大震撼は強さを求めたい   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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田中

 秋葉名戸戦の翌日、雷門イレブンに衝撃の一報が届く

 

「震撼がトラックに跳ねられた!?」

 

 音無マネージャーが報告を続ける

 

「震撼君のお父さん昔大江戸中サッカー部の監督だったらしいんですよ。それで墓参りをした後に前方不注意の4トントラックに跳ねられたらしいの」

 

「震撼は無事なんだよな! 生きてるんだよな!!」

 

「それが……現場に大量の血痕が残っていた以外の情報が無いんです……どこの病院に搬送されただとか、そう言う情報が全く無いんです」

 

 この場に居た土門と冬海先生の2人の顔が真っ青になる

 

 いや、他のメンバーも顔色は悪いが

 

「今日震撼が居ないのはそれが理由か……」

 

「でもどうするでやんす! 震撼が居ないとなると俺達の戦力はガタ落ちでやんす! 帝国に勝てるでやんすか!?」

 

 栗松が絶望した様な顔をしながらそう言うと場の雰囲気は更に沈む

 

「震撼は必ず来る……帝国学園戦に来る」

 

「ハス太……でも震撼はもしかしたら……」

 

「そんなハズはない! 震撼は並みの人間とは違うんだ!! きっと戻ってくる! 必ず来るんだ!!」

 

「ハス太……」

 

 僕は泣きながら訴える

 

 ふとニャルの顔を見るが、ニャルも首を横に振った

 

 ニャルでも解らないらしい

 

「どうなっちゃうんすかね……決勝戦……」

 

 壁山の声は皆の心を代弁していた

 

 こんな状態では練習にならないと今日はそのまま解散となった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鬼道さん! これが帝国のやり方ですか! 選手の命を奪うなんてあんまりですよ」

 

「待て土門……何の話だ」

 

 解散となってそのまま土門は鬼道と路地裏で会ってい

 

「昨日トラックに震撼が跳ねられました。タイミングがあまりに良すぎる。考えても見てください。過去にも何度か有ったでしょ! 去年の豪炎寺だってそうだ。決勝直前に妹さんの事故に今回震撼の事故……偶然とは思えない。それに有力選手が帝国との試合前に怪我をしたり、体調不良で試合に出れないなんて事も帝国のデータベースを調べた時に複数回ありました」

 

「なんだと!?」

 

「鬼道さんも知ってたんでしょ今回の事も」

 

「いや、知らん。知らんがそうなると辻褄が合うことが多すぎる……まさか総帥が!?」

 

「でも今回の事で俺はもう無理です。帝国のスパイとしての活動は金輪際やめさせて貰います……いや、これが総帥のやり方ならばまだ何かしようとするかもしれません。仲間達が危ないかもしれませんので俺は守るように動きますからね!」

 

 そう言うと土門は走り去っていった

 

「……まさか総帥貴方は……」

 

 鬼道は帝国学園の方に戻っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

「寺門!」

 

「いくぞ佐久間」

 

「「二百烈ショット」」

 

「止めろ源田」

 

「パワーシールドV3」

 

 帝国イレブンが練習をする中、鬼道が浮かない顔で戻ってきた

 

「鬼道さんお帰りなさい! ……どうかしましたか?」

 

「洞面……いや、土門から情報を得ていたのだが」

 

「あぁ、雷門に転校した土門さんですか……? 何か有ったのですか?」

 

「大震撼がトラックに跳ねられた」

 

「な!? 大震撼が……」

 

「容態等は不明だから皆には話さないつもりだ。……なぁ洞面。このタイミングは我々帝国にとって都合が良すぎないか?」

 

「確かに良すぎる気がします。……そうですね。チームのメンバーは大震撼を止めると意気込んでいる人が多数ですし、その情報は伏せておいた方が良いかと」

 

「……今回の件、もしかしたら総帥が関わっているかも知れない。俺は独自に動く」

 

「解りました。気をつけてください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この翌日冬海先生がバスのブレーキオイルを抜く細工をしていた事が決定打となり、土門は鬼道を再び呼び出し

 

「総帥はそこまでやるのですか! おかしいでしょ! 我々も殺す気ですか!!」

 

「……すまない。土門我々は総帥の批判は許されない……許されないが……度を超えているのは確かだ」

 

 鬼道はその後音無に見つかり、一悶着有ったものの、鬼道は総帥への不信感を更に強めることとなる

 

 

 

 

 

 更に翌日、土門は冬海のバスへの細工を告発し、自分が帝国のスパイである事実を冬海にバラされながらも皆を守ることに成功した

 

 ただ、監督であった冬海は夏未さんの指示で解任

 

 雷門教職員を辞めることとなる

 

 ただ困ったのが監督不在のチームはフットボールフロンティアに出場できない事だ

 

 雷門メンバーは新監督探しと搬送された震撼が何処にいるのか、そもそも生きているのか探すグループに別れて行動することとなる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……生きている?」

 

 私はキ──ーンという甲高いエンジン音で目が覚めた

 

 体を動かそうとすると激痛が走る

 

「そうか、トラックに跳ねられて……私は……」

 

 体をよく見ると点滴や包帯でグルグル巻きにされており、足は無事の様だが、トラックに直接ぶつかった左腕はベキベキに折れていた

 

「目が覚めましたか」

 

 私の横からスッと薄い褐色肌の少女が現れる

 

「やっと見つけましたよ同胞。ギリギリのタイミングでしたが生きてて良かった」

 

 薄い褐色の少女は泣きながら私に抱きついてくる

 

「意味が解りません? ……そうだ! 私はどれぐらい寝ていたのです! それにここは何処ですか!」

 

「寝ていた時間は1日、今飛行機の中で、治療施設が整っている大島という場所に運んでいます」

 

「東京の病院で良くないですか! 私は来週にある帝国学園戦に出ないといけないのです!」

 

「同胞……大丈夫です。それらはなんとか致しますから今はゆっくり眠ってください。……そうそう、私は田中と言います。同胞は……大震撼でよろしいですよね?」

 

「名前も解らずに運んでいるのですか? いや、それよりも皆に無事を伝えなければ」

 

「無事ではありませんよ、左眼窩骨骨折、左腕複雑骨折、あばら骨5本、肺にあばら骨が刺さり穴が空きましたし、背骨が圧迫骨折……動こうとすると凄まじい激痛のハズです」

 

「……」

 

「今は折れたあばら骨の摘出と肺の穴を塞ぐオペをしましたが、それ以上は体力が持たないと判断してこうして運んでるんです。とにかく今は安静にしてください。私はもう同胞を失いたくないのです」

 

「……? さっきから言っている同胞とはなんなのですか?」

 

「覚えていないのですか! ……失礼」

 

 そう言うと彼女はおでこに手を当てると黄緑色の光が発せられた

 

「……なるほど融合しているのですのね……なぜ私が同胞と言うのか等は後でじっくり教えますので、今はゆっくり眠ってください」

 

 田中と言う少女がそう言うとカポっと口に呼吸器をはめられた

 

 すると意識がすぅっと途切れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 次に目が覚めると白い天井で、顔に違和感を感じた

 

「起きましたか。手術は無事に完了致しましたよ」

 

 白衣を着た田中を中心に白衣を着た複数人現れた

 

「眼窩骨骨折の影響で左目を失明していたので義眼にしました。まぁ我々の科学力が有ればこの程度造作も無いですがね」

 

 左目の周りを右手で触ると冷たく感じた

 

「骨を摘出して特殊合金に変えておいた。人工皮膚で覆ってはいるが、冷たいのは仕方がないと諦めてくれ」

 

「すみません鏡をいただけますでしょうか」

 

「はい、どうぞ」

 

 渡された鏡を見ると左目は一見普通の様に見えたが、よく見てみると小さな歯車だったりケーブルみたいなのが見えた

 

「左目の視力は5.0に設定してある。右目は2.0だから違和が有ると思うからこれをはめると良い」

 

 そう言って田中はモノクル(片眼鏡)を渡してきた

 

「このモノクルは右目に合わせて視力を調整してくれる優れものだ。これをはめて行動すると良い……あ、そうそう左腕と背骨、あばら骨の一部も特殊合金に変えておいた。筋肉は無事だったからそのままにしておいたよ」

 

 私は起き上がると飛行機の中で感じた痛みは無く、普通に立つ事ができた

 

「といっても血を失いすぎたから輸血したとはいえふらつくと思う。……おい!」

 

 田中がおいと言うとナースさんが私を支えてくれた

 

「サイボーグみたいですね。背骨を取り替えたと言うことはもう成長しない感じですかね」

 

「特殊合金と言ったろ。ちゃんと成長するし、合金も体の成長に合わせて太くなったり長くなったりするよ」

 

「それは良かった……ふぅ……今事故からどれぐらい経過したのですか?」

 

「そうだね2日ってところだよ……ここだと殺風景だし、少し歩けるかい? 車椅子も用意したけどどうする?」

 

「では車椅子でお願いします」

 

「わかった」

 

 すると私を支えてくれていたナースさんとは別の人が車椅子を押して、私を座らせてくれた

 

「歩きながら少しずつ話そう……まずここは伊豆大島と呼ばれる場所だ。私はここを改良して拠点にしている。といっても君が知っている伊豆大島ではないけどね」

 

 ナースが車椅子を押す速度に合わせて田中や他の人達も歩く

 

 田中以外の人物は喋らない

 

「知っている伊豆大島ではない? どういうことでしょうか?」

 

「……今ここは数万年後の伊豆大島さ」

 

「数万年後……何を馬鹿な事を。そんなわけあり得ませんよ。飛行機で移動したのに、なぜ数万年後の伊豆大島に来ているのですか? 確かに骨を特殊金属に変えるだとか人工皮膚なんかは確かに未来の技術だと思いますが、それでもおかしいですよ……未来だなんて」

 

「我々には可能なのですよ。時間を支配した種族である我々にはね。勿論大震撼貴方もですよ」

 

「時間を支配した種族……? 私は人間ですよ。その言い方では私は人間ではないようじゃないですか」

 

「そう……大震撼貴方は人間ではないよ。我らが種族はイスの偉大なる種族! 母星イースより生存を目的とした種族なのです」

 

「……宇宙人と言うことですか? 馬鹿馬鹿しい。私は人間のハズでしょ」

 

「いや、違うね。貴方も立派なイス人よ。私達は基本精神体の種族よ、他人に乗り移って記憶を読み取り、知識を糧にする。もっとも我々の母星は破壊されてしまったけどね」

 

「破壊された?」

 

「まずは貴方がなぜ人間だと思っているかから話しましょう」

 

 田中はタブレットを私に渡してきた

 

 とても軽く、映像は今の技術力では到底不可能なほど画質が良い

 

「まず私が読み取ったイス人としての貴方の過去を見せましょう」

 

 そこに映されたのは幼き日の私であった

 

 具体的には赤ん坊だ

 

「現代換算で今から13年前母星イース……いや、宇宙その物が何者かにより破壊され、生き残ったイス人達は元々拠点を持っていた各々の別の宇宙の過去に時間跳躍を行い、生き延び、そしてなぜ宇宙空間が消滅するような大事件が起こったのか探った……が、私には解らなかった。私単体でできる事等限られている。だから仲間を作ることにした。イス人の力を使えば人を人ならざるイスの民に遺伝子を組み換えてする事は容易い……容易いハズだった」

 

「ハズだったっということは失敗したのですか?」

 

「どいつもこいつも人からイス人になることを拒み続けた……記憶を消して元の世界に返したが、それでも私は同胞が欲しかった……そんな中調査ロボットがイス人の痕跡を見つけた。大震撼、貴方何処で電撃銃を手に入れたのですか?」

 

「電撃銃? ……心当たりが有りませんが」

 

「これだよ」

 

「貝殻……あ!?」

 

「君の部屋に同じ物が有った。これはここを押すとコードが出てきて電気を充電し、32発分の電撃を発射することができるイス人の武器なんだ。これが有ったから私は同胞の君を探すことができた」

 

「しかし、それだけでは私が人でない事の説明とはなりませんが」

 

「それもそうだ。と言っても私は同胞だと記憶を読むことで確信したが、タブレットを再び見て、赤ん坊の貴方にイス人の光が入って行ったでしょ」

 

 タブレットを見ると確かに光が私の体に入って行った

 

「ただ、イス人としての貴方も緊急跳躍でダメージを受けていた。その為人格の乗っ取りに失敗して融合するという形になった……解ったかな」

 

「……確かに私の肉体が人間を超えた力が有ることは理解していました。過去に英雄症候群みたいだとも言われた事があるのでね……治していただいてこんな事を言うのも心苦しいのですが、私は私です。イス人という側面が有っても大衝撃の子供です。あと少しで親の仇を取れるのです。帰してはくれませんか」

 

「勿論帰すさ。同胞の君がそう望んでいるのだから。でも少しの間私と遊んではくれないか……今まで独りぼっちだったんだ……ようやく……ようやく同胞を見つけれたんだ」

 

 田中は涙を流しながら懇願する

 

 私も鬼ではない

 

「解りました。では色々教えていただけませんか? そもそも私はイス人であるのにイス人の事をよく知りませんので」

 

「構わない! 1から教えよう! ……とりあえずだ、私の拠点に案内するよ」

 

 病院を出ると海が広がっていた

 

 綺麗でゴミ1つない美しい浜辺に海鳥が消波ブロックの上で羽休めをしている

 

「人類が居なくなった地球だよ。宇宙に進出したのは良いが、地球は環境汚染が酷くて住めない惑星となってしまった……宇宙進出した人類も緩やかに衰退しているよ……もっとも色んな惑星に住み着いているがね……母星を無くした者は衰退するのみなのに……」

 

 それは母星が存在しているのにその母星を捨てた人類の愚かさを言っているようだった

 

「私の力では地球全てのテラフォーミングは不可能でね。この伊豆大島周辺の僅かな地域のみをなんとかテラフォーミングして快適な居住空間にしているんだ……もっとイス人が増えれば生存圏も拡大できるんだけどね」

 

「他のイス人は何処に飛んだとかは解らないのですか?」

 

「それが解れば私は独りぼっちではないさ……こうしてイス人1人見つけるのに100年もかかったんだ。地球だけで100年……確かに地球では過去に同胞が一大生存圏を作っていたが、それも過去の話で、私達は様々な時間軸に1つしか存在しない……この意味がわかるかい」

 

「つまり何かしらのパラレルワールドが有ったとしてもイス人は居ないと言うことですか?」

 

「その通り……だから過去をやみくもに探しても時間軸にヒットしなければ無駄なのよね……だから電撃銃や私達が作ることができるアーティファクトを検索のキーにしていたの」

 

「なんとなくですが、理解できました」

 

 車椅子を押されて移動すると大きなホテルがそびえ立っていた

 

「ここのスイートルームがこれから震撼が暮らす場所だよ」

 

 と田中が言う

 

 明らかに高級感がハンパなくて場違い感が凄い

 

 エントランスの横にはレストラン、2階は温泉施設になっているらしく、スイートルームは7階と言われ、エレベーターで昇っていく

 

「イス人は偉大なる種族と呼ばれていますがなぜだか解りますか?」

 

 唐突に田中は私に質問をしてきた

 

 これまでの会話から察するに

 

「時間を支配したと言ってませんでしたか?」

 

「その通りです。過去や未来を自由に往き来できるのは私達種族しか今は居ません……まぁ人類も往き来できる可能性は有りますがね」

 

「……と言うことは父さんを助けることも!?」

 

「どの様にして亡くなったのか映像を用意してあります。それを見てから考えてみても良いのではないでしょうか?」

 

 膝に置いていたタブレットが光だす

 

 私は見易い様にするとそこには手袋をした黒スーツの男達が車から出ようとした父さんの口にハンカチを押さえつけると、父さんはだらりと手を下ろした

 

 どうやら意識を失ったらしい

 

 その後車の中に練炭を焚かれて父さんは亡くなった

 

「……やっぱり自殺じゃなかった!! 父さんは殺されたんだ」

 

 犯行時間は僅か1分……

 

「……ねぇ田中、イスの力を使えば父さんを助けられるかい?」

 

「可能だよ。……と言いたいところだけど彼は遅かれ早かれ死ぬ運命にある」

 

「死ぬ……運命?」

 

「どんなに世界線を分岐したとしても死ぬ運命の人は必ずいる。……彼の魂は神によって捕らわれてしまっているからね」

 

「どう言うことですか!!」

 

「君は神と契約をしなかったかい?」

 

「……あ」

 

「神は【今の君】と契約をした。今の君になる重要な要素は神によって固定された……特にナイアルラトホテップはもてあそぶ神だ……君が一番大事な物を奪うだろうね」

 

「そ、そんな……じゃあ父さんは私が助けたとしても……」

 

「死ぬね」

 

「……ァァァアアアア!!」

 

 私は叫ぶ

 

 ナイアルラトホテップ神の信者になるというのこういうことだったのか

 

 ナイアルラトホテップ神はこの事を知っていて私を信者に誘ったのだとしたら……

 

 私は取り返しのつかない間違いをしてしまった

 

 叫んだところで過去は変わることもない

 

 大粒の涙を流しながら私は叫び続けた

 

 ……対価は貰ってしまっている

 

 過去を改変できると知ったが、私に関しての過去は固定されてしまった

 

 泣いて泣いて泣いて……泣きつかれて私は前に進む事にした

 

「おさまったかな?」

 

「取り乱してすみません。落ち着きました」

 

「それは良かった……着いたよ」

 

 そこにはフロアを1つ全てを使った豪華な部屋が有った

 

 生活に必要な物は全て揃っており、食材が有ればここで暮らせるのではないかと思えるくらいとても立派な家具、家電が揃っていた

 

 中には見たこと無い家電も多数あったが、田中が1つ1つ教えてくれた

 

「職員を1人部屋に滞在させておくから呼べばすぐに手伝ってくれるよ」

 

「……1つ気になったのですが、彼らは人ですよね? 全く喋らないですが」

 

「いや、私が作ったロボットさ」

 

「ロボットだったのですか……」

 

「AIも搭載しているから喋ることもできるんだけど、今まで黙らせてたんだ。人らしい行動もするよ。まぁ喋り相手が欲しかったら私をこのベルで呼んでよ。何時でも来るからさ」

 

 と言って田中は私にハンドベルを渡してきた

 

 車椅子から降りた私はリビングのソファーに腰を掛けてご案内と書かれたプレートを手に取る

 

 そこには食事の時間や毛布の貸し出し、マッサージ予約等が書かれていた

 

 プレートの横には長方形の機械が置いてある

 

 田中曰くスマートフォンと言うらしい

 

 スマートフォンの電源を付けると電話マークやメモ帳等のマークが分かりやすく表示された

 

 プレートの電話番号を打ち込めばドリンクや軽食や備品を持ってきてくれるらしいので、早速フロントに電話をかける

 

『いかが致しましたか大様』

 

「サッカーボールを1つ借りたいのですが」

 

『ただいまお持ち致します』

 

 1分後にサッカーボールが届けられ、私は軽く両足の間を転がしながらテレビを付ける

 

 テレビでは明日の天気や見たこともないドラマ、SANちゃんと愉快な仲間達という教育番組がやっているのを見て、改めてここが日本ではなく未来なんだというのを理解した

 

 チャンネルを回して見たけれどスポーツはやってないならしい

 

 テレビを消して、ベッドの上で大の字になって寝ることにした

 

「お爺ちゃん……大丈夫かな……そうだ」

 

 ハンドベルを鳴らすと田中がエイみたいな空飛ぶ乗り物に乗ってベランダから入ってきた

 

「なんだい?」

 

「お爺ちゃんに無事なこととここに呼びたいんだけどダメかな?」

 

「構わないよ。ちなみに今君は病院に救急搬送されたことになってるよ。何処の病院かは解らないようにしてあるけどね」

 

「お爺ちゃんは私が元気なところを見なければたぶんポックリ逝っちゃうから早く!」

 

「わかったわかった。今から呼びに行くから」

 

「お願いします田中! 私に唯一残っている肉親なんです」

 

「大丈夫。安心して」

 

 田中は再びエイみたいな乗り物に飛び乗ると空中に虹色の穴が開き、そして田中はその穴に入ると消えてしまった

 

 やることが無くなった私はベッドで眠る

 

 輸血されたとはいえ、血が少し足りないのか立ち眩みがする

 

「色々情報が入ってきて疲れました……休息に移行」

 

 私はそのまま眠ってしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「震撼に面会できないとはどう言うことだ!! 儂に残された最後の希望なのです! ……希望なのです」

 

「肉親なのは解るのですが、大震撼君は一刻も争うのでお会いすることはできません。最善を尽くします」

 

「神様……神様どうか震撼を救ってください……」

 

 儂は震撼がトラックに跳ねられたと聞いて真っ青になった

 

 病院から連絡があり、タクシーを呼んで病院に駆け込んだ時には震撼は集中治療室の中で、中の様子は全く分からなかった

 

 トラックのドライバーは警察に捕まったらしいが、そんなことより震撼が生きていれば儂は……儂は……

 

 実年齢より老け込んでしまった顔を覆う様にシワシワの手で顔を隠す

 

 何で……儂よりも早く皆逝ってしまう

 

 衝撃も婆さんも……震撼も逝ってしまうのではないかと不安になる

 

 儂が頭を抱えていると目の前に薄い褐色の震撼くらいの少女が現れた

 

「大丈夫震撼は生きてますよ。今会わせてあげる……来て」

 

 儂は凄い力で手を引かれ、よく分からないまま少女の後ろに座らされ、そこで意識が切れてしまった

 

 気がつくとどこかのホテルのフロント前に立っていた

 

 摩訶不思議な現象に驚いているのもつかの間、儂は少女に連れられて7階までエレベーターに乗って移動した

 

 部屋に案内された儂は大きなベッドで横になって眠る震撼を見つけた

 

「し、震撼!! 震撼!! 夢か!? 夢なら覚めないでくれ! もう儂から家族を奪わないでくれ」

 

「震撼のお爺さん落ち着いてください。震撼は無事ですので……疲れて今は眠ってしまってますが時期に起きますので……」

 

「無事……無事……」

 

 儂は腰が抜けてしまった

 

 死も覚悟した震撼が目の前で眠っている

 

 触ると確かに温もりを感じた

 

 安心した儂は涙が出てきた

 

 目の前に少女が居るのに儂はワンワンと大粒の涙を流した




へべれけ様の【伊豆大島でお待ちしております】を改変した物となっております

使用許可は頂いております

作者に感謝を

注意をされた場合内容を変更する場合がございます

ご理解のほどよろしくお願い致します
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