『へっくしょん!!』
きゃっ!? 何、急にどうしたの射干玉……?
『いえ、何と言いますか……世界のどこかで、誰かが噂をしていたような気がしたのでござるよ!!』
え……? 射干玉の噂を……?
『いえ、
なんで私の噂で
『いえいえ、
その意見は否定しないけどさぁ……でも、微妙に納得しきれないっていうか……
はぁ……まあ、良いわ。
移動途中で
『巧みな話術(笑)』
――大部分はお菓子と餌付けの力で!! こう言えば良いんでしょう!?――
ついでにグレミィを中心とした
けれど、もう時間切れです。何しろ戦いの場はすぐそこまで来ていますから。
それから、そうなれば
だってこの子は、戦いの場で自分の力を示そうとしているんだもの。現場に到着すれば、自ずと戦いになるのは当然です。
しかもこれは元々、誘き寄せる作戦。現場では涅隊長が手ぐすね引いて待ってるはず。
となると、これでもう会えないのかしら……?
リルトットのお願いもあるから、なんとか引き込むつもりではいるんだけど……
そんなこちらの裏事情は知らないでしょうけれど、
別れが辛いのか、名残惜しそうな表情を私に向けてきました。
「申し訳ありません、湯川さん。そろそろ……」
「ええ、わかってます。私は、邪魔はしません……私は……」
「ありがとうございます! それと、美味しいお菓子をありがとうございました! この味は一生忘れません!」
うう、この笑顔を向けられるのが辛い……
「一生だなんて大げさね。もし良かったら四番隊に来る? そうすれば毎日でも作ってあげるわよ」
「毎日ですか!? あ、いえ……ですがそれは……もうしわけありません!!」
屈託のない笑顔が、一瞬にして食欲に染まりました。
ですが
『立派でござるなぁ』
「あらら、振られちゃったかぁ……けど、そうよね。
「そうですね。もしかしたら、アウラさんにお願いすれば作ってくれるかもしれません」
「え? アウラさん……って誰のこと?」
「自分の母親のようなものだそうです。そう教えて頂きました。ですので、お会いしたときにお願いしてみます」
なんとなく呟いた言葉に、
アウラさん……?
あら? この名前もどこかで聞いたような……?
これもガンダム、だったかしら……? いえ、マクロス……??
「では、失礼します!!」
私が悩んでいる間に、
えっ! ちょ、ちょっと待って!! その名前の人! アウラって名前の事をもう少し詳しく……
『その名前、多分ドットハックでござるよ』
あ、そっかぁ――って、そんなわけないでしょう!!
あとそのボケで思い出したわよ!! 現世のXCUTIONって宗教のトップがそんな名前だったはず!! だって同じ事を思ったんだもん!!
『おほほ♥ やはり拙者と
ん……?
ということは、時灘って現世にも干渉してるの!? うわぁ……流石にやりすぎでしょうそれは!!
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銀城と月島がアスキンを相手に茶番を繰り広げていた最中にまで時間は遡る。
「なんだぁ?
「何だ……!? いや、お前は元
自らの
一瞥するなり興味なさそうに呟くものの、銀城は突然の乱入者に声を上げる。
「アン? 俺のことを知ってんのか?」
銀城はグリムジョーのことを知っていた。といっても直接の面識があるわけではない。浮竹の元、護廷十三隊に世話になっているときに知る機会があったというだけだ。
付け加えれば、グリムジョーも銀城のことを知ってるといえば知っている。霊王護神大戦の最中で、一応は顔を合わせている。だが、直接刃を交えたことすらない相手のことをグリムジョーが覚えているはずもなかった。
それでも記憶の奥底を探るように銀城を観察するものの、それもすぐに飽きたのか尊大な調子で口を開いた。
「まあ、いい。とっととヒコネとかいうガキに伝えな。こないだの続きを
「馬鹿を言うな馬鹿を」
「ぐおっ!?」
宣戦布告にも似た言葉を告げた途端、まるで図ったかのようなタイミングでウルキオラがグリムジョーの腹部に肘鉄を入れた。
いくら腹筋の上から、それも手加減していたとはいえ、予想していなかった一撃にグリムジョーは呻き声を上げながらたじろいだものの、すぐに復活して怒鳴り声を上げる。
「ウルキオラ! テメエ、何をしやがる!!」
「この間の戦いからまだ半年程度だぞ? 死神たちに喧嘩を売るつもりか?」
必要以上に警戒させぬように霊圧を抑えた状態で移動していたため、グリムジョーよりも遅れていたウルキオラであったが、こうして追いついてしまえば話はまた別だ。
犬歯を剥き出しにして威嚇してくるグリムジョーに対し、ウルキオラは嘆息しつつ説得を試みる。
「はっ! それがどうかしたか!? 知ったこっちゃねえんだよ!! さっきも言ったが、先に仕掛けてきたのは死神だろうが!!」
「それなら俺も言ったはずだ。身内の問題だから
「それこそ知ったこっちゃねえな!! 俺はあのガキを殺しに来たんだ!! それとも何か!? 死神どもに頭でも下げろってのか!?」
「必要ならな」
さも当然の調子でウルキオラは告げる。
「忘れたのか? ここには死神どもが山のようにいるのだぞ。それも俺たちよりも強い死神が」
「……ッ!」
「あの子供にだけ狙いを定めるのならともかく、全ての死神を敵に回すような真似は止めておけ。お前だけならともかく、
「ヘッ! すっかり大人しくなっちまったな! そんなにハリベルに尻尾振るのが楽しいか!?」
「何とでも言え。俺は言ったぞ? あの全ての死神を敵に回すような真似は止めろ、とな」
「……へえ」
その言い回しに、ウルキオラもウルキオラなりに
そんな
「おい、これどうすんだ?」
「この
『えっと……なんかごめんね、コレはアクシデントで――』
『仕込みのワケがないだろう。馬鹿なのかネ? お前は私の言う通りにしておけばよいのだヨ』
『――ってことらしいから、ここからは彼も交えた即興でお願いできるかな?』
連絡を受けた京楽とマユリは、それぞれ簡潔にこの後に指示を出す。
だが京楽が口にした「
「へぇ……まさかこんなところで……会えるなんてなぁ……」
「どうした?」
マユリらが待機しているのとはまた違う場所に控えていた骸部隊の一人、ルピはグリムジョーを目にした瞬間に霊圧を膨れ上がらせた。
薄笑いを浮かべながら、その表情に暗い殺意を上乗せしていく。その只ならぬ様子にガンテンバインは思わず声を掛けた。
「んー? いやぁ、なんでもないよ。ただ、お仕事をちゃんとやらなきゃってね……どうせだし、ボク一人でやるよ」
「は?」
「あ、ごめーん。解りづらかった? だからさぁ――」
「――あの
そう言うが早いか、ルピは斬魄刀を抜くと「縊れ、
後に残されていた三人の
「……ッ! なんだよ、アレ……」
「あらあら、イヤねぇ。あんなに殺意を露骨に吐き出したりして。美しくないわ」
「若さ、だな」
残された骸部隊たちはルピとグリムジョーの霊圧を感じ取りながら言葉を交わす。
「いやアイツ、勝てるのか? グリムジョーに負けて殺されたんだろ?」
「我輩も直接見たわけではないが、不意打ちに近いとはいえ正面から胸を貫かれた挙げ句、上半身を
「んじゃ、今回も勝てないってことか?」
『バカなことを言うんじゃないヨ』
三人の会話に割り込む形で、マユリの声が聞こえてくる。
互いに離れた場所にいるので姿は見えないが、その声からは彼らには目もくれず作業の片手間に話しかけている雰囲気がありありと伝わってきた。
『あの
「おお、怖ぇ。自分の身体なのに何が起こるか解らねえのか。てか良いのか? ルピが勝手に動いているんだが?」
『構わんヨ。必要とあれば無理矢理にでも言うことを聞かせる――』
だがマユリの言葉は、クールホーンの声に遮られた。
「あら? じゃあ、あたしってば身体を色々とイジられちゃったわけ? きゃああぁぁっ!! いやーん!!」
『…………』
「「「ぎゃああああああああああああああぁぁぁ!!!」」」
ポチ、という何かのスイッチを押す音が通信機の向こうから聞こえた瞬間、三人の
涅骸部隊の隊員に仕込まれている、お仕置き用の機能である。
グリムジョーとウルキオラは何の前触れも無く、一瞬だけ視線を交差させた。その動作だけで何を言いたいのか互いに理解すると、二人は同じ方向へと瞬時に視線を向ける。
「……この霊圧は……!」
「ああ、俺にも覚えがある。だが、これは――」
――お前が殺したはずの霊圧だ。
その言葉を、ウルキオラは言い切ることができなかった。
遠くから、突如として感じた霊圧。その霊圧が、奇妙な動きを見せているのに気付いたからだ。
周囲にいる銀城らとアスキンたちも同じような感想を抱いたのだろう。グリムジョーらを無視するように大きく距離を取ると、いつでも対処可能とばかりに視線を同じ方向へと向ける。
彼らの動きに触発されたわけではないが、ウルキオラとグリムジョーもまた今までいた場所から大きく飛び退いた。
その動きに一瞬遅れて、虚ろな霊圧を宿した眩き光線が彼らがそれまでいた空間を飲み込んだ。膨大な力の奔流は空間の存在そのものすらも歪ませながら、
だがその光が輝きを放っていたのは長くても数秒にも満たないほど。通り過ぎた後には陽炎にも似た歪な蠢きが舞い踊り、そしてゆっくりと静まっていく。
「
光の残滓の先を睨み付けながら、真っ先に口を開いたのはウルキオラだった。
ルピという名を聞き、グリムジョーは苛立ちにも似た表情を見せる。
「やっぱりテメエかよ。わざわざ生き返って、俺にもう一度殺されに来たのか? なあ、元
「アッハァ、ムカつくなぁ!! ケダモノの王様はてっきりボクのことなんて忘れてると思ってたのに! まあ、安心しなよ。次に死ぬのはそっちだから! 元
かと思えば、ルピはグリムジョーに視線と意識を向けたままウルキオラへと声を掛ける。
「でもまさかウルキオラもいたなんてねえ。どうしたの? この野蛮な肉食動物のお守りでもしてるの?
「む……」
お守り、という言葉にウルキオラは一瞬だけ視線をグリムジョーへと向け直す。
「まあ、間違いではないな」
「ウルキオラ、テメエから
「あーダメダメ、グリムジョーはボクが殺すんだから。その後でなら……殺しても良いよ!!」
既に
その一撃を、グリムジョーは容易く打ち払う。
戦闘が始まった。
「アレが
「事前に知っておかなきゃ、危なかったかもね」
「幸か不幸か、今ので免疫を獲得しちまったが……ひょっとして俺が割り込んで止めにゃならんのか……?」
「さあ? それはそっちの隊長次第だろうよ」
グリムジョーとルピが戦いを始めたのを、銀城たちは少し離れた場所で観察していた。
二人の戦いには我関せずとばかりに軽い様子で言葉を交わし合う。
「八本の触手で変幻自在の攻撃をする
「ちょっとだけ面倒だね。銀城なら勝てる?」
「まあな。あれなら勝てるわ」
「僕も。過去を挟み込むのに面積が大きくなるし、楽だろうね」
「んじゃ、お宅らが行ってくれない!? ああ、ったく……」
暢気に会話する銀城と月島を横目に、アスキンは再びマユリへと連絡を取ろうとする。
内心でこっそり「同じ涅配下なんだし、部下の不手際なんだからマユリが動いてくれないかなぁ……無理だろうなぁ……」と思いながら。
「元同族がすまないな、死神――」
そこへウルキオラが、やや低頭な態度で入ってきた。
死神と言いかけて、だが銀城たちの顔を見てすぐに自身の発言を修正する。
「……ではないな。だが知り合いだと見た。特にそっちの二人は見たことがある」
「ああ。この間の
「ちなみにこっちの人は、その時に敵だった元
「今はしがない死神の使いパシリだけどな――おい、そっちでも解ってるんだろ? おっぱじめたけど、どうすりゃいいんだ? 俺はイヤだぜ」
その間もグリムジョーとルピは戦いを繰り広げている。
自身の怨敵――文字通り自分を殺した相手を見つけたルピは、
けれども今のグリムジョーは、ルピが知っていた頃よりもずっと強くなっていた。
時折スタークが、暇潰しの稽古代わりとばかりに殺し合いの相手を勤めていたり、今回のようにウルキオラが面倒を見ることもある。
内に秘めた霊圧は、かつて
その実力を存分に用いた上で戦っている。
如何にマユリの手で便利に
「ルピも決して弱くはないが、グリムジョーもあの戦いを生き残った。そう遅れは取らんさ」
「なるほど。だからアンタ、こうやって高みの見物していたのか」
ウルキオラの見立てに、銀城は納得する。
事実戦いはグリムジョーが優勢で動き続けていた。ルピは押され続け、全身に傷を負っている。
何が起きるか解らないのが戦いとはいえ、ここから巻き返すのは不可能に近い。
「見とけって、アンタ……いや、俺は楽だからいいけどよ……どう見てもあのグリムジョーって
アスキンも同じように見立て、口にしていた。
だが、その意見は唐突にひっくり返ることとなる。
「……なんだ!? 何が起こった!?」
突如としてグリムジョーは膝を着いた。
指一本すら動かすことはなく、その視線はあらぬ方向を見据えて呆然とした表情を浮かべている。間違っても戦闘中に取る行動ではない。
「んー、あの小さい
「は、毒だと? けどそんな素振りはどこにも……」
月島の言葉に銀城は首を傾げる。
だがその疑問に答えたのはアスキンだった。
「血に毒を……? ――ってことは、俺にも何か仕込まれてるのかよ!? ……え? 免疫を獲得するから
「……なるほどな」
正確にはやり取りを続ける通信から漏れ聞こえてくる言葉。その声でグリムジョーの身に何が起こったのかを朧気ながら理解し、納得する。
実際、ルピの身体には複数種類の麻痺毒が仕込まれていた。
今回効果を発揮したのはその一つ、意識だけが何度も同じ時間をループし続けるというものだ。
過去に立ち返るポイントを設定しなければ万全の効力を発揮しないとはいえ、それでもグリムジョーを相手に使うには十分すぎる――はずだった。
「あ、ごっめーん。ボクの返り血って特別な毒が仕込まれているんだって。仕組みは知らないんだけどさぁ、言ってなかったけ?」
傷だらけとなり、痛みを訴える身体を引きずるようにして動かしながら、ルピはグリムジョーへと近づいて行く。
「色々と思うところはあったけど……ま、久々に生きているって実感出来たし。感謝してるよグリムジョー……殺すけどね」
そして八本の触腕それぞれから
「ぐ、ぎ……が……」
「……なにっ!?」
全身を麻痺させていたはずのグリムジョーが動き出した。
いや、それは動いたと表現するのも憚られるほど稚拙なものだった。反射反応などに近いだろう。何より動きに意思というものが感じられない。
だがそれでも、全身麻痺に陥っていたはずの相手がしてよい動きでは無かった。
トドメを刺そうとしたルピが、思わず動きを止めてしまう程度には。
「やはり、か」
「何か算段があったのかい?」
グリムジョーが再び動き出したことに驚かないウルキオラの姿に、銀城が尋ねる。
「いや、そこまでの理由があったわけじゃない。あのままなら、手助けに行くつもりだった」
「なら、どうして?」
「簡単なことだ」
ウルキオラはさも当然事のように告げる。
「あの男がこの程度で止まるわけがない」
「へぇ……
それは自身が面倒を見て、霊圧を高めていたグリムジョーがこの程度で止まるわけがない。藍染惣右介の支配下にいた時ですら、自分勝手に動き続けていた男が少々の毒程度に屈するわけが無いという、ある種の信頼による言葉だった。
「が、あ……ああ……っ……っ……!」
「なんでだよ!? なんで動けるんだ!! まあいい! このまま逝っちゃえよ!!」
一度は止めかけた攻撃を、ルピは再び放とうとする。だがその直前に新たな乱入者が現れ、グリムジョーとルピの間に飛び込んだ。
ルピの
「ふぅ……何とかなりました……」
新たな乱入者――産絹
「あらら、本当に来たよ。
「偶然だが、僥倖だヨ。
現れた彦根を見るなりマユリは控えていたもう一人の
「ようやく出番だヨ。その数少ない取り柄を存分に行かして、奴の魂魄を丸裸にしてやりたまえ」
そう言われて、ナナナ・ナジャークープがゆっくりと動き出した。
「へいへい、精々頑張らせて貰いますよ……てか、アンタが直接捕まえりゃいいだろ? キルゲの能力を奪ったんだろ?」
「お前は思考能力が欠如しているのかネ? 出来るのなら最初から私がやっているに決まっているだろう」
ナジャークープは
そうしながらも浮かんだ疑問を口にすれば、マユリが訂正するように言う。
「それから幾つか認識違いをしているようだネ。まず奪ったのではなく、解析して利用しているだけ。加えてアレは霊圧の質が違いすぎる。あの混ざり物は霊圧パターンが特殊で
そう告げると、マユリは目を細めて遠くを見つめる。
「さて、これでどうなることかネ。願わくば最初から最後まで、私の手の上で踊ってくれたまえヨ。綱彌代時灘」
●グリムジョーが毒に
原作ではアスキンの毒で耐性が出来ていましたが。
拙作中では毒を受けてないので。霊圧で抗っても、この程度が限界です。声を出すのがやっとで、立ち上がることもできません。
本来ならこのままやられていました。
●
元々アレは
(拙作中のマユリ様は解析して「死神の敵だけを捕らえる」として利用していますが、
だから、ナナナが必要だったんですね。