大震撼は強さを求めたい   作:ゆっくり霊沙

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この話から少しオリジナル要素が増えていきます


ハス太は震撼を観察したい

 震撼がサッカー部への勧誘活動をしている姿を円堂先輩は感激し、手伝ってくれるようになった

 

 円堂先輩や染岡先輩には開かずの扉の先にイナビカリ修練場というサッカーの特訓ができる場所があり、使うには部員11人が必要だと伝えた

 

 染岡先輩は勧誘は苦手だと言い、私と円堂先輩が勧誘している間は先に河川敷で特訓してると言っていた

 

 勧誘活動を始めて数日、ここのところ私の事を追跡する何者かが居ることに気がついた

 

 なんか私の事を眺めてるな~程度なのだが、少し気になる

 

 視線の主を捕まえてみることにした

 

 

 

 

 

 

 

 

 ロードワークがてら軽いトレーニングを開始したが、まだ視線を感じる

 

 あれからトイレと授業中以外は視線を感じるのだが、上手く捕まえることができない

 

 ただ敵意のある視線ではなく興味関心の方の視線な感じがする

 

 そこで商店街の裏路地に入ってみることにした

 

 ……やはり視線を感じる

 

「近くに居ることは分かっています。出てきたらどうですか?」

 

 ヒューっと風が吹く

 

「やはり感じていたかボクの事を」

 

 突風が吹き終わると金髪に青い瞳を持つ少女のような少年が立っていた

 

 雷門の制服を着ているということは私と同じか先輩なのだろう

 

「いやー、ボクと同じ年なのにここまで鍛えてる人が居るだなんて思わなくてね……少し興味を持ったんだ」

 

「……私の名前は大震撼。あなたの名前は何でしょうかストーカーさん」

 

「ストーカーとは酷いね……黄衣ハス太……ハス太でもハスターでも良いよ震撼君!」

 

「では、ハス太、興味を持ったついでにサッカーをしませんか! サッカー部の部員を集めているのです」

 

 ハス太は可愛く首をコテンと傾け

 

「うーん、そうだね……ボクと勝負をしようか。君からボールを奪えればボクの勝ち、ボクから3分ボールを死守すれば君の勝ち。簡単だろ」

 

 という条件を出してきた

 

「良いでしょう……では空き地に移動しましょう」

 

「はいはーいっと」

 

 

 

 

 

「サッカーボールではなく鉄球でもよいでしょうか? 今手元にサッカーボールが無くて」

 

「うーん、ボクの体じゃ鉄球は流石にキツいかな。ボクが持ってるからそれを使おう」

 

 ハス太はバックからサッカーボールを取り出した

 

 鉄球をハス太のバックの横に置き、軽くアップをする

 

「へぇー、やっぱり震撼はボクが見てきた中学生の中で一番サッカーが上手いと思うよ」

 

「ありがとうございます」

 

「いやいや、お世辞抜きによ……さて、ボクもアップしようかな」

 

 ぐにょぐにょと柔軟を開始するハス太

 

 軟体生物かと思える様な可動域

 

 恐らくハス太はもって生まれた柔軟性の持ち主なのだろう

 

 女性と見間違う様なルックスから新体操やスケートなんかをやっていたら相当モテルのではないかと私は解析する

 

「本当に男なのですか? 男物の服を着ている女性なのではないのですか?」

 

「失礼な、ちゃんと息子が付いてるよ。触ってみる?」

 

「いえ、遠慮いたします」

 

「ざーんねん。震撼になら触っても問題ないんだけどな」

 

 ハス太……ホモの疑惑が浮上し、少し距離を取る

 

「冗談だよ冗談! ハス太ジョークさ!」

 

 状態に全く聞こえない

 

 彼の目は本気だったぞ

 

「さて、じゃあ始めよっか」

 

 ハス太は腕時計のタイマーを始動させ、3分後にアラームが鳴るようにしていた

 

 私もそれを確認し、ミニゲームを始める

 

 まずハス太が普通にボールを取ろうとしてくるが、私は足に磁石が付いているかのような華麗なボールさばきで回避する

 

「やるねー……じゃあこれはどうかな」

 

 ハス太の体から触手が現れる

 

「這いよる触手」

 

 必殺技を使ってきた

 

 体から無数の触手がボールを取ろうと纏わりついてくるが、それを足の風圧で弾き飛ばす

 

「なんと!?」

 

 時間は1分が経過した

 

 まだ私の足にボールがある

 

 触手がまだ私のボールを奪おうとしてくるが、既に動きを見切り始めており、軽々と避け続ける

 

 時間だけが過ぎていき、奪えないことを悟ったのかハス太は触手を引っ込めた

 

「よーし、それじゃあとっておきだ」

 

「強制SANチェック1D100!」

 

 ハス太の顔がこの世の者ではないような化物に変わった様に見えた

 

 脳が生命の危機と警鈴を鳴らす

 

 [とられるぞ! 体借りるぞ! ]

 

 私の意識が飛びそうになり、動けない瞬間にハス太が強襲してきたが、皇帝が体の主導権を一時的に握ることでそれを回避した

 

(あの技は危険です。分身をしていたら全員持ってかれます)

 

 {上手く入れ替わりながら戦うしかないな! }

 

「……へぇー! まさか動けるとはね! 気に入ったよ! やっぱり君は見ていて飽きない! この勝負ボクの負けだ。良いよサッカー部に入ってあげるよ……改めて雷門中学1年生の黄衣ハス太! よろしくね大震撼!」

 

「……ふぅー、よろしくお願いしますハス太」

 

 その後ハス太に必殺技を聞いたところ、小学校の頃趣味程度だが、サッカーをやっていたらしく、そこで必殺技を自力で生み出したらしい

 

 私の事は趣味の人間観察をしていたところ、異常に発達した下半身を見て興味を持ち、ストーキングして情報を集めたらしい

 

 はっきり言って気持ち悪い

 

「まぁまぁ、自分で言うのもなんだけど、ボクそこそこ強いと思うから戦力にはなると思うよ。勿論鍛えてくれるでしょ」

 

「えぇ、まぁ」

 

「あ、鉄球をいきなり蹴らそうとするのはやめてくれよ。足を痛めるからね」

 

 私はさっそく鉄球でサッカーをやろうとしていた為、若干しょんぼりする

 

「はは、まぁ慣れたらやってあげるから、まずはあの磁石みたいなボールさばきを教えてよ」

 

 私は一から説明を始めるのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おお! 震撼よくやった! さっそく新入部員ゲットだな!」

 

「よろしくお願いします円堂キャプテン」

 

「おう! よろしくなハス太! 守りたい場所はあるか?」

 

「それでは震撼と同じディフェンスを希望します。ミッドフィルダーでも構いませんが」

 

「よし、じゃあとりあえずはディフェンスに着こうか。俺と染岡は河川敷に居るから混じって練習したかったら声かけてくれ」

 

「はい! でもとりあえず震撼と手取り足取りサッカーを習いたいので震撼と行動を共にしてよろしいでしょうか」

 

「そ、そうか……じゃあ震撼、ハス太の事頼んだぞ」

 

「了解しました。円堂先輩」

 

 私が円堂先輩と話終えて直ぐに半田先輩が円堂先輩に話しかける

 

「円堂、冬海卓先生が校長室に来るように呼んでたぞ」

 

「冬海卓先生が?」

 

「もしかしたら廃部の事かもしれねぇぞ」

 

「廃部!!」

 

「私もそんな話噂で聞いたわ」

 

「え! 木野もか!? と、とにかく校長室に行ってくる!」

 

 円堂先輩はドタバタと校舎の方に走っていった

 

「……入部して直ぐに廃部はボク、疫病神みたいになりません?」

 

「A.流石に無いと思います」

 

「そこは断言してほしかったなぁ……とにかくボクらはサッカーするだけです。半田先輩もいかがですか?」

 

「俺はいいや。他の一年見とかないといけないからな」

 

「サボり魔」

 

「震撼何か言ったか?」

 

「いえ、何でもございません」

 

 ハス太を連れて河川敷へと移動した

 

 

 

 

 

 

 

 今日は染岡先輩も河川敷に居らず、橋の下はハス太と私で占有することとなった

 

 で、ハス太にサッカーを指導し始めて分かったのが、ハス太は飲み込みが早く、ディフェンスがめちゃくちゃ上手い事が分かった

 

 ミニゲームでも片鱗は見せていたが、少し指導しただけで、例えば這いよる触手だったら、触手の本数が増え、太くなった

 

「震撼教えるの上手いですね! ボク、みるみる上達できますよ!」

 

「A.ハス太の飲み込みが良い。普通こんなに上手くならない」

 

「あ、でも鉄球はまだ早いかなって……あからさまにがっかりするね」

 

 バックから鉄球を取り出そうとしたら止められた

 

 今日はハス太用に2個持ってきたのに……

 

「というか腰の砂袋多くない? ボクとミニゲームした時もぶら下げてたけどこれ1つどれぐらい重いの?」

 

「A.1つ10kgになります。合計100kgとなります」

 

「ひゃ、百!? え? 体重ちなみに何キロあるんだっけ?」

 

「70キロになりましたね」

 

「165くらいだよね身長」

 

「はい」

 

「ちょ、ちょっと脱いでくれない」

 

「……」

 

「変な目で見ないから!」

 

 私はユニホームを脱ぐ

 

「……えっぐ」

 

 ハス太は絶句してしまった

 

 腹筋は16個に割れ、背中は鬼の顔のように筋肉でできていた

 

 肩から胸にかけてもパンパンに膨らんだ筋肉がピクピクと動いている

 

 そこらの女性よりも筋肉の盛り上りで胸が出ていた

 

 足に至ってはハス太の腕が5本分束にしても勝る太もも、それに負けないくらい太いふくらはぎと自分でもなかなか鍛えていると思うが……

 

「本当に人?」

 

「それは失礼というのではないでしょうか?」

 

「皆に見せた?」

 

「いえ、いつも私が一番に着替えるのでハス太がサッカー部では最初かと」

 

「最初……最初か……ぐへへ」

 

「気持ち悪いですよハス太」

 

「おっと失礼この筋肉なら納得だよ鉄球蹴ってもびくともしないの……ちなみに足のサイズは?」

 

「28.5ですね」

 

「でかいね。まぁその体を支えるにはそれぐらい必要か……」

 

 私はユニホームを着る

 

「うん、ユニホームを着ても盛り上がりが分かるのはやっぱり異常だわ」

 

「そうでしょうか?」

 

 そんなことを話していると染岡先輩が走ってやって来た

 

「おい! 震撼、ハス太! 大変な事になった一旦部室に来い!」

 

「なんでしょう?」

 

「やっぱり廃部?」

 

「いいから来い!」

 

 

 

 

 

 

 

 部室に行くと円堂先輩は顔を真っ赤にしており、他の人は青ざめていた

 

 この様子だけ見ると円堂先輩がガチギレしたのかと思ったが、どうやら違うらしい

 

「おお! 震撼とハス太も来たか! 練習試合が決まった! 相手は帝国学園だ! 負けたり不戦敗だったらサッカー部を廃部にするって偉そうに言ってきたから啖呵切ってきた」

 

 詳しく話を聞くと円堂先輩は校長室に呼ばれたら、生徒会長兼、理事長代理の雷門夏未先輩と校長、顧問の冬海先生が居て、帝国学園との練習試合を申し込まれた事を告げられ、雷門(雷門中学とごっちゃになるので以後夏未先輩)夏未先輩から負けたり人数が足りなくて試合にならなかった場合サッカー部を廃部にすると言われたらしい

 

 それに円堂先輩は怒って啖呵切ってきたらしい

 

 で、皆青ざめているのは40年間無敗の帝国学園と試合したら実力差でコテンパンにされるのが落ちだと思い沈んでいたらしい

 

 練習を続けてきていた染岡先輩も流石に無理だろと突っ込むぐらいヤバい中学である

 

 ヤバい中学であるのだが

 

「……ん? どうしたでやんすか? 震撼。震撼もキャプテンに言ってくれでやんす無理だって」

 

「そうだよ震撼! 俺達ボロボロにされるのが落ちだって」

 

「震撼もふるえてるっすか?」

 

「私は帝国学園に勝つ為に今まで特訓して参りました……奴らを叩き潰す!!」

 

「「「えぇ!!」」」

 

「無理でやんすよいくら震撼が上手くても相手は帝国学園でやんすよ!」

 

「そうっすよ!」

 

「「そうだそうだ」」

 

「栗松、壁山、少林、宍戸……戦ってみなければ分かりませんよ」

 

「そうだぞ皆! サッカーを愛する気持ちが有れば不可能だって可能になる!! とにかく残り2人集めるぞ!」

 

「円堂先輩、部員集め手伝います」

 

「震撼がやるんならボクも手伝います」

 

「そうか! 助かるよ! よーし部員集め頑張るぞ!!」

 

「「おー!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 円堂先輩は放課後鉄塔広場にて特訓するぞと言い、解散となった

 

 私とハス太は部員集めのために相談する

 

「何か案はありますか? ハス太。なければ看板持って走り回りますが」

 

「そうだね……こういう時はあの人に頼ろう」

 

「あの人?」

 

「たぶん今なら本読んでると思うよ。図書室に行こう」

 

 そう言われてハス太に着いていく

 

 図書室に行くと色んな生徒が本を読んだり勉強したりしている

 

 ユニホーム姿の私達はしばしば場違いのように感じた

 

「ほら、そこに居る人」

 

 ハス太は指差すと綺麗な女子生徒が座っていた

 

 綺麗……いや、綺麗すぎる

 

 白髪の眼鏡をかけた女子生徒は静かに本を読んでいるが、その姿を写真や絵にしたら美女の絵(写真)として飾れるぐらい整った顔をしている

 

 ハス太はそんな美女に何の躊躇いもなく話しかけた

 

「ニャル、知恵を貸してほしいんだけど」

 

「はい、何でしょうか?」

 

 本を読む手を止め、ハス太に向かって振り向く

 

「ここでお喋りするのは不味いので廊下に行きましょう。横に居るあなたもそれで良いですね」

 

「……はい」

 

 完全に見とれていた

 

 小声でハス太に聞く

 

「ハス太、彼女は?」

 

二夜瑠璃(にや るり)さん、同じ小学校の同級生で滅茶苦茶頭良いんだ。彼女なら良いアイデアが浮かぶかもと思ってね」

 

「なるほど」

 

 廊下に出るとハス太が話し始める

 

「ニャル~、実はボクサッカー部に入ったんだけど入部そうそう廃部の危機なんだよね。それを回避するので部員集めをしているんだけどあてとかない?」

 

「……少し考えさせて」

 

 ハス太の無茶振りにニャルはメモ帳を取り出しページをペラペラめくる

 

「影野仁……2年C組の生徒。話しかければ承諾してくださると思うわよ」

 

「ありがとうニャル!」

 

「……そこのあなた。名前は?」

 

 私の方を向いてニャルと呼ばれている少女が名前を聞いてきた

 

「大震撼」

 

「……なるほど、英雄ねぇ……では良き夢を」

 

「意味が分かりません」

 

「いつか分かる日が来るかもね」

 

 

 

 

 

 

 

 その後凄まじく存在感が薄い影野先輩を見つけ、サッカー部を助けてほしいと懇願すると入ってくれることとなった

 

 今日は用事があるからと明日から参加するよと言われ、影野先輩と別れた

 

「ニャルちゃんの言った通りでした」

 

「でしょー、ニャルは人を見抜く力も凄くて、今回みたいな人探しなんかは喜んで協力してくれるんだ! ……ふーん、震撼良かったね。ニャルに気に入られたようだよ」

 

「なぜ分かるのですか?」

 

「ニャルは良き夢をと言ったからね……まぁ寝れば何か分かるかもしれないね」

 

「そうですか。楽しみにしています」

 

 その後鉄塔広場に行くと円堂先輩が特訓をしており、それを風丸先輩が助けに入るところで合流した

 

「円堂、お前のその気合い乗った」

 

「ありがとう風丸!」

 

 風丸先輩が助っ人としてサッカー部に入ってくれることとなり影野先輩と合わせてこれで11人が揃った

 

 円堂先輩の特訓を見ていた他のやる気の無かったメンバーも円堂先輩の特訓を見ていた事でやる気になり、夜遅くまで特訓を開始するのだった




黄衣ハス太


強制SAN値チェック ブロック
這いよる触手 ブロック

容姿 ハス太


二夜瑠璃

容姿 眼鏡ニャル子

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