イヌ子さんのホラ吹き。《あの時の嘘、ほんまやで〜》   作:あきと。

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第二十九話 「部長帰還!…あともう一人?」

 

「そうそう。すり潰して丸めたご飯をそんな感じで……」

 

あらたとあおいと恵那の三人は予定をしていた、きりたんぽ鍋を作り始めていた。

塩水を使ってすり潰したお米を、今はきりたんぽの形を作るべく、割り箸に刺して棒状に形づくりをしている最中だ。

 

「こんな感じ?」

 

「うん、あおい上手だね」

 

「ほんま? あらたくん教えるの上手やもん」

 

「昔家族で作ったことがあってさ」

 

「小牧くん、これでいい?」

 

「うん、完璧」

 

あおいも斉藤さんも俺が教えた通りにこなして、すでに半分程きりたんぽのベースを作り上げてくれていた。

 

「にーちゃん、きりたんぽの作り方なんて、よう知っとるねぇ」

 

「あ、はい。俺、地元が東北の方で。去年山梨に引っ越して来たばかりなんです。それで」

 

「そうけ。東北もうんまい物がいっぱいあるでねぇ」

 

隣で見ていたおじさん……飯田さんに褒められながら俺たちは作業を続けていく。

お姉さんは、すでに別の鍋でモツ鍋を作り終え、現在はストーブの上で保温中だ。今は俺たちの鍋も手伝ってもらっている。手際が良くて早いし、料理を作り慣れているのかもしれない。

寒い中での鍋料理……。安心したのもあってか、余計にお腹が空いて来た。

 

「おーい、イヌ子ー」

 

「……ん? なんか聞こえへん?」

 

「今の声、大垣さん?」

 

「あっ! もしかしてあきちゃん、戻って来たんじゃない?」

 

「恵那ー、小牧ー。どこだー?」

 

その声はだんだんと近づいて来る。

そうか、俺たちが何処にいるのか分からないんだ。スマホの電源は切れてるし連絡が出来なかったからな。

 

あらたの推測通り、千明には現在三人の居場所が分かっていない状況にあった。

 

「眼鏡をかけていた子ね。その子もぜひ呼んで来てください」

 

「ありがとうございます」

 

あおいが席を外してテントから顔を出す。

 

「あきー! こっちやー!」

 

「ぬっ!?」

 

そして、コンビニから帰還した千明もテントの中へとやって来る。

 

「うおーっ! あったけぇー」

 

「おかえりー」

 

「そっか、お姉さんとこでお世話になってたのか」

 

「ありがとうな、あき。寒かったやろ?」

 

「いやぁ、まぁ。そうでもないぜ」

 

曇った眼鏡のレンズを小っ恥ずかしそうに擦る大垣さん。俺からしても、こんなに頑張ってくれていた大垣さんには感謝しなくては。

 

「つーか、あたしがコンビニ行ってる間、こんな温かい所でぬくぬくしてたのか。ちくしゃうめ!!」

 

「「へへーっ」」

 

「本当にありがとう大垣さん」

 

「おうよ!」

 

「ほら、嬢ちゃんもストーブの近くで暖まりな」

 

「ありがとうございます」

 

「大垣さん、ここ座って」

 

あおいの方に、もう少し近付きストーブに一番近いスペースを作り出す。

 

「お? きりたんぽ」

 

「お姉さん達と一緒に、鍋パーティーやろうって話になったんだよ」

 

「そっかー!」

 

「こっちはモツ鍋だに」

 

飯島さんが、ストーブの上の鍋の蓋を開けて、ぐつぐつと煮込まれたモツ鍋を披露する。

白い湯気がボワっと広がり美味しそうな香りと、具材の姿が現れる。

 

「おーっ!! いいっすねー」

 

大垣さんはよだれを垂らしながら、間近で鍋の様子を窺う。

 

「シメにラーメンもあるんですよ」

 

「最高じゃないすか!」

 

「きりたんぽ鍋、忘れとるやろ」

 

「大垣さんは、頑張って走ってくれたし。沢山食べてもらおうよ」

 

「それもそうやな」

 

そして、被っていた帽子を脱いで、テーブルの前に腰掛ける。

 

「あきちゃんも、一緒に作ろう」

 

「あいよ!」

 

千明が合流して、ようやく全員で夕飯の支度に入る。あとは、先に割り箸に刺したきりたんぽから、どんどん焼いていくのみ。

と、その時。

 

「大垣さーん!! 犬山さーん!!」

 

「ん?」

 





いよいよ、山中湖編ラストスパートです!
そして、今回同時にゆるキャンでもう1作品投稿始めました。
お時間があれば、そちらもよろしくお願いします。
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