イヌ子さんのホラ吹き。《あの時の嘘、ほんまやで〜》 作:あきと。
今回からのお話が一度消えてしまい、絶望の中頑張りました(´・ω・`)
後日、二泊三日で予定される伊豆キャンに向けての作戦会議。それが行われる放課後、まずは鳥羽先生から二泊目までの予定を聞かされた。
一泊目は下田の浜辺での海キャン。二泊目は駿河湾と富士山が見える山の上でのキャンプをしようとの事だ。
そして、俺たちは一日目と二日目に回りたい場所を話し合いで決める事となった。
「リンちゃんはどこ行きたい?」
「伊豆の高原とかかな」
なでしこを皮切りに、次々と案が上がっていく。
「私は伊豆海岸だなー」
「じゃ私伊豆の港〜」
「私、伊豆のつり橋ー」
千明、あおい、恵那も各々行ってみたい場所を口にする。
「あらたくんはー?」
「俺は伊豆詳しくないし。みんなが行きたいところでいいよ」
「欲がねぇなー。小牧」
「うーん。強いてあげるなら、妹がお土産を期待してるから。それさえ買えれば」
家で留守番をするひかり。当然父も母も一緒だが、今回の話をしたら期待の眼差しを向けられていた。
「ふっ、愚問だな。そんな物は破産するだけ買うに決まってんだろ! わははははっ!」
「いやいや、せっかくバイト頑張るんだから計画的に使おうよ」
暴走寸前、いやもう遅いであろう部長をあらたは宥める。
「せや。先生、うちの妹もキャンプ来たい言うてるんですけど。連れてってもええですか?」
「あかりちゃんですか?」
「そういえば、あかりちゃん行きたいって言ってたもんね」
あらたはあおいの話を聞いて昨日のことを思い出す。
△ △ △ △
あおいの家でテストに向けて二人で勉強をしていた時のこと。
「あおいちゃん、にーちゃん! 私も伊豆連れてって!!」
休憩している時を見計らって、あかりちゃんが俺たちのいる居間へと慌てて入って来た。
「急にどうしたん? あんたキャンプ興味ない言うとったやん」
「キャンプやのうて伊豆行きたいんや。カピバラちゃんー!!」
「「カピバラちゃん?」」
何のことかとあらたとあおいは顔を見合わせる。
「なんやの? カピバラがどうかしたん?」
「これみて!」
二人の前に出されたのはタブレットの液晶画面。そこにはある動物たちが映し出されている。
「伊豆の動物園に温泉入るカピバラちゃんがおってな。むっちゃ癒されんねんでー!!」
「ほー、カピバラが温泉入っとる」
「確かにこれは可愛いかも」
「なー。あおいちゃんも、にーちゃんも癒されるやろー?」
「けど、冬用寝袋持っとらんやん。冬キャンプの夜はむっちゃ寒いんやで」
「大丈夫やもーん。お布団たくさん持ってくしー」
「布団のミルフィーユやないか」
その姿、容易に想像できるな。
「だったら、まずは鳥羽先生に相談してみたらいいんじゃないかな」
「ほんまに!?」
「う、うん。どうなるかは分からないけど」
「さっすが、にーちゃん!」
「せやな、鳥羽先生は経験も豊富やし。でもあまり期待ばかりしたらあかんよ? 駄目やったら素直に諦めるんやで」
「やったー! さっそく旅行の準備やー!!」
「って、聞いてへんし」
「あはは…。準備って、まだだいぶ先の話なのにね」
「相変わらずの妹や。……それに、あらたくんも甘いしなぁ」
「えー、今のは普通の事じゃ」
「ふーん」
ツンっとしたあおいがそっぽを向く。
「やれやれ」
その後、こたつの上のみかんをあーんで食べさせてあげた事であおいの機嫌を取り戻したのだった。
あおいのヤキモチは可愛いのだけど、あおいも相変わらずあかりちゃんに嫉妬するというのがより可愛らしい。
△ △ △ △
「ていうわけでして」
他のみんなも、俺が見せたカピバラもとい、カピバラちゃんの動画に釘付けである。
口を揃えて「カピバラかわいー」とのお言葉を頂いた。
「親御さんが許可してくださるようでしたら、一緒でも構いませんよ。寝袋も私が用意してみます」
「ホンマですか!?」
「はい。あっ、それなら小牧くんの妹のひかりちゃんもくるのかしら」
「いえ、ひかりはキャンプも伊豆にも興味が薄いみたいで。あと寒いのが嫌なようで」
「そうですか。残念ですね」
あかりちゃんと一緒にひかりに誘いをかけたところ、寒いのが苦手なひかりには断られてしまったのだ。
ダイヤモンド富士の時は短い時間だったからよかったらしい。
「チビイヌ子も来るってなると8人かぁ。大所帯だなー」
「でも、賑やかだからきっと楽しいよ! 私もあかりちゃんに会うの楽しみ!」
「まぁな。あれ? でも先生の車4人乗りじゃなかったっけ?」
「そういえば…」