お前は天に立て、私は頂をこの手に掴む   作:にせラビア

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第46話 副隊長になると色々交流の幅が増えます

「お疲れ様です、藍染(あいぜん)隊長(・・)。それと……平子(ひらこ)副隊長(・・・)

「逆や逆ぅ!! 俺が隊長やっちゅうねん!!」

 

 今日も勢いよくツッコミが入りました。

 

 

 

「すみません、平子隊長。藍染副隊長も」

藍俚(あいり)ちゃんはホンマ……このやりとり何度目やねん。顔合わせるたんびに副隊長呼ばわりしおってからに……隊首羽織も着てるんが見えんのか!!」

「ですが、何度も繰り返すのがお笑いの基本だって……」

「お笑いちゃうわっ!!」

「専門用語で天丼と言うそうですよ」

「いくら天丼かて限度があるわっ! てか、こんだけ繰り返せばいい加減胸焼けするわっ!!」

「美味しいから大丈夫ですよ」

「それは料理的な意味での"美味しい"か!? それともお笑い的な意味で"おいしい"っちゅーことか!?」

 

 うーん、立て板に水のような淀みないやりとりですね。素晴らしい。

 こちらの方は平子(ひらこ)真子(しんじ)五番隊隊長。その隣にいるのが、皆大好き藍染(あいぜん) 惣右介(そうすけ)五番隊副隊長です。

 この二人と会った時にうっかり「藍染隊長」と言ってしまいまして、慌てて「……と平子副隊長ですね」と繋げました。幸いにも平子隊長が「ちゃうわボケッ!!」と突っ込んでくれたので、事なきを得ましたよ。

 

 ……多分、事なきを得られたと思います……おそらく……きっと……

 

『めちゃめちゃ気にしてるでござるな……』

 

 そりゃあ気にするでしょ? 相手はあの眼鏡を握り潰したことで有名な相手なのよ! あのメガネキライーに目を付けられたら、どんな目に遭うことやら……

 

『メガネスキーなら聞いたことがありますが、メガネキライーとはまた斬新な表現でござるな……』

 

 だってあの人は眼鏡を握り潰したのよ? 嫌いに決まってるじゃない……

 

『もうその認識でいいでござる……』

 

 なのでそれ以来、二人に会う度に「こっちが隊長でこっちが副隊長」「逆や!」のやりとりを繰り返しています。

 これだけ繰り返してボケをかませば、藍染もきっと油断するでしょうから。

 あの「藍染隊長」発言も「なんだ只の()ボケか」と処理してくれるはずです。

 

『そういえば、徳島に大歩危(おおぼけ)小歩危(こぼけ)という場所がありましたな。風光明媚な峡谷ですが、大股で歩くと・小股で歩くと危険だからその名がついたとか』

 

 それ、逆らしいわよ。

 断崖を意味する"ほけ"って古語があって、そこに後から漢字を充てたんだって。

 

『へぇー、へぇー、へぇー、ガッテン!!』

 

 また懐かしい小道具を……今、なんか違うのが混じってなかった?

 

『んほぉ~ボタンとか、らめぇ~ボタンとか個人的にはキボンヌ!』

 

 もうブーム終わってるから諦めなさい。

 そんなことよりも。

 

 今は往診の帰りなのですが、こうして偶然出会ったので慣れたやりとりをしてました。

 そして砕蜂ですよ砕蜂!

 あの子、今は刑軍に正式に就団してガンガン成長してるみたいです。お兄さんから秘伝をいっぱい受け継いでいるみたいですね。

 夜一さんとの仲も良好みたいです。

 あの(フォン)家から遂に麒麟児が生まれた、みたいに評されていますよ。

 往診中に漏れ聞いた話だと、夜一さんから特別に目を掛けられているからちょっとだけやっかみを受けていたけれど、その文句を黙らせるくらいに才能があったとか。

 

 ……やっぱり、原作で隊長まで上り詰めた人は違いますね。

 

 ……そう言う意味では、今私の目の前には砕蜂よりもやべー奴(隊長まで上り詰めた)がいるんですが……

 あれ、心配になってきた……

 

「まあまあ、隊長。湯川副隊長も。二人とも仲がよろしいということでいいじゃないですか」

「さすがは藍染隊長(・・)。そういう余裕を持った堂々とした態度はやっぱり隊長の風格を感じさせますね」

「せやから俺が隊長や言うとるやろが! 何遍同じ事言わせんねん!!」

「いえ、他隊の副隊長を口説くような方を隊長扱いするのはちょっと……」

「隊長……そんなことしていたんですか……?」

 

 思わず並んでジト目を浮かべる私と藍染。それに対して平子隊長も負けてません。

 

「こんな性格や知っとったら口説いてへんわ!」

「そういう言い方は湯川副隊長に失礼かと思いますが……」

「そうですよ! 人を黙っていたら美人みたいに……」

「なんや、わかっとるやないかい!」

「つまり喋っている今は可愛さ倍増ですよね?」

「えーかげんにせえよお前!! しまいにゃその乳揉むぞ!!」

 

 そうは言っても、今はときどきチラチラ視線が動いてますよね?

 わかるんですよそう言うのって。

 

「おいおい、何の騒ぎだ?」

「なんだか物騒な声が聞こえてきたんだが、お前か真子?」

「あっ! あいりん!!」

 

 天下の往来で漫才してれば、そりゃ目立ちますよね。

 騒ぎを引き裂くようにやってきたのは、愛川(あいかわ) 羅武(らぶ)七番隊隊長。六車(むぐるま) 拳西(けんせい)九番隊隊長。久南(くな) (ましろ)九番隊副隊長の三名です。

 

 愛川隊長は長身でアフロヘアが目立ちます。豪快な性格ですが下の面倒見が良いので、男性死神に特に慕われています。

 六車隊長は喧嘩っ早くて気性の荒い、荒々しい性格の方です。筋肉質でスポーツマンとか不良って感じなのですが、意外と女性死神から「あの野性的な雰囲気が素敵」と言われてます。

 久南副隊長は……何と言いますか、良くも悪くも天然で子供っぽい。元気いっぱい自己主張もいっぱいな方です。昔、彼女が四番隊に来た――お見舞いにきたとからしい――時に、きまぐれにお菓子をあげたことがあったのですが、そうしたら懐かれました。

 

「愛川隊長、六車隊長。それに久南副隊長も。申し訳ありません、平子隊長が私の胸を揉むと言って聞かなくて」

「なんだと!?」

「おいおい、そりゃ見過ごせねぇ話だな」

「なにそれ? 女の敵じゃん!」

 

 と、口ではそう言って憤っていますが、三人とも顔が笑っています。

 

「ちゃうわ!!」

「ご心配なく、平子隊長と湯川副隊長の漫才が白熱していただけですから」

「なんだ、いつものことか」

 

 藍染がそういうと、そういうことかとばかりに一瞬にして矛が収まりました。

 ……ほんと、こういうのは信頼の差と言いますか人心掌握術と言いますか……上手ですよねぇ、藍染さん……

 

「申し訳ありません、六車隊長に愛川隊長。それに久南副隊長も、お騒がせしました」

 

 と、お三方に頭を下げておきます。そしてコッチの二人にも同様に――

 

「平子隊長と藍染副隊長も、ご迷惑をおかけしました」

「あー、もうええわ……てか、あのボケはそろそろやめとき。さすがに腹いっぱいやからな」

「……あの、やめろってことは、やれって意味ですよね?」

「そんな気は遣わんでええねん!!」

 

 

 

 

 

『という、後の仮面の軍勢(ヴァイザード)たちとも交流がありますよ、というだけのお話でござるよ!』

 




嵐の前の静けさって感じですよねぇ……

●へぇー
無駄知識番組、トリビアの泉で活躍してたボタン。

●ガッテン
生活情報番組、ためしてガッテンで活躍してたボタン。


……なんか足りないような……まあいいや。
(正直な話、平子に「逆や逆ぅ!!」と言わせたかっただけ。逆撫的な意味でも)

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