大震撼は強さを求めたい   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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始まり

 御影専農との試合後もハス太とニャルを交えて異空間で特訓し、休憩時間に私はボソリと呟く

 

「今日の御影専農の選手達はもったいない選手ばかりだった」

 

「勿体無い? どの選手も震撼に手も足も出なかったじゃん。攻撃は僕らのトーチカに阻まれて、攻撃は皇帝ペンギン1号を使うこと無く得点したし……」

 

「サイボーグの様な選手達ばかりでしたが、下鶴と私をマークしていた藤丸、キーパーの杉森は素晴らしい選手でした。とりあえず彼らの中で一番印象に残った下鶴に声をかけましたが、彼らは帝国を軽く凌駕するポテンシャルがありました」

 

「へー、なるほどね。でも僕的には実力が足りてなかった様に見えるけどね」

 

「ハス太、貴方の観察眼ですが、現状を見るのには適していますが成長力や選手の発掘力となるとポンコツになりますよね」

 

「なにお! ニャルだって僕と大差無い癖に」

 

「……まだ早いかもしれませんが円堂先輩が卒業した後の雷門を率いるのは私とハス太です。他のサボっていたメンバーに雷門の指揮を取らせたくはありません」

 

「まぁそれには同意かな。震撼に惚れて僕はサッカー部に入部したくちだし」

 

「顧問の冬海が使えない以上私達3人が後人の育成をする必要があるわね」

 

「まぁまだフットボールフロンティアの予選を戦っている段階なので時期尚早なのですが、私達より下の見込みのある選手の発掘をしたいですね」

 

「でも震撼の練習は体壊すよ」

 

「勿論セーブしますが……ニャルは練習の組み立て等は得意ですか?」

 

「……勉強中の知識でよければね」

 

「構いません冬海よりはマシです」

 

「まず今ある練習の中で一番効率が良いのがここでのロボットを使った練習よ。特に重りのユニホームは動きを阻害すること無く負荷だけをかけるから膝への負荷を考えれば20kgまでなら常時着用しても良いくらい良い道具ね。……100kg着用している震撼が本当に人間かは置いておくとして、その次に効率が良い練習はイナビカリ修練場よ。雷門さんがリホームしてくれたおかげで身体能力を上げるのには良いわ」

 

「なるほど」

 

「ただイナビカリ修練場はサッカーの連携等は身に付かないわ。だからそのズレをそのうち修正しないと連携がこのままだとぐちゃぐちゃになるわよ。やる気になっている皆には言わないけどね」

 

「じゃあどうすれば良いのさ?」

 

「方法は2つ、ズレを練習で合わせるようにするか優秀な司令塔がズレを人力で直すか」

 

「ズレを人力でなんてできるの?」

 

「私ならできるわ。ただ、私は選手でもないし……そうね、ハス太やってみれば?」

 

「え? 僕?」

 

「地頭は悪くないし、ダメ元で練習してみれば? 防衛線も手詰まりだし」

 

「やってみましょうハス太」

 

「震撼が言うなら……」

 

 この時は冗談半分だったがハス太の司令塔化計画が始まる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 地区大会準決勝の対戦相手が決まった

 

 相手は雷門に負けたことにより特訓を重ねて強化された尾刈斗中を0-1で下した秋葉名戸学園と決まった

 

 この秋葉名戸学園だがフットボールフロンティア出場校の中でも最弱なのではと言われるくらい弱いチームなのだがなぜか準決勝まで勝ち進んできた

 

 尾刈斗中を倒したぐらいなので何かあるのだろう

 

「どんなチームなんだよ秋葉名戸って」

 

 円堂先輩含め全員がざわめく

 

 木野先輩が秋葉名戸の情報を読み上げていくが何で勝ったのか謎である

 

 特に試合前にメイド喫茶に入り浸っていたてのが本当に謎

 

「ここはこのメガネが一肌脱ぎましょう!」

 

 そう言ってメガネが宣言する

 

「尾刈斗中を破った訳が秋葉名戸のサッカー部が入り浸っているというメイド喫茶にあると見ました!! これは試合を有利に進めるための情報収集なのですよ! 偵察に行きましょう円堂君」

 

 と……

 

 馬鹿馬鹿しい……メガネが行きたいだけだろうに……

 

 私はメイド喫茶への情報収集が試合を有利にするとは考えられないのと、そんなことに少ないお小遣いを消費したくないと思い、静かに立ち上がり部室から出ようとした

 

「震撼君! 待ちなさい! これは試合に勝つために必要な」

 

「意味が有るとは思えません」

 

 メガネに止められるが私は構わず扉を開けてイナビカリ修練場へと向かうのであった

 

「あぁ! 震撼待ってよー」

 

 ハス太も私に付いてくるようだ

 

 

 

 

 

 

 

 結局メガネに乗せられた円堂先輩が皆を引き連れてメイド喫茶に行ったらしいが地下でオタクの巣窟(一応秋葉名戸サッカー部)を見せられ、メガネが興奮しただけで徒労に終わった……いや、秋葉名戸のメンバーがあまりに弱そうと言うことで翌日の練習にも皆やる気が感じられなかった

 

「わわ! 震撼ストップストップ!」

 

 私の顔に怒筋が浮かび上がっていたらしく、ハス太が私に抱きついて皆へ突っかかろうとしていた私を止めた

 

 円堂先輩や豪炎寺先輩、染岡先輩はいつも通りなのだが、それ以外のメンバー……特に私とハス太以外の1年がだらしない

 

 とりあえず私はニャルに頼むことにした

 

 ニャルの持つ特殊な情報網であれば何かわかるのではないかと思ったからだ

 

「えぇ、私は彼らの戦い方を理解しているわ。それをわかった上で話すと……弱者の戦い方よ」

 

「弱者の戦い方……ですか?」

 

「フットボールフロンティアのルールに抵触しない不正をガンガン行うわ。そして前半は体力を温存して後半戦勝負を挑んでくるわ」

 

「例えばどんな不正を?」

 

「ゴールをずらす、西瓜とボールをすり替える、ベンチの下に盗聴機を仕込む等ね」

 

「えげつないね」

 

「……なるほど……しかし、不正をしなければ勝てない程度の実力なのはわかりました」

 

「ディフェンスである貴方達2人もガンガン上がりなさい。攻めてこないから。さて、何点貴方達は取れるかしらね?」

 

「帝国学園戦に向けて弾みをつけられる試合にしようね震撼」

 

「ただ粉砕するのみ……例えどんな相手であろうとも」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、俺をこんなところに呼び出して何か様か? 大、黄衣に……雷門中のマネージャーの?」

 

「二夜よ。ニャルと呼んで」

 

「失礼、ニャルか。こんな雑木林に何か有るのか?」

 

 私は御影専農の下鶴に練習がしたいから会わないかと連絡を取った

 

 今御影専農は監督不在なのとフットボールフロンティアを敗北したことで杉森が引退して新たに下鶴がキャプテンに就任して引き継ぎなどで忙しいなか来てくれた

 

 曰く

 

「俺達に勝った雷門が全国に行ってくれたら嬉しいからな」

 

 とのことだった

 

「今から開けます」

 

 私がそう言うと左指を鳴らした

 

 すると目の前に扉が現れた

 

「な! なんだこれ!」

 

 下鶴が扉に触ろうとしてもすり抜けてしまい触ることができない

 

「私の手を繋いでください。下鶴さん」

 

「お、おう!」

 

 ニャルが左手を握り、ハス太はニャルの手を握る

 

 右手で下鶴の手を握り、扉をくぐる

 

「な!? サッカー場だと」

 

 現れたのはサッカー場

 

 それも中学のグランドの様な質ではなくプロ等が使う事を想定したかのような人工芝、ゴムチップも質の高いものだった

 

「下鶴さん、ここにはサッカーロボット等もあり、私達のレベルを上げることに適しています。一緒に練習をしませんか?」

 

「こんな質の高いグランドは始めてだ。御影や帝国よりも質が高いんじゃないか?」

 

「最高級だと思われます」

 

「わかったやろう! こんな場所を出されたらやる気が出る」

 

「ではこのユニホームを着用してください」

 

「なんだ? ……重い!?」

 

「20kgのユニホームです。重さを調整できますが、私がパスワードでロックしているので下鶴さん達は調節することができないようにしています。これを着用して練習をしましょう」

 

「お、おう……わかった」

 

「では始めます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 最初3対3のミニゲームを3セット行ったがハス太と下鶴がバテた

 

「つ、辛い」

 

「重りでいつものように動けん……大は平気そうだな」

 

「ウォーミングアップみたいなものですので……これより負荷を上げますよ」

 

「少し休憩させてくれ……思ったよりも体力の消費が激しい」

 

「わかりました。私はドリブル練習をしているのでニャルからドリンクを貰って少し休憩していてください」

 

 そう言うと私はロボットを使ってドリブル練習を始めた

 

 

 

 

 

 

 ベンチでニャルからドリンクとタオルを貰い、汗をふく下鶴とハス太

 

 下鶴は震撼の動きを見てハス太に話し始める

 

「凄いな……あのデータは何だったのかと思えるほど大は強かったのだな」

 

「データ?」

 

「御影専農のサッカーは最新の機材を使ってインプットされたデータを元にシミュレーションを繰り返す。大のシミュレーションも俺達は繰り返し行ったが、データの数十倍強い事がわかった。雷門と河川敷でミニゲームをした時に大がシュートをしていれば俺達のデータが間違っていたと気づけたが……雷門は見越してたのか?」

 

「そんな深い考えはありませんよ下鶴さん。円堂先輩がゴールキーパーで豪炎寺先輩がエースストライカーなのには変わりません。ただ震撼はリベロ……フォワードもできますが、エースは豪炎寺先輩なんですよ」

 

「大は納得しているのか? 自分よりも弱いのがエースストライカーをしていて」

 

「豪炎寺先輩は弱くはありませんよ。……でも確かに僕から見ても震撼が豪炎寺先輩や染岡先輩にストライカーを任せているのかは不思議です。震撼がストライカーをやった方が良い場面も多々ありましたからね」

 

「ではなぜ?」

 

「震撼はキーパー以外全てのポジションにつけるようになりたいだけではないかしら?」

 

 ニャルが話しに入ってくる

 

「キーパー以外全て……か」

 

「彼の技術的には可能よ。それに震撼は未来を見てるわ」

 

「未来?」

 

「まだ1年生なのに3年に自分がなった時の構想を考え始めているわ。ハス太が司令塔にならないかという話をしたのも3年の時に物になっていれば儲けもの、今のままでもディフェンダーとしては震撼の次に動きが良い。だから中盤の守りのためにハス太を起きたいって」

 

「後はどうするのです?」

 

「壁山と栗松が居るじゃない。今のままだと使えないけど3年になる頃には使えるんじゃないかしら」

 

「……俺を練習に誘ったのはもしかして高校を見越してか?」

 

「もしかしたらね、ただ震撼は貴方達御影の選手を勿体無いと言ってたわ」

 

「勿体無い?」

 

「ええ、コピーするのも才能だと言ってたわ。あと未来のチームメイトとも」

 

「……高校を見越してか。ずいぶんと気の早い事だな」

 

 震撼が走ってきて

 

「そろそろ練習に戻りませんか? 下鶴さんのファイヤートルネードを私達にも教えてくださいませんか」

 

 と言ってきた

 

「豪炎寺が居るのにそっちに教わらなくて良いのか?」

 

「豪炎寺先輩から教わるのが筋でしょうが、コピーに成功させた下鶴さんの方が教えるのは上手いと感じました。それにファイヤートルネードはまだまだ発展の余地が有ると考えております。下鶴さん……豪炎寺先輩を越えてみたくはありませんか」

 

「……」

 

 下鶴は静かに頷いた

 

 コピーが本物を越える

 

 その行為はとても魅力に思えたからだ

 

「開発しましょう。ファイヤートルネードを越える必殺技を」

 

 練習が始まる

 

 勿論ファイヤートルネードの練習だけでなく下鶴にライフルを教えたり、ハス太と防衛線の開発も同時に行う

 

 普通なら無理だが、私には分身が使えるので効率良く進んでいく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『さぁ始まりましたフットボールフロンティア地区予選準決勝雷門中対秋葉名戸学園との一戦です。実況は私角馬圭太がお送りします』

 

 あれから数日

 

 防衛線はいまだに完成すること無く、他の必殺技の進歩もほぼ無い

 

 強いて言うなら1人の時に皇帝ペンギン1号を打ちまくって威力がほんのり上がったくらいか

 

「……」

 

「震撼?」

 

 ハス太が心配そうに私を見てくる

 

「大丈夫です。問題有りません」

 

「皆ー、頑張って!」

 

 マネージャー陣がなぜかメイト服になっているが、私はこの試合、帝国学園前にどれだけやることができるか考えていた

 

「あと1つ勝てば帝国……影山のチームと再び戦える……」

 

 そう思うとやる気が溢れでる

 

「さぁ皆勝つぞ」

 

「「「おう!」」」

 

 フォーメーションは前回と同じベーシック

 

 

【挿絵表示】

 

 

 試合が始まる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 試合開始と同時に秋葉名戸はパス回しで時間を稼ごうとするが

 

「遅いです」

 

「な!?」

 

『おおっとディフェンダーの大が敵陣深くまで走ってきていた!! 秋葉名戸ボールを取られた』

 

「震撼こっちだ」

 

「豪炎寺先輩」

 

 私は豪炎寺先輩にパスを出す

 

 すると秋葉名戸が動き始めた

 

「いくぞ皆」

 

「「おう!」」

 

「「「五里霧中」」」

 

 足を高速で動かして砂煙を上げ始めた

 

 そんなの関係無しに豪炎寺先輩はファイヤートルネードを放つが、砂煙が晴れるとゴールネットの中にボールは無く、ゴールの後にボールが転がっていた

 

『なんとファイヤートルネードはゴールの外に! 雷門惜しい!!』

 

「ドンマイドンマイ! この調子で行け!」

 

 私はニャルに言われたゴールずらしをしているという言葉を理解した

 

 砂煙で見えなくしている間にゴールをずらしてシュートを外す……芝ではなく土のグランドだからできる技であるし、ルールにも抵触していない

 

 が、ズルはズルだ

 

「皆さん私にボールをください。秋葉名戸を攻略します」

 

 

 

 

 

 

 

『秋葉名戸のゴールキックからスタート、秋葉名戸ボールを前線に回さない! またもや時間稼ぎか!』

 

「甘いね! 這いよる触手改」

 

 うねうねと動く太い触手が相手のボールを絡めとり、ハス太がボールを奪う

 

「震撼!」

 

「「「五里霧中」」」

 

 私にパスが来たが目の前には再び砂煙

 

「皇帝、覇王」

 

「[{おう! }]」

 

「浸透戦術」

 

 空中にボールを打ち上げると同時にボールが分裂し、絨毯爆撃のように増えたボールが爆発する

 

 その爆撃の中を3人でパスを回しながら高速で突破する

 

「「「ぐわぁ!?」」」

 

「仮沢! 漫画! 筋路!」

 

 五里霧中をしていたメンバーを吹き飛ばし、砂煙は解除される

 

「や、ヤバイんだな! こうなったら」

 

「まさかさっき豪炎寺君のゴールが入らなかったのは!」

 

 メガネがベンチから何か叫んでいるが奴も気がついたらしい

 

 ゴールをずらしていることを

 

「ライフルV3」

 

「必殺! ゴールずらし!!」

 

 相手のゴールキーパーがタックルでゴールをおもいっきりずらしたが、私のライフルはシュートしながらゴールに突き刺さった

 

「ボールが変化しただと!?」

 

「A.ライフルの回転を弄れば可能。ゴールずらしなど私には通用しない」

 

 その後は一方的な試合となった

 

 五里霧中は私の浸透や浸透戦術で強制的に解除され、ゴールずらしもキーパーがずらそうとする方向の反対側に走るので、ずらされた方向にシュートを変化させるか、予測して放てば面白いように決まる

 

 私は5ゴール3アシスト

 

 豪炎寺先輩が3ゴール

 

 染岡先輩が2ゴール2アシストで10-0

 

 秋葉名戸を完膚なきまでに粉砕した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いよいよ……いよいよ父さんの仇が取れる……」

 

 私はその日秋葉名戸から帰る途中父さんの墓の前に来ていた

 

 なけなしの小遣いで線香と花を買って報告に

 

「父さん……いよいよ来週父さんが果たせなかった帝国との試合があります。……必ず勝利を届けます。見守っていてください」

 

 墓を綺麗に掃除して線香と花を添えて拝んだ後、立ち去ろうとすると、別の男性達が父さんの墓の前にやって来た

 

「……まさか監督のお子さんか!?」

 

「……? 貴方達は誰でしょうか?」

 

「元大江戸中学サッカー部のOBだ。大監督にお世話になったメンバーだよ」

 

「……父さんの……」

 

「……色々有ったから親族と会わないように1週間ずらしてたんだがな……俺達の親達が申し訳ないことをしてしまった……監督には恩しかない! それなのに親達はご家族を大江戸から追い出すようにしてしまって本当にすまない」

 

 スラッとした男性がそう言うと他の男性達も頭を下げる

 

「……頭を上げてください。そんなことをして父さんは喜びません……それにもう少しで父と貴方達が行うことすらできなかった事が達成できそうなので!」

 

「……その制服……雷門中か! つまり決勝は雷門と帝国か!?」

 

「俺達の無念を晴らしてくれるか!」

 

「頑張れよ大監督の息子さん!」

 

「……俺達は大監督が自殺したなんて今でも思ってねぇ。誰かに殺されたと考えてる。誰かは解らねぇが……」

 

 その言葉は嬉しかった

 

 父の育てた選手達は誰一人として父を恨んでいなかったから

 

 誰一人として父の死が逃げだとは思っていなかったから

 

 私はツゥーっと涙を流した

 

 なぜ涙が流れるのか解らなかったがそれでも涙が溢れてくる

 

「見ていてください。必ず帝国を粉砕して父さんと皆さんの無念を全国に届けて見せます。決勝必ず勝ちます。大震撼! 私の名前は大震撼です!」

 

「わかった大震撼! 数年前の悲劇を、俺達の無念を全て託した。頼んだぞ」

 

「はい」

 

 ガシッと先頭に居た男性と握手をする

 

 戦う理由が増えた

 

 彼らの無念も私は背負う

 

 数年前の大江戸中の悲劇

 

 私は走り出した

 

 更なるレベルアップの為に

 

 勝つために……

 

 

 

 

 

 

 走って家に帰る途中

 

 私が信号で待っているとトラックが私に突っ込んできた

 

 跳ねられる直前運転席を見ると黒尽くめの男が笑っていた

 

 私は瞬時に理解した

 

 影山……奴はここまでやるのかと

 

 

 

 

 ドン

 

 ガッシャーン

 

「きゃぁ──ー!!」

 

「人が撥ね飛ばされた!」

 

「救急車と警察を呼べ」

 

 

 

 

 私は空中に浮遊しながら薄れ行く意識の中で声が聞こえた

 

『やっと見つけた! 会いたかった』

 

 と

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