「うぅ、こ、ここは.....?」
俺は目覚めて最初に手と脚に違和感を感じた。
自分の状態を確認すると枷を嵌められていた。
前に威圧感を感じ見てみると青い竜が目に入った。
間違いない。こいつがデンダだ。
「目が覚めたか女、ここはデンダさまのアジトだ。早速だが、オメーの魔力をいただかせてもらうぞ。おい、この女を押さえつけておけ。」
俺はデンダの子分に床に押さえつけられた。
「や、やめろ!!」
自分でも驚くほど情けない声が出た。
体を拘束されているせいか自分がどうしようもなく無力で惨めな存在に思えて目に涙まで滲んできた。
「ククク、限界まで魔力を吸いつくしてやるぞ!」
デンダが手に持っている壺で俺の魔力を吸い取り始める。なんとか逃げようとしたが、デンダのこぶんに床に押さえつけられて拘束されているため逃げることが出来ない。
「い⁉︎ゔああああああ!!」
俺はせめてもの抵抗として魔力が吸い取られないように歯を食いしばって耐える。
だが体から力が抜けていく感覚と共に意識が遠くなっていく。
「助けて.....姉ちゃん.....」
「気を失いやがったか。おい、お前ら、こいつを奥の牢屋にでも放りこんどけ。目を覚ましたら再開だ、限界まで搾り取るぞ。」
ベロニカside
起きたらあたしは宿屋のベッドで寝ていた。誰か親切な人が倒れていたあたしを運んでくれたらしい。
油断していた。まさかセーニャがさらわれるなんて....あの魔物たち、今度見つけたら絶対に生かしてはおかない。
(確かセーニャは荒野の地下迷宮というところにデンダのアジトがあると言っていたわね。今すぐにでもセーニャを助けに行きたいけど、セーニャが自分で抜け出してくるのを待つべきかしら?)
(駄目だ。セーニャが今も酷い目に遭わされていることを考えれば気が気ではいられない。今すぐに助けに行かなくては)
あたしは宿屋を料金も払わずに飛び出した。
セーニャside
「う...あ」
俺は冷たい地面の牢屋の中で再び目を覚ました。それと同時に自分の体の異変に気がついた。
「体が縮んでる.....」
俺の体は原作のベロニカのように5歳程度の子供の外見になってしまっていた。
「とにかくここを抜け出さないと」
(確か原作のベロニカは小さくなった体を利用して脱出していたな)
俺がどうやって逃げ出そうかと思案に耽っていたときだった。
ものすごい爆発音が聞こえた。
「もしかして、姉ちゃんが助けに来てくれたのか?」
ベロニカside
あたしは走っていた。荒野の地下迷宮は侵入者を避けるための罠が無数に張り巡らされていたがそんなものあたしには関係なかった。
落とし穴に落ちようともすぐに登り、また走った。
そうしていると青い竜が目に入った。あいつがセーニャの言っていたデンダだとすぐにわかった。
「アンタがデンダね、あたしの妹は返してもらうわよ」
「なるほど、オレが取り逃した獲物自らきてくれるとはな!オメーの魔力も吸いつくして妹と同じ目に合わせてやるよ!」
「アンタ、あたしの妹になにかしたの?」
そのときベロニカからドス黒いオーラが解き放たれた。
「楽に死ねると思わないことね」
「マホトーン!」
デンダのこぶんがラリホーを唱えようとした。しかしベロニカのマホトーンによって呪文を封じ込められ唱えることができなかった
「そう、何度も同じ手がこのベロニカさまに通じると思う?」
ベロニカの2回行動!
ベロニカはベギラゴンを唱えた!
「ヴギャァ」
デンダのこぶん A.B.Cを倒した!
「よくも、オレさまの可愛いこぶんをやりやがったな!」
デンダのつめたいいき!
ベロニカはひらりと身をかわした!
ベロニカのカウンター!
デンダに83のダメージ!
ベロニカはマヒャドを唱えた!
デンダに186のダメージ!
ベロニカの2回行動!
ベロニカはメラゾーマを唱えた!
デンダに258のダメージ!
デンダを倒した!
ベロニカはデンダ一味をやっつけた!
「ば、馬鹿な、なんだその強さは.....ククク、だがオメーではいずれ復活する魔王さまに勝つことはできねえぞ....」
デンダは黒い煙となって消えた。
あたしはデンダ一味を始末した後セーニャを探すためさらに奥へと進んで行った。
そこには見た目は小さくなってしまったがあたしの妹セーニャがいた。あたしはセーニャに抱きついた。体が幼くなっているせいかいつもより柔らかくて抱き心地が良かった。
「セーニャ...!無事でよかった...!!」
「姉ちゃん!やっぱり助けに来てくれたんだね....ありがとう」
セーニャは手と足に枷を嵌められていた。すぐに枷を手で引き千切る。さらに体をよく見てみるといたるところに痣ができているのがわかった。おそらく奴らに殴られたのだろう。それに顔を見てみると泣いた跡があった。余程奴らに痛い目に遭わされたのだ。
あたしのなかでまたデンダ一味に対する怒りが膨れあがっていくのがわかったが、奴らは既に始末したと思い直し怒りをなんとか鎮める。
「ごめん、俺があんな奴らに捕まるなんて.....完全に油断していたよ。
姉ちゃんを守るのは俺の役目なのに.....」
「もう安心していいわよ。セーニャを苦しめていた奴らはあたしが全員消したからね」
あたしはセーニャの頭を優しく撫でながら安心させるように答える。
「よく一人で勝てたね...姉ちゃん」
「余裕だったわよ!このベロニカさまにできないことはないのよ!」
(本当はセーニャが酷い目に遭わされたことを知っていつもより強い力が出たんだけど)
「そういえばデンダが何か壺のようなものを持っていなかった?」
(壺、怒りで周りが見えていなかったけどそういえばそんなものがあったような気がする)
「確かにあいつの横に何かあったわね」
「それに俺の魔力が封じ込められているんだ」
「あたしが背負って行ってあげるわ。背中に乗りなさい、セーニャ」
セーニャは傷だらけで疲れているようだったのであたしが背負ってあげることにした。
「う、うん」
そう言ってセーニャが背中に乗った。とても軽い。あたしは今のセーニャを抱き枕にして寝たらとても気持ちがいいだろうなと思った。
「これね...」
あたしはセーニャを優しく降ろす。
セーニャが恐る恐る壺の蓋を取る。すると壺から勢いよく出た緑の魔力がセーニャを包み込んでいく。
「ホイミ!」
セーニャがホイミを唱えてあたしと自分の傷を治した。
「やった!俺に魔力が戻ってきた!でもやっぱり体は小さいままか.....だけどまあこれはいいか」
「姿は変わってないみたいだけど、ひとまずは魔力が戻って一安心ね」
(前のセーニャも可愛かったけど、今のセーニャはもっと可愛いわね.....)
あたしは密かにセーニャの姿が元に戻らなかったことに喜びを感じてしまっていた。
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