イヌ子さんのホラ吹き。《あの時の嘘、ほんまやで〜》   作:あきと。

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こんにちは!あきと。です。
今回なんと!今作の評価に色が付きました〜♪
ありがとうございます!!



第八話 「全員集合!」

 

「うぐぐぐ」

 

壮大な自然と、舗装された道路との間にあるガードレール横を歩きながら、必死に薪を運ぶ千明を心配そうにあらたが振り返る。

 

「本当に良かったのかな。俺が持たなくて」

 

「バイトでお酒運んだりして力付いてきた言うとったし大丈夫やと思うで」

 

手を繋いで隣を歩くあおいさんが言うように、結構酒屋さんは結構力を使う仕事だとスーパーのパートさんから聞いていた。

 

確かに、俺たちが働くスーパーでもお酒は置いてるし、何度も運んでいたからその大変さはよく分かる。

 

「それに本当に無理なら志摩さんも頼まんと思うし、あきだって助けを求めるはずや」

 

そういえば、大垣さん自身は重いとは言っていても、助けてまでとは言っていなかったな。

 

「なんか悪いなぁ。バイトだと若い男子が率先して重いものって運ぶから、こうして見てるだけっていうのも」

 

「そんな事あらへんよ。それに、あらたくんにはいつも助けられてるし、頼りすぎるのも良くないやんか」

 

「そんな。俺なら全然平気だよ?」

 

「あかんでー。あらたくんの事は荷物運びとして呼んだ訳やないもん。一緒にキャンプを楽しみたいと思ったから誘ったんよ」

 

そのあおいさんの言葉を聞いて大事な事を思い出したような気がした。

男が1人ということもあり、なんでもやらなきゃと知らぬ間に手伝う事ばかり考えていた。

 

「そうだね。じゃあ、今回は大垣さんに任せよう」

 

「せや、キャンプはまだまだこれからやであらたくん!」

 

そうして、時折り大垣さんを気にかけながらも、無事キャンプ場まで戻って来たのでだった。

 

 

 

「あ、来た来た」

 

「おー、みんな集まっとるねー」

 

鳥羽先生と共に荷物を降ろした辺りには、先程手伝ってくれた志摩さん、それに各務原さんも斉藤さんも集まっていた。

鳥羽先生はいびきをかきながら帽子やら毛布やらでなんかぐちゃぐちゃになっている。

 

それにしても、みんな相当楽しみだったのか予定よりも早くに集合する事ができた。

 

「おまたせー」

 

「三人共おはよー」

 

「おはよう斉藤さん」

 

「ぜぇー、はぁー、お、おはっ…ぜー、ぜー」

 

薪を降ろした大垣さんはすでに虫の息だった。

 

「おっ!お二人さん、手なんか繋いじゃってお熱いですな〜」

 

「せやろ〜。牧場からずっとやもんねー」

 

「う、うん」

 

俺とあおいさんが手を繋いでいたのを見て冷やかしてくる斉藤さん。

流石はあおいさん、からかい慣れているからなのか動じていない。

 

「名残惜しいけど準備もしなきゃやし」

 

「そうだね」

 

そうして一度手を離す。

あおいさんのいう通り少し名残惜しいけど。

 

「各務原さんは何してるの?」

 

何故か彼女は、先生が座る椅子の下を膝をついて覗き込んでいる。

 

「ちくわがイスの下から出てこないんだよぉ〜」

 

「ちくわ?ほんとだ丸まってるね」

 

同じくしゃがんで中を見せてもらうと、横になって尻尾をふりふりと可愛く振る生き物の姿が。

 

そういえば、斉藤さんが愛犬を連れてくるという話だったな。

実際に見てみると、とても愛らしい。

 

「そいつ狭い所好きなんだよ」

 

斉藤さんが、しょうがないなぁ、と言った顔で説明してくれる。

 

「確か、チワワって元々狭いとこが好きな習性なんだよね」

 

「へぇー、そうなんだ」

 

「良く知ってるね小牧くん」

 

「うん。いとこの家で飼っててさ」

 

そんな話をしていると斉藤さんが鞄からちくわのおやつを出す。

 

「ちくわー、おやつだぞー。ほらほらソーセージ」

 

ひょこ!

 

「あっ!出たっ!!」

 

「ウサ耳や!!」

 

「何故にうさぎ?」

 

そんな疑問を抱いたが、他のみんなはちくわの可愛さに夢中である。

 

「なでしこちゃんこれ持って」

 

「え?」

 

すると、おやつが各務原さんに手渡される。

 

「全力ダッシュ!!」

 

「えっ?えっ?うん!!」

 

そうして斉藤さんの掛け声で各務原さんが走り出し、ちくわがそれを追いかける。

 

「わーっ!」

 

「食うか食われるか。弱肉強食だよ、なでしこちゃん」

 

「楽しそうやなぁー」

 

あっという間に一人と一匹は高原の向こうへと駆けて行ってしまう。

 

「んじゃ、なでしこが弱肉強食ってるうちにテント立てちまうぞーっ」

 

『おーっ!』

 

いつの間にか復活した大垣さんの提案により、テントの設営が始まろうとする。

 

「わーっ」

 

ていか、各務原さんはあのままでいいのだろうか。

 

 

 

とまぁ、そんなこんなでテントをさくっと設営。

 

みんな手慣れているからかあっという間に設営が完了し、複数のテントが並ぶ。

おお、実にキャンプっぽい風景だ。

 

俺の使うテントもあおいさんに手伝ってもらい、簡単に建てる事が出来た。

 

「斉藤さん。それがこないだ言うてたシュラフ?」

 

「うん、そうそう」

 

「俺も見ていい?」

 

「もちろんいいよ〜」

 

異性の私物である為、一応の確認を取る。

 

「うわ!暖か!!ウチらのとは段違いやん!!」

 

「うおっ!ほんとだ!しかも低反発でふわふわしてる」

 

これが5万円もするダウンシュラフ…。

 

『いいなぁ〜〜っ』

 

大垣さん、志摩さんを含めた4人で斉藤さんに羨ましいとの視線を向ける。

 

「そうだリンの道具も見せてよ」

 

「いいけど、別に普通だぞ」

 

「俺も見てみたいな。ベテランの道具」

 

「私もぉ〜」

 

先にテントを建てていた志摩さんは、俺たちがいる所より少し離れた場所にキャンプ道具を広げていた。

 

「おおっ!!これ暗いとこでも簡単に設営できるっていういいテントじゃん!!」

 

「このイスはむっちゃ軽くて小さなるやつやー!!」

 

「登山とかで使うコンロも持ってんだね」

 

着いてみると、どれも目を惹く道具ばかりで皆興味深々である。

かという俺もその一人だが。

 

「どれもコンパクトにできるし、バイクに乗る時は運びやすそうだね」

 

「うん。元々おじいちゃんから貰ったキャンプ道具ばかりだし、本人もバイク乗りだったからさ」

 

「そうなんだ。家族とはキャンプしないの?」

 

「私は基本ソロキャンプだから。小牧くんこそ、持って来たテントかなり良いやつだったみたいだけど」

 

「うちも両親がアウトドアでさ、昔使ってたやつなんだ」

 

三人が道具に触れて楽しむ一方、志摩さんとの会話が広がる。

 

普段話さないタイプのようだけど、好きな事であればこうして会話が続くのかもしれないな。

 

「なーなーイヌ子さんよ」

 

「何やろあきさん」

 

「お宅の旦那が他の女性と楽しそうに話しておりますぞ」

 

「あらたくん…、私というものがありながら」

 

じとーっとした視線を向けられ、そんな話が耳に入って来た。

 

「あ、犬山さんごめん、私そんなつもりは…」

 

「大丈夫だよ、志摩さん」

 

「えっ?」

 

「よく見て、あの二人の目。あれは嘘をついてる時の目だから」

 

「……うん」

 

完全に二人は俺たち、特に俺をからかおうとしているのだろう。

それに、あおいさんはそこまでやきもちを妬く子ではない。

 

まぁ、少しは妬いて欲しいけれど。

 

「男の子があらたくんだけやしな。必然的に喋るのは女の子だけやから、なんやからかいたくなってもうた」

 

「だよなー。ちょっと前の小牧だったら騙せたと思うんだけどなぁ〜」

 

そして二人は何故か不服そうに冷静に対処したことへの不満を述べる。

 

「それより、今は志摩さんの道具を見にきたんでしょ?」

 

俺はそんな二人に途中だったキャンプ道具拝見の続きを促す。

というか、俺もまだちゃんと見ていない。

 

「こうしてみると、俺もアウトドアのイス欲しくなるなぁ」

 

「あらたくんも?私もや!バイト代入ったら一緒に買いにいかへん?」

 

「いいね。色違いとか良さそう」

 

「せやね!楽しみやなぁ〜」

 

先程あおいさんが気になっていたイスを改めて見てみると、とても座り心地が良さそうである。

確かにキャンプ場でのんびり過ごすには必須アイテムとなりそうだ。

 

「イヌ子のやつ、ちゃっかりのろけてんじゃねーか」

 

「ほんと二人仲良しさんだよね〜」

 

「(これが恋人同士の会話)」

 

それを見て三人は、そんなゆるい二人の空気に当てられていた。

 

「まってよー!ちくわー!!」

 

そんな空気とは裏腹に、先程から野を駆け回っていた各務原さんとちくわが帰ってきた。

 

「はぁ、はぁ。ちくわ早いよー」

 

「なでしこちゃんお疲れ様〜」

 

そんな彼女に斉藤さんは労いの言葉をかけてやる。

 

「お腹も空いたぁ〜」

 

ぐぅぅっと、各務原さんのお腹が鳴る。

 

「さっきスモア食べただろ」

 

「走り回ったらお腹空いちゃったんだよリンちゃ〜ん」

 

「くっつくな」

 

ぐりぐりと志摩さんのほっぺたに自身のほっぺたを擦り付ける。

この二人も仲が良さそうだ。

 

「じゃ、戻ってお茶でもしようぜ!」

 

『さんせー!』

 

そうして、一旦最初に建てた場所へと戻ることに。

イスで寝ている先生も長時間ほったらかしにしておくわけにもいかないしな。

 

 

「私ココア持って来たよ」

 

「私はコーヒー持って来たぞ」

 

皆が飲み物の準備を進めている中で、俺も準備していた物を鞄から取って来た。

 

「良かったらこれ、俺からみんなに」

 

『うわぁー!』

 

梱包したクッキーを皆へと配る。

ちゃんと一人一人用に袋に詰めてリボンまで付けたクリスマス仕様だ。

 

「もしかしてこれ、手作りかっ!?」

 

「まぁ、一応。俺からのおもてなしって事で、お茶菓子として作って来たんだ」

 

一番驚いていた大垣さんに今回用意して来た意図を伝える。

 

「あらたくん、料理上手やもんね」

 

「小牧くんも料理とかするんだ!?」

 

各務原さんは確かキャンプご飯を作るのが好きと言っていたし、普段から家でも作ったりしているのかもしれない。

 

「うん。うち両親共働きだし、妹もいるから俺が夕飯作ったりする事もあるんだ」

 

「女子力高っ」

 

ぼそりと志摩さんが言う。

褒め言葉だよな?一応。

 

「犬山さんは小牧くんが料理できるの知ってたんだ?」

 

「うちの妹が熱出した時なぁ、手伝いに来てくれて色々作ってくれたんよー」

 

「へぇ〜」

 

あおいさんの家で親御さんが居ない時に、あかりちゃんが熱を出した。その際、あおいさんに頼られて連絡を貰った事を思い出す。

 

あの時は好きな子に頼られたのもあって、気合が入り過ぎたお粥や料理を振舞ったのを覚えている。

 

「でも、あらたくんが作ったお菓子を食べるのは初めてや」

 

『いただきまぁーす』

 

飲み物も淹れ終わり、お茶会が始まる。

 

「このクッキーうめぇっ!!」

 

「ほんとだ。ココアともよく合うね」

 

「これが女子力…」

 

「チョコの香りが口一杯に広がってウマーやなぁ」

 

「小牧くん!!すごく美味しいよ!!!」

 

良かった。五人とも口にあったようだ。

 

早起きして作った甲斐がある。珍しく早起きしたひかりに見つかり、ひかりにもあげたが美味しそうに食べていた。

 

「あらたくんほんま料理上手やね!」

 

「そうかな?」

 

「謙遜する事ないで。私も夕飯作るのがんばらなっ!」

 

そういえば、今夜はあおいさんが自分で当てたお肉で作った料理を振る舞ってくれる。

 

あおいさんの手料理を食べるのは初めてだ。すごく楽しみである。

 

「あおいさんは今晩何作るの?」

 

「せやねー。今日はクリスマスちゅー事で」

 

ごくりと皆も固唾を飲み、耳を傾ける。

 

「すき焼きや」

 

「そっか。すき焼きかぁ」

 

「すきやき…」

 

「スキヤキ…」

 

「すき焼き…」

 

「スキヤキ…?」

 

『(何故にSUKIYAKI???)』

 

あおいさんの言葉に皆頭にはてなが浮かんだ。

 

 





【お知らせです】
現在数日ペースで投稿させて頂いているのですが、
次々回辺りから週一投稿にシフトチェンジするやもしれません!
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