帝国学園が試合を放棄したため実質的に勝利を手に入れ、廃部は免れた
そのため、翌日部室に行くと皆喜びが抑えられずにいた
「震撼! お前、やっぱりスゲーや! 分身したり、ペンギン出したりさ! これからもバシバシゴール決めてくれよ!」
「了解致しました。染岡先輩と一緒にゴールを決めていこうと思います」
「おう! 俺も頑張るぜ!! なぁ! 今度合体技作らねーか! 豪炎寺にできるんだったら俺にだって!」
「構いません。やりましょう」
「よっしゃ! 燃えてきた!!」
「はいはい、円堂君も染岡君も浮かれるのは良いけどまずは反省でしょ」
「いっけね! わりい木野」
木野マネージャーの一声で円堂先輩はホワイトボードを出してミーティングを開始する
「まず何がいけなかったかだ」
「いや、震撼以外スタミナ無さすぎ」
松野先輩ことマックス先輩がバッサリ
皆一気にテンションが下がった
「あ、ごめんよ。ただ事実だろ」
「そうだ! 事実はしっかり受け止めないと!! じゃあスタミナを上げるために走り込みだろ! 他には有るか?」
「あの、キャプテン、震撼の位置どうするんですか? ディフェンスに居ればキャプテンと合わせてほぼ無敵になるんですが、それだと攻撃力が足りなくないですか」
「なんだと! 俺が居るじゃねぇか」
「染岡さんの必殺シュートは確かに凄いですけど、帝国のキーパーには通用しなかったじゃないですか!」
「豪炎寺さんが居てくれたらなぁ」
「そうっすよ。豪炎寺さんが居れば攻守共に磐石になるっすよね」
「豪炎寺、豪炎寺って……俺と震撼が居ればどんな鉄壁のゴールでも抉じ開けてやるよ! 居ない奴の話より今ある戦力でどうにかするのが先だろ!」
「確かに染岡君の意見も一理有るね」
メガネがドヤ顔でそう言う
「でも……キャプテンはどう考えてますか?」
「豪炎寺はこれからは無理に誘うつもりは無い。アイツにはアイツの事情がある。ただ、サッカーへの情熱は前の試合で皆見たろ。アイツは必ず来るよ……でも豪炎寺よりも今は反省だ! とりあえず震撼はディフェンスをしてもらう。ただ、攻撃にも参加するリベロが望ましいな」
「わかりました」
「あとは……ん?」
「円堂君、お客さん」
木野マネージャーが扉を開けて戻ってきた
ミーティング中姿が見えないと思ったら外に居たらしい
入ってきたのは夏未先輩がだった
開幕一言
「臭いわ」
と部室の匂いについて文句を言う
それにキレた染岡先輩が
「木野! なんでこんな奴連れてきた」
と怒鳴る
「あらそう、せっかく新しい練習試合の相手を紹介しようと思ったのに、残念ね」
「「「練習試合!!」」」
「ええ、相手は尾刈斗中よ」
「誰か知っているか? 尾刈斗中について?」
全員首をふる
「まぁとにかく無様な負けはしないことね。また負けたらサッカー部は廃部にするわ」
「またかよー」
「ただし、勝ったら……そうね。フットボールフロンティアに出場することを許しましょう」
「「「フットボールフロンティア!?」」」
「よっしゃ! 皆やるぞ!!」
「「「おー!!」」」
「単純ね」
河川敷にて練習をしていると帝国学園戦にてベンチで観戦していた新聞部の音無春奈さんが尾刈斗中の試合情報を持ってきてくれた
なんでも帝国学園戦を見て雷門サッカー部のファンになったんだとか……
尾刈斗中の試合を見ていて音無さんから噂を教えてもらった
尾刈斗中と試合した選手は後日全員高熱を出しただとか
尾刈斗中が負けそうになると突風が吹いて試合が中止になったりだとか
尾刈斗中の相手選手が突然動けなくなったりだとか
「そんな感じです!」
「キャプテン、俺トイレ行ってくるっす」
「あぁ、壁山!」
壁山はトイレにダッシュで行ってしまった
「たく、なに噂は噂だ! 俺の必殺シュートでゴールを抉じ開けてやるよ」
「ああ、期待してるぜ! 染岡」
夕方、私は図書室に行き、ニャルに話しかけた
「帝国学園戦で忙しくて来られませんでしたが、影野先輩の件ありがとうございました。無事に試合を行うことができました」
「そう……で」
「尾刈斗中の呪いについて何か知りませんでしょうか? 映像は見たのですが、いまいちよくわからないので」
「尾刈斗中……あぁ、地木流のところね」
「知っているのですか?」
「監督なら少し知っているわ。……ふふ、良いことを思い付いた」
「良いことですか?」
「えぇ、まぁ今私が情報を渡してもあなたの為にならないわ。知識は乗り越えた者にしか身に付かない」
「何の話ですか?」
「いえ、なんでもないわ。ねぇ、大震撼君。私とゲームをしましょ」
「ゲームですか?」
「今夜眠る時に持っていきたい物を身に付けて寝なさい。さすれば面白い事が起こるわ」
「……!? それってあの不思議な夢の様な何かは!?」
「さてどうでしょうね。私はただの人間よ。ちょびっと普通の人とは違うかもしれないけれどね」
ニャルちゃんがパチンと指を鳴らすと私は意識を失った
気がついたら図書室のテーブルに突っ伏していた
時間は5分とたっていない
ニャルの姿はそこには居らず、図書委員がカウンターで仕事をしているのみで、他には誰も居なかった
私は不思議に思いながらも、鉄球でドリブルしながら帰るのだった……
風呂に入り、祖父と食事をとり、勉強をし、ユニホームの洗濯やシューズの調節をしてベッドに潜り込んだ私はニャルの言葉を思い出していた
『持っていきたいものを身に付けて寝なさい』
とりあえず私は学校のカバンと砂の重り近くに置いて寝ることにした
ゆっくりとゆっくりと意識が沈んでいき、気がついたら再び白い部屋にカバンと重りを背負った状態で立っていた
白い部屋には目の前にロッカーが5つ並んでおり、部屋を見渡してみると部屋のすみに砂時計が、反対側には体重計が落ちていた
そして私の横には知らない男性が眠っていた
砂時計をまず調べると、落方として約1時間半には全て落ちきるだろうと予測でき、体重計は持ち運べる様になっており、小数点下一桁までわかるようになっている
私が寝間着だけで乗ると70.3kgと表示され、試しに素っ裸で乗ると70.0と表示された
男性はまだ起きそうに無いのでとりあえずロッカーを調べてみる
1つは縦3m、横5mの横長の大きなロッカーで、開いてみると中には色々な物が雑多に収納されており、残りの4つのロッカーは鍵がかかっており、私の腕力でも開きそうにない
とりあえずロッカーの中身を出してみることにし、約5分かけて全て取り出した
電子温度計
プラスチックのバケツ1つ(水っぽい液体入り)
熊のぬいぐるみ(21のタグ付き)
花柄のミトン
熱々の鍋(赤い液体が沸騰している)
絵本
薬3錠(カプセル型)
薬入れ
使用済みホッカイロ
何かの貝殻
メモ
が入っていた
ちなみに私の持ち物は
鉄球
重り100kg分
各種教材
ノート
筆記用具(消しゴム、定規、油性ペン、コンパス等も)
サッカー部のユニホーム
スパイク
ミサンガ
安全祈願の御守り
父の写真
を持っている
とりあえずメモを読むことにした
【制限時間は砂時計が落ちきるまで ロッカーを全て閉めたら出してあげるよ 報酬は何が良いか考えておいてね】
と書いてあった
とりあえず男性を起こすことにした
男性を揺すると男性はすぐに起きてキョロキョロと周囲を見渡す
「なるほど、また巻き込まれましたか」
「またというのが気になりますが自己紹介をしませんか? 私は大震撼と言います。中学生です。よろしくお願い致します」
「私の名前は地木流灰人。とある中学で教師をしています……そして不思議現象に巻き込まれるのはかれこれ3回目となりますね」
「私は2回目です」
「おや、その若さで2回とは……気に入られてしまったかもしれませんね」
「気に入られる? 何にでしょうか」
「神々とでも言えばよろしいかな。まぁろくでもない者達ですよ。彼らは我々に試練を与え、乗り越えれば力を与える代わりに乗り越えられなければ障害や命を失うでしょう」
「なるほど……ろくでもありませんね」
「で、どこかに砂時計か時計はありましたか?」
「部屋のすみに砂時計が置いてありました。下手に動かすとまずいと思ったので置いてあります」
「そうですね。それが正解です。砂時計は動かすとろくでもない事が起こることが過去2回では有ったのでね。お、今回は持ち物アリですか」
「持ち物アリというと?」
「こういう不思議現象この時は持ち物が全て没収される夢のパターンと、持ち物を全て持っている現実パターンがあります。まぁ夢パターンでも死んだら現実でも死ぬのですがね」
「ずいぶんお詳しいですね」
「……昔、友人を5人失ってね。私だけが生還した事があったのだよ……今は昔話をしている暇はないから。ちゃっちゃと謎をときましょうか」
「それならまずメモでしょうか」
私はメモを見せる
「……なるほど。荷物は全部出したのですよね?」
「A.全て出しました」
「では今開いているロッカーの扉を閉めてみましょう」
そうするとロッカーはガチャンという音が2回した
どうやら横のロッカーが開いた様だ
ロッカーを開けると中に100というメモと油性ペンで書かれたと思われる文字があった
【一度に開くロッカーは1つ 物はいくらでも入る】
手でメモを取ろうとしたが、不思議な力で触ることができない
「100ですか……何か100に関連する物はあったりしますか?」
「A.私が持ってきた重りがちょうど100kgあります」
「なるほど、ではそれを入れてみてくださいと言いたいのですが、他に法則があるかもしれません。探してみましょう」
「それならグツグツと沸騰している鍋の温度を確認しましょうか」
「そうですね。それが良さそうです」
鍋に電子温度計をかざすと100℃と表示された
「100℃ありましたね」
「他に100に関連する物か……」
「私の持っているノートが100円で買いましたがこれもどうでしょうか?」
「あとは私の財布にある100円玉が15枚か……とりあえず100円を入れてみるか」
「鍋でなくてよろしいので?」
「鍋は後で使うかもしれない。これが何かのキーアイテムだった時に入れて開きませんってなったら困るだろ」
「確かにそうですね」
100円を入れてロッカーを閉めると再び2回音がした
ロッカーの中には21のメモと油性ペンで
【一度鍵を閉めたら二度と開かない 例えどれだけ出たくても】
と書いてあった
「何か21に関係する物はあるかい?」
「熊のぬいぐるみが21でした。重さや温度も図ってみます?」
「そうだな。熊のぬいぐるみをはかってみよう」
熊のぬいぐるみは2.1kg、温度は21℃を示した
「温度、重さ、価値……どうやら21に関係すればなんでも良いのかもしれないね……ずいぶんと優しい空間だこと」
「地木流先生の行った所は違かったのですか?」
「あぁ、殺意が凄くてね。私は死に物狂いで生還したよ」
「難易度が違う……なぜそれほどまでに違うのか……」
「わからない……わからないがとにかく続けよう」
とりあえず熊のぬいぐるみをロッカーに入れると次のロッカーが開いた
次は55と書かれた紙が貼り付けられていたが、それ以外には何も書いていなかった
温度だとカイロの温度が55度、地木流先生の小銭で合わせることも可能だ
「すみません、55と紙に書いたらどうなりますか?」
「なるほどやってみるか」
私はノートのページを破いて55と書いて中に入れてみた
するとロッカーは鍵がかかり最後の扉が開いた
中には死体が入っており、それをどかすと人と書かれていた
「白骨化していますね」
「あぁ、ロッカーの内部を見ると相当もがき苦しんだのだろうな」
「数字を入れていって最後に人が指定されてるのでわからないと我々のどちらかを入れろという様に見せかけて争わせるのが目的なのでしょう」
「人……人か。少し絵本を読んで良いか」
「はい、どうぞ」
「……あった。人って文字が何ヵ所か有るな。人って文字だけが漢字であとは全てひらがなだ」
「持ち物に書き物とペンが無かった時の救済措置に見えなくも無いですが」
「最後の最後に引っかけを用意してくる辺りなかなかだな」
「それ以外では何か人に出きる要素有りますでしょうか」
「たぶんこれだろ」
先生は鍋に入った液体をミトンの先に染み込ませるとロッカーの床に人と書いた
ロッカーを閉めるとガチャンと鍵が閉まる音がした
「当たりの様ですね」
すると今まで白い空間でしかなかった場所に扉が現れた
「時間は……ふむ、あと1時間あるようですね。いやー、久しぶりの不思議な空間でしたが簡単で良かった……私はそろそろ帰るとしますが大君はどうしますか?」
「少しこの部屋を調べてから帰ろうと思います……あと、地木流先生は尾刈斗中サッカー部の顧問ではありませんか?」
「おや、知っていたのですか……えぇ、私は尾刈斗中サッカー部の顧問をやっています。それが何か?」
「いえ、私雷門サッカー部の選手なので今度の練習試合よろしくお願いします」
「おや、雷門の選手でしたか……良く鍛えられていますね。帝国を恐れさせたディフェンダーは貴方でしょ」
「わかりません」
「なに、これでも何百人と選手を見てきたのでわかりますよ。その筋肉の付きかたは異常だ。まるで英雄症候群みたいにも見えますよ」
「英雄症候群……」
「筋肉が異常発達する病気ですよ。まぁその反応だと違うようですがね……ふふ、ここで出会ったのも何かの運命かもしれません。試合楽しみにしてますよ」
そう言うと先生は荷物を持って扉から出ていってしまった
私は散らばった道具を整理して、この部屋に他にギミックは無いかを確認していくが、特に無く、とりあえず絵本を読んでみることにした
内容は以下の通りだ
【・人と宇宙人の交わり
・腹ペコツトグァ
・採掘ミ=ゴ君】
と3つの話が可愛らしいイラストと共に書かれていた
確かに人の字だけが漢字でそれ以外はひらがなで書かれている
最後のページを見るとなにやら暗号の様な文字で書かれており、解読することはできなかった
で、私は最後に残った謎の貝殻がとても気になった
砂時計の時間を見ると残り1/3ほどになっていたので、これ以上の確認は辞めて、私もこの空間から出ることにした
とりあえず絵本と貝殻を持って帰ることにし、部屋を出るのであった……
気がつくとベッドの上で寝ており、時計は朝の4時を示していた
ベッドの横には重りや鉄球、カバンなどが置かれており、カバンの上に謎の貝殻と絵本もそこに置かれていた
「なんなのでしょうか……これは?」
とりあえず絵本を本棚に、貝殻を持ってみるとなぜか懐かしさを覚えながら机の上に置き、朝練を開始する震撼であった
shinae様の【ロッカー】を改造した物となっています
制作者に感謝を
改造したらだいぶ優しくなってしまいました
体重計は要らなかったな正直
注意された場合内容を変更する場合がございます
よろしくお願い致します