お前は天に立て、私は頂をこの手に掴む   作:にせラビア

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第66話 更木剣八と一緒に素敵な午後のひとときを

「オマケに俺の一撃を防ぎやがった。こりゃあ、愉しめそうだぜ」

「……更木、隊長……」

 

 その姿を見ただけで、思わず息を飲んでしまいました。

 背中に冷や汗が流れ出し、うなじの辺りはチリチリと警告のようなものを発しています。

 

 これは意識の差。

 

 今までは面と向かうことがあっても、遠巻きに見ていただけ。相手も私なんて、路傍の石くらいにしか思っていなかった。

 でも今は違う。

 十一番隊の猛者たちを孤剣で倒している。不意打ち――相手からすれば小手調べの戯れ程度でしょうが――を防いで見せた。

 それらの事実から、私のことを明確に"戦うに足る相手"と認識して見ている。

 

 だからこんなにも……圧が強い……!

 

『やべーでござるよ、ミナデイン殿でござる!! これはガチ中のガチでござる!! どのくらいやべーかというと、卯ノ花殿が黒髪お下げで眼鏡の巨乳委員長キャラに見えるくらい危険が危ないでござる!!』

 

 ……射干玉(あんた)の反応を見てたら一周回ってなんだか安心してきたわ。

 

『もしくは青髪でセーラー服を着た美少女に見えてきたでござる!! 突きに代わっておしおきされそうでござる!! デュフフフフ!!』

 

 この状況でその反応が出来るのはいっそ感心するわ。

 てか、あんたの好みって……私の姿形から逆算すると、射干玉は木星とか冥王星? 髪型だけで考えると月という線もアリかしら。

 それと、その突きは誤字なの? それとも斬魄刀で突き刺して欲しいの?

 よくわからないけど、水でも被って反省しておきなさい。

 

「女、お前だろ? 少し前に十一番隊(ウチ)に面白ぇ(モン)を送ってきたのは」

「……ええ」

 

 少し緊張しつつも、首肯します。

 全員ぶっ飛ばしちゃった時点で、否定なんてもう無理だからね。

 

「チッ! こんな強え相手が来るってわかってりゃ、(ホロウ)退治なんて後回しにしたのによぉ!!」

(ホロウ)退治……ですか……?」

「昨日になって急に仕事が回ってきてな。ったく、めんどくせえが仕事は仕事だ。俺が出張る必要もねぇような雑魚だったが――」

 

 そこまで口にすると、私を見る目がより強力になりました。

 視線だけで射殺せそうなくらいに凶悪な目つきです。

 

 ……というか、急に回ってきた仕事……まさか、ねぇ……

 違いますよね隊長!? この人が来ない間に片付けろって意味ですよね!?

 邪魔が入らないように露払いが終わった後で戻ってきて、タイマンになるように調整して手を回したわけじゃないですよね!!

 

「――祭りが盛り上がった頃に参加できたとなりゃ、寧ろ幸運だったみてぇだ!」

「っ!!」

 

 ほとんどノーモーションから凄い速度で剣を振ってきましたが、このくらいならなんとか回避できます。

 

「本当なら真剣で斬り合いを楽しみてぇところだが、生憎とお仲間だからなぁ。万が一にも殺さねぇように、木刀(コイツ)で勘弁してやるよ!!」

「ぐっ!!」

 

 ですが私が避けても連続して、滅茶苦茶に剣を振り下ろしてきました。

 さすがに避けきれず、防御を余儀なくされたのですが……

 

 お、重い……っ!!

 

 相当鍛えたはずなのに! こんな、片手で力任せに振ってる剣なのに!!

 なんでこんなに重いの!?

 一度受け止めただけで、腕に軽い痺れが走りました。

 

「そう考えたから、テメェもこんな詰まらねぇ道具で喧嘩してたんだろ!?」

 

 守勢に回ったのはちょっと失敗だったわね。

 受けとめた瞬間、更木隊長の攻撃の手が苛烈になりました。私が手を出さないのを良いことにガンガン攻め込んできます。

 ですが――

 

「――この程度の剣技なら!」

「っ!?」

 

 身体能力任せの剣ではいつまでも通用しませんよ!

 相手の攻撃に合わせて私も剣を切り上げて、木刀を弾き飛ばします。

 

「やりようはある!!」

 

 弾き飛ばした勢いと流れを殺さぬまま剣を振るい、更木隊長に一撃を与えます。

 狙うは顎の先。ここを掠めれば気絶させられるはず!

 

「へへへ……やるじゃねぇか……」

「嘘、でしょう……!?」

 

 はず、だったのに……

 更木隊長は咄嗟に反応して、私の剣を額で受け止めていました。

 確かに額は固いですけど、それでも頭ですよ!? 一撃を受けたのに平然と、それどころか微動だにすらしていません。

 か、怪物めぇ……

 

「女……お前の名前は?」

「へ?」

「名前だ名前、聞かせろ」

「……四番隊の、湯川藍俚(あいり)よ。手紙にも所属部隊と名前が書いてあったはずだけど、読んでないの?」

「読んでねぇよ、というか興味すらなかったぜ。ただ、部下たちがなにやら騒いでいたから覚えていただけだ」

 

 なにこれ! 今まで感じ続けていた圧が、もっと強烈になった!?

 

「だが、四番隊か……へっ、なるほどな……ククク、そういうことかよ……!!」

 

 何!? 何!? どういうこと!?!? 歓喜の表情を浮かべてるわ!!

 どこにそこまで琴線に触れるワードがあったの!?

 

「なら! こんなもん、いらねぇな!」

「眼帯……! あっ!!」

 

 眼帯を毟り取って投げ捨てる様を見て思い出しました。

 

 あれはわざわざ自分の視界を遮るためだけに付けてて、しかもご丁寧に霊圧を抑制する機能まで仕込んであるって代物だったはず!

 髪に付けた鈴も、音を鳴らして相手に自分の位置を知らせるために!

 そんなことでもしなきゃ斬り合いが愉しめないからって理由だけで、こんな風にセルフ縛りプレイしてる変態なんだった!!

 

「いいぜ! とことんやろうじゃねえか!! 楽しい喧嘩をなぁ!!」

「お断りよっ!!」

 

 素手で殴りかかってきたけれど、私も距離を取りつつ足下に転がっていた木刀を更木隊長目掛けて蹴り飛ばして牽制します。

 が、その一撃を相手はむしろ援護と見たのか「ご親切にどうも」とでも言いたげに笑いながら斬りかかってきました。

 

 抑圧から解放された、素の霊圧での攻撃。

 その表情は凶暴にして獰猛、凶悪なくらい荒々しさが出てる。

 

 コレと戦う位なら、ビル間に掛けられた鉄骨渡る方がよっぽどマシよね。

 

『猛省! 猛省!! 猛省!!! そう言われたら、行かざるを得ない!! でござるな!!』

 

 適当に抜粋しないで……!! って、これは……!!

 

「クハハハハ!! どうしたどうした!?」

「甘く、見ないで!!」

「ぐっ! やるじゃねぇか!! それでこそ、やりがいがあるってもんだ!!」

 

 一撃一撃が並の(ホロウ)なら一瞬で霧散するような破壊力を秘めてる!

 しかも相手は私よりも頭一つは大きいから、リーチも体格差も負けてるのよ!

 これを防ぎつつ反撃も織り交ぜるのは、相当……

 

 ……あれ?

 

 いえ、これは……そうよ、絶対おかしい!

 あれだけ底知れない霊圧を持っていて、この程度なの!? 本気を出せばもっと、身体能力だけで蹂躙が出来るはず……

 

 そっか、そういうことなのね!!

 

 多分だけど無意識――本能レベルで手加減してるわね。

 出し惜しみするタイプには全く以て見えないし。

 私が今、表に出している力を見極めて、それにギリギリ拮抗する程度に力を調節して戦ってる。

 だから、この程度なんだわ。

 

 だとしたら、やりようはある……!

 

「どうした!? もう息が上がったか!?」

「馬鹿言わないで! しぶとさだけには定評があるのよ!」

 

 乱暴な攻撃を剣術の利を活かしてなんとか圧倒します。

 けれどもその優位は一瞬で、相手の霊圧が高まってひっくり返されます。

 二振りの木刀は互いの身体を末端といわず中心といわずにぶつかり合い、無数の怪我が身体に刻み込まれていきます。

 

 しかし、硬いわね! まるで鉄板をぶっ叩いているみたい!!

 私も今は霊圧で防御力を上げているから半端な攻撃は弾く自信があるけれど、その上からガンガンぶっ叩かれて痛みが襲ってくるわ!!

 けどこの程度なら……!!

 

「あん!? その身体……ハハハッ!! 面白ぇ!!」

 

 そりゃ当然、気付くわよね。

 受けたダメージを、回道を使って消しているんだから。

 相手が打ち込んだはずの打ち身や内出血が一瞬で消えてるんだから。

 

「……卑怯かしら?」

「卑怯だぁ? 馬鹿言ってんじゃねぇ!! テメェで覚えたテメェが持ってる物を使って何が(わり)いってんだ!」

 

 さすがは戦闘狂、細かいことは気にしないのね。

 

「何よりそんな力がありゃあ、延々と斬り合えるってことじゃねぇか!! いいぞ、もっとだ! もっと俺を愉しませてみせろ!!」

 

 と思ったら予想の斜め上の理由だったわ!!

 そっちだって多少なりともダメージを受けているはずなのに、まるで意に介さずに戦ってくる!!

 

 けれど、少しだけ……ほんの少しだけ、警戒よりも楽しみが上回って緩んだわね。

 よし、今! 相手の斬り下ろしの一撃を――

 

「ぐうううぅぅっ!!」

「あぁん!?」

 

 ――片手で受け止めました。

 ひ、左手が! 左手がジンジン痺れます!

 

 仮に斬魄刀相手にこんな防御をしたら即座に腕を切断されていたでしょうが、木刀相手ならこの受け方は問題なし! 物凄い痛いだけで、怪我は回道で瞬時に治せますし。

 

 何よりこれで、先程の緩みと合わせてほんの一瞬だけですが攻撃が止まりました。

 

 ――今!!

 

 残った右手には既に霊圧を集中させています。

 血装(ブルート)を瞬時に発動させて、さらにもう一手!

 

「っ!!」

 

 気付いたようですが、もう遅い!

 こっちの手段も瞬時に発動・解除出来るように特訓済みなんですよ!!

 一瞬にも満たない極々僅かな間だけ(ホロウ)化し、更に能力を底上げして一撃を放ちます。

 

 名付けて――

 

「――光速剣!」

「があああっ!!!」

 

 ――入った!

 

 今までの速度に目が慣れてきたところで、それまでとは比較にならないほど速い一撃を放てば、慣れと油断が相まって回避はほぼ不可能!

 回避を考えるどころか、反応すら不可能。何が起こったか察知する暇も無い一撃です!

 (ホロウ)化自体も一瞬だけなので、霊圧を知覚することもできません!

 ふふふ、頑張って練習した甲斐がありました。

 

 思い返せば、主人公(黒崎一護)もこんな風に勝ったんでしょうね。

 相手の予測を上回るほどの成長速度で一撃を放つ。

 というかそれ以外に、更木剣八(コレ)を倒す方法があるとは思えません。

 

 これなら間違いなく勝利――

 

「……っく、くははははは!! やりゃあできんじゃねぇか!!」

「!?」

 

 ――してなかったみたい。

 

 ちょ、ちょっと待って!! 一撃で意識がぶっ飛んで、半日は気絶しててもおかしくないはずの攻撃よ!? 今回ばかりは一切合切手加減してないわよ!?

 

「良い攻撃だったぜ!! しかもテメェ、今何をした? 理屈はさっぱりわからねぇが、霊圧を変化させやがったな?」

 

 嘘でしょ!? カラクリまで見抜かれた!!

 あの一瞬だけなら絶対に霊圧知覚されない自信があったのに!!

 

「ようやく興が乗ってきやがった!! ハハハハハッ!! その霊圧だ! その霊圧で来てみろ!! 奥の手があるなら全部出してみせろ!! じゃねぇと愉しめねぇんだよ!!」

 

 もうやだ!! 帰りたい!!

 しかもさっきの(ホロウ)化を知覚されたせいで、閾値が再設定されて霊圧の上限まで上がってるじゃない!!

 

 でも泣いても絶対に帰してくれないわよね。

 

 仕方ない……隠し芸はまだあるのよ!!

 

「ああああっ!!」

 

 勢いよく斬りかかりながら、こっそりと隠し芸の準備をします。

 

 ――散在する獣の骨、尖塔・紅晶・鋼鉄の車輪 動けば風、止まれば空、槍打つ音色が虚城に満ちる

 

 速度と途切れぬ連撃で責め立てながら、僅かな隙間を縫って空いた手を翳すと、準備していたそれ(・・)を放ちます。

 

 ――破道の六十三 雷吼炮(らいこうほう)

 

「うおおっ!?」

「隙ありっ!!」

 

 至近距離から放たれた雷撃を、更木隊長はどうやらまともに喰らったみたいですね。

 直撃によって動揺している隙にさらに木刀の攻撃を加えます。

 

 これで終わってくれれば……

 

「今のは……鬼道か……」

 

 ……やっぱり駄目よね。そんな気はしてたわ。

 

「しかもテメェ、詠唱していなかったな?」

「さてどうかしら?」

「いい、俺の目は節穴じゃねぇ! 詠唱はおろか、術名すらも省略して鬼道を使いやがったな!! 一体何をしやがった!?」

「それを教えて貰えると思ってるの!?」

 

 そりゃバレますよね。

 はい、ご指摘の通りです。

 詠唱も術名すらも口に出すことなく、鬼道を放ってやりました。

 

 いわゆる完全無詠唱ってやつです。

 

 けどこれも駄目かぁ……

 完全詠唱までしたのに! この至近距離で放ったのに!!

 なのにまだ平然としているなんて、自信なくすわねぇ……

 

 これ以上となると、決定打がもうないわ。

 

 射干玉の卍解が使えれば打てる手段なんて無限にあるけれど、さすがに同僚には使えないわよね。

 となれば残っているのは、泥臭い持久戦だけ! どっちが先に倒れるかの勝負!

 しぶとさだけは定評があるのよ!!

 

「らあああぁぁっ!!」

「攻めが鋭さを増しやがった! それにこの剣筋! 愉しませてくれるじゃねぇか!!」

 

 血装(ブルート)を全開で発動させながら斬りかかりました。

 受けられるのは承知の上ですが、せめて攻勢に回って流れだけでも作らないと!!

 

『がんばれ♥ がんばれ♥ 藍俚(あいり)殿♥』

 

 うわ、殴りたい。

 

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……」

「くくく……愉しい、愉しいなぁ……!!」

 

 あれから延々と斬り合いは続きました。

 私も更木隊長も肩で息をしています。

 相手は打撃で全身ボロボロ、私は回道を使っているので見た目は怪我こそありませんが、死覇装だけはボロボロ。

 オマケに二人とも全身から汗が流れていて、砂埃や出血のせいで所々が茶色や赤で彩られています。

 

 当然ながら木刀では私たちの攻撃に耐えきれずに折れてしまい、壊れたかと思えばその都度落ちているそれを拾っては戦い続けています。

 おかげで辺りには砕け散った木刀の残骸が転がっています。

 倒れたままの十一番隊の隊士たちと相まって、敗戦後の戦場みたいな雰囲気です。

 

 まあ、これだけ長い間戦っていれば、隊士たちもちょっとは変化があります。

 痛くて立ち上がれないでしょうが、それでも私たちの戦いを見ているのが大勢……

 

 え! ってことは、もうこんな時間!?

 

 ……あ! まずい!! 自覚したら余計に気になってきたわ!!

 

「ちょっと待った! これでもう終わり!!」

「ああ!? 今さら何を、つまんねぇこと言ってんだよ!!」 

 

 降参を宣言したものの、当然ながら聞く耳なんてもってくれませんよね。

 元気に斬りかかってきました。

 

「くっ!! ……ちょっと待った……って!」

 

 でも流石に精度が落ちてきてますね。

 技術で剣を受け流しつつ、その勢いを利用して回転しながら――

 

「言ってるでしょうが!!」

 

 ――相手の後頭部にエルボーです!

 

「ぐっ……!! ……ん?」

 

 やっぱりこれでも倒れませんね。でもそれも予想の範疇です。

 その間には私は手にした木刀を投げ捨て、さらには"ちょっと待った"と言わんばかりに手を突き出しています。

 その妙な姿勢に気勢を削がれたのでしょう、ようやく攻撃の手が止まりました。

 

「これ以上やると……はぁはぁ……倒れている隊士たちを……回復させられなくなる……から、だからもう無理!」

「なんだそりゃ? どういう意味だ……?」

「だからね――」

 

 場所が戦場だったら四番隊は十一番隊の言うことに従うけれど、病院内で四番隊の言うことを聞かないのはおかしい。

 四番隊の戦場は医療現場、戦場でプロの言うことに従わないのは筋が通らない。

 だったらもう、十一番隊の流儀で説得するしかない。

 少なくとも今ココで倒れている連中は、四番隊の言うことに逆らう権利は無いはず。

 文句があるなら、いつでも言ってきなさい。

 十一番隊の流儀に則って私が受けてあげる。

 

 ということを説明してあげました。

 

「――ということよ。ぶっ飛ばしたのは私だから、私が全部治すわ。負けた相手に傷まで治されたら、ぐうの音も出ない完敗でしょう?」

「……」

 

 黙って素直に聞いてるわね、ちょっとだけ意外。

 

「でもこれ以上戦っていると、回道で使う霊力まで尽きちゃうからこれで終わり! そっちの流儀が最後まで戦い続けることなら、こっちの流儀は最後まで癒やすことよ。戦場から逃げる十一番隊士なんて、隊士失格でしょう?」

「……ク、クククク!! ワハハハハッッッッ!!」

 

 突然笑い出しました。

 ひょっとして、さっきの沈黙も笑いを堪えてたのかしら。

 

「こいつは傑作だ!! 確かに、お前の言う通りだな!! 四番隊(そっち)の流儀を守れないから、十一番隊(ウチ)の流儀に従ってか!!」

 

 あ、乗ってきた。

 

「戦場から逃げるようなもん、か。そんなつまらねぇ真似は確かに出来ねぇよな!! いいぜ、まだまだ食い足りねぇが見逃してやるよ!! それに、お前みたいな馬鹿は嫌いじゃねぇ! 流儀に従って、全員に命令しておいてやるよ!!」

「ありがとうございます……でも、まずは……」

 

 更木隊長に回道を使います。

 

「何の真似だ?」

「言ったでしょう? その傷は私が付けた物だから、私が治すのよ。それが最低限の責任ってものでしょう?」

 

 といったものの、ホントにタフよね。

 骨に軽く罅とか入ってるけれど、その程度。何だったらもう治ってきてるし。

 この人、何もしなくても明後日くらいには完治してるんじゃないかしら?

 

「お、お……?」

「はい、これで終了よ。一応、大事を取って今日はもうゆっくり休んでくださいね。私は他の人たちを治療しますから」

 

 傷も痛みも嘘みたいに消えましたからね。

 私が治療していくのを横目に、更木隊長は驚きながら手を握ったり開いたりして自分の状態を確認しています。

 

「おい、やっぱりもう一戦……」

「しません!!」

 

 戦闘狂め! こっちはもう気力が尽きかけてるって言うのに!!

 さて、倒れている隊士たちを端から順番に治して説得していって……と。

 

「射場三席、申し訳ありませんでした」

「ああ、まぁ……なんじゃ。そっちの言い分もわかる。ワシも注意しとくけぇ……な?」

「はい……本当に申し訳ありません」

 

 射場さんには我ながら本当に酷いことしたわよねぇ……

 まあ、更木隊長相手に食い下がって倒れなかった。その他は全員はっ倒したから、内容を考えればギリギリ合格点は貰えるはずですよ。

 今日の仕事はしたと思うことにしましょう。

 

 ……あら? 小さい子が近寄ってきた。

 

「ありがとね、あいりん! あいりんのおかげで、剣ちゃんすっごく楽しそうだった!」

「え、あいりん……って、私のこと?」

「うん! あいりだから、あいりん!!」

 

 あだ名ですね。

 一文字多くなってるけど、良いのかしら……?

 

 というかこの子って、アレよね。

 

「ありがとうございます、草鹿副隊長」

 

 十一番隊副隊長の草鹿(くさじし) やちる よね。

 更木剣八にずっとくっついている謎の幼女。ピンクの髪の幼女です。

 立ち振る舞いは幼女の名に恥じぬ背の低さと相まって見た目相応の子供なんですが。

 時々今みたいに"更木剣八のことを何よりも深く理解している一番の理解者"みたいな雰囲気を見せるんですよね。

 ……正体は何者なのかしら、この幼女? 

 

「あたしのこと、知ってるの?」

「それは……有名ですから」

「そっか! じゃあ、剣ちゃんとまた遊んであげてね!」

「ああ、そうだな。明日くらいにでもまたやろうや、藍俚(あいり)

「明日!? ……い、いえ日常業務とかがありますので当分は……」

 

 ああもう! 戦闘狂が過ぎる!!

 犬歯を剥き出しにして凶悪に嗤ってくれちゃってまぁ!!

 

 ……あ、でも名前を呼んでくれました。そこはちょっとだけ嬉しいような……

 

『顔と名前を覚えられたと言うことは、ターゲット・ロックオン!! お前を殺す!! という意思表示でござるな!!』

 

 いやああああああぁぁっ!!

 




●黒髪お下げで眼鏡の巨乳委員長キャラ
●青髪でセーラー服を着た美少女
いわゆる声優ネタ。
前者はTo Heartより。関西弁と書けば多分完璧でした。
後者はセーラームーンより。水星と木星は主人公より人気ありましたね。

●猛省! 猛省!! 猛省!!!
同上。

●更木剣八
身長202cm。
(加えてあの容貌とか、子供も大人も見たら泣く)

卯ノ花さんは身長159cm、43cm差の相手にあの闘いを……
(なお、やちるは身長109cm)

●隠し芸
藍俚ちゃんが仕込んだ隠し芸です。
光速剣は、一瞬だけ虚化して超速の一撃を放つ技。
無詠唱は、色々仕込んだ結果。詳細は今のところ秘密です。

●十一番隊隊士
副隊長とはいえ、下に見ていた四番隊(しかも女性)にフルボッコされる。
(隊長、副隊長を除く)
これは恥ずかしい。ネタにされちゃう。

……誰か足りない?
荒巻 真木造さんなら多分その辺に転がってると……え、違うの?
じゃあきっと、今日は幸運にもお仕事で席を外していたんだと思いますよ。
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