「副隊長! 今月号の瀞霊廷通信読みましたか!?」
「いえ、まだだけど……何かあったの?」
「見てくださいよこれ!!」
瀞霊廷通信片手に勇音が大慌てでやってきました。
何事かと思えば顔に押し付けるような勢いで、眼前いっぱいに紙面が広がりました。
「……なにこれ?」
「ですから、瀞霊廷通信ですよ!! 今月号から大幅に刷新されたって、みんな大騒ぎしてますよ!!」
そこには、今までの瓦版のような事実だけを淡々と書き連ねた退屈な読み物ではなく、多色刷りで目にも楽しい、そして様々な記事が満載になった冊子がありました。
「オススメのお店……最新流行の紹介……あら、小説とかもあるのね。行事の予定も載ってるけれど、その行事についての歴史やどう楽しんだら良いかとかのやり方まである……話題に事欠かないわねぇ……」
ペラペラとページを捲っていくと、記事の多いこと多いこと。
今までの無味乾燥な読み物から一転して、物凄い量の情報誌になってます。
「編集長
奥付に記された名前。
ついに来ちゃいましたね、盲目の隊長が。
ということで、
とあれ、旧隊長たちの代わりに新隊長たちが増えてきました。
六番隊は、まだ隊長ではありませんが白哉が台頭してきてます。
十二番隊は、浦原隊長から
九番隊は、六車隊長から東仙隊長に。
五番隊は、平子隊長から藍染隊長に。それと副隊長には
他にも一方的に見知った顔が大分偉くなってます。
そうそう、藍染が隊長になった時に実はちょっとだけお話をしました。
こんな風に――
「お疲れ様です。藍染隊長、それと平子副隊長……」
「逆や逆ぅ、そう返すのがお決まりでしたよね」
「ええ、そうです」
「……もう、このやりとりも出来ないんですね」
藍染隊長はそう言いながら、少しだけ悲しそうな顔をしました。
「平子隊長に甘えた、おふざけみたいなやりとりだったのに……本当のことになっちゃいましたね……すみません、思い出させるようなことを言ってしまって」
「いえいえ、謝らないでください。悪いのは平子隊長たちに
「そんな……!」
「いいんです、もう決めたんですよ。平子隊長の代わりに、これからは僕が五番隊を引っ張っていこうって。だからもう、気にしないでください」
そう口にする藍染隊長は、隊長を救えなかったという自分の無力さを噛み締めているような、そんな辛そうな雰囲気を纏っていて……
それでいて決意を新たに前を向いていこうとするような、そんな風に見えました。
――なんてね。
とまあ、こんな感じの会話をしました。
あの事件は浦原が主犯ということになっているので、藍染隊長がこういう反応を見せるのも当然なわけですね。
うーん、なんて白々しいんでしょうか。
まあ私もそれを知った上で、こんなことを言ってるわけですから。
何も知らない人から見れば、しんみりとしちゃう一幕の光景ですよねぇ……
『ですが拙者たちからすればなんとも滑稽でござるなぁ!! 狐と狸の化かし合いとはまさにこのことでござるよ! はたまた逆ドッキリの仕掛け人の心境?』
しかも化かし合いの力量差がありすぎるっていう、ね……
『
誰が馬鹿よ!!
あ、ちなみに。
さらに
ですが
ほらあの、なんだっけ? ハリベルさんの一つ下のナンバーだった
(『ウルキオラ殿のことでござろうが、黙っておきましょう……』)
アレみたいに第二段階開放!! って出来るのは何時になることやら。
(『
卍解が斬魄刀と語らったり屈服だから、
でもあれができたら、悪魔みたいに羽根が生えるから……こう、サキュバスみたいに男を誘惑とかしてもいいかもしれない!!
あそこまで変身すれば私だって身元もバレないだろうし!!
(『たとえ二段階層に至っても、全員があの悪魔のような格好になるわけではありませぬが……あれはウルキオラ殿だからこその姿の筈ですので……』)
……ごめん、前言撤回。
やっぱり私って馬鹿だわホントに。
なにがサキュバスよ……
「あの……副隊長?」
「……あ、ごめんね。ぼーっとしちゃってたみたい」
「い、いえそんな……あの、あのですね……瀞霊廷通信に載っていたこの、このお店なんですけれど……もし良かったら、今度一緒に行きませんか……? あ、あの勿論! 副隊長の都合が付けば、なんですけれど……」
「ええ、勿論平気よ。一緒に行きましょうね」
やたらと緊張した面持ちで誘ってくる勇音にそう返事をします。
……そういえばこの子、卯ノ花隊長に鍛えて貰ってるらしいって聞いたんだけど。
見たところ、傷跡はおろか全然そういった痕跡がないわね。
やっぱり原作で活躍した子は違うのねぇ……
●虚化した状態で卍解
さらっと言っていますが、これ普通だと不可能みたいです。
始解が限界、みたいですね描写を見る限り。
(
虚の力と死神の力(斬魄刀)で相性が悪すぎて、仮面を被ると卍解できない……らしい。
ただまあ、何事にも例外はあるというか。
藍俚の場合はほら……ブランさんと射干玉がね……屈服がもう……
これら事実を藍俚は知らないので、普通にサラッと流してます。
(無知なのでとんでもねーこと言ってるのに気付いていない)
●虎徹勇音の修行
後々ちゃんと描写しますが、とある理由で随分と優しいです。
怪我とかしないレベルです。
さて。
次から数話ほど、アレが続きます。