最近小学校に謎の倒木事件が多発しているから注意するようにと言われた
なんでも鉄球の様な物をぶつけられて倒木しているらしい
怖いですね
……まぁ震撼の事なのですがね
震撼はその話を聞いて凄まじい汗をかいており、バレませんようにと願った
震撼の願いが通じたのか警察や先生に追求されることもなく、謎の事件として近隣の七不思議となったくらいで事件は収まった
震撼は反省し、以後ゴールの替わりにするのは木では無く、土手の斜面にすることにした
土手では小学生のサッカーチームが練習していたが、震撼は混じること無く自主錬を続けた
で、ここまで鍛えてくると練習が物足りなくなり、砂を詰めた袋を腰にぶら下げる事で重りとして更に負荷をかけるようになった
重りの重量は約50kgにもなり、体が壊れそうになるまで走り、鉄球を蹴り続けた
[来月には中学生か……うむ、帝国学園と戦えるな]
{ハーッハッハッハッ! マンモス校の雷門! サッカー部は去年創設された弱小部らしいが帝国学園とたたかえる可能性が出てきたな! }
(事前情報読み込み中……)
{あのさぁ、いつまでロボットでいる気だ本体? }
(復讐が成就するまで……読み込み完了、雷門中学サッカー部、キャプテン兼部長円堂先輩、部員、染岡先輩、半田先輩……能力未知数)
[うむ、円堂先輩や他の方々も河川敷で練習しているのを見たことがあるのではないか? ]
(A.よく見ていませんでした)
{集中し過ぎた本体}
[しかし、少し接触した方が良いのでは? 本体。サッカー部の部員となるのだから好感度を稼いでそんはないと思うがね]
(思考中……思考中……A.皇帝の判断は常識的に有りだと判断、本日接触を試みることにする)
{ハーッハッハッハッ! それがいい}
震撼の脳内会議はいつも賑かである
夕方、河川敷に行くと円堂先輩や他の先輩達が橋の下で練習しているのを見つけた
近づいて観察する
円堂先輩はキーパーの様でグローブを付け、染岡先輩と半田先輩のシュートを受けていた
「よし、次染岡!」
「いくぜ円堂!」
「よし! 来い!」
バゴンと勢いよくシュートが放たれ、それを円堂先輩がパンチでセーブする
コロコロと足下にボールが転がってくる
「あ、おーい! そこの君、ボールを取ってくれないか?」
「……A.了解しました」
爪先でボールを浮かせてサイドキックでボールを円堂先輩が取りやすい威力で返す
「お! ナイスシュート!」
「へぇ、やるじゃん」
「雷門サッカー部の皆さんとお見受けします。観察してもよろしいでしょうか」
「お! 俺達を知ってるのか」
「来月からサッカー部に入部したいと思い、情報を収集中、事前に挨拶をと思い、伺った所存」
「スゲーできてるなぁ」
「なかなか見所のある後輩じゃねーか! 円堂よかったな来期新入部員0は回避できそうだぜ」
「あぁ! 君! 名前は!!」
「A.大震撼、大でも震撼でも結構です」
「大だと言いづらいな……よし! 震撼! お前も混じれよ! 一緒にサッカーやろうぜ!」
「……はい、混じらせていただきます」
「よし! じゃあ震撼! 円堂に全力でシュートしてみろよ! 円堂なら受け止めてくれるぜ」
染岡先輩からボールを渡された
「よし! 来い!」
「パワー100%……シュート」
次の瞬間地面が抉れ、ボールは円堂先輩の後の壁に突き刺さった
1テンポ遅れてドゴっと鈍い音がすると、ゴールに見立てていた橋のコンクリートがクレーターのようにボールを中心として陥没していた
「は? 「「え?」」」
呆然とする先輩達に突風が遅れて届く
「シュート致しました」
「な、なんだありゃ?」
「見えたか半田」
「見える分けねーだろ染岡!」
「……スゲー! スゲーよ! 震撼! お前のシュート凄かった! 蹴る動作したと思ったら次の瞬間には蹴り終わって、ボールが横を通りすぎたのもわかんなかった! 見えなかった! スゲーとしか言いようがない! 震撼! お前! 良いストライカーになるよ!」
「A.私はディフェンダーを希望します」
「ディフェンダー? あれだけのシュートできるならフォワード向きじゃないのか? なぁ染岡」
「あぁ、悔しいが俺より良いシュートだった」
「A.ディフェンダーならディフェンスゾーンからロングシュートが可能」
「ロングシュートって……確かに凄いシュートだったが距離が伸びれば対処されるぞ」
「A.必殺技を使えば可能かと」
「必殺技! 必殺技が使えるのか!」
「はい」
「よし、じゃあ必殺技うってみてくれよ! 皆見たいよな!」
「ああ! 見てみたい!」
「……あぁ」
「よし、じゃあどれぐらい離れるか?」
「120m」
「おいおいコート外じゃねーか!」
「まぁまぁ、よし、じゃあ離れるからうってみてくれよ」
「了解しました……私が離れます。橋の下では高さが足りませんので」
「そうか? 俺はどこら辺に立てば良いか?」
「円堂先輩の位置から120mほど離れますのでそこに居てください……では離れます」
凄まじいスピードで離れていく
「ドリブルしながらあの速度ってヤバくないか?」
「俺の全速力より速いかもしれねぇ」
「いきます」
「よし来い!」
「ライフルV3」
足に挟み、空中で横向きになると腕を広げて回転する
風切り音なのだが、キュィィィィィンという機械音の様な音の後にドンっという鈍い発射音が響いた
ボールは縦長の形状に変わり、まるで弾丸のような形をしていた
それが高速回転しながら円堂先輩めがけて飛んでいく
「ぐっ! うわぁ!」
円堂先輩は弾丸の様なボールをキャッチしようとしたが、ボールの威力に負け、体がボールの回転に合わせて一回転してドサリと吹き飛ばされた
ボールは更に数十メートル進んだ後、地面に突き刺さり止まった
「「円堂!」」
半田先輩と染岡先輩が円堂先輩を助けに向かう
円堂先輩はグローブを見ながら固まっていた
「円堂大丈夫か」
「あ、ああ! 止められなかった……なんだあのシュート! スゲェスゲェよ震撼!」
震撼も円堂先輩の近くに駆け寄る
「A.必殺シュートのライフルです」
「……なぁ! 震撼! 必殺技って俺らにもできるか?」
「A.可能ですが、その人に合った技でないと発動しないでしょう」
「そうか……いや、ありがとう」
「大事なのは気持ちとイメージ。そして発動に値する実力がなければなりません。ライフルは私の始めての必殺技ですが、最初はこんなに威力はありませんでした」
「そうなのか」
「はい、必殺技は使えば使うほど強くなります。体がそれに合わせる形で筋肉が付くからです」
「なるほどな」
「なぁなぁ! 震撼なら俺のじいちゃんの特訓ノートの意味を分かるかもしれないから見てくれよ」
「ノート?」
円堂先輩はカバンから古びたノートを見せてきた
所々破れかけていたり、黄ばんでいたりする
「……エラー、読み込み不能」
「あぁ、ゴメンよ! じいちゃん字が汚くて俺にしか読めないんだった……ええっとこれこれ! ゴッドハンド!」
「ゴッドハンド?」
「グッと握ってバッとしてこう!」
「……」
「「……」」
{わ、分かるか皇帝}
[とりあえず絵を見た感じ右手に気を集めるのがグッで、手を開いて上に掲げるのがバッ、そして押し出すのがこうではないか? ]
(伝えます)
「半田分かるか?」
「相変わらず分からねぇな」
「おそらくですがこうではありませんか?」
皇帝が解析した事を話してみる
「グッと握ってバッとしてこう!」
円堂先輩は気を右手に集めるイメージを始めた
そうすると胸から右手に気が集まり、すぐに離散してしまったが、円堂先輩は気を掴むことに成功した
「お、おお! 今胸からこう! 熱いのが右手に来る感じがしたぞ!」
「やったな円堂!」
「あぁ! 一歩前進だ!」
その後円堂先輩にシュートを皆でうって、円堂先輩はゴッドハンドの練習を続けた
「ふぅ、疲れた」
「お疲れ様です半田先輩」
「お疲れ震撼……って汗かいてねーなお前、表面上には出ない感じか?」
「いえ、負荷が軽く、まだ疲れておりません」
「どんなトレーニングしてんだよ……って、そういえば気になってたんだが腰から下げてるのなんだ?」
「砂袋です。重りです」
「へぇ……って重!」
「砂の他に鉛も入っています。1つ10キロあります」
「え、じゃあ50キロの重りを付けながら今まで動いてたのか?」
「はい」
「どんな化け物だよ……」
「半田先輩、私の目標は帝国学園を倒し、復讐を完遂することです。その為には先輩達も強くなってもらわなければならないのです。お願いします」
「何に対してのお願いなのかいまいち分からねーが、円堂がよく言ってるけどサッカーは楽しくやるものだぞ、帝国学園に恨みがあるのかもしれねーが、復讐はよくないと思うがな」
「……」
「ま、復讐だとかの話しは円堂にはするな。きっと揉めるからな」
「……分かりました」
「さて、日も暮れてきたし今日は解散だろうな。震撼また来いよ」
「毎日通わせてもらいます」
「おーし! 円堂! 染岡! クールダウンしようぜ! 震撼はどうする」
「もう少し別の場所で練習をするのでここで別れようかと」
「了解! 円堂、染岡! 震撼これで別れるって」
「おう! 震撼今日はありかとな! 明日もよろしく頼むぜ!」
「よろしくお願い致します」
私は鉄球をカバンから出すとドリブルをしながら帰路についた
「……あいつ鉄球でドリブルしてなかったか?」
「いや、流石に見間違いだろ」
私が先輩方の特訓に加わって約1ヶ月……約1ヶ月で円堂先輩はゴッドハンドを習得し、染岡先輩も必殺シュートのきっかけを掴みかけていた
半田先輩は私のひとりワンツーを教えたところ、真似しようと頑張っている
ひとりワンツーは気とかではなくほぼテクニックなので最初の必殺技にはうってつけである
「ゴッドハンド!」
「……20%のシュートは止められますか……続いて25%に移行します」
「よし! 震撼来い!」
今円堂先輩はゴッドハンドの改良を続けている
ゴッドハンドは素晴らしい技だが、見るからに改良の余地が沢山ある
純粋に気の出力が上がればゴッドハンドの威力、分厚さが上がっていく
完成度もさることながら成長力も期待できる必殺技で、この技を考えた円堂先輩のお祖父さんは天才なんだろう
惜しいのは字の汚さだろうか
もっと分かりやすく書いていれば円堂先輩が習得に苦労することも無かっただろうに……
「おい! 震撼見てくれ!」
「はい、なんでしょうか染岡先輩」
「いくぜ!」
染岡先輩がシュートを放つと青い竜が現れて地面を這うように動き回り、ゴールに見立てた壁に激突する
「どうだ! 俺の必殺技ドラゴンクラッシュだ!」
「おめでとうございます! なかなかの威力ですね」
「あぁ! でも俺はこれに満足してねぇ! 更に凄い必殺シュートを作り出してやるぜ!」
「期待しています」
着実に雷門サッカー部はレベルアップしていた
桜舞う4月……卒業式と春休みが一瞬で終わり、気がつけば入学式
私はマンモス校と名高い雷門中学に入学した
馬鹿デカイ校舎に幾つものグランド、部活棟等様々な部活がより良い成績を大会で残すべく切磋琢磨していた
雷門中学サッカー部はプレハブ小屋の小さな建物が部室として使われており、木の板でサッカー部と書いてあった
入学し、放課後早速入部届けを持ってサッカー部の部室を叩いた
「空いてるぞ!」
円堂先輩の声が聞こえた
「失礼します」
中に入ると円堂先輩、半田先輩、染岡先輩、そしてマネージャーの木野先輩(以後木野マネージャー)の4人がニヤニヤしている
「円堂先輩……いや、部長、入部届けです。以後よろしくお願いします」
「おう! 改めてよろしくな震撼!」
「よろしくお願いします」
「よしじゃあサッカー部員の勧誘をやるぞ!」
「じゃあ俺はチラシ配るよ」
「俺は声かけをやる」
「染岡君だけだと怖いから私も染岡君に着いていくね」
「木野そんなに怖くねーだろ」
「もう、染岡君そういうところが怖いのよ。円堂君はどうする?」
「じゃあプラカード持って校内声かけて回るよ! 震撼は部室に来た人の対応をしてくれよ」
「分かりました。ミッションをインプット」
「よし! それじゃあ目指せ部員11人だ!」
「「「おー!」」yesマスター」
サッカー部の中を物色していると扉をノックする音が聞こえてきた
「すまないでやんす! サッカー部に入部したくて来たでやんすが入ってもいいでやんすか?」
「空いてます。どうぞ」
「失礼するでやんす」
なんか栗っぽい人が入ってきた
「あれ! 部員1人でやんすか?」
「A.先輩方は勧誘をしに校内に散らばっています」
「そうでやんすか……ん? 先輩方ってことは同じ新入生でやんすか?」
「Yes」
「おお! よかったでやんす! 他に人が居てくれて! おいら栗松鉄平って言うでやんす! よろしくでやんす」
「私の名前は大震撼……大でも震撼どちらでも構いません」
「そうでやんすか? なら震撼にするでやんす! 震撼よろしくでやんす!」
「栗松……よろしくお願いします」
暇なので栗松と部室の前でパス練をすることにし、部室の前で蹴っていると次々と入部希望の人がやって来た
壁山、少林、宍戸の3人がパス練に加わり、日が暮れてきた頃円堂先輩達が戻ってきた
「おお! 5人! 初日で5人も来てくれた!」
「やったな円堂」
「ああ! この調子で目指せ選手11人だ!」
……が、それ以降入部希望者は現れずに結局先輩方を合わせても8人の選手にマネージャー1人の9人のサッカー部となった
入部から1ヶ月……私、円堂先輩、染岡先輩以外の皆はだらけきっていた
グランドを使えないからという理由でモチベーションが上がらず、更に私が他の1年生皆に筋トレやマラソンばっかりを強要しようとしたことで、サッカーより軍隊だと言われ、更にだらけるようになっていた
で、私、ぶちギレた
「基礎体力も筋力も無い人間がサッカーしたい? 笑わせるな。もういい勝手にしろ! 私だけでも強くなる」
と言って以来部室に顔を出していない
染岡先輩は
「ほっとけ。腐ってるなら腐らせておけ! その間に俺達はどんどん強くなるぞ」
円堂先輩は
「いつか気づく日が来るさ! なに、一応半田も他の1年と一緒に居るってことは何か考えがあるんだろ」
と言っているが、半田先輩が一番腐ってる様に見えるのは私だけなのか?
1ヶ月前の情熱はどこへ行ったのやら……
染岡先輩は必殺シュート作りに熱中しており、円堂先輩のゴッドハンドを破ると息巻いている
先輩2人は河川敷のいつもの場所で、私は散策がてら重りを更に増やしてロードワークをよくするようになっていた
走りながら考える
どんなに狭くてもトレーニングはできる
場所がなければやらないなどふざけた事をぬかしている連中で、もし11人揃っても試合になるのかはたはた疑問である
と、それよりも雷門中学に入って1つ気になった事がある
開かずの扉……盛り上がった小山に扉があり、それが南京錠でロックされてるんだが……凄い気になる
ロードワークを終えるとその扉の前にやって来て
南京錠を触ってみたところ緩んでいる
「……」
キョロキョロと周りを確認するが、近くには誰も居ない
[いや、バレるだろ。内申下がるぞ]
{そうだぞ本体やめとけって}
「……えい」
ブチンと南京錠が壊れ、扉が開くようになった
[{しーらね}]
好奇心が勝り、中に入ってみる
暗くてよく見えないが、近くにスイッチが有ったので押してみると電気がついた
([{おおおおお!? }])
なんと中には地下グランドに様々なマシーンが有るではないか
施設の名前がうっすらと書かれている
名前はイナビカリ修練場と立て札か有った
(エラー、中学の地下にこんな施設が有るのが意味不明)
{ラッキー、ラッキー! ここならば思う存分サッカーできるぞ}
[ふむ……あの機械はなんだろう]
色々触ってみたところ一部を除いて使えるようだ
入り口にある大きなレバーを引いたところ機械が動き始めた
すると同時に入り口が閉まり、9999秒と表示され出れなくなった
「……タイマーが終わるまで出れないと判断」
後から発射音が響く
振り向きざまにキックするとガトリング砲からサッカーボールが発射されてるじゃないか
それを蹴り返して奥のゴールに入れる
「……特訓になると判断、これより特訓を開始します」
マシンガンをシュートで返すこと幾らか
頭上高いコースのシュートは必殺技のトーチカで止めて、ボールを落とす
レベルがどんどん上がっていき、レベル10になると必殺シュート並みの威力に上がった
必殺シュートには必殺技を
ライフルはボールを挟み込む性質上できないので、リトルインパクトでボールを蹴っていく
一発蹴る毎に衝撃が空間に溜まっていくのがわかる
小さな亀裂がミシミシと増え、砕けたフロント硝子のように至るところに亀裂が入っていた
時間で亀裂は修復されていくが、その状態の亀裂にボールで更に押し込んでみることにした
バキバキっと今度は奥に向かって亀裂が入った
そのままシュートすると亀裂に沿ってジグザグにボールが進んでいく
「Wインパクト……いや、奥行きが追加された衝撃……リアルインパクト」
{リアルインパクト……いい名前ではないか! }
[うむ、本物の衝撃か]
ただ、現状ではリアルインパクトを放つ為にはキック力が足りない
相手のシュートの威力を反転させることにより今はリアルインパクトを放つことができるので、単独で放つには修行が必要である
幸い機材は充実しているためいつかは完成するだろう
「いつかではなく今完成させないでどうするのですか私」
時間はまだまだある
感覚を忘れないうちにやることにした
翌日ボロボロの姿で登校した私にクラスの全員驚いていた
「おい、大丈夫か?」
「喧嘩でもしたのか」
ボロボロの理由は疲れて必殺技がうまく発動しなくなってきたことにより蹴り返すのが辛くなり、ボールの勢いに負け、ミスキックを連続するようになったからだ
足が動かなくなり、それを体で止めるように動いたことでボロボロになっていた
「A.問題ありません。特訓によるものです」
「特訓って……怪我するぞ」
「A.私は怪我をしません」
「いやいや、答えになってないって……」
先生にも心配されたが、私は特訓によるものと言って受け付けなく、先生は心配しながらもホームルームを始めた
放課後
サッカー部に久しぶりに行くとボロボロの姿の私にここには居ない円堂先輩、染岡先輩以外の皆が驚いた
「サッカーの特訓ができる場所を見つけました」
「いやいや、傷だらけじゃないっすか! 大丈夫なんすっすか?」
「A.問題ありません」
私は壁山と栗松の首根っこを掴むとズルズルと引きずりイナビカリ修練場に連れていく
「俺、150キロあるのに何でこの人軽々引きずれるんすかね!」
「ぐるじいでやんす!」
着いたのは開かずの扉
南京錠は昨日破壊したそのままである
「おお、お前達か」
「古株さん」
用務員の古株さんがそこに居た
「昨日ここの南京錠を誰かが壊してな、修理しに来たんだ」
「A.私が壊しました。中身も知っております。使わせてはいただけませんか」
「ワシの判断では無理だな~、ここの施設は理事長の許可が無いと使えんことになっている。すまんがダメだ」
「……そうですか」
「なーんだ。お前ら帰るぞ」
半田先輩が皆を引き連れて帰ってしまう
「……諦めません。使えばレベルアップが可能なのに使わないなんて持ったいなさすぎます」
そのままの足で私は理事長室に突撃した
そこには理事長は居らず、代わりに女子生徒が紅茶を飲んでいた
生徒会長の雷門夏未先輩である
「あら、何か様かしら?」
「A.イナビカリ修練場を使わせていただきたく伺いました」
「へぇ、どこでその情報を?」
「空かずの扉の南京錠を破壊して入ったところ発見しました」
「破壊だなんて野蛮ね……イナビカリ修練場の事は知っています。ただあそこの設備使うと電気代が無視できないほどなのよ。それを部員8名の弱小サッカー部に使わせるほど管理側として優しくはできないわね」
「いかがすれば使わせていただきますか?」
「そうね……選手を11名集めない。そうすれば使わせてあげなくもないわ」
「分かりました。集めたら使わせてください」
「ええ、良いわ。雷門夏未の言葉は理事長の言葉と同列の意味と保証してあげるわ」
イナビカリ修練場を使うため震撼は部員集めに奮闘することとなるが、入部シーズンはとっくに過ぎており、なかなか入部希望者は現れなかった