お前は天に立て、私は頂をこの手に掴む   作:にせラビア

76 / 406
第76話 真っ白な寒空の下で

「っくしゅん!」

「副隊長、お風邪ですか?」

 

 勇音が心配そうに私を覗き込んできました。

 

「そういうわけじゃないわ……けど、さすがに寒くなってきたわね」

「まだ雪は降ってませんけれど、もうすっかり冬って感じですよね」

 

 いつの間にか季節は冬――

 外を見れば、木々はもうすっかり葉が落ちて寒々しい感じです。そろそろ日も暮れそうなので、夕焼け空と合わせて寒々しさが倍増です。

 でも冬は空気が澄んでるので、見上げる空がいつもよりも綺麗に見えるからちょっとだけ嫌いになれません。

 

「暖房器具とか、もう少し増やした方がいいかしらね? あと火が増えて空気も乾燥するから、火事にも注意しないと」

「火の用心の徹底ですね」

「寒くなるからねぇ、もう見回りは御免だわ」

 

 冬の寒い夜空の下、拍子木を持って「火の用心」と叫びながら見回り……昔、そんなことをやってた頃もありました。

 俗に言う夜回りです。

 新人は必ずやらされるんですよ。冬は夜が早いので、色々な警戒の意味を込めて定期的に。

 

「でも、暖かい食べ物が美味しくなるのはちょっと嬉しいかな?」

「あ! 良いですねぇ! お鍋とか、蒸したおまんじゅうとか! お芋も捨てがたいなぁ……」

 

 お仕事の合間、勇音と一緒にそんな冬トークを楽しんでいたときでした。

 一人の隊士が血相を変えた様子でやってきたのは。

 

「あの、副隊長!!」

「あら? なにかあったの?」

「入り口に、朽木白哉様がいらっしゃってます!!」

「……え?」

 

 朽木(くちき)……白哉(びゃくや)……って、あの!?

 

 最初に登場した時はまだ下の毛も生えてないような子供の頃だったあの!?

 死神になったけれど地の文であっさり流されてしまったあの!?!?

 今ではすっかり立派になって六番隊を切り盛りしていて、そろそろ正式に隊長職と朽木家当主の座を銀嶺さんから譲り受ける予定のあの!?!?!?

 

『なんという見事な説明台詞!! 10ポイント差し上げましょう!!』

 

 わーいポイント!

 

「何の用かは聞いてる?」

「い、いいえ。ただ、副隊長に頼みたいことがある、とだけ……」

 

 連絡に来てくれた子がちょっと怯えてます。

 まあ、五大貴族の本家の人が来たら普通はビビるわよね。朽木の名を聞けば上級貴族だってビビる程に地位が高い相手だもの。

 

 ……夜一さんや空鶴を知ってる身としては、毎回ギャップに悩まされるけれど。

 

 それにしても……何で?

 子供の頃に知り合いになってるし、仕事で顔を合わせたこともあるけれど。

 でも普通に"仕事上のやりとり"くらいしかしてないのよね。

 

 そりゃあ、彼が死神になったばかりの頃には、子供の頃に出会った話くらいはしたけれど、もうその頃には自分を抑えてるというか、冷静に振る舞おうとしていました。

 そんな白哉ですから、何か用事がある時も必ず死神として――六番隊として四番隊に話を通す、みたいなやりとりばっかりです。

 しかも事前に"この日にお伺いします"と予約を必ずしていたので、今日みたいな"突然やって来ました"のパターンは初めてです。

 

「わかりました、すぐに向かいますね」

 

 せっかくガールズトークを楽しんでいたのに、台無しです。

 とはいえ来てしまったものは仕方なし、白哉からの名指しのご指名ですからね。

 

 ……行きたくないなぁ。

 

『厄介ごとの匂いがプンプンいたしますからな!』

 

 もう知らない厄介ごとは持ってきて欲しくないんだけどね……

 

『つまり、知ってる厄介ごとならば何も問題はない! ということでござりますな!!』

 

 そういう言葉遊びは……いらない……

 

 

 

 

 

「お待たせして申し訳ありません、朽木副隊長」

「湯川副隊長!!」

 

 来客用の応接間に向かったところ――朽木家の者を変な場所で待たせるわけにも行かないからね。しっかりお茶も用意されていましたよ――待っていましたとばかりに白哉は立ち上がり、頭を下げました。

 

「単刀直入にお願いします! どうか、力を貸してください!!」

「……用件は伝わりましたが、理由がさっぱりです。落ち着いて、順序立てて説明をお願いします」

「はっ! こ、これは申し訳ない」

 

 死神となった今ではすっかりナリを潜めてしまいましたが、目の前の白哉はまるで彼が子供の頃のように感情的になっていますね。

 個人的には、こっちの方が好きですけど。

 

「理由というのは、その……私の細君(さいくん)についてなのです」

「細君……え、奥さん!! ご結婚を!?」

「はい、五年ほど前に」

 

 なんだか久しぶりに聞いたわね"細君"って表現。

 って、ちょっと待って!!

 

「……でもそんな記事を見た覚えは……」

 

 過去の記憶から、瀞霊廷通信のバックナンバーを引っ張り出しますが、見た覚えがありません。

 五大貴族で冠婚葬祭関係のニュースがあれば、絶対に記事になっているはずです。

 ましてや白哉は朽木家の当主(ほぼ確定)な大人物ですよ。なのに、そんな慶事を瀞霊廷通信が取り上げないなんて、有り得ないんですが……

 

「それについては少々特別な事情があり、記事にすることを中止して貰いました。式も身内だけで済ませましたので、知られてはおらず……」

 

 なにやら言いにくそうにしている姿を見て、ようやく思い出せました。

 白哉の結婚相手って、あの人ですよね? 名前は忘れましたけれど、ルキアの姉。たしか流魂街出身だったはず。

 

 とまあ、ここまでくれば詳細を忘れてても理由はおのずと推測できます。

 

「つまり、表沙汰に出来ない理由があった?」

「……ッ!!」

 

 白哉の肩がびくりと震えました。

 

「奥さんの出自が原因で?」

「はい……その通りです。ご慧眼、お見それしました」

 

 そうして彼の口から語られたのは、白哉と奥さんの結婚までの物語です。

 曰く――

 

 流魂街出身の奥さん――緋真(ひさな)という名前だったのね。完全に忘れてた――と出会い、彼女を妻に迎え入れた。

 だが貴族以外の血を混ぜることは掟に反すること。それは白哉本人も知っていた。

 承知の上で周囲の反対を押し切って、緋真さんと結婚した。

 

 ――とのこと。

 うん、多分私の知ってる知識と同じね。

 

 とはいえ、貴族の特権意識みたいなのって、どこの世界でもあるからねぇ……

 平民を妻にするのは掟に反するって周囲の反発をモロに受けたんでしょうね。それを恥とまで考えたから、瀞霊廷通信で大々的に報じられなかった。

 きっと、圧力が掛かったんでしょうね。

 式が身内だけというのも、親族とか関係者を呼べなかったから。本当に朽木の本家の関係者――それも緋真さんが流魂街出身と知っても白哉の結婚を祝ってくれるような相手だけ、というところかしら。

 

 道理で知らないし、知ることもできないわけだわ。

 

「話は分かりましたが……その奥方――緋真さんを私にどうしろと? まさか話し相手にでもなればいいんですか?」

「いえ、そうではありません。緋真の命を、どうか助けてください!!」

「命……?」

 

 訝しげな顔をすれば、白哉から追加の説明が入りました。

 曰く――

 

 緋真さんには、赤子の妹がいた。

 だが二人で流魂街――それも南流魂街七十八地区「戌吊(いぬづり)」という下から三番目に治安の悪い地区――では生きていけず、妹を置いて戌吊を出て行った。

 白哉と結婚してからも"自分だけが幸せになってしまったこと"や"妹を危険な場所に置き去りにしたこと"といった自責の念から、毎日のように妹を探しに出歩いていた。

 元々が身体が丈夫ではないところに無茶をしたものだから、病に倒れてしまった。

 

 ――とのこと。

 そっか、そういう理由で死別した気がするわね。

 

「その病気を私に治せ、ということ?」

「はい、その通りです」

 

 低頭して頼み込んでいますが……え、ちょっとおかしくない?

 

「朽木家のツテで医者なんて幾らでも呼べるでしょう!? そもそも貴族街には真央施薬院(しんおうせやくいん)だってある! なのにどうして私に……?」

 

 瀞霊廷真央施薬院とは、貴族街にある上流貴族専門の救護詰所です。

 超VIP専門の超お高いけれど超丁寧で最新設備な病院ってやつですね。懐かしの山田清之介"元"副隊長が招かれた場所でもあります。

 

 ……そう言えば弟の花太郎くんも気がつけば四番隊(ウチ)に来てます。あの子、いつ入隊したんだっけ……?

 

 とあれ。あそこなら、何が何でも治してくれるはずです。

 それに緋真さんは朽木家の縁者だから貴族専門という条件も満たしている。白哉が知らないはずもないから、普通に考えてそっちを頼るべきそうするべき。

 そうでなくてもその辺の医者をとっ捕まえて"治せ"といえば済むでしょうに、なんで私を頼りに来たの??

 

「それは、その……主立った医者や診療所には既に手を回されており、頼ることは不可能でした」

「えっ!? そこまで、するものなの……? それってつまり、緋真さんが気に入らないから病に倒れたのをこれ幸いに……ってことよね……?」

「おそらく……」

 

 恐る恐る尋ねれば、白哉は悔しそうに首肯しました。

 

「卯ノ花隊長に頼むのは?」

「それも考えました。ですが自分は、朽木家の次期当主でありながら掟に反した身です。そんな自分が、身勝手にも個人的な理由で頼るのは掟に反します」

「……じゃあ、なんで私にはこの話を?」

「湯川副隊長とは個人的な知り合いでもありますので……」

 

 えと、つまり。

 公的な依頼は駄目だけど、個人的に知り合いに頼むからセーフ! ってこと?

 個人が個人のために動くことだから掟にも反しないってこと?

 

 ……うわ……何、その理由……そんな理由で妻を危険な目に遭わせるなんて……

 ……殴りたい……全力で!!

 落ち着け、落ち着きなさい私……!!

 まだよ、まだ駄目……!!

 

『お、おお……藍俚(あいり)殿の背後で憤怒の炎が阿波踊りを踊りまくってるでござる……』

 

 志波家の時みたく、夜一さんがいてくれたらまた違ったのかもしれないけれど、あの人はもう尸魂界(ソウルソサエティ)にいないからね。

 だとしてもコレはないでしょう!! 

 

「我ながら、無茶なことを言っているのは承知しています! ですがもう、湯川副隊長しか頼る術がありません! 幼き頃に知った、あの重傷者を完治させたという副隊長の腕を見込んで、どうか……どうか!!」

 

 ふーん……まあ、白哉は白哉なりに考えてたってことか……

 

 掟や規律を重視する朽木の家の人間だものね。

 必死に考えた結果、ようやく見つけられた抜け穴。か細い蜘蛛の糸みたいなもの。

 

 何より、人の命が掛かってるものね。

 

『そして女性の命ですからな!! その時点で助けないという選択肢はありえないでござるよ!! んんww 助けるという選択肢以外ありえないww』

 

 草を生やすな草を。

 

「わかりました」

「そ、それでは!!」

「今から朽木家にお邪魔させていただきます。案内の方は、お願いしますね」

 

 場所は知ってるんですけどね。

 ですが貴族街って簡単に入れませんから、白哉がいてくれないと一悶着ありそうだったので。

 

 白哉は、地獄で仏に出会ったような歓喜の表情で案内してくれました。

 

 

 

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

 

 

 

 何度来ても立っっっっっ派なお屋敷ですね。そして中に入ればこれまた立っっっっっ派な庭園が出迎えてくれます。

 これだけ広くて立派なお屋敷に住んでて、地位も名誉も金もある――奥さん奥さん、ご存じかしら? 白哉が首に巻いてるあのマフラーみたいなの。あれ、家が十軒は建つくらいお高いって話よ。髪飾りも牽星箝(けんせいかん)って言って上流貴族だけが付けられるんだけど、これまた目玉が飛び出るくらいお高いんですって――なのに、奥さん一人を病院に連れて行くのも難儀するんですよね。

 ちょっとだけ同情します。

 

「ここです」

 

 白哉に案内されて朽木家を進むことしばし。ようやく目的地に到着しました。

 ……家の中を歩いてるだけなのに五分十分(ごふんじゅっぷん)平気で過ぎていくわね。志波家とはえらい違いだわ。

 

「緋真、私だ。入るぞ」

「…………」

 

 障子の向こうから届いたのは、聞こえるような聞こえないようなか細いか細い声。

 そんな小さな息遣い程度の音が返ってきたのを確認してから、白哉は障子をゆっくりと開けました。

 

 まず目に飛び込んできたのは、とても広い部屋でした。

 畳にして二十畳以上はある部屋。その真ん中にポツンと布団が敷かれており、そこに一人の女性が寝ています。

 ただこの部屋、すごく寂しいですね。

 物がないんですよ。箪笥とか机とかそういうのが、一切ない。

 枕元にはお膳と薬に水差しが、あと今の時期ですので火鉢がありますが、それ以外は何にもないんです。

 

『なんでござりましょう……もの悲しさヒシヒシでござる……』

 

 匠な相手くらいいるでしょうに、リフォームの依頼とかすればいいのに。

 

『なんということをしてくれたのでしょう! でござるな!!』

 

 まあ、今はそれよりも優先すべきことがあるからね。

 

「緋真。私だ、白哉だ。わかるか?」

「白哉様……」

 

 目を閉じていた彼女ですが寝ていたわけではないようで。

 白哉が声を掛ければ薄く目を開け、弱々しい瞳で彼へと視線を向けました。

 

 これが緋真さんなのね。全然記憶になかったわ。

 でも流石、白哉が惚れただけあってか美人よね。今は病魔に蝕まれてて顔色が真っ白で今にも死にそうだけど、それでも美人ね。

 

 というか。

 

 ルキアそっくり!! 姉妹だからってここまで似せることないでしょうが!! 虎徹姉妹を見習いなさいな!!

 つまり白哉はこの妻を失って、その後ルキアを義妹として朽木家に入れたんでしょ?

 

 ……絶対あらぬ噂が立つわよね。悪評に自分から追い風吹かせてる気がするわ。

 

「こちらの、方は……」

「医者だ」

「お医者、さま……ですが、無理だと……」

「そんなことはない! 彼女は、湯川殿はその、問題がないのだ! だから、連れてきたのだ!!」

 

 なんかちょっとだけ、浮気の現場を見つかった夫みたいね。

 妻の前に女連れてきて"これ医者だからセーフ"って弁解してるみたい。

 

『いつぞやに、そんな権力者がいたそうですぞ! 医療スタッフと偽って愛人を連れて来る、といった……なんとも羨ましい話でござる!!』

 

「護廷十三隊、その四番隊の副隊長をしています。湯川 藍俚(あいり)と申します」

「護廷……? それもたしか、白哉様が駄目だと……」

 

 ああもうっ!! なんで奥さんまでそんなつまらないことを気にしてるのよ!!

 

「幼い頃の白哉さんと、個人的に友誼を結びましたので。今回はその縁もあってお伺いしました。それに、友の危機に駆けつけるのは当然のことですよ」

「白哉様のご友人……そうでしたか」

 

 ようやく安心したような表情を浮かべてくれました。

 それにしても、声も弱々しくて喋るのすらも辛そうね。身体も起こせないし。

 なんでここまで放っておいたのよ!! 死の宣告がカウントダウンしまくってるの一目瞭然じゃない!!

 

『Aボタン押しっぱなしにしてもこれは不可避でござりますな!!』

 

「さっそくですが、診察させていただきます。お着物を少々、失礼しますね」

「はい……」

 

 横になった体勢のまま、寝間着をはだけさせて……って、痩せてるわね。

 元々丈夫でないのに病気で食が細くなって、食べないから余計病気が進行してまた食べられなくなって――の悪循環ね。

 どんどん痩せて骨と皮だけになってて、胸板とか洗濯板みたい。

 

 それで病気の方はどうなってるのかしら? もうかなり酷いことは分かるけれど。

 ちょっと触診と霊圧照射で探らせて貰いますね。

 

 ……。

 

 …………。

 

 ………………うわぁ。

 

 

「これは……」

 

 身体の中、ボロボロよ。

 一言で言うと、なんで今生きてるの? ってくらい。

 しかもこれからどんどん寒くなるから身体が弱るだろうし……どう考えても冬は越せないわ。春先まで持っていたら奇跡よコレ……

 

 普通の医者に診せたら、その場で遠投大会開催待ったなしね。

 

『医者の匙投げ大会ですな!! 何でも最高記録は月まで飛ぶそうでござりますぞ!!』

 

 せめてもっと早く呼んでくれたら良かったのに!! 夏の終わり……いえ、一ヶ月前で良いからさぁ!!

 白哉!! あんた覚えておきなさいよ!! 具体的には次話を覚悟しときなさい!!

 

「どう、なのでしょうか……? ご遠慮なさらずに、はっきり仰ってください……自分の身体は、自分で分かりますから……」

「緋真! そんなことを言うな!!」

 

 ……しっかり死期は悟ってるのね。

 

「そうですか……では、はっきりと言いましょう」

「はい……」

「もう少し遅かったら、手遅れでした」

「そうですか……やはり……え……?」

 

 信じられない、といった表情で夫婦揃って私を見てきました。

 緋真さんなんて覚悟してたのに良い意味で裏切られ、思わず二度見してます。

 

 嘘じゃないですよ。三ヶ月くらい後だったら手遅れでした。

 

『それもうカウントがダウンして0になってるでござる!! 命のロスタイムに入ってるでござるよ!!』

 

 ロスタイムは和製英語だから、アディショナルタイムって呼んだ方がいいわよ。

 

「あの、先生……そのようなお気遣いは結構ですので……」

 

 あら、信じてくれないのね。

 緋真さんは自分に希望を持たせるための嘘を吐いたと思ってます。

 

「嘘ではありません。完治にはかなりの時間を要しますが、大丈夫。治りますよ」

「ほ、本当ですか……!」

「本当です」

 

 きっぱりと肯定してあげると、彼女の瞳から一筋の涙がつーっとこぼれ落ちました。

 

「私はまだ、生きていてもよいのですね……」

「緋真! ああ、そうだとも!!」

 

 白哉も彼女の手を取って励ますように声を掛けます。

 

「さて、それじゃあ……治療を開始しますね。力を抜いて、私に身を任せてください」

 

 ……射干玉、出し惜しみは無し。だからね!

 

『当然でござります!! 今でこそこうでありますが、緋真殿もまた磨けば光るのが確定しております!! ああ、まるで猫虐待のコピペを再現するようでなんだかドキドキいたしますなぁ!!』

 

 全力で癒やすべく、私は回道を唱えました。

 

 

 

 

 

 

「これで、一先ずは大丈夫です。流石に衰弱など著しいので、一度で完治させるのは不可能でした。ある程度定期的な治療は必要ですが……」

「ありがとうございます!!」

「それと、食事もちゃんと食べさせてあげてください。栄養は生きる基本です」

 

 なんとか成功しました。

 

 治療後の疲れからか、緋真さんは今はゆっくり眠っています。

 そして隣では白哉が私に向かって何度も頭を下げています。

 

 しかし……流石に疲れましたね。

 

 なにせ患者の身体はボロボロですから。治す位置や順番をちょっと間違っただけでも、他に悪影響が出かねないという有様です。

 物凄く神経をすり減らしました。

 これだけやっても、まだ完治していない。何度か治療を続ける必要があるんです。

 それだけでも、彼女がどれだけ厄介な状況だったかが分かります。

 

 もうこのまま帰って寝たい、寝たいんですけど――

 

「朽木副隊長、ちょっとお話したいことがあるので。外に出て貰っても良いですか?」

 

 ――まだもう一仕事あるんですよね。

 

 寝ている緋真さんを尻目に、私は白哉を外に呼び出しました。

 




●死の宣告(とAボタン押しっぱなし)
ゲームFF4より。
カウントが0になると相手を強制的に戦闘不能にさせる状態異常。
決定ボタンを押しっぱなしだとカウント0になっても死なないというバグがある。
(本文中では「死に向かって一直線。バグ技使っても死亡不可避」の意味)

●猫虐待のコピペ
子猫を拾ったので「お湯につける(お風呂にいれる)」「全身に熱風をかける(乾かす)」「人が飲めない白い液体を飲ませる(猫用ミルク)」などの虐待をした。
といった天邪鬼な文章。

●朽木 緋真
55年前:白哉と結婚
50年前:(結婚5年目の春に)白哉と死別。

「治安の悪い場所(78地区「戌吊」)からよく生き延びたな」とか「白哉に見初められるまでに何があった?」とかそれはそれで謎の多い人。

「緋真さんがそろそろ死ぬよ」ということを表現するための冒頭の冬トーク。
なのであと3~4ヶ月くらいしたら死んでた計算です。
原作では春になって最初の梅が咲く前に逝きましたから。

(つまり現在は原作の51年程前。それに気付かない某副隊長)

●緋真が死んだ理由
朽木家は、超VIPです。
なら普通に考えて「妻を助ける」くらいなんとかなったはず。
医者に診せるとかさ。貴族専用の凄い病院とかあるんだし。

なによりも妻なんだから、白哉は意地でも助けるべきでしょう?

でも、緋真さん死んじゃった。
……なんで?

四番隊に"途轍もなく凄い隊長"がいたのですから、頼れば助かったはずです。

でも、緋真さん死んじゃった。
……どうして?

何か助けられなかった理由があるはず。こんな感じかな?
と妄想。

(「掟」だ「しきたり」だと雁字搦めになって、動けなくなってた白哉。
 (その間に病が進行しすぎてもう助からない状態になってしまった)
 というワリを食わせた形ですね。
 似たような境遇でも志波家の為にサッと動いてくれた夜一さん超男前)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。