「な、なんなんだこの空間は」
「拙者達は雑木林に居たはず」
やはり最初に来た人は必ずこの空間に驚くのが定番なのか、私が異空間に招待すると目を見開いて驚いていた
「新入りか?」
「俺も最初は驚いてたな」
何回か来たことで慣れた下鶴さんと藤丸さんが戦国伊賀島の2人に話しかける
「ほほーん、2人も震撼にスカウトされた感じか。頑張ろうぜ! ここでの特訓は凄い力になるからな」
下鶴さん……好い人過ぎる
河川敷でぶっきらぼうな下鶴さんはどこへ行ったのか……
「では、はい、これを渡します」
お約束の重りのユニホームと学習シューズを渡す
1組み足りない分は私が履いていた(洗って脱臭済み)を彼らに渡した
5組みしかないからな……学習シューズ……田中に頼んで増やしてもらいたいな
でだ、彼らにニャル特製トレーニングメニューをやってもらう
ちなみにニャルのトレーニングメニューのレベル1をクリアーしているのは私しか居ない
トレーニングを最初に始めたハス太は元々のスタミナが足りない事が脚を引っ張りもう少しでクリアーできそうだが、その前にバテてしまっている
下鶴さん、藤丸さんは来たばっかり、今日参加した風魔さんと初鳥さんは言わずもがな……
ちなみに私のニャル考案のトレーニングメニューのレベルは30です
皆の十数倍の負荷がかかっていますし、100kgのユニホームの時点で体への負荷がとんでもないことになってますがね
皆ドン引きしていますが、私は普通にこなしますよ
「戦国伊賀島の利点は分身を作り出せる事です。私みたいな邪道ではなく、技術として覚えることができれば、技の範囲が大きく広がります」
私はポンとボールを蹴りあげ
「リアルインパクトTC!!」
凄まじい威力のボールがゴールに突き刺さる
「この様に、1人で2人や3人の連携技ができるようになるだけで大きく戦力が上がります」
「しかし、拙者達は完敗したでござるが……」
「良い質問です初鳥さん、それは実力が足りない、無駄が多い、戦術の過信の3つですね」
「戦術の過信……」
「確かにベンチから私は観ていたけど戦術が破られた瞬間、動揺からか動きが悪くなったわね。それに戦術は人数が必要な分、カウンターされた時に弱かったわね」
「ニャルの言う通り、私単独で破ったことにより精神的に攻撃を今回致しましたが、絶対の自信がある物を壊されると人は弱いです。勿論私だってそうですよ」
「そんな風には見えないけどね」
「ハス太、見えないようにさせているだけですよ……そうですね……例えばハス太、私を倒す方法を今言ってみてください」
「え!? えっと……えー!! 思い付かないよ」
「1つは分身をラフプレーで掻き消してしまえば良いのです。本体よりは打撃に弱いので簡単にとはいきませんが、必殺技をぶつける事で案外消えてしまう物です。なので分身を見分けられればボールを奪うことは可能です」
「弱点って言うのかそれ……」
「そうですね……他だと家族を人質に取るなんかもベターでしょう」
「いや、誰だってそうだろ」
「私より強い人を呼ぶ」
「日本に居るのかそんなの……帝国の選手を圧倒してたんだぞお前」
「……諦めてください」
「「「おい!!」」」
「結論、震撼は普通じゃ倒せない……敵になったら恐ろし過ぎない?」
「雷門のハス太は良いだろ。来年俺達こいつの居る雷門と今のメンバーが殆どそのまま上がってくる帝国と同地区でやりあうんだが?」
「頑張ってください藤丸さん!」
「だぁぁぁぁ!! 絶対に強くなるし、震撼の弱点この特訓で見つけてやるからな」
「その前にはい!」
「ニャルちゃん……何このレポート?」
「開いてみてね」
藤丸さんの顔がみるみる真っ青になる
「レベル2はこれやるから頑張って」
覗き込んだ下鶴さん、風魔さん、初鳥さんも真っ青になる
ハス太はそんな皆を見て爆笑してる
こいつ性格悪いな
「ハス太はこっちね」
「え?」
「何でハス太逃れられると思ってるの?」
「ほら僕小柄だし、皆と同じ特訓は合わないかなって……」
「だから何? 私、この中で一番鍛えなければいけないのハス太、あんただからね」
「ニャル待って待って! 死んじゃう」
「大丈夫、震撼死んでないから」
「ギャァァァァァ! 助けて震撼!」
「死んで強くなりなさいハス太」
「やめて! 死にたくない! 逝きたくない!!」
哀れハス太はロボットに引きずられて強制的に練習させられるようだ
「俺達もかな?」
「逝け」
「「「「ギャァァァァァ!!」」」」
4人の絶叫も響き渡った
特訓後、ぷかーんと5人風呂場で死んだ魚の目をしながら全裸で浮かんでいた
疲れて動けなくなり、ロボット達に運んでもらい風呂に浮かべている
「じ、じぬ」
「何時のも何倍もキツかった……」
「あぼぼぼぼ」
「初鳥! おい! 溺れるな! 初鳥! 本当に死ぬぞ」
「疲労回復、超回復促進、打ち身、打撲回復の効能があるのでゆっくり浸かってくださいね。私はサウナで整ってきますからごゆっくり……あ、脱衣所に特製のドリンク人数分置いてあるので必ず飲んでくださいね。飲まないと明日疲労で動けなくなるので」
バタンと私はサウナに入る
「……本当に人間かあいつ?」
「だから超人って言われてるんだろ。……練習量も超人かよ」
「でもあの肉体……良いゲヘヘ」
「ハス太、お前ホモかよ」
「失礼な! 僕は震撼専門のバイだよ!」
「あぼぼぼぼ」
「誰か手伝ってくれ初鳥がガチで死にそう」
「いや、僕らも浮いてるのが精一杯だし……いま腕に全く力が入らないから無理」
「「同じく」」
「あぼぼぼぼ……」
「あ、沈んだ」
「初鳥!!」
この後初鳥はロボットに引き上げてもらった
数日後
雷門サッカー部の皆がイナビカリ修練場で練習していると音無マネージャーが息を切らしながら入ってきた
「帝国学園が……」
「帝国学園初戦突破か?」
「10-0で……」
「結構な点差だな」
「世宇子中に……完敗しました」
「な!?」
「嘘だろ! 音無!」
「ガセじゃねーのか! あの帝国だぞ」
「正ゴールキーパーの源田選手は雷門との試合で手を痛めていたので欠場、お兄ちゃんも足を痛めていたので大事をとって試合に出なかったんです……相手がノーマークの学校だったから……そしたら……見たことも無い技が次々に決まって気がついた時には……スタメンで立っている人が誰一人居なくなっていて……」
「そんな……あの帝国が……嘘だろ!! そんなこと絶対にあり得ねぇ!!」
「キャプテン落ち着いてほしいっす」
「落ち着いていられるか! 鬼道達が完敗なんて……あり得ねぇ!!」
「円堂!」
「キャプテン!」
円堂先輩は走って何処かへ行ってしまった
「……!! 源田さん」
「震撼何処へ行くの!」
「源田さんの所へ」
「源田さん」
「よぉ、震撼……笑いに来たのか……初戦で負けた俺達を」
「なぜそんな馬鹿馬鹿しいことをしなければならないのですか?」
「……くくくっ、そうだな。お前はそんなことはしない奴だよな……くそったれ! お前と約束したのに……全国の決勝で勝負すると約束したのに……守れなかった」
「……手は大丈夫なのですか?」
「……お前の黒色のビームを受けた時に痛めたらしい。気がついたのはお前と別れて数時間後だ……アドレナリンが出まくってたらしいな」
「そうですか……」
帝国学園に居た源田さんは更衣室で座っていた
私はその横に座る
「……実は私は世宇子について少し知っていました」
「な! それは本当か」
「世宇子の裏には影山が居ます……プロジェクトZ……ゼウス計画です。帝国学園の最深部のコンピューターを協力者がハッキングした際に見つけたらしく、私も実はプロジェクトZに影山から参加しないかと誘われていました」
「影山は逮捕されているハズじゃ」
「この前あの逮捕劇の場に居た刑事さんから証拠不十分で釈放されたとの連絡がありました……では源田さん問題を出しましょう。誰が工作したでしょうか」
「誰がって……影山じゃ……!? 檻の中に居た影山は工作できるハズがない……つまり協力者が居るのか!?」
「正確には影山には上司が存在します」
「馬鹿な! 帝国学園という日本中学サッカーのほぼトップに君臨していた奴に上司だと!?」
「正解は世界です」
「世界……世界!?」
「世界には名だたる富豪が沢山居ますよね。億万長者番付でも日本人ってトップでも50位以下なんですよ……ここまで言えばわかりますよね」
「世界の富豪の誰かが影山を操っていると」
「まぁここで誰かはあまり関係有りません。私の復讐対象は影山であり、父の殺害や私の事故にこの億万長者は関わってないですし……話を戻しましょう。プロジェクトZ、ゼウス計画は強化人間計画ですね」
「強化……人間だと」
「薬物で身体を強化する計画らしいですね」
「ドーピングじゃないか!! そんな奴らに俺達は……」
「まぁ勝ちますけど」
「奴らの強さは尋常じゃないんだぞ……例えお前だとしても」
「勝たなければならないのですよ。影山の計画をぶっ潰して誰が最強か証明しなければ……天国に居る父に活躍を見せるには日本……いや、世界一になるくらいしないとダメですからね。ドーピング野郎には負けませんよ」
「……強いんだなお前は」
「私も手段は違えど強さを常に求めていますからね」
「……世界か」
「世宇子は私が叩き潰しますので貴方は世界だけ見ていれば良いですよ。一緒に特訓しましょう。悩んでいてもゼウス計画は潰れませんし、今だって練習している誰かに代表の座を奪われるかもしれませんのでね」
「ああ! ……そうだな」
「御影専農や戦国伊賀島の選手を誘っての合同練習をここでしているので良ければ来てください」
「……なぁ、その合同練習に参加させたい奴が居るんだが参加させて良いか」
「どんな方ですか?」
「俺の……弟だ」
「帝国の源田! 本当に世界狙ってるんだな震撼」
源田さんを連れてきたことについて下鶴さんがそう反応した
「世宇子戦観ていたが……無念だろう」
「あぁ、だから特訓することにした。この空間には驚いたが……良いフィールドだ。怪我しにくそうで素晴らしいな。改めて源田幸次郎だ。そしてこいつが弟の」
「げ、げ、げ……源田
「……性格が似てませんね」
「良く言われる。こいつは今小学5年生だ。そして未来の帝国の正ゴールキーパーだ」
「兄貴、俺帝国の正ゴールキーパーは重いって……サブキーパーぐらいが丁度良いよ」
「こんな事を言っているが俺より才能はある。揉んでやってくれ」
「よ、よ、よ……よろしくお願いします!」
「後輩だ! パシりに使おう!」
ハス太が調子に乗り始めたのでニャルが関節技をかけて成敗
「あわわ、ぱ、パンツ見えて……」
「見せパンだと思うので気にしない方が良いですよ。さて、これで私、ハス太、下鶴さん、藤丸さん、風魔さん、初鳥さん、源田兄弟の8名となりました。とりあえずニャルのレベル1をクリアーするのを目標に頑張っていきましょう」
源田兄弟にも20kgのユニホームを着用してもらいニャル考案のトレーニングを開始する
キーパー用に少しだけ違うが、足腰を鍛えるのには変わらず、とにかく走り込み、バービー、スクワット、ドリブル、障害物走等々をやっていく
今日も皆ダウンしたところで終了となり、当面はこの調子が続くだろうと予想できた
私は私で特訓を続けながら皆に有った必殺技をガンガン開発していく
下鶴さんは私のライフル系列をコピーできると思うのでしてもらえば良いですし、藤丸さんはスーパースキャンの進化で良いので大丈夫
問題は忍者2人だ
「速度特化の必殺技をお二人に考案します」
風魔さんと初鳥さんを集めてゼロヨンを教える
「クラウチングスタートから相手を瞬時に抜き去る技です。必要なのは瞬発力です。習得難易度は簡単だと思うのでとりあえず練習してみませんか? これが基礎になるので頑張りましょう」
「こうか?」
「いや、こうでござるよ」
「一度手本を見せますね」
私はクラウチングスタートの体勢をとり、片足を下げる時に地面を堀ながらスターターの代わりにする
「ゼロヨン」
私は目の前に居たロボットを抜き去った
「「おお!」」
「簡単でしょ。やってみてください」
瞬発力さえあれば誰にでもできる技なので今日の特訓のうちに彼らはゼロヨンをマスターした
「では本題です。ゼロヨンを私なりに改良した零戦……やってみましょう」
零戦……ゼロヨンは前にボールを置きクラウチングスタートと同時に運ぶ技だが、零戦は頭にボールを置く
ゼロヨンの如くクラウチングスタートの体勢をとり、全力で前に飛ぶ
ボールを頭に置いたら手を広げて翼の代わりにし、揚力を作り出して低空を飛行しながら突破する技だ
高速かつ長距離ボールを運べる必殺技であるが弱点もある
ザ・ウォール、トーチカの様な壁系に極端に弱いのだ
つまるところ防御力皆無の必殺技なのだ
「しかし、そのスピードと距離は拙者達にとって魅力的でござる」
「俺達が使う残像は1対1を想定している技だから複数人突破できる技はとてもありがたい。なにより副産物で簡単な必殺技も使えるからお得だ」
2人はニャルの特訓をしながら零戦習得に躍起になっていく
最後に源田さん達にはパワーシールドのやり方を詳しく教わり、必殺技ノートバージョン2に書き込んでいく
「気を手に溜めて地面に叩きつけることでシールドを出す……簡単な様に見えるが、気を溜める事が難しい。できるようになれば出力を上げればフルパワーシールドやトリプルパワーシールドの様に様々な応用が効くようになっている」
「ありがとうございます」
「大さんはノートに書いて何してるんですか?」
「このノートを読めばその必殺技を理解できるようにしているのです。理解できれば改良も進化させることもできるのでね」
「なるほど」
こうして情報交換もしながら秘密裏に特訓は続けられた
恐れていた事態が起きた
イナビカリ修練場での特訓により急激なレベリングをしたことで個々の能力は上がっていたが、それが遂に連携に支障が出るまで上がりすぎた
いや、上がることは良いことなのだが、連携が崩壊してしまってはもとも子もない
私はパスを出すとき等は常に調整(セーブ)して行っているので問題なく、ハス太はこの時の為に司令塔としての特訓をしてきたため自身を中継役としてのパスは繋がる……が、司令塔としてはまだまだ未完成であり、形になるには時間がかかる
これについては響監督も危惧していたが、時間が解決するしかないと仰っていた
マネージャー陣には普通に振る舞うように指示を出し、それを私はたまたま近くに居たので聞いていた
「最終的に個に完結するのですね……やはり連携技は強い反面連携の歯車が1つでも食い違えば不発になる……だから私は連携技があまり好きじゃないんですよね……」
ハス太が連携! 連携とせがんでくるのもわかるのですが、調整役が居ないと弱点になりかねない連携技にはどうにも危機感を抱いてしまう
……次の対戦相手は鉄壁を誇る千羽山中学……源田さんよりもすごいかもしれないと言うキーパー技の無限の壁を操る学校だ
「勝利方法を模索……私が通常の2倍頑張れば良いだけの話ですね」
いよいよ全国大会2回戦が始まる
ゼロヨン・・・GOの技 探せば動画有るので視ていただくとわかりやすいかも
零戦・・・1人版ブーストグライダー