イヌ子さんのホラ吹き。《あの時の嘘、ほんまやで〜》   作:あきと。

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第二十四話 「大間々岬キャンプ場」

 

「ふーん、岬にあるキャンプ場なだけあって、釣りにレンタルサイクル。ボートとかでも遊べるんだ」

 

バスを降りてキャンプ場に向かう中、キャンプ場の看板を見つける。

歩きながら見える湖は絶景だし、自然に囲まれた道も最高だ。

そうしてようやく。

 

「おー!! ええとこやん」

 

「ほんといいねー」

 

「大垣さん、よく見つけたね。こんなに良いキャンプ場」

 

「へへっ、だろー?」

 

並木を抜けると、先程まで離れていたところから見ていた湖が目の前に。

 

「だが、感動すんのはまだ早いぞ!!」

 

「え、これ以外にも何かあるの?」

 

他にも、よりすごいものが待っているのだろうか。

 

「この向こうの岬の先で設営すればきっと、湖の真ん中でキャンプしてるような、不思議な感覚を味わえるに違いない!!」

 

「湖の真ん中でキャンプ……」

 

「それは惹かれるな。夜景も綺麗そうだし」

 

岬の先で過ごす事を想像して期待に胸が膨らむ。

 

「早く受け付け済まして、岬の先でキャンプチェア使ってみようぜ!!」

 

「おー!! せやせや!!」

 

「二人とも、走ると危な……!」

 

「二人とも待ってー」

 

「斉藤さんまで!?」

 

元気な女性陣の背中を俺は追いかけた。

岬の先でのキャンプか……。

ロマンチックで良いじゃないか。俺も早くあおいと買った椅子を試してみたいしな!

 

 

 

「岬の先でテント張っちゃだみだよォ〜、あんぶねーもん」

 

「( I H I )」

 

『ぐわぁ』

 

楽しみにしていた設営は、黒サングラスをかけたイカつい感じの管理人さんに止められ叶わなかった。

 

 

△ △ △ △

 

 

同日、志摩家にて。

 

「さてと、今日はキャンプ道具と原付の手入れでもするか」

 

普段着に着替えて、いつも使っているキャンプ道具を取り出そうとするリン。

 

最近、ギアだけじゃなくて原付の方も汚れが目立ってきてたんだよな。

 

「あ、そういえばバイクといえば……」

 

あおいの彼氏である小牧くん。

確か、彼は中型バイクの免許持ってて普段も乗ってるって言ってたな。

 

「私も、大人になったらお爺ちゃんみたいなバイクも乗ってみたいな」

 

今度、小牧くんに乗ってるバイクを見せてもらえたりできないだろうか。

あ、でも二人で会ったりするのはまずいか。あおいと付き合ってるわけだし。

 

「うーん」

 

今の所、バイクに乗ってる同年代の友達ってアヤちゃんしかいないしな。少しくらいバイクの話は聞いてみたい……かも。

 

年末年始のソロキャンで、浜松に住むなでしこのお婆ちゃんの家で会った女の子。なでしこの幼馴染、土岐綾乃(ときあやの)。

彼女もリンと同じく、原付を愛用していた。

 

「見せてもらうのは無しで、普通にみんなといる時にでも聞けばいいか」

 

そういえば、今日はなでしこを除いたメンバーと斉藤でキャンプに行くって言ってたな。

 

あいつら、どの辺攻めてるのかな……。

 

 

△ △ △ △

 

 

キャンプサイトにテントを設置した俺たちは、新たに手に入れたギアをさっそく広げてみる事にした。

 

「ほー、収納袋に組み立て方が書かれてるんや」

 

「説明書と一体型だと無くす心配もなくて便利だな」

 

「さっそくやってみよか」

 

座面の生地に書いてある説明に従い、あらたとあおいは各々で購入した。ローチェアとコンパクトチェアを組み立てていく。

 

「フレームを組み立てて、座面の四隅にフレームの先端をはめれば……」

 

「んしょ……。出来上がりや!」

 

「フレームもゴム紐で繋がってるから、すごく楽だ」

 

「部品無くさんし、ええ仕組みやね」

 

一仕事終えた俺とあおいは互いの椅子を見比べる。

 

「二つともコンパクトだけど、だいぶしっかりしてるよね」

 

「あらたくんあらたくん!座ってみてもええ?」

 

「もちろん。組み立てただけで満足するわけにもいかないしね」

 

あおいは自分が組み立てたコンパクトチェアにゆっくりと腰を下ろした。

 

「どう? あおい」

 

「この包まれるような座り心地……」

 

あおいは確かめるように、座面の裏やフレームに触れながら感想を述べる。

 

「買ってよかったわぁ〜」

 

「ふふっ、それは良かった」

 

あおいの朗らかな緩んだ表情で、椅子に寛ぐ姿をしっかりとスマホの写真に収める。

後で待ち受けにしよう。

 

「あらたくんの方はどんな感じなん?」

 

スマホ越しに、あおいが興味津々な目で隣に置かれた椅子に視線を向ける。

 

「こっちは……っと」

 

あおいに倣い、俺も自分で組み立てたローチェアに腰を下ろす。

ローチェアは確か、志摩さんが使っていたな。

 

「おお! こっちも良い感じ。座面が低いから、ゆったりと足も伸ばせて快適だよ。これは買って正解だね」

 

「せやろせやろー。あっ、せっかくやしそっちも座ってみてもええ?」

 

「良いも何も、そのつもりだったから遠慮しないでよ。俺もあおいの椅子に座りたい」

 

そうして、交互に椅子を満喫して改めて椅子を購入した事。迷ってた二つを選んで良かった事を考える。

 

「あらたくん、両方買うって提案してくれてありがとー。あらたくんが共有しようって言ってくれたおかげやね」

 

「全然だよ。俺も椅子は迷ってたから。それに、同じ物を二人で買うんじゃなくて二人で一つの物を使うのって良いなって思ってたから。ま、俺の我儘なんだけど」

 

「そんな事あらへんよ。むしろ、私の方がだいぶ欲張りやもん」

 

「欲張り? それってどういう……」

 

「ねー、二人とも」

 

すると、大垣さんの様子を見ていた斉藤さんがこちらに声をかけてくれる。

 

「あきちゃんの椅子も出来たみたいだよ」

 

「お、どんな感じやろ」

 

「ごめんね小牧くん。お邪魔しちゃった?」

 

「そんな事ないよ。……って、斉藤さんも最近揶揄ってくるよね」

 

「ふふふ、そんなそんな。ただ目の保養にさせてもらってるだけだよー」

 

小声で斉藤さんが俺だけに聞こえるようにそう言ってきた。

やっぱり面白がっているな。別に、嫌だとは思わないけどやはり恥ずかしいのも確かだ。

 

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