お前は天に立て、私は頂をこの手に掴む   作:にせラビア

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顛末の列挙だけなので超短め。ごめんね。



第93話 出産後の顛末

「いやぁ……大騒ぎね……」

 

 今月号の瀞霊廷通信に目を通し、私は思わず呟きました。

 

 朽木家の長男誕生は、大ニュースになりました。

 瀞霊廷通信でも特集が組まれたくらいに。

 なにしろ五大貴族の一家の慶事――しかもそこの次期当主がほぼ確定でもある、男児の出産ですからね。

 

 ニュースにならないわけがない。

 

 あーんど。

 

 ニュースにしないわけがないのです。

 

 号外が出るほどではありませんが、かなりの大ニュースです。

 というか霊王様という最上位の方がいるので、号外を出すことは滅多にないのです。

 

 

 

 そして待望のお子さんのお名前ですが――

 

 朽木(くちき) 鴇哉(ときや) となりました。

 

 

 

 ……案だけって言ったじゃない!!

 

 まんま鴇の文字を使っちゃって!! そこに白哉の"哉"の文字を足した名前って!!

 親の名前から一文字取って、という名付けの王道じゃない!!

 

 まあでも、そこまでなら良いのよ。そこまでなら。

 

「すごいですね副隊長!! あの朽木家の嫡子の名付け親ですか!?」

「これは四番隊も鼻が高いですよ!!」

「副隊長、すごいです……」

 

 隊士たちがすごい目で見てきます。

 だって書いてあるんですよ、瀞霊廷通信に。

 

 朽木(くちき) 鴇哉(ときや) と言う名前になりました。

 その 鴇哉(ときや) という名前は私が考えた――って。

 

 なんで言った朽木白哉!! そこはせめて銀嶺さんに考えて貰った、とか言ってよ!!

 ……おかげで、いらない株が上がってるんです。

 

 ただでさえ、朽木本家に出入り自由ですし。外様の私が赤ん坊を取り上げたので、変な目で見られたりするのに。

 そこにダメ押しまでされたら、もうどうしろっていうのよ!!

 何か余計なオマケがついて来ないか心配で心配で……

 

『ですが藍俚(あいり)殿と拙者のコンビならば、向かうところ敵なし!(一部を除く)でござるよ!!』

 

 私のことはどうでもいいのよ。

 胴体真っ二つにされても復活できる程度の自信はあるから。

 物理的な暴力なら千人単位で来られても全部返り討ちに出来る(一部を除く)から恐くはないわよ。

 

 心配してるのは、四番隊(ウチ)の隊士なの!

 なにか貴族の変な事件に、とばっちりで巻き込まれないかが心配なの!!

 

 ただでさえ「私が取り上げると安産になる」って根も葉もない噂がもう立ってるの。

 そこに朽木家のお墨付き、みたいなものまで付いちゃうと。それをよからぬことに利用されないかって心配で心配で……

 

『なるほど……しかし隊士の皆様は……』

 

 チラリと皆の方を見れば。

 

「俺も結婚したら副隊長に取り上げて貰おう!!」

「お前の場合はまず相手を見つけるのが先だろ!!」

「でもあの朽木家の子供を取り上げた人だもんね! 絶対縁起が良いよ!!」

「副隊長、なんでも出来ますね!!」

 

『……大人気でござるな』

 

 あの光景を見ていると、こんな心配するだけ無駄なのかもしれないって思うけれど。

 

 でもまあ、内輪で笑い合ってくる位なら良いのよ。

 ほら、コレ見て。

 

『お手紙……でござりますか?』

 

 黒ヤギさんからいっぱい来たの。

 しかもこれ全部、さっき私が危惧した通りの内容なのよ。

 

『なっ!? 十通以上はございますぞ!?』

 

 同じ死神ならまだ良いけれど、中には貴族の手紙もあるの。

 絶対にハク付け狙いよこれ……

 どうしたものかしらねぇ……

 

 

 

 ぜーんぶ見なかったことにして、捨てちゃいましょう!!

 白ヤギさんに頼んで読まずに食べちゃいましょう!

 ――ってわけにもいかないわよね。

 

 ……もう全部、後処理は朽木家に押し付けちゃおっと。

 

 せめてこのくらいはして貰わないと!

 自分の所の影響力が全然分かってないわよね!

 

 この記事に触発されたのか、しばらくは各隊からほんのりピンク色な空気が漂うようになりました。

 


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