お前は天に立て、私は頂をこの手に掴む   作:にせラビア

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(最近感想のお返事とか出来てなくて誠に申し訳ございません)



第395話 ここに三人の親衛隊員がおるじゃろ ★

 さて、更木副隊長に続けとばかりに私も戦線に突入するわけだけど、その前に。

 これから向かう先の状況について確認です。

 具体的に言うと「残っている滅却師(クインシー)たちは誰か?」とか「その滅却師(クインシー)とは戦っている死神は誰か?」って辺りね。

 私としては、真っ先に叩かなきゃいけないくらい危険な相手はリジェだと思っているんだけど。でも状況によっては、リジェを後回しにしてでも別の戦場に割って入らないといけないからね。

 

 さてさて、どうなって……

 

 ……なんでジェラルド、巨大化してるのかしら?

 

 あれぇ? 確か私、報告したわよね?

 ジェラルドは奇跡(ザ・ミラクル)って能力を持っていて、半端なダメージは回復して巨大化しちゃうから注意してって……報告したわよね!? なのになんで……?

 

 あ、でも。

 ジェラルドの相手をしているのって主にハリベルら破面(アランカル)のみんなみたいね。それなら、そこまで連絡が徹底していなくても仕方ない……と思ったんだけど……

 なんでジェラルド、ちょっと凍り付いているのかしら……?

 誰か、氷雪系の斬魄刀でも使った……? ねえ、シロちゃん?

 

『つまりは卍解を取り戻して調子に乗った挙げ句に「巨大化する前に倒せば問題ねえ」って感じで攻撃を仕掛けた――と、こんな感じでござるか?』

 

 うわ、凄くあり得そう。

 でも一応弁護するなら、グリムジョー辺りが真っ先に攻撃した結果、巨大化しちゃったのを氷輪丸で食い止めたとか、そういう可能性もあり得ると思うんだけど……

 ……いえ、むしろグリムジョーと一緒になって攻撃してたって方がしっくりくるわね。

 

『拙者もその意見に賛成でござる』

 

 巨大化したことで慎重になったみたいで、ジェラルドへの攻撃は最小限になってるみたい。防戦一方というか、攻略法が見えないのに攻撃しても無駄って悟ったみたいね。

 総括すると、急がなきゃならないけれどまだある程度は耐えられそう……ってところかしら?

 

 

 

 次にユーグラムね。

 こっちには、平子隊長ら元仮面の軍勢(ヴァイザード)組の死神たち。それから浦原までもが相手をしています。

 けど、状況は押されてた感じかしら……

 

 多対一だっていうのに、ユーグラムの剣技は冴え渡っていて、相手を寄せ付けません。

 不得手が一切感じられない、面白みはないけれど堅実な戦い方で、常に優位になる様に立ち回っています。

 敵を相手にこういうことを言うのは不謹慎だけど……ちょっと見とれちゃうくらい上手な剣術ね……教材に使えそうなくらいだわ……

 

 ……そういえば彼、滅却師(クインシー)なのに剣を使ってるのってどうしてかしら?

 基本的には絶対弓矢を使うっていう縛りプレイの種族じゃなかったっけ?

 

『(縛りプレイww まあ、藍俚(あいり)殿はご存じないので仕方ねえでござるよ……ユーグラム殿は神聖弓(ハイリッヒ・ボーゲン)を構築できない特殊な出自の滅却師(クインシー)でござるからなぁ……)』

 

 でも、途中から戦いの流れが一気に変わりました。

 何しろ更木副隊長が殴り込んできましたからね。霊圧を感じて、その姿を目視した瞬間、ユーグラムが思いっきり渋い顔をしたのが遠目からでもハッキリと見えたわ。

 更木副隊長が参戦すると同時に、今までユーグラムの相手をしていた浦原たちが一斉に下がりました。

 

 ……まあ、下がるわよねぇ……

 下手すれば、更木副隊長まで敵に回しかねないし……それにどう考えても、戦いは剣八に任せた方が確実だもん……

 更木副隊長なら、なんだかんだ絶対に勝つっていう謎の安心感があるものね……

 

 ……でもそういえば、前回の襲撃の時にもユーグラムと戦ってたわよね? その時は、攻撃を反射された? 傷を交換された? みたいな感じの能力で苦戦したって報告書にはあったんだけど……

 ねえ、射干玉。どんな能力なの?

 

『えっと、ネタバレNGな射干玉ちゃんなので本来は禁句でござるが、こんな事態ですので名前だけ……(ビー)の文字、世界調和(ザ・バランス)でござるよ』

 

 バランス……? ……えーっと……あ、なんとなくだけど能力が解った様な気がする!

 ……って、もしも想像通りなら更木副隊長が大変なことに……

 

 ……なるけど、勝っちゃうんでしょうねぇ……なんとなくだけど……

 

 ともあれ纏めると、こちらも今すぐ手出しは無用って事ね。

  

 

 

 後は……あれ? あれって一護と石田君よね……?

 なんだかにらみ合ってるし、戦ってもいるんだけど、本気じゃない。どこか手を抜いている……?

 知らない仲でもないし、どうにかして説得しようと一護が頑張ってて、けど石田君は強引に耳を塞いでいるみたいな――

 

「……くっ!?」

 

 首筋からチリチリとした感覚が走り、私は慌てて飛び退きました。

 と同時に、それまでいた場所を巨大な神聖滅矢(ハイリッヒ・プファイル)が通り過ぎていきます。

 気付けば、いつの間にやら一人の滅却師(クインシー)が銃口をこちらへ向けていました。

 

 あれは確か……アキュトロン、だっけ……?

 現世で一護や浦原の足止めをしていたって報告書にはあったはずだけど……名前、合ってるわよね……?

 

『ロバート殿、生きてたでござるなぁ……影が薄いので、忘れていたでござるよ……』

 

 え、影が薄いの!? 結構凶悪な能力を持っているって聞いてたのに? 現世で一護が意外と苦戦させられたって聞いたわよ!?

 

 どうやら、意識を少し外に向けすぎたみたいね。

 少しといっても、精々が一秒か二秒に満たないくらいの短い間だったんだけど、それでもどこか緩んでいたのかしら?

 ともあれ前評判通りの腕を持っていたらしく、アキュトロンは私の隙を的確に突いてきました。

 

「なんて嫌なタイミング……」

 

 思わず口から悪態が小さく漏れ出てしまいました。

 そして、聞こえずとも先ほどの一撃が私にとって厄介な物だったと悟ったのでしょう。

 眼鏡の奥の瞳からは、してやったりと言わんばかりの気配が見え隠れしています。

 

 今の状況なら、リジェの戦局に加勢できるのに……仕方ない、このアキュトロンを真っ先に倒してから――

 と、そう考えたときでした。

 

「ようやく見つけたぞ!」

「まったく、妙な術を使いおって! おかげで探し出すのにも一苦労じゃ!」

 

 砕蜂と夜一さんがやってきました。

 言動から察するに、どうやら二人はアキュトロンを相手に戦っていたみたいね。でも一度逃げられて、追いかけてきた、と言ったところかしら?

 

「チッ、死神どもめ! 無駄な足掻きを……!!」

 

 追いかけてきた二人に、アキュトロンは忌々しげに舌打ちをしました。

 

「既に陛下は上へと参られたのだ! ユーグラムや神赦親衛隊(シュッツシュタッフェル)すらこの地に置いて行かれた以上、いずれ全てを手に入れてこの地へと舞い戻られることは確実!! 既に勝敗は決したと何故解らぬ!?」

「知らぬな! まだ勝負はついていない!! ユーハバッハを追い、奴を仕留めるだけの時間はまだ残っている!!」

「……む? おお、藍俚(あいり)か! こやつは儂らの獲物じゃ! 任せておけい!」

 

 アキュトロンは砕蜂たちの始末を優先すべく動きを変えました。

 夜一さんが私に気付いて、先を促してくれます。

 

「え、藍俚(あいり)様!?」

「集中せんか砕蜂!! こやつの厄介さをもう忘れたか!?」

 

『あの緊迫した気配の中でも、一瞬で笑顔でこっちを見てきたでござるよ……砕蜂殿、ある意味ブレねぇでござるなぁ……』

 

 ホントよねぇ……

 

 ……って、感心してる場合じゃないわよね!!

 遠回りになりましたが、当初の予定通り本命のリジェ戦に加勢します。

 

 

 

 

「遅れてごめんなさい!」

「おっ、藍俚(あいり)ちゃん。ようやく来てくれたね。こっちはヒヤヒヤものだったよ……」

「ありがたい。俺たちだけじゃ、今ひとつ決め手に欠けてしまって。卍解も下手には使えないし、どうしたものかと思っていたんだ」

「ユーハバッハといいコイツといい……湯川お前、こんな化け物たち相手に斬魄刀無しで良くやり合ったな……」

 

 リジェの相手をしていたのは、京楽隊長と浮竹隊長。それに海燕さんでした……約一名、オレンジ色ですが。

 

『オレンジ色の頭の海燕殿……またでござるなぁww』

 

 笑わないの! 見た感じ、ちゃんとある程度の効果はあったじゃない!!

 

 確か、十三番隊はそのほとんどが囮作戦に動いていたはずだし。作戦終了ってことで、滅却師(クインシー)側の一般兵の相手に回ったみたいね。

 銀城たちもおそらく一般兵の相手(そっち)にいるはず……

 リジェを相手にするのに、浮竹隊長が万が一に備えて遠ざけたのかしら?

 

 それと京楽隊長なら伊勢さんも近くにいると思うんだけど……

 いないわね。こっちも多分だけど、過保護で遠ざけたのかしら?

 

「……お前か」

 

 そしてリジェですが。

 私の顔を見た途端「もううんざりだ」と言わんばかりの表情をしました。

 ちょ、ちょっと! 私どれだけ嫌われてるの!?

 

藍俚(あいり)殿……影の領域(シャッテン・ベライヒ)で何をやったのか、忘れたとは言わせないでござるよ?』

 

 あんなの、ちょっとした茶目っ気でしょ!! 心が狭いわね!!

 

『(その茶目っ気で親衛隊が二人やられかけたわけでござるが……)』

 

「お前がここに来たということは、ペルニダを退けたのか。つくづく信じられん」

「まあね。厄介だったけど、相性が悪かったみたいね」

 

『感度三千倍!!』

 

 だって! 神経なんてものを差し出されたら、フリだって思うでしょ!?

 やらなきゃ……! って使命感に駆られるでしょ!?

 あとバンビエッタちゃんを怖がらせた以上、もうあんなの運命みたいなものでしょ!?

 

 さて、そんなリジェですが。

 まず目に付いたのは、手にしているライフル銃が壊れかけていることですね。ですが万物貫通(ジ・イクサクシス)の能力があるためか、直接のダメージは負っていません。

 

 おそらくですが、京楽隊長が花天狂骨の能力で攻撃を担当。

 浮竹隊長は双魚理で銃撃を防御しつつ、同時に反撃も担当。

 海燕さんは卍解しているところから金剛宝杵(こんごうほうしょ)天沼矛(あめのぬぼこ)で銃撃を逸らして、反撃のチャンスを作っていた。

 ――と、そんな感じで戦っていたんだと思います。

 

 けど、それでも死神側がジリ貧って感じですね。

 リジェの能力が強すぎるのよ! こんなのどうやって倒せっていうのよ!?

 

 ……前例があるし、私がやるしかないんでしょ! 知ってるわよそれくらい!!

 

「え? まだ他に滅却師(クインシー)がいたの? しかもそいつを倒してきたの? ホント凄いね藍俚(あいり)ちゃん……その勢いでこいつも頼める?」

「京楽!!」

「いやいや、だってさ。浮竹たちが守ってくれてるけれど、体中が痛くって……」

 

 万物貫通(ジ・イクサクシス)の対策として、射干玉の卍解で作った簡易的な防具を事前に渡していましたが、それでも無傷とはいかなかったようです。

 胴体部分こそ比較的無事ですが、京楽隊長たちは末端部分が削れています。腕などが削られていて、出血しているのが丸わかりです。

 私に「後は任せた」と弱音を吐きたくなる気持ちも解りますね。

 

「ええ、任されました」

「え、本当に? いやぁ、言ってみるもんだ」

「今回は斬魄刀もありますからね。ただ、援護はお願いしますよ?」

「任されましょう!」

「……仕方ないか。海燕、お前もいいな!?」

 

 返事代わりに無言で頷くと、海燕さんは手に持った斬魄刀――卍解して三つ叉の槍へと姿を変えたそれを振るいます。

 丁度リジェ目掛けて斬りかかろうとしていた私を後押しするように、卍解の能力にて流れを操り、加速させてくれました。

 

「まずは一太刀!」

「…………」

 

 出来るだけ注意を引く様に、派手になるように意識しながら。居合いの要領で斬魄刀を抜き放ちますが、リジェは飛廉脚(ひれんきゃく)にて大きく下がりました。

 それも攻撃を回避するとかではなく、私から可能な限り距離を取ろうという動きです。

 

「逃げの一手、かしら?」

「以前の戦いで、接近戦は危険だと判断した。もはやお前には絶対に近づかん」

 

 あらら、警戒されたものね。

 けど、そっちこそ忘れてないかしら?

 

「近づかないのはいいけど、それで? 逃げたまま勝てるの? 前回戦った時には、私は斬魄刀を持っていなかったのよ――卍解、射干玉三科(ぬばたまさんか)

 

 斬魄刀の真の名を呼び、卍解を発動させます。

 するとリジェは、両目を"これでもか!"というほど大きく開きました。

 

「お前こそ、知らないだろう? 僕は陛下が最初に力をお与えになった滅却師(クインシー)。陛下の最高傑作。最も神に近い男。その僕が、お前のような死神に再び遅れを取るなど……あってはならない事だ!」

 

 リジェの両目が強烈な光を放ちました。 

 放たれた光はそのまま全身を包み込み、同時に光の中から感じられる霊圧が爆発的に増大していきます。

 滅却師完聖体(クインシー・フォルシュテンディッヒ)……! そりゃあ、使うわよね……使わない意味がないものね……

 

『(基本的には自尊心が高くて、完聖体になるのは追い込まれた証拠だから変身したくないとか言ってたリジェ殿が、迷うことなく変身する辺り……藍俚(あいり)殿はどんだけ恨み買ってるのかって話でござるなぁ……)』

 

神の裁き(ジリエル)

 

 やがて、変身は完了しました。

 光の中から現れたリジェの姿は、これまで見たどの滅却師(クインシー)達よりもずっと異質なものでした。

 背中には四対八枚の翼を持ち、頭には光輪を持つ。ここまでは他の滅却師(クインシー)と変わりありません。

 身体は、まるで拘束具の鎧でも身に纏ったかの様で、腕が出ていません。

 脚も同じですが、胴が長いデザインのおかげか凄い短足に見えます。

 全体的に白を基調としながらも、ずんぐりむっくりとしたどこか愛らしい体躯。

 眩い光を放ちながら空中に浮かぶその姿は、私の中の古い記憶を刺激してきます。

 

 

 

 ――っていうか、コレってまさか使徒!? エヴァの!? 具体的に言っちゃうとゼルエル辺り!!

 

  

 

藍俚(あいり)殿!! 思っても口に出してはならないことがあるでござるよ!! それは禁句でござるうぅぅっ!!』

 




●ロバート
 忘れないうちに。多分コレで退場(描写なし)になると思います。
 (リジェとジェラルドとユーグラムを優先させてください。力無い私をお許し下さい)

●リジェ
 滅却師完聖体(クインシー・フォルシュテンディッヒ)を迷うことなく使う。
 ペルニダが倒すかもしれないけれど、生きてたら自分が絶対にぶち殺すという覚悟がガン決まりである。
 
●支援絵を頂いてしまいましたのでご紹介。
 安心院悪鬼 様から。またしてもです。
(さっさと書くんだよオラァ! 尻を叩かれているようで……(*´Д`)ハァハァ)

 ただ、頂いたシチュエーションが「これは流石に(仮にも全年齢向けとなっている話で)紹介していいのかしら?」と思ったので。
 がっつりR18のエロ絵ですので。リンクは無し。見る場合はご自身で。
 
 (いわゆる、壁とか穴とか尻の状態です。頂いた中には文字差分とかあったんですが。1枚だけ)

ttps://img.syosetu.org/img/user/v2/9915/964/238385.jpg
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