鉄塔広場での特訓は私にとってはぬるかったので、鉄球を使ってリフティングを続ける
「ふー、ん、震撼その鉄の玉軽いでやんすか? いつも蹴ってるでやんすが」
「……触ってみればわかるのでは?」
「そんじゃ失礼でやんす……重い! 重いでやんす! 何でやんすかこれ! 持ち上がらないでやんすよ!」
「なんだなんだ?」
「どうした栗松?」
「宍戸、少林! 震撼の鉄球触ってみるでやんす」
「鉄球? あのいつも震撼が軽そうに蹴ってるあれ? 見た目だけで実は軽いんじゃないかって言ってたやつ?」
「そうそれでやんす!」
栗松がゴロゴロと手で転がす
地面は転がった跡で沈み込んでいる
「おっも! なんだこれ! ヤバ!」
「持ち上がらないよこれ!」
「A.約70kgになると思われます」
「「「70!?」」」
私は鉄球を蹴り上げ手で掴む
「な、何で怪我しないでやんすか!」
「A.鍛えてるから」
「いやいや答えになってないって」
「? 私はできましたよ。鍛えればあなた達でもできると思われます」
彼らは首をブンブンと振って無理だと否定した
無理でも何でもない
無理なら私でもできないハズだ
私はできている
つまりできると言うことだ
恐らく彼ら……いや、助っ人やハス太、染岡先輩も含めて帝国学園と戦える可能性が有るのは円堂先輩くらいだろう
円堂先輩のゴッドハンド……あれなら帝国学園のシュートを止めることが可能だろう
[私自身がいかに点を取り、ゴールを守るかが鍵になるだろう]
{分身初披露は盛大にな}
(わかっています。帝国に勝つために協力お願いします)
[{おう! }]
鉄塔広場での特訓の後皆と別れた後に更に練習し、くたくたになりながらベッドに飛び込み、そのまま眠ってしまった
気がつくと白い部屋に私は居た
いや、私だけでない
私の他にも人が居るようだ
1人は茶髪、もう1人は茶髪と黒髪が混ざった様な髪をしていた
どうやら彼らも起きた様だ
(声が出ない)
声が出ない
口を開こうとしても口をパクパクするだけで声が出てこない
{いや、聞こえている……本体……いや、英雄}
[不思議な夢だ。我々3人が互いに見える夢とはな]
(……いや、夢なのか? 床の感触がある。妙にリアルと思われます)
{ふふーん、1つは夢、もう1つは何か超常現象的なのに巻き込まれたかかな? ただの人格のハズの僕達が互いに分裂しているのも気になる}
(……奥に何かありますよ……何でしょうかあれは)
[机に……3つの椅子と砂時計か? ]
{机の上に手紙が有るようだ……よむぞ}
【ようこそ××の部屋へ。気に入った人間を連れてくるのが私の趣味でね。私と勝負をしよう。ここから何らかの方法で時間内に出られたのならば帝国学園戦で役に立つ秘伝書を与えよう。失敗したら君はその程度の人間だと言うことだね。せいぜい私を楽しませてくれ】
と書かれていた
読み終えるとふっと扉が4つ現れた
(私達の意志疎通は離れていても可能なのと思案します。別々の部屋を探索すべきと提案致します)
{制限時間はこの砂時計か? }
[なるほど謎解きか。楽しそうじゃないか。まずは扉を調べるか]
扉には東西南北と書かれており、材質は全て木製で、簡単に開けることができそうだ
(……この部屋の光源は何なんでしょう。明るいですが)
{夢だし、そこら辺はわからなくても仕方ないんじゃない? }
[とりあえず北から行ってみるか]
{じゃあ僕は南に行くよ}
(では東に向かいます)
私は別人格と別れて東の部屋に向かう
扉を開けるとクローバーがいっぱい咲いている部屋で、4本の木があった
なっているのは果物の様でブドウ、リンゴ、オレンジ、さくらんぼが実っている
{こちら覇王、キッチンがあった。厚底のフライパンと調味料が数種類さしすせそ全部有るぞ}
[こちら皇帝、北は書斎の様だ色々な種類の本が置いてある……テーブルにメモ書きが有るな]
【狂気を包んで召し上がれ。希望を添えればなおよし】
(狂気を包む?)
{なんだろう。それだけではわからないな}
[たぶん何かを食べろってことではないか? 覇王、皿はあるか? ]
{3枚有るな。たぶん人数分に合わせてるんだと思う}
[俺はそのままこの部屋を調べるから、どっちか西の部屋に行ってくれないか]
(私が行く)
{了解、頼んだ}
私は部屋を出るときたまたま四つ葉のクローバーを見つけたのでそれを拾って部屋を出た
西の部屋に移動するとハス太の技を受けた時のような硬直と体からけたたましい警報がなり続けているかのような嫌な感じがした
それでも扉を開けると中には蛇が居た羽の生えた大きな蛇だ
それはじっとこちらを見ている
それは部屋の奥に有る何かを守るように
部屋の奥へ進もうとすると蛇が道を遮るように前に出てくる
戦う意思は無いようだが、奥に進めばわからない
私は一度部屋を出ることにした
砂時計を確認するとまだまだ時間には余裕が有るようだ
(どうしたものか)
[どうした本体? ]
(蛇のような怪物が居ました。幸い敵意はありませんでしたが、部屋の奥を守っているかのようでした)
[怪物か]
{こちら覇王、調理棚の裏にメモを見つけたから読み上げるね}
【砂糖200g フルーツ各々 水50cc
・ヘタを取り、フルーツを良く洗う
・フルーツを潰れないように優しく串で刺す
・フライパンに水で砂糖を溶かす
・熱して弱火で10分煮詰め、煮詰まったら果物を煮詰まった砂糖に転がそう
・お皿に置いて冷蔵庫で冷やしたら出来上がり】
と書いてあったらしい
(フルーツなら東の扉の奥に4種類ありました)
{包むって飴にして包むことじゃないか? ただ狂気ってのがわからないけど}
[あ、こっちも机の裏を調べたらメモ書きがある]
【北は書斎、南は台所、東は鍵が、西には答えと門番が。門番には生の知恵を与えよう】
{知恵……これまた変なワードが出てきたな}
[狂気に知恵か……花言葉か? 果物の別の意味とか]
(そういう本はありそうですか?)
[ちょっと待ってね……あ、あった。ん? ]
[どうしました? ]
[一旦皆集合……判断に困るの出てきた]
皇帝に集まるように言われたので北の扉を開け、中に入ると1冊のノートを渡された
【大震撼必殺ノートバージョン1】
[中読んでみなよ]
中を読むとそこには私が開発したライフル、トーチカ、リトルインパクト、浸透の秘伝書となっていた
それは私の字であったが、私はそんなノートを書いたことがない
背筋が凍るような感覚に陥った
が、なんとか踏みとどまるとこれについて議論を開始する
[バージョン1が有るってことはバージョン2が有るってことはだと思う]
{僕もそう思うね。本体大丈夫かい、顔色が悪いが}
(正常、問題なし)
[まぁ本棚の中には別バージョンは無かった。あとこれだ]
【果物の意味の本】
[たぶんこれに書いてあるのが答えだと思う]
その本には付箋が貼っており、付箋のページを開くとリンゴ、オレンジ、ブドウ、さくらんぼの順番となっており、リンゴは知恵、オレンジは純粋、ブドウは狂気、さくらんぼは分裂と書かれていた
(思考中……ブドウ飴を作り、それを食べれば良いのではないでしょうか)
[たぶん本体の言ったそれで正解だと思う。が、西の答えと門番も気になる……知恵のリンゴを与えてみるか]
{生でってことはもぎたてを与えた方が良いと思うな}
(では私がリンゴを蛇に与える役割をするので、2人はブドウ飴を3つ作っていてください)
[{了解}]
西の扉を開くと門番と書いてあった蛇が再びこちらを見ている
私は蛇に近づきリンゴを地面に置くと蛇はリンゴを丸のみにした
「ありがとう知恵を与えてくれて」
大きな蛇は女性のような声で喋り始めた
「知恵を与えてくれた勇気ある者はこの奥に通る権利がある。通るかい?」
(通ります)
「では通ると良い」
蛇は部屋のすみに移動し、通れるようになった
部屋の奥には光るチケットがテーブルに置かれており、それは体に吸い込まれ、力が溢れるような感覚がした
テーブルの裏を一応確認するとメモ書きがやはり貼っており
【希望は四つ葉のクローバー】
と書いてあった
私は蛇に会釈をしてから出ようとして気がつく
(質問よろしいでしょうか)
「なんだい? 大震撼」
(これは夢ですか? 現実ですか?)
「夢とも言えるし、現実とも言えるよここで死ねば現実でも死ぬ。ここで得た物は現実にも反映されるよ」
(なるほど……不思議空間ですね)
「まぁね。他に何かあるかい?」
「希望は添えてと書かれていましたが、希望も一緒に食べればよろしいのですか?」
「そうだね。希望を分けて食べることをお勧めするよ」
(希望を分けて……1つ有れば良いのですか?)
「さぁどうでしょうただ、1つも何個でもあなたなら変わらないと思いますがね」
(ありがとうございました)
私はポケットから四つ葉のクローバーを取り出す
(1つでも幾つでも変わらない……人数分用意した方が良いと判断)
私は東の部屋に戻り、クローバーを探したところ、直ぐに3つ集まった
(あ、4つ目見つけた……一応持っていきますか)
私は4つ四つ葉のクローバーを持って台所のある南の部屋に移動した
移動すると皇帝と覇王がブドウ飴を作り終えたところだったらしく、これから冷やすらしい
中央の部屋に戻り砂時計を確認するとまだ時間は余っている
(四つ葉のクローバーも一緒に食べることで良いことが起こるらしい事がわかりました。一緒に食べようと思います)
[{了解}]
{そういえば門番の奥には何が有ったのかい? }
(光るチケットが有ったのですが、体に吸い込まれてしまいました)
[光るチケットか……]
10分間せっかくなので雑談をする
帝国学園との練習試合をどのように戦うか話しているとブドウ飴は冷えて固まった
(結構個数ありますね)
[足りなくても嫌だから少し多めに作ってみたよ]
(せっかくですので蛇にもあげませんか? クローバーも4つありますし)
{良いんじゃないか? }
[別に困ることも無いからね]
私達は飴を持って蛇のいる西の部屋に行き、クローバーを添えて、蛇の目の前に置いた
「おや、私の分も作ってくれたのかい! ありがとう」
(ではいただきます)
パクっと全員でクローバーごと食べると不思議な味がした
ブドウの味でもクローバーの味でも砂糖の甘さでもない
ただ、体から希望に満ち溢れ、意識が冴えていくように感じた
【おめでとう。やはり私の目に狂いは無かった。さてそれじゃあご褒美をあげよう】
脳内に直接声が響いたかと思うと、私の目の前にノートが現れた
開いてみると頭に読んだ字や絵が刷り込まれていく
技名は皇帝ペンギン1号と分身ペンギンと言う技らしい
ノートを読み終わると意識が途絶え、気がつけばベッドの上だった
再び声が聞こえてきた
【蛇を助けたご褒美にHPとMPを2ずつ、INTを5あげよう。また遊ぼう】
時間を見るとまだ夜の23時
飛び起きて、頭に刷り込まれた2つの技と私の必殺ノートバージョン1と書かれていたライフル等の技をノートに模写する
約30分で書き終わると誰でも読めば理解できるのではないかと思うくらい分かりやすくいが、どれも必要な基礎筋力が馬鹿高い事がわかった
私以外でこの技を使えば体にダメージが入ることが分かる
いわば禁断の技だ
分身ペンギンも皇帝ペンギン1号も、そしてライフル等も他の人には教えられない
ただ今回の件でこの世には不思議な事が有ることがわかった
ドラゴンを出したり、巨大な手を作ったりと超次元な技とはまた別の……精神力を削るような何かが有ることがわかった
翌日も円堂先輩が中心となり、特訓を鉄塔広場で行っていた
私は円堂先輩に頼んで皇帝ペンギン1号を受けてもらった
口笛を吹くとペンギンが地面から現れ、私の足に噛みつき、そのままミサイルの様に飛ぶその姿は可愛く思うが、威力は強力だった
何よりこの技は拡張性が高い
円堂先輩はゴッドハンドを出したが、それを砕き、ゴールに見立てた坂に激突してようやく止まった
この皇帝ペンギン1号だが今の段階でライフルV3と互角くらいある
これは鍛えがいがあるぞと思い、特訓に力が入る
サッカーボールを今度は鉄球に変えて皇帝ペンギン1号の練習を始め、それを見ていた風丸先輩と影野先輩はドン引きするのだった
1週間というのはあっという間で、帝国学園との練習試合の日になった
いつもはグランドを貸してくれないラグビー部も今日は学校側からの要望もありグランドを貸してくれた
自分達のホームグランドなのに使うのが初めてという弱小故の悲しさを感じなからもアップと柔軟を始める
軟体動物みたいにぐにゅぐにゃすると壁山が怖がってしまったり、皆その姿にドン引きしていたが、何で柔軟ごときでドン引きされなければならないと心底不思議に思う
そして天候が曇りに変わった頃に帝国学園サッカー部がデカイ装甲バスに乗ってやって来た
扉が開くとユニホームを着た生徒達が飛び出してレッドカーペットを敷くと左右に整列した
遅れて帝国学園サッカー部の1軍選手達が現れる
「ちょ、震撼笑ってるの?」
ハス太も帝国学園サッカー部の主力のオーラに圧倒されていたが、私の顔を見て更に驚く
「帝国の無敗伝説は6年前に終わるハズだったんだ」
笑いながら私は帝国学園の選手を見ていた
私はロープの結びをほどく
ドンドンドンドンと地面に袋が落ちる
「ミッションスタート」
雷門の選手は当日に参加を表明したマックスとメガネを加えた13名となり、メガネは
「ここ一番で出してください」
と言ってベンチスタート
ハス太も体力的に前半からの出場は持たないと円堂先輩に進言してハス太もベンチでスタートすることになった
私は4番のユニホームを着て出場する
円堂先輩が帝国学園のキャプテンに挨拶する
「雷門中サッカー部キャプテン円堂守です。練習試合の申し込みありがとうございます」
「初めてのグランドなんでね……ウォーミングアップしても良いかな」
「あ、どうぞ」
帝国学園の選手達がウォーミングアップを開始する
「なんだ?」
「消えた!!」
「おいおいなんだよあの動き」
「あんなのと試合するのかよ」
そうしていると円堂先輩に向かって帝国のキャプテンがシュートを蹴り込んだ
「「「キャプテン」」」
「「円堂!」」
ジューっと焦げる音と、共にシュートを止めた円堂先輩
「大丈夫だ。震撼のシュートの方が何倍も強い」
「ほー、言うじゃないか」
帝国のキャプテンがやって来てニヤリと笑う
「面白くなってきたぜ! 皆! 1週間の特訓の成果をコイツらにみせてやろうぜ!」
「「「ええー!!」」」
何人かが情けない声をあげる
「あの、キャプテン」
「どうした壁山」
「ちょっとトイレ行ってくるっす」
「まてよ壁山」
「震撼?」
「まさか敵前逃亡などしないよなぁ」
「震撼顔怖いっすよ」
バチンと腹を叩く
「うぐ! な、なにするっすか!」
「ここで逃げればお前は二度と学校に来れなくしてやる。私と帝国……どちらが怖いか? 顔面が腫れて誰かわからなくしてもいいんだが?」
「ひ、ひぇーや、やるっすよだからぶたないでー」
「震撼なに壁山を脅してるんだ! 壁山トイレ行くなら早く行ってこい」
「は、はいっす!」
壁山はトイレに向かって走っていった
壁山は3分後に急いで帰ってきて試合がいよいよ始まる
円堂先輩が円陣を組もうと言い出し、円陣を組む
「いいか、お前ら! 相手は最強かもしれないが、やってみなければわからない! 勝利の女神が微笑むのは最後まで諦めなかった奴だからな!」
「「「おう!」」」
「よし、じゃあ行こう!」
ポジションはこの様になる
5-4-1の防御よりのフォーメーション
「震撼頼んだぞ」
「了解致しました」
ピッピーと審判のホイッスルがなる
ボールは帝国学園のキャプテンが先制を譲るとしたのでこちらからスタートとなる
いよいよ試合が始まる
泥紳士様作 毒入りのスープを参考に致しました
ハーメルンのルールに抵触した場合直ぐに改変致します