「今からでも抵抗し続けようって魂胆? でも、どこまで頑張れるかしら……もう結構赤く染まってきてるんだけど、本当に間に合う?」

「う、うるさいっ! もうアンタの良いようになんて絶対にされないんだからっ!! ……っ! ……っぅ!!」

 

 ただ耐えることに集中しているかのように、微動だにしませんね。

 下から上に持ち上げるようにしながらお山(おっぱい)をマッサージしていきますが、少し吐息を漏らすだけです。

 右の手首を左手でギュッと掴んでいるのは、抵抗しないことの証でしょうか。

 それとも――

 

「それとも、私の隙を伺っているのかしら? 爆撃の能力を使って私を一撃で絶命させるつもり、とか……? 呪いは術者を殺しても解ける……だから右手に霊圧を集中させて、特大の一撃を放つために……」

「……っ!?」

 

 あらら、図星だったの?

 振り向いた私の顔を見つめる表情は、絶望に染まっていました。

 

「でも、その場合は注意してね。知っているかもしれないけれど、私はそう簡単には死なないわよ? 一瞬でも遅れたら、その瞬間に呪いが発動することになるわよ」

「う……くぅ……ひっ……!」

 

 どうやら万策尽きたのか、瞳の端にうっすらと涙が浮かび始めました。

 お山(おっぱい)全体を指で撫で回してく度に、バンビエッタは「ひっ!」と泣き声とも嬌声とも付かない小さな声を上げています。

 

「まだまだ耐えられるでしょう? 私の命を狙って来たときの気概はどうしたの?」

「むり、もう無理ぃ……! ひっく、ひっく……っ……!」

 

 涙を流しながらも、私のマッサージを受けて身体はビクビクと反応していきます。

 それが自分の寿命を縮めていると理解しているらしく、反応する度に悲哀の色はますます濃くなっていきました。

 

「や、やだ……やだぁっ! カエルなんて嫌ぁ!! だれか、誰か助けて! キャンディ、リル、ミニー、ジジ! 誰でも良いからぁ!!」

「残念だけど、お友達はもう手遅れよ」

「やだっ! やめて、いやぁ! 気持ちよくなっちゃう! 気持ち良いのに、いやなの! お願い、もう止めてぇ!! はぁぁんっ♥」

 

 恐怖と快楽が、とうとう限界に達したみたいね。

 バンビエッタは私がお山(おっぱい)とお尻をマッサージする度に、泣きながら嬌声を上げ始めました。

 少し指を動かすだけで彼女は身体をビクビクと反応させながら、力無く私に身体を預けてきます。

 なので、ちょっとだけ。

 お山(おっぱい)の頂点の尖った部分を、指先できゅんっと摘まみます。

 

「ひっ、あっ、いやぁっ! 死にたくないのに、嫌なのに……っ! なんで、なんでえぇぇっ!? 身体が、勝手に……!!」

 

 胸の先から走る快感に反応したのか、感情がごちゃ混ぜになった表情を浮かべながら叫びました。

 そのまま私は、指先に力を込めて少しずつ上へと引っ張っていきます。

 

「やだ、止めて! お願い、死神様! もう、もう無理なのぉっ!!」

「ほらほら、ちゃんと我慢しないと……もう指先、真っ赤になってるわよ」

 

 バンビエッタの片手を掴むと、涙でぐしゃぐしゃになった顔の前へと無理矢理移動させます。そこには、今まさに真紅に染まろうとする爪がありました。

 

「嫌ああああああぁぁぁっ!!!!」

 

 それを見た瞬間、彼女はぐるりと白目を剥きながら意識を失いました。

 

「あ、あ……っ……」

 

 同時に下半身から、恐怖が完全に限界を迎えた証のようにお小水を垂れ流します。意識は完全に失っているものの、放尿の快感からか虚ろな表情を浮かべたまま小さく喘ぎ声を漏らします。

 

 そして、彼女の爪の色は完全な真紅へと――

 

「……まあ、変わるわけないのよね」

 

 赤く染まった爪を見ながら、私はそう呟きます。

 

 

 

 ええっと……もう、解っていると思うけれど、全部ただの仕込みなの。

 

 

 

 まず、彼女の爪が徐々に赤くなっていたのは、こっそりと爪紅(マニキュア)を塗っていたから。

 

 ほら、覚えてる?

 この二次侵攻が始まる直前に、部下の子からプレゼントだって貰ったでしょ。アレを使って、ちょっと追い詰められていく恐怖を演出してみたの。

 隙を見ては、ちょっとずつ塗り重ねて濃くしていったのよ。

 都合の良いことに彼女、自分の手袋を爆弾代わりにしていたからね。おかげで塗るのに事欠かなくて楽だったわぁ……

 

 次に裏縛道なんだけど、そんなの私は使えないわよ。

 裏破道と裏縛道っていう、鬼道の最上位みたいな技術があるってことだけは知っているけど、存在を知っているだけ。実際にどういうワザなのかは、一切知らない。

 詠唱だって、それっぽい物を口にしただけ。バンビエッタに信憑性を持たせるためだけの時間稼ぎで、内容だって特に意味の無いものなんだから。

 

 けど、どうやら効果は覿面だったわねぇ……

 

 バンビエッタってば、すっかり信じ込んじゃって。

 ヒキガエルになんてなるわけないのに、必死で耐えようとして。でも耐え切れなくて、声を出しちゃって。

 最後には失神と失禁だもん……

 

 良い物を見せて貰ったわ! それにお山(おっぱい)も、短時間だけどたっぷり堪能させてもらったし!! しかもお漏らしシーンまで!!

 後はこのネタを利用して無理矢理にでも死神側(こっち)に引きずり込むわよ!!

 

 どうせあのユーハバッハは最終的に「お前らの命を奪うことでもっと強くなる」みたいな事を言いながら、滅却師(クインシー)に刃を向けるんでしょう!? それを助けて恩を着せてやるわよ!!

 

 

 ……さて、と。

 

 どうやら射干玉の方(あっち)も終わったみたいだし……それじゃあ、そろそろ彼女たちと決着を付けましょうか。

 




●裏縛道
 和尚が裏破道を使っていたので「なら裏縛道もあるはず」という短絡的発想。
(本文中の繰り返しになりますが、藍俚(あいり)は「裏破道や裏縛道があることは知ってる。けど詳細は知らない。当然使えない」という勝手な認識・設定です。
 ただ裏縛道という言葉だけ知っていたので、ハッタリに利用しました)

 ちなみに詠唱っぽいアレは、祝詞です。
(現代語訳すると「色々な災いとかがあったから、神様お願いです。どうか聞き入れて下さい」みたいな内容になります)

●裏縛道の六十一、秘色呪詛(ひそくじゅそ)(ただのハッタリ)
 重ねてになりますが、ただのハッタリです。原作にはありません。
 ただ、これ自体は漫画BASTARDの青爪邪核呪詛(アキューズド)が元ネタです。
 「相手に誓約(呪い)を与える。違反すると爪が赤く染まっていく。真紅になるとペナルティで相手をヒキガエルに変える」という魔法(呪い)です。
 
 それを真似して、心を折ったワケですね。
(このネタを使う為だけに、373話でマニキュアを出しました)
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