吾輩は猫である。名前はまだない。
そんな吾輩は今、シバイヌ帝国からの刺客によって人気の無い路地裏で正に"最後の瞬間"を迎えようとしていた……。
「ヨうケんは わカっているナ。」
訛りの酷いネコ語だ。奴らの一員にしては練度が低すぎる。恐らく脚が付かない様に外注のを使い捨てで雇ったのだろう。……その使い捨て共に追い詰められてるこちらの立つ瀬が無いのだが。
「さあ?、知らない。あんたらの人違いだろう。」
惚けて揺さぶりを掛けてみたが、期待はしていない。恐らくこちらの素性以外ロクな情報も与えられていないだろうから。
ほんの少しカマを掛けたが大した反応は無かった。刺客達はモゴモゴと何やらシバイヌ語で言葉を交わした後に1人がおもむろにこちらを見据えた。
吾輩はびょうとヒゲをゆがめて怯え、両手をあげて腹を見せてみる。
と、その時、
「おまわりさん!こっちです!」
不意にそんな声が路地裏に響き渡る。こちらを指さして駆け寄ってくるのはネコの少女と制服のネコ警察官1人。
「止まれ!」等と声を上げてこちらに向かって警棒を振り上げている。
彼女らは"自分達なら助けられる"と考えたのだろう。
例えばそれは、カツアゲに遭っているネコがいると考えたのだろう。
だがそれは、大きな間違いだった。
刺客達はばらばらに懐に手を入れ、それぞれの銃を抜き出した。
それにまず警察官が気付き、うろたえながらも少女の襟首を掴んで引き寄せる。
彼らの中でゴロツキに思われていたイヌ達は、シバイヌ帝国から差し向けられた殺しも厭わないキラーだったのである。
イヌ達は躊躇わず銃を構え、少女と警察官の表情が恐怖に染まる。
吾輩は、猫である。他者に誇れる様な取り柄など持ち合わせていないが、
普通より少し、喧嘩ができる。
こちらから視線を離した刺客達に膝立ちのまま一足に飛びかかる。
右足を地面につき刺し左足を一閃。刺客達は足首を砕かれ一斉に仰け反った。
地面に突き刺した足を抜き今度は両掌を付いて両脚の回し蹴りを放った。轟音と共に放たれた回し蹴りは刺客達を打ち砕き左右の壁に突き刺した。
一息付いて辺りを見渡し、刺客達が生きていない事を確認すると、目の前で少女と警察官が固まっているのに気付いて吾輩はとんでもない失敗を犯した事を悟った。
吾輩は一目散に路地裏の奥に逃げたがこれも失敗である。目の前で殺人を犯したのだから逃げても追われる身となるのは必至。脅しを掛けて口外させない様にするべきだったが後の祭りである。
急を要する段階でどうにも回らなくなる自分の頭に呆れながら自宅に逃げ帰ると荷物を纏めて逃げる支度を始めた。逃走はスピードが命である。
片手持ちの鞄に収まる程度の私物を詰めた後、自宅の地下深くに備え付けられた炎上自爆スイッチを押した。これで1時間後には4000℃の炎で爆発炎上しあとかたも痕跡が残らなくなる。
これで後は周囲をぶらついて何人かに顔を覚えさせ、人相で捜索が行われた際に情報が寄せられて周辺の捜査が始まった隙に遠くに身を隠す手筈である。
ちょうど今玄関のベルが鳴らされた。ついでに何か話して存在しなくなっているであろう指名手配犯の捜査に役立ててもらおうか。
吾輩はひと鳴きして玄関の扉を開けて対応を、
「……あっ。」
玄関先に居たのは、豊かな暮らしをしているのか白と銀の混じった艶やかな毛並みをした、目鼻立ちの整った少女だった。
あの時の、少女だった。
「……あっ……。」
吾輩は、見つかってしまった。
思い付きで書き始めました。
感想ほしいけど批判ではなくアドバイスでください、辛いので。
出来ればメスガキっぽく書いて貰えると嬉しいです。