翌日、目覚めると体の倦怠感は消えていた。
(よかった。魔力は回復したみたいだ。でもやっぱり最大MPまでは回復しなかったか.....)
「あれ、姉ちゃん?」
俺は確か姉ちゃんと抱き合って寝たはずだが目が覚めたら姉ちゃんがいなかった。俺は姉ちゃんを探そうと起きあがろうとした。
ふと頭に柔らかい感触を感じる。どうやらまた俺は姉ちゃんに膝枕されてしかも頭を撫でられているらしい。今、目覚めたばかりだというのにまた眠くなってきた。
(気持ちいい....まだ起きたくない)
「セーニャはとんだお寝坊さんね、もう1時間はこうしてるわよ?」
「姉ちゃん、もうちょっとだけこうしていていい?」
「全く、セーニャは甘えん坊ね。あたしがいないとてんでダメなんだから。」
そう言いながら姉ちゃんは頭を撫でるのを再開してくれた。
その後俺が起きてすぐにルーラでホムラの里に向かうことになった。
俺は姉ちゃんを落としてしまわないようにお姫様だっこのような形で飛ぶことにした。
「しっかり掴まっていてよ」
「わかってるわよ、セーニャ」
姉ちゃんが俺の首に手を回してしがみ付いた。
「ルーラ!」
俺の体が少し浮き上がり、その後ものすごい速さで上に射出された。
「ぐぅぅ!!」
(なんてすごい呪文なんだ。これはもしかすると攻撃呪文にも使えるかもしれないぞ)
気づけば地面に足がついていた。
1分程度の飛行時間だったのかもしれないが、俺には何倍にも感じられていた。
「セーニャ、大丈夫?」
姉ちゃんの方を見てみるとこの程度ではなんともないようだった。
「うん.....なんとか大丈夫だよ」
少しグロッキーになりふらつきながら答えた。
「あたしが使うときはそんなことにはならないんだけど....まあ、すぐに慣れるわよ」
「そうだったらいいんだけどね....」
(こんな呪文を使っても平気なんて、やっぱり姉ちゃんはすごいなあ)
辺りを見回してみると温泉のようなものに蒸気が噴き出しているのが見える。
どうやら無事ホムスビ山地についたらしい。
ホムラの里に入っていくと小太りの男性に入口で話しかけられた。
「おやおや、お嬢さんたちは見たところ旅の方のようですね!」
「わたくし、つい先日蒸し風呂を開店したばかりでして、今でしたら先着100名様まで無料でご利用いただけますよ!」
(あれ?この人勇者達が来たときにも開店したばかりとか言っていたような....それに確か原作のベロニカがさらわれたのも蒸し風呂に入っていたときだったな)
「あー悪いけど俺たちは...
「お風呂⁉︎喜んで入るわ!セーニャも行くでしょ⁉︎ね?」
(しまった俺が断ろうとしたら姉ちゃんが行くと言ってしまった)
こうなってしまっては俺も行くしかないか.....)
「そうだね。一緒に行こうか姉ちゃん」
「はい!2名様ご案内〜!さあさあこちらでございます。」
「セーニャーここの蒸し風呂は中々いいわねー」
「そ、そうだね」
(現代日本人としてはできれば普通の風呂に入りたいところだがそれは贅沢というものか.....)
俺がそんな呑気なことを思っていたときだった。
(空気が変わった何か悪しきものに狙われている)
「気をつけて姉ちゃん、何者かの悪意を感じる」
(まさかデンダ一味か?時期的には大丈夫なはずだが)
「え⁉︎た、確かに何かを感じるわね.....あたしとしたことが気づかないないなんて迂闊だったわ」
「ザキ!」
俺の放ったザキが柱の影に隠れていたものを狙う。
「いきなり即死魔法を放ってくるとは....なんて小娘だ」
デンダの子分が姿を表した
「くそ!即死耐性のある敵だったか!」
「ヒャダルコ」
デンダのこぶんが俺にヒャダルコを放つ
間一髪で躱したが少し足を切られてしまった。
「やってくれたわね!メラミ!」
ベロニカがメラミを放つ
デンダの子分に命中した。しかしあまりダメージを受けていない。
「くふふ、今のは効いたぞ。そこの赤い小娘は中々の魔力を秘めているな?この娘をデンダ様に献上すれば俺の立場も上がるだろうなぁ」
「やめろ!姉ちゃんに手を出すな!」
(おかしい!なぜこんな奴がここまで強いんだ⁉︎まさかこの世界は原作よりも敵の強さが数段上なのか⁉︎それに何故この時期に蒸し風呂に入って狙われるんだ⁉︎」
「おい、まさか俺が一人で来るとでも思ったのか?」
「⁉︎しまっ⁉︎」
「ラリホー」
その言葉とともに後ろに隠れていたデンダのこぶん2匹がラリホーを唱えた。
(くそ!せめて姉ちゃんだけでも!)
俺はラリホーによって眠る直前に姉ちゃんを蒸し風呂の外に蹴り飛ばした
その物音によりホムラの里が騒がしくなる。
「ち、本当は二人共さらうつもりだったんだが仕方ない、この緑の小娘をデンダ様に献上するか」
よければ感想をお願いします。