第96話 新隊長就任
まずは前回の顛末からです。
都さんですが、結論から言うとまだ死神やってます。
一時期は大変だったんですよ彼女、ずっと監視が付いてたりして。
何しろ一度「
そこを私が「全部除去しましたよ」と言っても「証拠を見せて」となるわけです。
裏付けや保証に乏しいんですよ。
証拠もないのに解放して、その瞬間また操られたらどうするんだ! と問題になったわけです。
なので十二番隊が都さんの身体を調べて安全かどうかをチェックしたり、また操られないようにと延々監視の目が光ってたり。
そういった窮屈な扱いを受けることで、なんとか無実を勝ち取りました。
とはいえかなりの時間が掛かりましたし、責任ある立場は問題ということで席官を外されて雑用係みたいになりました。
ですがそこは都さんというべきでしょうかね。雑用係だったのに"十三番隊みんなのお母さん"みたいな立ち位置になってたそうです。
エプロン付けてお掃除するのとか凄く似合ってたそうです。
ただ、料理は毒を仕込まれるかもしれないと禁止されていたようです。残念、お料理する都さんも見てみたかった……
続いて海燕さんの斬魄刀ですが。
結局、一晩経っても一週間経っても一ヶ月経っても戻ってきませんでした。
なので都さんの斬魄刀を正式に受け継ぐことになりました。
上の許可も得ました。
浮竹隊長が頑張ったみたいです。ちょっとは隊長らしいところを見せられましたね。
まあ、その浮竹さんも海燕さんも。
あの事件の直後はちょっと……盛大に凹んでいる時期がありましたが。
どうやら帰ってから都さんに盛大にお説教されたらしいです。
あとは……
あの十番隊の
良いんじゃないですかね? 一心隊長は遊んでばっかりいたみたいだから。
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「
「はい、隊長!」
今日は隊長のお供で朝から一番隊へ行きます。
ただ、何の用事かは聞いてないんですよね。ちょっと前に隊長から「この日は一番隊に行きますからあなたも来なさい」とだけ言われていました。
まあ用事を言わないということは、私にとっては特に大したことじゃないんでしょう。
道中、梅が花を付けていました。
もう春ですものね。そろそろ霊術院も新入生が入ってきますし。四番隊にも新人が入ってきます。
そっちの方の準備もちゃんとしていますよ。
以前、雛森さんと吉良君のサプライズ入隊に驚かされましたからね。
もう同じ轍は踏みません!!
一番隊の隊舎に到着すると……あら、なんだか妙な雰囲気が。
「
「え? そっちは中庭では……?」
「良いのです。今日はこちらであっていますから」
隊長に促されるまま、歩きます。
てっきり隊首会か何かが予定されていると思っていたのですが。
だから、いつもの部屋に隊長は向かうものだと。
私のような副隊長は、控え室で待っているものだと思ってたのですが。
中庭で何の催し物が……?
……ああ! そういえば総隊長が定例でお茶会を開いてましたね。
私、参加したことなかったんですが。それですねきっと!
マナーとか作法とか全然知らないけれど、大丈夫かしら……?
そんなことを思いながら隊長に従い、中庭を進んでいくと――
「……え?」
――そこには卯ノ花隊長を除いた、各部隊の隊長全員が揃っていました。
皆さんがそれぞれ一列に並んでおり、なんだか緊張感を漂わせています。
えと……この空気は一体……?
「遅いぞ、卯ノ花」
「申し訳ありません。ですが、今日の主役ですから。このくらいは勘弁してあげてください」
「主役? ……あの、隊長? 何かあったんですか?」
「……まさかお主、何も詳細を伝えておらんかったのか!?」
「現世風に言うと"サプライズ"というものです。それにこの子の場合は、このくらいで良いのです」
「お主……」
総隊長が何だか頭を抱えています。
周囲にいる各隊長の方々も「冗談でしょう!?」みたいに驚いてます。
そんな中、卯ノ花隊長だけが凄く良い笑顔をしています。
あの笑顔知ってます……何度か見たことがあります……
私が副隊長に任命された時とか、雛森さんたちが入隊してきた時とかに……
この時点で、もう完全に嫌な予感しかしません!!
「まあよい……今さら無かったことには出来ぬからな。後の予定も詰まっておるし、儀は予定通り行うぞ」
……
「それではこれより、新任の儀を執り行う」
うわぁ、もう嫌な予感が限界突破してます。
「この場にいる各人は知っておるだろうが――」
私、知りませんでしたよ。
「過日、四番隊隊長 卯ノ花烈およびその他の隊長たちから、四番隊副隊長 湯川
私、知りませんでしたよ?
「推薦を受け、その他の隊長たち過半数以上からの承認も得た。そもそも、当該の者は死神としての経験も豊富にして、実績・人格ともに問題なし。卍解に目覚めていることも同隊隊長より聞き及んでおり、その身に宿す霊圧も含めて申し分なしと決断した」
私、知りませんでしたよ!?
「よって、ここに四番隊副隊長 湯川
「……は!? え……!?」
大事な儀の最中だとは理解しています、理解していますが……
変な声を出してしまいました。
「どうかしたか? 湯川新隊長?」
「い、いえ……! 申し訳ございません。何しろ急な事で混乱しておりましたので……新隊長の任、謹んで拝命いたします!!」
とりあえず当たり障りのないような返事と態度をしておきます。
副隊長がそのまま隊長に繰り上がり、というのは、良くある事例の一つです。
そこまで取り立てて珍しいことではありません。
私が気になったのは"じゃあ今までの隊長はどうなるのか"です。
普通ならば、現隊長が引退するから新隊長をお願いね。というのが一般的です。
ですが、そんな一般的なことを卯ノ花隊長がするわけないんです!
だって新隊長就任すらサプライズにしてくれたんですよ!?
ならもう、これ以上のトンデモが控えているに決まってるじゃありませんか!!
やだ、恐い……聞きたくない……帰りたい……
「
「ありがとうございます……」
卯ノ花隊長……元隊長というべきでしょうか?
とにかく彼女の言葉を、どこか呆然とした頭で聞きます。
次にどんな言葉が飛び出すことか……下手なびっくり箱顔負けの恐怖ですよ!
「あの……私が四番隊の新隊長ということは、卯ノ花隊長はどうなさるのでしょうか?」
「うふふ……いやですねぇ、湯川隊長。今の私は、隊長でもなんでもない。言うならば只の
「で、ではその
「いえいえ、ようやく自由になれたのですから。心残りを片付けておこうと思いました」
「心……残り……?」
隊長の証でもある隊首羽織を脱ぎながらそう答えましたが……
心残りとは、一体何のことでしょうか? と首を捻った瞬間――
「……ッ!?」
「っ!!」
「らあっ!!」
――膨れ上がった濃密な気配に私は思わずその場を飛び退きました。
気付けば卯ノ花さんは斬魄刀を片手に更木隊長に斬りかかっており、更木隊長も瞬時の反応で剣を抜き、その一撃を受け止めていました。
何!? 何が起こったの!?
「十一番隊隊長、更木剣八! お待たせしました。ついにこの時が来ましたよ! その首と隊長の座、もらい受けます!!」
「……へっ!! つまんねぇ催しだと思ってたが、一気に面白くなりやがった!!」
そう来ましたかぁ……
二人の死神は、斬魄刀越しに凶悪な笑みを浮かべ合っていました。
卯ノ花さんがお茶目すぎて困る。
(今までで一番有り得ないのですが。ノリ優先ということで)
●え、卯ノ花さんそれ大丈夫なの!?
その辺は次回に。
●推薦を集める際の隊長の反応
??「私が推薦しました(ドヤ顔)」
??「むしろ今まで副隊長だったのがおかしいのだ! えへへ、これでお揃い」
??「妻子の命を救って貰った。それら含めて実力は申し分ない」
??「いいんじゃない? 強いしおっぱい大きいし。あと先輩だからねぇ」
??「あん、隊長だ? 腕っ節は強えし、何も問題ねえだろうが」
??「彼女には俺自身も含めて長く世話になってる。反対する理由がないよ」
??「霊術院での活躍など実績は沢山ありますし。僕としても色々興味があります」
??「ええんとちゃいます? 特に反対の理由もあらへんよ」
??「若い頃に儂も何度か世話になった。経験から踏まえても承認だ」
??「特に反対意見はない」
??「もう根回しも済んでおる。今さらどうしろと? 勝手にせい」
??「どうでもいいヨ。承認してやるから、無駄な時間を取らせないでくれたまえ」
??「絶対に反対だ!! アイツ背が高いし人をガキ扱いしてくるし! あと雛森……なんでもねぇ! とにかく反対だ!!」
(なおプライバシーを考慮して名前は伏せています)
●謎の数字
「4 2 6 8 11 13 5 3 7 9 1 12 10」