源田兄弟と練習をするようになってはや10日、源田幸次郎さんと源田真俉の練習に付き合っていた
私は黒色のビームを再び出すために、源田兄弟は更なる高みを目指すために特訓を続けている
源田幸次郎さんはインクラインシールドよりも強力な必殺技の開発に取りかかっていた
インクラインシールドではリアルインパクトWを止めることができない
フルパワーシールドTでもそうだ
故に新必殺技を開発しなければ私のボールは止められないと判断したらしい
源田真俉の方はインクラインシールド習得にいそしんでおり、傾斜をつけるだけなので角度調整が終わればすぐに習得できるだろう
(以後源田さん=源田幸次郎、真俉=源田真俉)
源田さんとあーでもない、こーでもないと話しているとニャルがふらっと現れて
「パワーシールドに属性を付ければ良いんじゃない? 衝撃波の層と例えば炎の層ができればボールを焼き焦がしたりできるし、熱風で威力を弱めたりもできるんじゃない」
「それだ! ニャル助かった。感謝する……震撼、早速試させてくれ」
「はい!」
とりあえず最初は炎が吹き出すイメージをしながら源田さんは新技の練習をしていたが、私がミーティングルームの過去の映像から参考になりそうなボルケイノカットというディフェンス技の映像を見せると
「そうか、地中のマグマの力を借りればより強い必殺技になる」
とのことで、とりあえず初期段階は腕に炎を纏い、回転しながら炎の渦を作り、そこから拳を地面に突き刺して衝撃波を展開
前面に炎の層、後ろにパワーシールドを展開する技が完成した
「どんな技名にするんですか?」
「単純にファイヤーシールドで良いだろう。残念ながらこれではリアルインパクトTCは止められないがな……必ずお前のシュートを止めてみせる!」
「いたちごっこですね。負けません。私の開発力で更に突き放してみせます」
世宇子がやはり決勝に駒を進めた
準決勝は10分で相手チームが負傷者続出で試合続行不可能となり、棄権しての勝利だった
一方雷門も鬼道先輩、一ノ瀬先輩というミッドフィルダーに新戦力が加入したことにより部員数は17名となり、ベンチに入りきらなくなったので、メガネが試合中はマネージャーとしてベンチに入ることで人数を調整した
外部戦力の取り込みと既存の選手の上達により世宇子中と戦う準備は確実に整ってきていた
木戸川清修戦はただ勝つだけではダメで、次に繋がる試合をしなければならない
勿論楽して勝てれば文句無いのであるが、豪炎寺先輩の才能を見抜き、1年からエースストライカーに抜擢するほどの実力主義の中学なため油断はできない
私は音無マネージャーから木戸川清修の映像を借りて相手の情報を頭に詰め込んだ
「震撼、何見てるの?」
「ハス太ですか、ちょうど良いです。木戸川清修の試合映像を見ていました」
「ふーん……同じ顔が3人……三つ子のスリートップなんて珍しいね」
「はい、彼らが使うトライアングルZは強力な技です」
「どれぐらいなの?」
「帝国のデスゾーンより強力かもしれません」
「あの真デスゾーンより?」
「相手だって改や真にしている可能性があります……円堂先輩のマジン・ザ・ハンドで止められると思いますが……」
「油断はできないと」
「はい」
となるといかにトライアングルZを出させないかになる
3人の連携技なだけに1人に徹底マークを付けて潰すも良し、絶対防衛線で止めるも良し、その前にボールを彼らに繋げなければ良い
映像を見ていると前衛の武方三兄弟と中段及び後衛との連携があまり上手くいっていないように感じた
ハス太も気がついた様だ
「ハス太」
「わかってる震撼。鬼道先輩からディフェンスの指揮権をいただいているから壁山と土門先輩を操って中段と武方三兄弟に亀裂を入れる。そうすれば脆い」
「了解しました。私は武方三兄弟に徹底マークを致します。ハス太は指揮と中段への繋ぎをお願いします」
「わかったよ」
木戸川清修との試合当日
どうやら豪炎寺先輩絡みで武方三兄弟とトラブルがあったらしい
まぁ私には関係無いが
豪炎寺先輩にとっては古巣との勝負……メンタル的に辛いかもしれないが、頑張ってもらいたい
『さぁフットボールフロンティアもいよいよ佳境……準決勝Bブロック……木戸川清修対雷門との一戦です』
雷門のフォーメーションは4-4-2のディフェンス型
ミッドフィルダーがダイヤモンドの形になるようなフォーメーションで攻撃よりも防御よりの陣形だ
対する木戸川清修は4-3-3の布陣
武方三兄弟はやはりフォワードとして出てきている
試合開始のホイッスル
木戸川清修からの攻撃
武方三兄弟のパス回しによる速攻を鬼道先輩が阻止しようとする
「松野、一ノ瀬中央を塞げ」
「甘いっしょ」
「俺達武方三兄弟は最強なのです」
「どけどけ!」
松野先輩と一ノ瀬先輩、更に風丸先輩が突破される
ボールは天高く蹴りあげられ、武方三兄弟の三男が必殺技の体勢に入る
「バックトルネード!」
「ファイヤートルネードと逆の技」
「円堂先輩!」
「任せろ! ゴッドハンド」
円堂先輩のゴッドハンドによりボールは止められた
「さぁ、反撃だ」
「「「おう!」」」
『さぁ雷門反撃なるか』
「震撼!」
「豪炎寺先輩」
「わかった!」
「ライフル」
「トルネード」
ディフェンスゾーンからライフルが放たれ、それに豪炎寺先輩がファイヤートルネードで合わせる
「させるか! スピニングカット」
地面から青い衝撃波が現れ、シュートの行く手を阻む
更にキーパーの軟山がタフネスブロックでシュートを阻止し、止められてしまった
「ちっ!」
「西垣行け!」
「おう!」
ボールは西垣に渡るが、それを鬼道先輩がカット、こぼれたボールを松野先輩が取ったが相手のディフェンスに取り返されてしまった
「チャンスみたいな」
これを見て一気に武方三兄弟が上がる
「行け! 努!」
「おうよ!」
三男にボールが渡り、こちらのディフェンスゾーンに入ってくる
「壁山! ハス太!」
「「はい」っす」
「「「絶対防衛線」」」
「ぐわっ!!」
「「努!!」」
絶対防衛線の前には彼ら三兄弟も突破は不可能
「くそ! なんて奴らだ」
「大震撼という4番がヤバイっしょ」
「アイツを封じ込められれば俺達の勝ちみたいな……友、努」
「「おう!」」
私が風丸先輩にパスをしたが、風丸先輩が三兄弟の次男にボールを奪われた
「しまった!!」
「超人だかなんだか知りませんが、調子に乗ってたら痛い目見るんですよ! 勝兄さん!」
「行くぜ怪物退治だ!」
バックトルネードを私に向けて放ってきた
私は胸でトラップしようとした瞬間に左右から三兄弟の残り2人が現れて、私のトラップしたボールめがけてバックトルネードを放ってきた
「「「これぞバックプレス!! ……なに!」」」
「1つ教えてあげよう。なぜ私が超人と呼ばれているかを」
私は胸で彼らの蹴りを弾き飛ばすと、ハス太にパスを出した
「震撼!」
「ラフプレーは想定済み、この程度効きません」
「想像以上の化物みたいな」
「本当に人ですか!!」
「友兄、慌てるなよ、何度かやれば必ず崩せる!」
前半は一進一退の攻防が続く
私は三兄弟を徹底マークする一方、相手もそれを逆手にとって私のマークを外そうとしないし、分身を上手く封じ込めている
「{焦れったいな}」
「[焦るな覇王、必ずチャンスは来る]」
一方雷門のフォワード2人も木戸川清修の巧みなディフェンスに攻めきれずにいた
「ちっ! なかなか手強いじゃねーか」
「いや、これはチャンスかもしれないぞ」
「豪炎寺どういうことだ?」
「既に鬼道が動いている」
鬼道先輩は円堂先輩、土門先輩、一ノ瀬先輩を集めてトライペガサスを発動させるように言っていた
ノーマークの3人は今の膠着した現状を打開するのにうってつけである
「やってやろうぜ!」
「「おう!」」
スローインから試合が再開する
『あぁっと円堂飛び出している! ディフェンダーの土門も上がっているぞ』
「まずい! トライペガサスだ!! 俺が必ず止めてやる」
初撃は西垣のスピニングカットがギリギリ間に合い防がれてしまうが、攻撃のリズムを変えることができた
これで円堂が上がれば別のシュートが飛んで来ると意識させることができた
防がれたということは反撃が来るが、私と分身が三兄弟のマークに付いていることによりハス太と壁山がフリーとなり
「「大黒壁」」
このピンチをしっかり防ぎきった
ボールは鬼道先輩に渡り、鬼道先輩は一ノ瀬先輩を近くに寄せる
「一ノ瀬やるぞ」
「任せて鬼道!」
鬼道先輩はボールを蹴りあげ、それを一ノ瀬先輩がヘディングで落とす
落としたボールを鬼道先輩がシュートを放つ
「「ツインブースト」」
「そこからもシュートが放てるのかよ!」
「軟山止めろ!!」
「タフネスブロッぐわ!!」
『ゴール! 雷門先取点!! これが雷門サッカーの怖いところ。どこからでもシュートが飛んで来るぞ』
前半はここで終了
後半が始まると同時に円堂先輩が上がる
「またトライペガサスが来るぞ!! 西垣!」
「任せろ」
鬼道先輩は木戸川清修の動きにほくそ笑み、染岡先輩にパスを出した
「いくぜドラゴン」
「トルネード改!!」
「タフネスぐわ!!」
『ゴール2点目!! トライペガサスと見せかけて染岡選手と豪炎寺選手のマークを緩めた結果の頭脳プレイ! 天才ゲームメーカー鬼道有人ここにあり』
「ナイス鬼道、染岡、豪炎寺!」
「円堂、土門、一ノ瀬ナイスアシスト!」
雷門完全にイケイケムードになり、木戸川清修は焦りが多くなる
私は今日の試合は三兄弟を完全にマークすることに留め、得点は他の人に任せた
「くそ! こんなところで終われますか!!」
「友! 危ない!!」
『ああっとボールを強引に取ろうとした武方友選手がマークしていた大選手と接触です……どうした友選手立ち上がることができません。足でも痛めたか』
「「友」兄!!」
「くそ! 足が動かねぇ……アイツは! 大震撼は」
「……ピンピンしてやがる……みたいな」
「まずいっしょ! 友兄が居ないとトライアングルZがうてないっしょ!」
「やられた!!」
武方三兄弟の次男が私と接触した時に足を痛めたらしい
私も倒れたが、受け身をしっかり取ったことで無傷
これでトライアングルZは放つことができなくなった
円堂先輩にゴールは任せていてもこれなら大丈夫
私の気持ちを他所に円堂先輩は攻撃に参加し続け、トライペガサスをザ・フェニックスに進化させ、トドメをさす3点目を叩き込んだ
試合はそれで決まり、武方三兄弟は本来の力を出すこと無く負けてしまった
「{[リアルインパクトTC]}」
『ペンギン・ザ・ハンド』
「やってますねー」
「遂に決勝だからな。震撼の奴滅茶苦茶気合い入ってるでござるな」
異空間にての練習で私は黒色ビームの練習を繰り返していた
あれは空間が耐えきれなかったことによる反動を利用した技ということはわかっているのだが、それを再現するのが滅茶苦茶難しい
今までみたいに衝撃の方向を決めて放てば良い技じゃないからだ
ニャルの特訓により約3週間でかなりレベルアップしている
下鶴さんはライフルを遂に習得し、藤丸さんはスーパースキャンの進化技、ハイパースキャンという技を会得、
風魔さんと初鳥さんは零戦を物にした
ニャルの特訓レベルもなんとか2をクリアーし、3レベルに挑戦中である
「源田さん、世宇子のシュートと私のシュートどちらが怖いですか?」
禁断とも言える質問を世宇子の戦いをベンチで見ていた彼に聞くと
「五分……いや、震撼の方が強いと思うが……」
と返答してくれた
世宇子の試合は一方的過ぎてデータが無いに等しい
誰もまだ技を使用していないし、キーパーにシュートが1本も行っていない
行く前にミッドフィルダーによって止められるか叩き潰されてしまっているからだ
私はハス太の方を見る
私は世宇子の猛攻を耐えられるかもしれないが、ハス太は無理かもしれない
ハス太の小柄な体格が残念ながら仇となっている
……例え改造人間でも覚醒しなかった失敗作がハス太だ
なのでニャルに相談することにした
「ハス太に改造人間であることを理解させて能力を引き出させるですって?」
「はい、今のままでは世宇子にハス太は叩き潰される可能性が高いです。潜在能力を覚醒させなければ危険だと判断いたしました」
「震撼、それは危険よ。ハス太が自由に動けているのは覚醒していないからよ。覚醒したらミ=ゴの協力者であるハス太の両親……育て親が黙ってないわ」
「しかし、このままではハス太が世宇子の力に壊されてしまう可能性が高いのですよ」
「……そこまで言うのならミ=ゴ……改造人間にした張本人であるカロンXを説得しなさい。私は彼との接触させる手助けだけはしてあげるから……それにミ=ゴの力でハス太は欠陥品の烙印を押されているからそんな簡単には潜在能力の覚醒だなんて無理よ」
「いいえできると私は確信しています。私をカロンXに会わせてください。ハス太を覚醒させても自由を保証させてみせます」
ニャルは携帯を取り出し、電話をかけた
ニャルは一言も話さないが、何度か頷き、そして私に携帯を投げ渡してきた
『やあ大震撼君。君の事は映像で拝見しているよ。中々人間にしては興味をそそる人物だからね。ニャルから聞いたのかい? 私達ミ=ゴの事を』
携帯から脳内に直接話し声が聞こえた
電話の相手はミ=ゴ……カロンXだろう
「昔話をしよう。あれはまだ3つの種族が地球を分けあっていた話だ……ここの管轄はクトゥルフの一族のハズではなかったのかい? 我々はそう記憶しているが? ミ=ゴ」
『なに?』
「いやぁ失敬、私は人間ではないことがつい最近知ってね。勿論神だとかそういう存在でもない……イスと言えばわかるだろ」
『……!? まて! イスは滅んだハズでは!!』
「滅んでなど居ない。我々種族は生存を第一とする者。私は同胞にこの前助け出されて真実を知った……イスは滅んでいないという情報……貴方は幾らの値を付けますか?」
『……旧稲妻駅の3番線ホームに今日21時に来れるか。そこで話がしたい』
「わかりました。ではまた後で」
私はニャルに電話を投げ渡すとニャルは通話終了ボタンを押した
「……人間じゃなかったの?」
「肉体は人間ですが、精神は違うのです……まぁ肉体も一部サイボーグですがね」
私はモノクルを外して瞳をよく見るように言うとニャルは顔に手を触れながら瞳の奥を見る
「皮膚が冷たい……瞳の奥に歯車が見えたわ」
「まぁこれは事故の手術でこうなったので仕方がありません。ニャルはイス人という生物を知っていますか?」
「いえ、初めて聞いたわ」
「イースの大いなる種族……精神生命体の種族で生命の肉体に乗り移る事ができ、私は乗り移る時に事故で人間の精神とイス人の精神が混ざりあった存在らしいのですよ」
「つまり……人間ではないと?」
「いえ、先ほども言いましたが肉体は人間ですよ。精神が人間よりも上位なだけです。もっとも私もついこの前まで知りませんでしたがね」
その後もニャルにイス人についてある程度教え、私は旧稲妻駅に向かうと言った
ニャルもついていくとのことでニャルと2人で旧稲妻駅に向かった