イヌ子さんのホラ吹き。《あの時の嘘、ほんまやで〜》   作:あきと。

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第三十九話 「誕生日」

 

《グループチャット》

 

【なでしこ】「野クルキャンプin伊豆!! 3月はじめに開催予定だよ!!(*゚∀゚*)/ 恵那ちゃんとリンちゃんもどう?」

 

【あおい】「バイトで稼いで伊豆キャンや!( ´ ▽ ` )」

 

【あらた】「美味しいキャンプご飯をみんなで食べよう!」

 

【千明】「まさに豪遊。(΄◉◞౪◟◉`)」

 

 

そんな誘い文句を恵那&リンへと送り、職員室を後にしたあらた達は来たる伊豆キャンに向けての話をしながら帰る事に。

 

「伊豆キャン3月まで待ち通しいねぃ」

 

「せやねぇ」

 

「最近キャンプ続きだったし。少しの我慢だよ」

 

「だが、期末テストっていう山はデカいぜぇ…」

 

キャンプよりもテストの心配で頭が一杯になっている大垣さん。

テストの結果では補習とかで、さらに伊豆キャンが遠のく可能性も否めないのだ。

 

「それなら、勉強会とかする?」

 

「小牧〜。お前って奴は……。お願いしやっす!!」

 

「即答やな。でも、それは私もええ考えだと思うで」

 

「みんなでやったら大丈夫だよ。きっと!」

 

「分かった。じゃあ、今度図書室でやろうか」

 

「「賛成〜」」

 

成績が良いあおいが居れば百人力だ。決して頼り切るつもりはないけどな。俺ができる事も精一杯やらせてもらう所存である。

 

「あ。3月って言えば4日はイヌ子の誕生日じゃん。キャンプで何かやろうぜ」

 

「あ……」

 

そうだ。確かにその日はあおいの誕生日。

となれば、キャンプの時にお祝いするのは極めて普通のこと。それを先に大垣さんに言われるとは、不覚だ。

 

「えっ!?」

 

それを聞いた各務原さんが驚きの声をあげた。

各務原さんの事だ。きっと、お祝いに賛成の声をあげてくれるのだろう。

他の参加者もいれば、盛大なお祝いができるかもしれない。

 

「あおいちゃんも3月4日なの!?」

 

各務原さんが身を乗り出してそう言った。

……ん? あおいちゃん、も?

 

「私もだよっ!!」

 

「えっ!? なでしこちゃんも!?」

 

2人は近寄って両方の掌を合わせる。

なんと、あおいと各務原さんは同じ日が誕生日だったようだ。

 

「そうやったんやー」

 

「2人とも同じ誕生日だったんだねー」

 

きゃっきゃっと喜び合う2人。

女子同士の会話はいつも華やかだ。目に見えない暖かなオーラみたいなものを感じる。

完全に、あの2人だけの世界だ。

 

「それなら、2人共お祝いしないとね」

 

「おい、小牧。どうすんだ?」

 

「お、大垣さん! どうするって何が?」

 

いつの間にか近くに来ていた大垣さんに、小声で話しかけられる。

 

「何がって。誕生日ならプレゼントとか渡すんだろ? クリスマスの時みたいにさ」

 

「うん、そうだね。そりゃ誕生日だし」

 

当然全力で祝わせてもらうつもりだ。彼女の誕生日は彼氏である自分にとっても大切な日なのだから。

何やら大垣さんはそんな俺の事を気に掛けてくれているようだが……。悪戯な顔が気になる。

 

「しししっ。まー、頑張れ。あたしらはお前らカップルのイチャイチャをおかずに、綺麗な伊豆の景色と美味いキャンプご飯を堪能させてもらうズラー」

 

「大垣さん言い方……」

 

予想通り、大垣さんは面白がっていた。

 

「リンや恵那もいるしな。楽しみだぜぇー」

 

もしかすると、あのからかい上手な斉藤さんも、この事を知ったら悪戯な笑みを浮かべるのではないだろうか。

 

「まぁ、冗談はこれくらいにしといてだな」

 

「本当に冗談なの?」

 

と、前置きを置いてから大垣さんは本題に入るように話す。

揶揄われるのは目に見えているが、今は置いておこう。

 

「イヌ子の奴さ。クリスマスの時に貰った手袋。相当気に入ってるみたいだからな。どんなプレゼントでも、小牧からなら何でも喜ぶと思うぞ」

 

「……ありがとう。大垣さん」

 

「へへっ、よせやい! 照れるじゃねーか」

 

なんだかんだ。大垣さんは背中を押してくれた。

部長として、部員を元気づけようとするなんて。きっと将来は良い上司になるに違いない。

 

「それにしても、なんだよお前ら。二人共、大塩平八郎と同じ誕生日だったのか」

 

……今はこんな悪ふざけをするような人だけどな。

 

「「…………」」

 

あおいと各務原さんは渋い顔をこちらへと向ける。ノリが良いというかなんというか。

 

…誕生日プレゼント、何が良いかな。

 

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