うーん……そろそろ例の作戦が始まった頃、かしらねぇ……?
これは銀城君に月島君の霊圧。遠く離れているけど、そのくらいは解る。
けどそれ以外の霊圧は感じたことがないから……多分涅隊長が手に入れた手駒の誰かなんでしょうね……
なんとなく遠くを眺めながら、私は考えます。
遠く遠く、流魂街の外れから伝わって来る霊子の反応。
霊圧が高まったのも感じられて、それらの情報を総合するに間違いないと思います。
昨日の夜、浮竹総隊長から急遽聞かされた今回の作戦。
ただ……なんていうか……涅隊長が発案者だということに、色々と不安というか……狙いが透けて見えているんだけど……
とにかく、その作戦が開始したみたい。
で、その作戦には私も参加させられました。
といっても私の役目は、戦いが始まって少ししてからの参加。それも回復役として。
……まあ、それ以外にも涅隊長が色々狙っているのを防ぐっていう、ウラの使命があるんだけどね……
京楽隊長にこっそり依頼されたわ……
先輩なんだから助けてくれって言われちゃ、断れないのよねぇ……
『向こうは総隊長のお仕事でござるよ? 断れるわけがないでござる!! そもそも年功序列ということなら、
だ、だって! 私ってまだ十年ちょっとしか隊長やってないのよ!?
そんな若輩者を総隊長にしてどうするのよ!? もっとマシな人材がいるでしょ!!
『マシとご自分で言ってしまうのはどうかと……』
と、とかにく!!
そういう訳で、今は待機中です。お呼びが掛かるまで、このままです。
なので、空き時間を利用して――
「どうリルトット? 美味しい?」
「んー……ま、合格だな」
「よかったぁ……!」
バンビーズのみんなと、朝からお菓子作りをしていました。
といっても、半数以上が食べる専門なんですけどね。具体的に言うと、リルトットとミニーニャとジゼルです。
『いやいやいや! 一応その三人も、ちょっとだけは手伝っていたでござるよ!?』
手伝ったって言っても、ちょっとした力仕事とか、型を使って生地を抜くとか、最後のトッピングとか、そんな程度だよ?
ジゼルなんてやさぐれちゃって、不機嫌そうな顔でそっぽ向いてるし。
『ジジ殿はホラ、その……股間が……貞操帯で……イライラしてて……禁欲生活が半年を突破しておりますから……
仕方ないでしょ。
それよりもね! さっき、リルトットが食べたお菓子には秘密があるの!!
「実はね、そのお菓子はバンビエッタちゃんが作ったんだ」
「えへへ……リルちゃん、ありがとう。おいしいって言ってくれて!」
「な……っ……ま、まあ……美味かったぜ……」
純真な笑顔とお礼の言葉に、リルトットが顔を逸らしながらもお礼を言います。
「オラ! リル!! あたしの分も喰え! んで美味いって言え!!」
「なんだその押しつけがましいのは! んな風に出されて誰が喰うか!!」
キャンディスが負けじと、自分の分を押しつけてますね。
「リルちゃん。キャンディちゃんね、私にいっぱい教えてくれたの。だから……」
「~~~っ! 喰えば良いんだろ!! ……あ、悪くねえな……」
バンビエッタちゃんがお願いした途端、一気に食べたわねぇ……
『泣く子と地頭には勝てぬと言うアレでござるな』
ちなみにミニーニャは、こっそりつまみ食いしています。
こうやって平和な時間が続けばいいのに……
でも遠くの霊圧の感じから察するに、そろそろ時間切れなのよねぇ……
「さて、と。それじゃみんな、事前に話をしたから知っていると思うけど。私、そろそろお仕事に行く予定なの。だから後片付けだけはお願いね」
「ん……? 確か、流魂街のどこぞでドンパチやらかすんだよな?」
「……あ。まさか、この霊圧か……? これが開始の合図……なのか……? こんな遠いのによく気付いたな……」
「え……? え……?? 全然わからないなって……」
「…………」
私の言葉にキャンディスらは集中して霊圧を探り始めます。
眉間にシワを寄せながら集中していますが……そんなに難しい……? この
「…………ん!? まさかこの霊圧……アスキン、か……?」
しばらく集中していたと思ったら、リルトットが何かに気付いたように声を上げました。
するとそれに触発されたようにキャンディスたちも顔を上げます。
「あ……? これ、か……? 遠くてよく解んねぇが……似てるっちゃ似てるが……」
「あー、多分そうだねコレ……ま、ボクにはどうでもいいんだけどさ……」
「アスキン……って、だれだっけ……?」
どうやら感じ取れた
ただバンビエッタちゃんだけは、なんのことか解ってないみたいね。
『記憶、飛んでるでござるな……本来なら仲間なのでござるが……けど! かわいいので問題ナッシングでござるよ!!』
「……おい死神! オレたちも連れてけ!」
「え? 連れて行けって、この霊圧のところに?」
「決まってんだろ。アレでも仲間だったヤツだからな。場合によっては、無理矢理にでも連れて行くぜ」
「うーん……」
無理矢理って、でもそれって涅隊長が関係しているはずよね……
どうしたものかしら……
「あれ、ママ? お電話鳴ってるよ??」
腕を組んで悩んでいると、バンビエッタちゃんが伝令神機を持ってきてくれました。
そういえばお菓子作りに邪魔だったし落とすといけないから、別の場所に置いていたんだっけ。マナーモードにしてたから、気付かなかったわ。
えっと、誰からの連絡――
「……チルッチ? 何かしら……??」
『
数日前、檜佐木君と一緒に料理を食べていたときにも連絡があったわねぇ……
なんてことを考えながら伝令神機に出たところ、まるで数日前のことを繰り返すみたいにチルッチの叫び声から始まりました。
「今度は何があったの?」
『どうもね、グリムジョーのヤツが
「え……!?」
そ、その二人が!?
『グリムジョーはどーせ、この前に来たあのガキに復讐するつもりでしょうけど。けどウルキオラのヤツがいるから厄介なのよ! まさかとは思うけど、二人揃って暴れる気かもしれないから!!』
「それは流石に無い……と思うけど……」
『とにかく、今回のコレは
伝令資金を通じて、遠くの方から音が聞こえます。
多分、ハリベルがこっちに来る準備をしているんでしょうね。
『ああもうっ! とにかく、あたしとハリベルが一緒に行くわ! あの馬鹿二人を連れ戻すから!! だから
……あ、通話が切れた。
……生き残った
ハリベルに会える……あの立派な
この状況は、つまり……
「……死神? どうした?」
無言で伝令神機の画面を見つめている私を心配して、リルトットが声を掛けてきました。
「事情が変わったわ。リルトット、キャンディス、ミニーニャ、ジゼル。それから……バンビエッタちゃんも一緒に来てくれる?」
「なんだそりゃ、どういう風の吹き回しだ?」
「ちょっと仕事手伝って! お願い!!」
不思議そうな様子の彼女たちに向けて、私は両手を合わせて頼み込みました。
原作通り、現場にはナナナも一応いるんですけどね。
アスキンの霊圧が目立ってて気付かない子たち。