お前は天に立て、私は頂をこの手に掴む   作:にせラビア

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 師匠によるとガンテンバインは「バラガンを神として崇拝していた」とのこと。
 (原作台詞の「神の名に~」はバラガンのこと)
 なので前話の已己巳己巴(いこみきどもえ)の言葉に反応させたかったんですが……
 (忘れていた人)


第422話 時灘を殴りに行き隊結成

 志波家に来るのも、半年ぶりくらいかしらねぇ……

 あの時は一心さんが海燕さんに土下座していたのを見ていたけど……まさか志波家にこれだけの人が――それも、死神やら破面(アランカル)やら滅却師(クインシー)やらが集まるなんて、あの時には思ってもみなかったわ……

 

「どうぞ皆様、粗茶ですが」

藍俚(あいり)おば様、どうぞ。おば様にお出しするには恥ずかしいんですが」

「ありがとうね。氷翠(ひすい)ちゃん」

 

 海燕さんの妻の都さんが、集まった人たちにお茶を出しています。娘の氷翠(ひすい)ちゃんも一緒に給仕係を勤めています。

 氷翠(ひすい)ちゃんから貰ったお茶を、私は一口飲みました。

 

 ……あー、お茶が美味しい……

 

『あの藍俚(あいり)殿……その、そろそろご説明を……』

 

 ちょっと待って。もう一口飲むから。

 

『いやいやいや!! 浮竹殿らの時灘逮捕組と京楽殿らの彦禰(ひこね)殿にイタズラ組が合流して、大人数で志波家のお庭でゴザの上に座ってお茶飲んでいる場面には、どう考えても説明が! 可及的速やかに説明が欲しいでござるよ!!』

 

 ずずず……はぁ~……

 

藍俚(あいり)殿!! 気を抜かないで!!』

 

 だって、ある意味ではすっごく平和な光景なんだもん。

 

 ホラ見て。バンビーズはアスキンとナナナの二人と楽しそうにお喋りしてるわよ。

 

『リルトット殿が「見てんじゃねえよ、この盗撮魔が!」とか言っておりますが……? ナジャークープ殿も「真っ先に陛下を裏切ったお前らが何を言ってやがる!!」と怒っておりますが!?』

 

 その後すぐに涅隊長がお仕置きしてるから大丈夫でしょ。

 

 ほらほら、あっちではチルッチがドルドーニたちと旧交を温めているわよ。

 

『チルッチ殿の「アンタら、生きてたのね」という言葉に、ドルドーニ殿が「生憎と死んでいたのだが」と返して、さらにガンテンバイン殿が「そもそも(ホロウ)だから死んでるぞ」と冷静にツッコミを入れてるでござるよ』

 

 でも、見物はやっぱりあそこよね。

 

「あの、白哉様!」

「何か?」

「緋真様の赤ちゃんが女の子だと聞きました!」

「ああ、そうだ。先日、名も真桜(まお)とようやく決まったのだ」

 

 氷翠(ひすい)ちゃんが、朽木隊長に話しかけています。

 話題は緋真さんのお腹の赤ちゃんのことね。お腹の中の性別と名前を聞いたところで、氷翠(ひすい)ちゃんの表情がパァッと明るくなりました。

 

「その、お願いなのですが……赤ちゃんが産まれたら、抱いてもよいでしょうか……? あの、私……」

「……ああ、構わんぞ。私も緋真も、女の子は初めてだからな。氷翠(ひすい)殿には是非とも色々と教えて欲しい」

 

 遠慮がちに訴えかける氷翠(ひすい)ちゃんの様子から、彼女が何を言いたいかを察したのでしょう。

 柔らかな笑顔を浮かべながら、彼女が望むであろう言葉を口にしました。

 

「それから、遅ればせながら礼を言わせてくれ。美味い茶をありがとう。真桜(まお)が産まれたら、娘にも茶の入れ方を教えてあげてほしい」

「はい! 任せて下さい!!」

 

 氷翠(ひすい)ちゃん、志波家の血を引いている割には控えめなところがあります。

 ですがこの時ばかりは年相応の、輝かんばかりの笑顔を浮かべました。

 

 都さん? 二人のやり取りをニコニコ顔で見ているけれど……大丈夫? その内、氷翠(ひすい)ちゃんから「母様、妹が欲しいです!!」って本気で強請(ねだ)られても知らないわよ……?

 

『年頃の女の子でござるからなぁ……』

 

 さ、心がほっこりするようなやり取りも見られたし……

 今回はもうこれでいいわよね?

 

『そうでござるなぁ……これ以上は無粋というものでござるよ……』

 

 

 

 

 

 

 

 

  

「……ねー! いつまで待たせるのさ!!」

 

 ――そんな淡い期待はルピの一言で霧消し、私は現実に戻されました。

 

 はぁ、仕方ない……それじゃあ、ご説明させていただきますね。

 

 浮竹総隊長たちの時灘捕縛部隊と、京楽隊長たちの彦禰(ひこね)さん捕縛部隊の作戦は、どちらも失敗に終わりました。

 時灘にも彦禰(ひこね)さんにも、どちらにも逃げられるというある意味最悪の結果です。

 二面同時作戦が失敗したので「一度合流して、持ってる情報の擦り合わせと今後の方針を見直そう」ということになりました。

 

 その会場に選ばれたのが、志波家です。

 流魂街に居を構えていて、大人数が集まっても問題ない程度には広くて、機密の話をしても問題ないということが物件選びの決め手でした。

 

 なお会場決定には、私も使われました。

 私、都さんと知り合いですからね……伝令神機でやり取りをして「今から行っても平気ですか?」と尋ねて、急いで用意して貰いました。

 

『あの、藍俚(あいり)殿……? 拙者が愚考するに、二面作戦のどちらにもマユリ殿がいたのですから……マユリ殿を介してやり取りをすればよかったのでは……?』

 

 涅隊長が、全てを間違いなく正確に伝えてくれると思う?

 どこかで意思決定が誘導されないって保証、あると思う?

 

『……拙者が間違っておりました』

 

 今回は協力的だけど、でも日頃の行いって大切よねぇ……

 

 他にも――

 

 顔を合わせて今後の事を決めたい。

 集まった破面(アランカル)の人たちにもキチンと説明したい。

 叫谷(きょうごく)に向かうのに、瀞霊廷の中では万が一の場合に危険。

 

 ――といった理由から、流魂街に居を構えている志波家は都合が良かったんですね。

 

 ……あ、叫谷(きょうごく)というのは、尸魂界(ソウルソサエティ)虚圏(ウェコムンド)とも違う、異世界みたいな特殊な空間。黒腔(ガルガンタ)断界(だんがい)の中に発生する、不思議な場所なんです。

 雑に言っちゃうと、気がついたら出来ていた三角州とか無人島みたいな場所ですね。

 一応、死神が生きていける程度の霊子はあるんですが……無人島で例えたように、何にも無いんです。

 落ちぶれた貴族の流刑地なんかにも使われていた場所ですからね。

 

 その叫谷(きょうごく)の一つに、時灘は逃げ込みました。位置は既に特定済みです。

 なんでそんなことが解るのかというと、涅隊長(時灘捕縛組の方)が探索して見つけたからです。

 何しろ時灘は、涅隊長の目の前で逃げましたからね。

 

『なんという説得力! マユリ殿の目の前というワードだけでもう絶望しかないでござるよ!!』

 

 さて、そんな風に射干玉が大絶賛の涅隊長ですが――

 

「誰が勝手な発言を許可したのかネ? 大人しく待てんのかネ?」

「あががががががっっぅぅぅっっ!!!!」

 

 手元のお仕置きスイッチを押して、ルピに電流を流しています。

 

「ぐあああああああぁぁっ!!」

「やめろおおおぉぉぉっっ!!」

「なんで、免疫が……おご、おごごごごご……!!」

「そうよ! もっと、もっと私は輝ける!!」

 

 お仕置きは部下の人たちで同罪なので、ドルドーニたちも苦しんでいますね。シャルロッテだけは、なんだか平気そうですが……

 それとアスキンは能力で耐性を得るはずなのに……通用、してますね……

 

『マユリ殿でござるからなぁ……』

 

 その「マユリ殿だから」という言葉、説得力がありすぎるわよね……

 

「あー、ごめんね。待たせちゃって。それじゃ、そろそろ始めようか」

「時灘を今度こそ捕らえる。今度こそ、遠慮は無用だ」

 

 電撃が収まった頃合いを見計らって、京楽隊長がポンポンと手を叩きながら開始を宣言します。

 開口一番飛び出したのは、浮竹総隊長の力強い一言でした。

 

『あの、藍俚(あいり)殿? 浮竹殿たちは話し合いをしていたのでござるよね? でしたら、なんで……藍俚(あいり)殿はハブられていたでござるか……?』

 

 一介の隊長に何をしろ、と?

 

『一介の隊長という言葉を使っておりますが……浮竹殿や京楽殿よりも藍俚(あいり)殿は先輩でござるよ? 先輩として、こう……助言の一つでもないのでござるか!?』

 

 ……えっと……い、一介の医者に何をしろって言うのよぉ……

 べそべそ……いいじゃない……私の役目は、この場の監視とか、あと雑用係に毛が生えた程度のことなんだからぁ……えっぐえっぐ……

 

『あーあー、泣いちゃ駄目でござるよ。女の子でござろう?』

 

 そうね! 女が泣いていいのは、一生に二回! 父が死んだときと、母が死んだときだけ!!

 ……?? 私の、父と母……とは……????

 

『ほらほら、浮竹殿がお話してるでござるよ!!』

 

「まず、事情を知っている者たちへだ。時灘の罪は既に認められた。中央四十六室も認可した。あいつはもう貴族でもなんでもない。大義名分もある以上、仮に全死神を動かしたところで何ら憚ることはない」

「――って言っても、それは建前なんだけどね。現実的には不可能だし、罪と決定しても時灘はそれで大人しく捕まるようなタマじゃない」

「何より時灘は、綱彌代家の当主として活動していた。その間にどれだけのことをしたか、まだ把握しきれておらず、危険が高い。とはいえのんびり調査をしている猶予もない。よって少数精鋭を以て、確実に時灘を捕縛する」

「産絹彦禰(ひこね)の例があるように、どんな罠が待ってるか解らないからね。だから強いヤツを出すことにしたんだ」

 

 本音と建て前の役割が綺麗に分かれてます。聞いててちょっと面白いですね。

 

「次に、ハリベルら破面(アランカル)だ。我々死神の騒動に虚圏(ウェコムンド)を巻き込んでしまい、本当にすまないと思っている」

 

 浮竹総隊長はハリベルたちに頭を下げました。

 

「湯川も言ったそうだが、今回の件は死神側の失態だ。そこのグリムジョー君のように怒鳴り込みたい気持ちも理解できる」

「ぐ……う……」

 

 あ、ちなみにグリムジョーはまだ麻痺したままです。

 ルピがニヤニヤしてますが、同時に殺せないので若干イラついています。

 

藍俚(あいり)殿!? ち、治療は……?』

 

 静かだし、しばらくはいい薬になるって……ハリベルが言ったから……

 

藍俚(あいり)殿!? 御意志を!! 自分の御意志というものは!?』

 

 だってぇ……ヘタに起こすと面倒なことになりそうなんだもん……

 あとハリベルもチルッチも「少し放っておけ」って言ったんだもん……

 

「つまり、ここからはアンタらに任せておけって? んで、その時の冒険譚をお茶会の席で藍俚(あいり)が面白おかしくお喋りしてくれるのを待ってろってこと?」

「ああ、そうなる」

藍俚(あいり)ちゃんのお茶会云々の部分については聞かなかったことにして――公的に認められちゃったからね。おおっぴらに『破面(アランカル)と協力しました』って言えないんだよ」

「はあぁーっ!? こっちは既に殴り込まれて被害にあってんのよ!? オマケにグリムジョー(コレ)がやられてんのよ!?」

 

 二人の言葉にチルッチが反論しながら、グリムジョー(コレ)を指差します。

 

『コレ扱いでござるよ……』

 

 そしてルピは技術開発局の備品みたいな扱いだから……死神側(ウチ)の責任ね。

 

「とっ捕まったのがどうなったかくらいは、知る権利があるでしょ!」

「チルッチ、少し口を慎め……あとお前は、自分が暴れたいだけだろうが」

「そこはグリムジョー(コレ)がやられた仇討ちってことにするとして――」

 

 ハリベルの言葉に反論どころか、シレッと矛先変えたわね。

 

「あとハリベル! アンタはグリムジョー(コレ)を連れ戻すのが目的でしょ? ならもう目的はほとんど達成してるじゃない! 後はそこの二人いる死神から解毒薬を貰えばいいんでしょ?」

「「私が大人しく渡すとでも?」」

「ステレオで喋るんじゃないわよ! アンタ、ただでさえ見た目がぶっ飛んでるんだから!!」

 

 時灘組と彦禰(ひこね)さん組の両方に涅隊長がいましたからねぇ……

 今現在、二人いるんですよね……涅隊長……

 同じ場所に端末が二つとか、無駄だと思うんだけど……

 

『絶対面白がってやってるだけでござるよ……』

 

「あと、あのガキの持ってた斬魄刀……喋ったでしょ? バラガンのジジイの名前を口にしたでしょ? アレ(ホロウ)なんでしょ? だったら、同じ虚圏(ウェコムンド)(ホロウ)がいれば、少しは役に立つんじゃないの?」

 

 そこまで言うとチルッチが後ろから抱きついてきました。

 首に手を回しながら、お山(おっぱい)を私の頭の上に乗せてきます。

 

『極楽でござるなぁ……』

 

 この格好は、私を完全に信頼しきっているわよねぇ……

 

『好感度、めちゃ高でござるな……』

 

「どうせ藍俚(あいり)は行くんでしょ? 戦力なら、腹立つけどウルキオラの方が上でしょ? 黒腔(ガルガンタ)開くなら、あたしでいいし。ほらハリベル(アンタ)は無理に出なくてもいいでしょ? ……アンタは今、虚圏(ウェコムンド)の頭領なんだから」

 

 私の頭の上で、チルッチがプイッと顔と視線を少し逸らした気配がしました。

 

 えっと、これ……チルッチがハリベルを心配してるってこと……!?

 分かり難いけど、ツンデレ的な態度ってこと!?

 ……いい、わね……実にいい……!!

 

「……グリムジョーが文句を言うと思うが……」

「戦場で毒くらって麻痺ってるようなヤツには、自業自得でしょ? だーかーら、助けて貰っただけでも感謝しときなさいよグリムジョー! 聞こえてるかどうかは知らないけどさァ!!」

「……ぎ、ぎ……」

 

 今、気のせいかもしれないけどグリムジョーの表情がもの凄く歪みました。

 

「うーん……(ホロウ)で出来た斬魄刀を相手にするのには、彼女の言葉も一利あるんだよねぇ……」

「……だが同行は認められない。君たちは帰ったんだ」

「ちょ……!!」

「けどその後のことまでは、ボクたちは関与できないけどね」

黒腔(ガルガンタ)を開いて自在に行き来できる破面(アランカル)だ。なら偶然(・・)にも、叫谷(きょうごく)で再会することもあるだろう」

「……ああ、そういうこと。まったく死神ってのは面倒なんだから……!!」

 

 あくまで公的には、ですからね。建前は建前で必要なのよ……面倒だけどね……

 

「……解った。仕方あるまい。ウルキオラ、このワガママ女のお守りを頼むぞ」

「誰がワガママ女よ! このサメ女!!」

 

 ハリベルも納得しちゃったわね……

 ……ええっ! ということはハリベル抜きなの……!?!?

 そんな……ハリベルと一緒に、頼ったり頼られたりしたかったのに……キャッキャウフフしながら、お山(おっぱい)を観察とかしたかったのに……!!

 

「ええっ! ちょっと待ってよ! 何を勝手に――」

「やかましいんだヨ」

「あばばばばばばばばば!!!!」

 

 ルピが文句を言いかけましたが、涅隊長が即座にスイッチを押して説得してくれました。

 これにて一件落着ですね。

 

「なあ、てことはよ」

 

 一件落着したのも束の間、今度はリルトットが手を挙げました。

 

「ここから先は、死神共だけってことだよな? そこの(ホロウ)二人は勝手に参加するから勘定から抜くとして……オレたちも関係ねえってことだよな?」

「……あ、そっか」

「そう言われればそうですぅ! 隊長さんに連れてこられたので、てっきりそのまま参加する必要があると思ってたの……」

「っしゃああああぁぁっ!!」

 

 ジゼルがもの凄い男の子っぽい声を上げました。

 そんなに嬉しいの? あなたたちは四番隊(ウチ)で預かっている形だから、隊長が「必要です」って言えば、強制的に連れて行けるんだけど?

 

「そう、だな。キミたちは湯川の管理下にいるが、参加の義務はない。尸魂界(ソウルソサエティ)としても、残った滅却師(クインシー)は保護する形である以上は無理強いさせることもできない」

「おっ、それホント?」

「ならもう、これでパスってことで……」

「お前達は別だヨ」

「「ぎゃあああああああああああぁぁぁっっ!!」」

 

 総隊長の言葉に、涅隊長配下の滅却師(クインシー)二人が一抜けしようとしましたが、あっさりとお仕置きを受けました。

 

「死ににくさと霊圧観測が取り柄だろう? なら、特技を活かして精々役に立ってくるんだヨ」

「そもそもお前達は技術開発局(わたし)の管理下にあるのだヨ。勝手に動けると思っていたのかネ?」

 

 涅隊長二人掛かりのお説教……しかも実に息のあったコンビネーション……

 この人、やろうと思えば二人で一つの言葉を言えるんじゃないのかしら……

 

『つまりは「こ」「ん」「に」「ち」「は」と、一文字ずつ交互に、それでいてスムーズかつ違和感なく言うのでござるな!! ……きっと出来ると思うでござる……根拠はないですが……』

 

「えっと、アスキンたちの面倒は私が見ておくから。バンビーズのみんな(あなたたち)は、戻ってくるまで自由時間ってことで」

「おっ、休みか!」

「お買い物とか行っていいの!?」

「ママ……」

「大丈夫よバンビエッタちゃん。ちゃんと戻ってくるから……」

「なら、オレは行くぞ」

 

 バンビエッタちゃんが心配そうな目で見てきたので、彼女の頭を優しく撫でながら……

 ……え? 今、最後に言ったのって……

 

『一人称の時点で丸わかりでござるが……』

 

「リル!! お前……」

「えっと……この死神が行く以上、もう全部丸投げしちゃってもいいって思うの……殺しても死なないし……」

「死神、お前は知ってるだろ? あのガキとはちょっとあんだよ。だから行く」

 

 ミニーニャがちょっとだけ聞き捨てならないことを言っていますが、それは置いておくとして。

 リルリットは彦禰(ひこね)さん――正確には彦禰(ひこね)さんの中の人ですが――とちょっと因縁があるみたいですからね。気になって、参加したいと思うのも当然なのかもしれません。

 ……ただ、他の子は行く気は無いみたいですけど。

 

『案外、バンビーズの皆さんは瀞霊廷でまったり生活してるでござるからな……半年前までの飢えた狂犬のように闘志剥き出しだったのが嘘みたいでござるよ……』

 

「参加してくれるのなら、俺たちが止めることはないが……」

「女の子の決意に水を差すのも野暮だからね。大丈夫、いざとなったらボクが守ってあげるよ……って、冗談だよお花……」

 

『京楽殿が斬魄刀に怒られてるでござる……』

 

「では……――」

「ちょっと待てよ浮竹。まさかとは思うが、俺たちも不参加ってんじゃねえよな?」

「銀城……」

 

 シメに入ろうとしたところで、銀城君が声を上げます。

 

「あの彦禰(ひこね)ってガキは、俺を名指しで『負けない』なんて言いやがった。売られた喧嘩は買う主義でね。そうでなくてもこうなった以上、時灘ってヤローはぶん殴ってもお咎め無しなんだろ? なら行くに決まってんだろうが」

「駄目だ!」

「浮竹!!」

「時灘を殴るのは、俺の役目だ! 遠慮は無用だと俺は言ったぞ! だからアイツは俺が殴る!!」

「浮竹……いいねぇ、その熱い言葉……んじゃボクも、お付き合いでひっぱたくとするかぁ!」

 

 てっきり止めると思ったんだけど、むしろコレ銀城君に暴力推奨してるわね。

 

「やれやれ、貴重な完現術者(フルブリンガー)のサンプルを……まあ、総隊長殿のご命令だ。従わないとネ」

「悪ぃな、遅れた」

「あー! あいりんだーっ!!」

 

 呟きながら、涅隊長が懐から何かを取りだそうとしたところ、更木副隊長が現れました。そして当然ですが、やちるさんも一緒です。

 

「ねえねえ、おやつある?」

「もう残り少ないから、これだけね」

「むぅーっ……! 仕方ないかぁ……」

 

 さっきまで更木副隊長の肩に乗ってたはずなんだけどなぁ……

 やちるさんは気がつけば私の足下にいて、おやつを催促されました。

 

 それにしても、更木副隊長ですか。

 一応今回の作戦としては、荒っぽすぎるということで不参加の予定だったんですけど……けどこうなった以上、呼ばれるのは当然ですよね……

 

「いや、良く来てくれた」

「最初は俺は用済みだとか抜かしてやがったくせに、結局出張るのかよ」

「そう言わないでよ、副隊長の力が必要になっちゃったんだから。こっちの落ち度だから耳が痛いんだけどね」

「気にすんな。斬り合いが出来りゃ、文句はねえ」

 

 ニヤリと凶悪に笑いながら、私をチラリと見ます。

 

藍俚(あいり)がいるのに獲り逃がしたんなら、期待も出来そうだからな」

「けど剣ちゃん。烈ちゃんが言ってたでしょ? あんまり無理しないでね、って。だから無理しちゃだめだよ?」

「そりゃ俺じゃなくて、敵に言え」

 

 顔に思い切り「無茶は大歓迎」と書きながら、更木副隊長は珍しく神妙な表情を見せました。

 

「さて、では暴力装置も来たところで――」

「向かおうじゃないか、時灘のところにネ」

 

 一人の涅隊長が懐から球体を取り出せば、その球は瞬時に膨張して漆黒の空間を造り上げました。

 その空間の中へもう一人の涅隊長が足を踏み入れました。

 

 

 

 ……涅隊長、端末をフル活用してるわね……

 




●打ち合わせという名の人数調整
 グリムジョーとかハリベルとか、原作で出てるし……
 滅却師(クインシー)組は人数多いし……
 あと狛村と白哉を目立たせたい……
 そんな理由で、ここで人数調整です。それっぽい理由がある子以外は待機ですね。
 (※ マユリ様の部下には拒否権どころか人権すらない)

●悲しい本音
 私だってね! ハリベルさんを出したいんですよ!!
 でもハリベルを10行書く間に、チルッチは50行くらい書けるだもん……

●もっと悲しい本音
 剣ちゃんがやちると一緒にいて平気で卍解する世界で、人海戦術的とか何の意味があるのかなって……
(極論「剣ちゃん卍解して。藍俚(あいり)殿はそれを治し続けて」で大体片付いてしまう……陛下レベルじゃないと相手にならない……)
 誰ですか! こんな世界にしたのは!!
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