光陰矢のごとしとは良く言ったもので、時が経つのは早いです。
ちょっと前に一回生だったルキアさんたちも、もう今年で卒業となりました。
ルキアさんは白哉にしっかりと底上げをしてもらったおかげか、一回生の途中で特進クラスに合流。
阿散井君はそんなルキアさんに負けじと私の所に来たり、こっそり白哉に鍛えて貰ったりして追いつけ、追い越せ状態に。
仲間が発憤しているので、吉良君と雛森さんは身近な私によくぶつかってくるようになって成長していくことに。
そうでなくても雛森さんはなんとなく他の子たちよりも目を掛けています。
なのでガンガン成長していきます。
そして仲間が成長するので、ルキアさんも焦って鍛えるように……
前にも一度言いましたが、そんなサイクルが完全に出来上がってしまいました。
内輪で競い合ってどんどん伸びていくんですよ。才能のある連中が。
そのおかげでなんと!
この四人、ちょっとだけ飛び級しました。
しかも先程"今年卒業するよ"と言いましたが、主席から第四席までを四人が総ナメしているという有様です。
主席と四席を比べても本当に僅差で、一・二点の差しか開いていません。もう全員が主席で良いんじゃないかってくらい僅差にして高得点です。
……半端ないわねぇ……
私、六年掛けて普通の成績で卒業したのに……
斬魄刀の声を聞けたのなんて、ずっとずっと後なのに……
なんでこの子たち、もう自分の刀とコミュニケーション取ってるの……!?
原作キャラ、恐いよぉ……
ああ、原作といえば。
檜佐木君、アレも原作に出てた子だったのよね。
現世学の授業中、雑談代わりに69という数字の説明を"彼のクラス以外"にしてあげたのも、もう懐かしい思い出だわ……
ついうっかり、当人だけには伝え忘れちゃったのよね……
『周りが必死に笑いを堪えているのを、檜佐木殿だけが"何で?"みたいに不思議そうな顔をしていたでござる……』
あ、彼は九番隊に行きました。
そして彼と一緒に
五番隊に行きました。
藍染隊長に憧れてたんだって。夢が叶って良かったわね。
その後、どうなるかは知らないけれど。
それと青鹿君は、あの
……ったく情けない!! ゴツい見た目してるのに、あんたそれでも
『(実行するとある意味でご褒美だった……かもしれないでござる)』
ともあれそんな感じで、表面上は平穏無事に進んでいます。
でも確かルキアさんが死神になると何か起こったような……
えーと……
……………………
…………………………………………
あ! アレよね多分!! 十三番隊の!!
海燕さんが何かあって、ルキアさんが
……ん? どうして海燕さんが
今こそ輝け! 私の記憶!! えーと……
……彼はなんやかんやあって、
…………………………………………。
良く覚えてないけれど、海燕さんとルキアさんに注意を払っておけば問題ないわよね!! あとは流れでお願いします!!
――問題ないわよね、って言ったばっかりでしょうよ……
「湯川殿、自分は一体……どうしたら宜しいでしょうか……?」
現在、四番隊の副隊首室で朽木白哉の相談に乗っている――もとい、乗らされている真っ最中です。
「自分としては、卒業後にルキアを是非とも六番隊に招きたいのです! ですがそれは、緋真やルキアの意志を尊重できぬ結果となってしまいそうで!! 一体……どうすれば……」
"今日ちょっと、用事があるので四番隊に行きますね。話したいこともあるので"と言われて、招き入れてみたらこんな感じですよ。気付いたらこんな感じですよ。
以前にも手紙で似たような相談をしてきたでしょう!!
その時に私「手出し無用、やめておけ」って返事を書いたわよね?
気持ちは分かるけどねぇ……
現在のルキアさんも霊術院内でもほぼ主席みたいな四席と、立派な成績です。
加えて彼女は今や"朽木家の縁者"と周囲にしっかり知られています。
六番隊へ引っ張り込むのに、充分すぎるほどの理由があるのよね……
でもそれをやられると、十三番隊が何だか恐いのよ!!
『さきほど注意を払っておくと言ったばかりでこの始末、はてさて……どうなることやら……でござる!!』
「えーと……私の意見としては……」
……もう、六番隊を薦めてもいっか……海燕さんには諦めて貰って……
「ルキアさんの実力は申し分ないですけれど、外から朽木家と縁を持った身です。突然引き込むと身内びいきで囲い込んだと思われる可能性もあるかと……なので、定番ですが、どこか他の部隊で少し実績を積ませてから六番隊に呼ぶ、というのは?」
「なるほど。ですが、どの部隊へ?」
「十三番隊――とか、どうでしょう? 副隊長は志波家本家の長男ですし、浮竹隊長も誠実で柔軟な方です。どんな出自の相手でも、臆することなく接して貰えると思いますよ」
嘘です、諦められない弱い私を許して……何でもするから。
『何でもする!? で、では……このドスケベ水着を着てマットとローションで……』
それ、もうやったネタだから駄目。またのご来店をお待ちしております。
『くっ! 残念でござる!! ……しかし、驚きの白々しさでござるな!! あらやだ、ひょっとして洗剤だけじゃなくて漂白剤も使ったでしょう!? と言わんばかりの白々しさでござる!!』
ここで抵抗しても、何の意味も無いかも知れないんだけどね。
まあそれでも、せめてこのくらいは予定通りになるように促したいのよ。
あと下手な事してハリベルさんに手が届かなくなるのは困るのよ!!
『最後の言葉から本音がダダ漏れでござるなぁ……』
「なるほど、十三番隊ならば……やはり、相談に来て良かった……ありがとうございます!」
白哉が我が意を得たり、みたいに納得してますけれど……
本当に大丈夫かしら?
なんだか余計なことしそうなのよねぇ……
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……そういえばさ、射干玉。愚痴を聞いてよ。ちょっと言いにくいんだけど。
『どうしたでござりますか? アロエでも食べますかな?』
アロエ!? そうじゃなくて。
どういうわけか今年に限って、少し暇なのよ。何でか知らないけれど、四番隊の皆が今年に限っては仕事とかよく代わってくれて。
『自由な時間があるのは良いことだと思うでござりますが?』
うん、まあ……そうなんだけどね。
なんだかちょっと恐い……なんでかしらね……?
『大丈夫でござりますか? おっぱいでも揉むでござるか?』
っ……! 危ない危ない。一瞬同意しそうになった自分が悲しいわ。
そもそも誰のを揉むのよ?
『それは勿論……』
ちょ、胸元に湧いて来るなっ!!
●檜佐木69
ひょっとしたら檜佐木って、飛び級だったんでしょうか?
……まあ、いいや。だって檜佐木ですし。そもそも不整合は起こりませんし。
●蟹沢ほたる
情報が無いので、よくわからない。
だから何番隊志望だったかもわからない。
この子、檜佐木のことを憎からず思っていたんだっけ?
……まあ、いいや。だって檜佐木ですし。
●青鹿
引率三人の中で、一人だけ名字しか判明していない子。
基本的には読者から「あの時、蟹沢と一緒に死んだ人」と思われている。
(後の小説版で生きてて四番隊にいる事が判明した)
四番隊にいるから、後々で数行くらいは出番があるかもしれない。