俺の名は藤田。
俺のクラスには五味と言う不良が居る。
これは俺が五味に復讐した物語・・・

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カンニング~予習復讐はしっかりと~

少し曇った空、冷たい風が体を震えさせる。

 

「おらっ!」

「あぎゃっ」

 

五味のパンチが俺の左腕に当たる。

背中を体育館の壁にくっつけ、顔面をガードしているが痛みに目が開けてられない。

 

「お前のせいでカンニングがバレて停学処分なんだぞこっちは!」

「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」

 

再び五味の拳が腕に当たる。

その時、胸元に在った手作りのお守りの紐が千切れ、お守りが地面に落ちる。

 

「あっ」

 

慌ててそれを拾おうとするが、五味がお守りを踏みつけ俺の髪を掴んできた。

髪を引っ張られた痛みで上を向くと五味と目が合った。

 

「そんなにこれが大切なんか?あーん」

「そ、それだけは・・・」

 

五味は踏みつけていたお守りを拾い上げ破りだした。

そして、その中に在った1万円札を手にし嬉しそうに告げる。

 

「おーおー良い物入ってるじゃねーか!迷惑料代わりにこれ貰っとくわ」

「か、返して・・・それは大事な・・・」

「あー?うっせーんだよ!」

「がっ」

 

再び五味のパンチが俺の胸に打ち込まれた。

俺はせき込みながら蹲る。

そんな俺の髪を再び五味は掴んで告げる・・・

 

「これだけじゃ足りねーな、そうだ今回の慰謝料代わりに10万用意しろ」

「そ・・・そんな・・・」

「いいな?1週間だ」

 

そう言って五味はボロボロの俺を一人残して歩いていく・・・

俺から奪った1万円を手に・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

時は半年ほど遡る。

 

俺、藤田は高校3年生だ。

俺のクラスには1人不良が居る、名前は『五味 和夫』こいつがまた面倒なやつで、親が教育委員会の偉い人で大人の前では普通の高校生を演じているのだ。

だがその実態をクラスの皆は知っている。

 

「おら!豚はブヒブヒ言ってろよ」

「うぅぅ・・・」

 

今もクラスメイトの斎藤が五味の前で四つん這いにさせられていた。

逆らったら様々な苛めの標的にされると言うのを他の人に見せつけているのだ。

その結果、関与せず逆らわなければ同じ目に遭う事は無いし、何か訴えを起こしても親が出てきて逆に悪者にされた人を何人も見てきた。

噂が学生同士で広がるのも早い、だがそれでも証拠を残さない五味の苛めの方法も有って大人は五味の本性を知ってはいない。

誰かが標的になっていれば自分は大丈夫なのだから、そう誰もが考えているのだ。

だから俺はずっと考えていた・・・

 

 

 

 

 

 

夏休み直前、1学期期末試験初日。

 

この日、俺は五味に体育館裏に呼び出された。

理由は見られたからだ。

 

「おー藤田、見ちゃったぜ」

「な・・・なにを・・・」

「カ・ン・ニ・ン・グ してたよな?」

「あっ・・・」

 

五味の醜悪な笑み、そして臭い口が目の前にやって来て俺に告げる。

 

「明日の試験のカンペ、黙っててやるから俺にも寄こせ」

「えっ・・・いや、一体何の・・・」

「斎藤にも飽きてきたから次の獲物はお前にするかぁ~」

「ひっ!」

 

そう言って内股を軽く抓られる。

ここを軽くでも抓られると物凄く痛いのは誰でも分かるだろう。

そして・・・

 

「俺の分のカ・ン・ペ 作るよな?」

 

俺は頷く事しか出来なかった・・・

この結果、俺の成績が平均よりも良かったのはカンニングをしていたからだと五味は知り、いつも赤点ギリギリだった五味は俺のカンペで期末試験を追試なしで乗り切るのであった・・・

 

 

 

 

そして、2学期の中間テストも俺のカンペを頼りに五味は試験を突破した。

要点を纏め、試験範囲を上手く散らされても大丈夫な俺のカンペは完璧であった。

満点を取る事無く、必要最小限のカンペで試験を突破できる作り方をしているので、答案用紙からはバレる事は絶対に無いのだ。

平均点よりも少し低いが赤点にはならない五味、平均よりも少しだけ高い俺・・・

誰にも知られずにカンニングを成功させていた事で勉強もせずに五味は毎日遊んで居た・・・

 

全ては俺の計画通りに・・・

 

 

 

 

 

そして、時は体育館裏で殴られた当日。

事件は数学の試験の最中に起こった。

 

「五味!お前それはなんだ!?」

「へっ?えっ・・・えぇ?!」

 

教師が大きな声を上げて五味を怒鳴った。

驚いた五味は裏返った声で教師の視線の先を見た。

そう、そこには俺のカンペが1枚落ちていたのだ。

小さくカットされた紙に書かれている方程式、それは今回の試験で使用する暗記しておくべき方程式である。

 

「ちっちが・・・」

「お前動くな!持ち物検査だ!」

 

そう怒鳴られ俺が用意した筆箱の中に入れているカンペ、左手の袖の中に入れているカンペ、そして次の授業で使うカンペがポケットの中から出てきたのだ。

しかし、五味が慌てるのも仕方ないだろう、だって俺が渡したカンペは全部五味が持っているのだから。

焦る五味は俺の方を見てきたので、俺はニヤリと笑みを浮かべた。

全て俺の仕組んだ通りだと言わんばかりに・・・

それを見た五味は叫んだ!

 

「ま、待って下さい!あいつ!藤田もカンニングしてます!」

「なにぃ?!」

 

五味がそう言ったので教師は俺の元へやって来た。

だが俺は首を傾げ立ち上がる。

 

「先生、自分はカンニングなんてしてませんよ?」

「藤田、ちょっと調べさせてもらうぞ」

 

そう言って教師は俺の持ち物やポケットの中を入念に調べるが・・・

 

「五味、藤田は何も持ってないぞ」

「そ、そんな・・・嘘だ・・・」

「なんで自分が疑われたのか分かりませんが、とりあえず試験中ですんで続きやってもいいですか?」

「あっあぁ、五味は試験が終わるまで席で待ってろ!終わったら職員室だ!」

 

そう言って五味は職員室に呼び出されるのであった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び放課後の体育館裏。

 

「いてて・・・」

 

五味に殴られた部位を摩りながら俺は大きくため息を吐く・・・

それは合図、きっと今頃・・・

そう、俺の想像している通りであった。

某有名掲示板で大炎上が発生していたのだ。

 

「大丈夫だったかい?」

「あぁ、五味のやつも痣が分かる様な部位は殴らない奴だから逆に良かったよ」

 

俺は走ってやって来た斎藤に笑顔を向けて差しだされた手を握って立ち上がる。

全ては俺のシナリオ通りであった。

五味も知らないが実は俺と斎藤は小学校からの親友、3年になってから斎藤に手を出した五味を毎日憎んでいたのだ。

そして、決定的な仕返しをする為に俺は作戦を考えた。

それが、今日実行されたあれである。

 

「でも本当に藤田の考えた通りになったよ凄いよ!」

「ははっ、直ぐに助けてやれなくてごめんな」

「ううん、これであいつも終わりだから大丈夫だよ」

 

そう、五味にカンニングしているのを見られたのも俺の作戦だったのだ。

実は俺は斎藤を苛めだした五味を嵌める為に、1学期の中間試験から同じカンニングモドキを行っていたのだ。

カンペを作り、それと同じサイズに切った白紙を教師に気付かれないタイミングでカンニングをしているかのように、斜め後ろの席に座る五味が気付くように試験中に見ていたのだ。

そして、それを知った五味は俺の考えた通りカンペを要求してきた。

 

実はこのカンペを考え込んで要点を上手く纏めて作る事で暗記が出来るという事を中学の頃に知ってから、俺はカンニングペーパー作成勉強法として実践してきたのだ。

なので使用しないカンペを試験の度に作る様になっていた為にこれを利用する事を思い付いた。

 

「しかし、上手い事いったな斎藤」

「いやいやこんな事考え付くの藤田だけだって」

 

そう、俺はカンペを1枚だけ五味の座席の裏に貼り付けていたのだ。

着席の際に椅子を動かしたらヒラリと落ちるように・・・

これについては一か八かの賭けでもあった。

五味がそれに気付いたらどうしようか、椅子から落ちなかったらどうしようか・・・

何度も放課後の教室で斎藤と一緒にテストして、ベストポジションで隅っこに付けたノリが外れ、座った人間が気付かない位置に落ちるポイントを調べた甲斐があったってもんだ。

結果は五味が手荒く椅子を動かして偉そうに座っていたからこれほど慎重になる必要はなかったのだが。

 

「それで、そっちの方は?」

「ちょっと待ってね・・・うわっ!凄い盛り上がってるよ」

 

ここは体育館の裏、当然体育館内の壁沿いの上に在るギャラリー、キャットウォークとも言う場所から開けた窓。

そこから差しだされた自撮り棒の先端のスマホで斎藤が先ほどの一部始終を撮影していたのだ。

『●●高校の強盗傷害の一部始終』と事前に某巨大掲示板に掲載し、ライブ中継で公開されたこれは俺達の予想を上回る速度で広がっていった。

結果・・・

 

「うわぁ・・・閲覧回数まだ10分経ってないのに1万超えたよ」

「計画通りだね」

 

事前に仕組んだ通り全ての作戦は上手くいった。

停学を言い渡された当日に五味がこんな事をしていると知られれば退学は必須だろう。

斎藤が今回の為に作ってくれた手作りお守りを殴られた拍子にワザと引っ張って自ら千切り、中身の俺の1万円は後日色が付いて五味の親から返ってくるのも計算通りだ。

何せ実際に金を奪っていく所を動画で撮影しているのだから・・・

 

「さて、それじゃあ保健室行く?」

「保健室?いやいや強盗に遭ったって校長に言ってから病院に行くまでが作戦さ」

「うわっやる気満々だね」

「お前を苛めた報いだからな」

 

そういう俺に頬を赤らめる斎藤、ちょっとまて俺もお前も男だぞと笑い合いながら俺達は最後の仕上げに校長室に向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

2学期、期末試験の初日に起こったこの事件はネット上で一気に広まり、テレビでも放送され五味は一躍時の人となった。

被害者である俺の方は身バレするのも覚悟していたのだが、過去に五味に苛められていた人が次々に名乗り出てそれどころではなくなったのは幸いであった。

そして、期末試験が終われば冬休みに突入し、五味の両親から慰謝料として7桁のお金が返ってきた。

更に五味は高校3年の2学期で退学となり強盗傷害に加え、過去に起こした様々な事件が発覚し少年院に入ることとなったと聞いた。

ちなみに現場を撮影したのは誰か尋ねられたが、俺は動画の存在すらも知らなかったと言った。

きっと俺と斎藤は大人になってもこの友情を大切にしていく事だろう・・・

 

 


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