大震撼は強さを求めたい   作:ゆっくり霊沙

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デートは波乱に満ちている

 尾刈斗中との練習試合を勝利したことによりサッカー部はフットボールフロンティアに参加できることになった

 

 円堂先輩を含め、全員がこの事実に喜んだ

 

 私はついでにイナビカリ修練場の使用許可を夏未先輩に求めたところ

 

「良いわよ。約束通り11人以上の部員も集めた事だしね」

 

 と言われ、鍵を渡された

 

 これで開かずの扉の奥にあるイナビカリ修練場を使うことができるようになった

 

 円堂先輩は

 

「よっしゃ! 早速そこで次の試合に向けて特訓だ」

 

 と張り切り、皆もノリノリでイナビカリ修練場に向かうのだった

 

 

 

 

 

 

 

 イナビカリ修練場での特訓は熾烈を極めた

 

 動く歯車、レーザー、ルーレットの様な施設、サッカーボールを射出するガトリング砲、滝登り、反り立つ壁、迫り来る跳び箱等々

 

 身体能力を上げるにはもってこいの施設が充実していた

 

 タイマーは9999秒

 

 約2時間半の練習が終わった頃には皆ヘロヘロになっていた

 

 ちなみに私は100kgの重りを付けながら参加したが、めちゃくちゃ疲れた

 

 ハス太は今にも死にそうな顔をしている

 

「大丈夫皆!」

 

「今救急箱取ってきます!!」

 

「わりぃ、マネージャー……がく」

 

「円堂君!!」

 

「死屍累々ね」

 

 そこへ夏未先輩がやって来た

 

「何しに来たんだ……」

 

「あら、それだけの特訓をやってもまだしゃべる元気があるとは中々ね。フットボールフロンティア初戦の相手が決まったわ」

 

「どこでしょうか?」

 

「あら、大は流石ね。立って受け答えできるくらいにはクリアーしたのかしら」

 

「返答をお願い致します」

 

「野生中が初戦の相手よせいぜい初戦敗退して学校の恥にならないように頑張りなさい」

 

「野生中か……皆頑張るぞ」

 

「「「……」」」

 

 円堂先輩が今にも倒れそうなか細い声で掛け声をかけるが、皆から返事がない

 

 疲れて声をあげられないらしい

 

「円堂先輩、私は先に部室に行って着替えているのでお先に失礼します」

 

「おぉ、震撼は元気だな……」

 

「A.私も疲れてはいます。並みの鍛え方はしていないので」

 

「そうか……先行っていてくれ」

 

 私は部室に先に向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 部室に到着すると2人ほど人の気配がした

 

「へぇー、二夜ちゃんって言うんだ。俺土門。今日転校生してきたんだけどサッカー部ここで有ってるよね?」

 

「ええ、有ってるわよ。後私はニャルと呼んで欲しいな」

 

「ニャルちゃんね! 君マネージャー? 凄く可愛いね」

 

「あら、ありがとう。ふふ、私はまだマネージャーではないわ」

 

「まだ?」

 

 ガラガラと扉を開けて私が入る

 

「ニャルに……誰でしょうか?」

 

「ちーっす! 俺土門! 転校してきたんだけどサッカー部に入りたくてね。入部できるかな?」

 

「構いません。少々お待ちを」

 

 私は棚の中のクリアファイルから入部届けとボールペンを取り出した

 

「こちらに名前と所属クラスを書いてください。顧問の冬海先生には私から提出しておきますので」

 

「いやー、悪いね。さらさらっと……はいよ。ちなみにどこで練習していたの? 学校中探したけど居なかったから困ったんだけど」

 

「A.イナビカリ修練場という地下施設でトレーニングしております。明日から参加してもらうと思います」

 

「へぇ、この学校にそんな設備がね……じゃ! 明日からよろしく!」

 

「よろしくお願いします」

 

 土門先輩はそう言うとバックを背負って帰ってしまった

 

「質問です。ニャルはなぜサッカー部の部室に?」

 

「あら、私もサッカー部に入ろうと思ってね。マネージャーとしてだけどよろしくて?」

 

「構いませんが……待っててくださいマネージャー用の入部届けが確かここら辺に」

 

「これかしら?」

 

 ニャルは既に記入済みの入部届けを私に見せてきた

 

「土門君と一緒に私のも出してきてもらえるかしら」

 

「構いません。しかしなぜマネージャーに?」

 

「尾刈斗中との試合に感動したから……ではダメかしら?」

 

「いえ、他にも理由があると考えますが」

 

「そうね……ミ=ゴ……カロンⅩがあなたに興味を抱いたのと、ハス太の監視を付けるようにお願いされたわ。ハス太が後天的理由で覚醒するかもしれないことに気がついたみたいね」

 

「なるほど……不利益が無いので有れば構いませんが」

 

「ふふ、とりあえず有能な所を見せれば良いかしら? ……理事長室に円堂先輩のお祖父様の必殺技のノートが保管されているわ。明日にでも取りに行けば役に立つんじゃないかしら」

 

「とても有意義な情報です。ありがとうございます」

 

「ふふ、今週の日曜日楽しみにしているわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、なんだって! じいちゃんの必殺技のノートが理事長室にある!?」

 

「はい、ニャルが調べてくれました」

 

「こうしちゃ居れねぇ! 早速探すぞ」

 

 円堂先輩は放課後部員を集めて理事長室に突撃し、夏未先輩に見つかったものの円堂大介の必殺技ノートを入手することができた

 

 そして部室に戻り、新入部員の土門先輩とニャルの自己紹介が行われ、早速必殺技ノートの解読に挑むが、特訓ノート同様に字が汚くて読めなかった

 

 円堂先輩は読んだのだが、ばびょーんだのだんだんだの擬音ばっかりで解読できても難解極まるそれに流石のニャルも苦笑い

 

 話しは野生中の話題に移っていく

 

「野生中俺も前の学校で戦ったことあるけど強いよ彼ら。具体的にはこの地区だと帝国の次ぐらいにはね……特に空中戦にはめっぽう強いんだ。豪炎寺でももしかしたら厳しいかもね」

 

「だったらこのイナズマ落としで突破するぞ!」

 

「イナズマ落としっすか?」

 

 壁山の問いに円堂先輩が擬音ばっかりの説明を開始するが、皆? マークを浮かべていたので、理解できた私とニャルが分かりやすく説明する

 

「A.まず2名がジャンプをし、1名を踏み台にして更にジャンプ、2段階ジャンプをすることで高さを稼ぎます」

 

「2回ジャンプする人は高いジャンプ力とシュート能力を、踏み台になる方はがっしりとした体格の者が望ましいわね。最後にオーバヘッドキックでシュートよ」

 

「「「おぉ! わかりやすい」っす」でやんす」

 

「体ががっしりと……壁山いけるか?」

 

「じ、自分っすか! 実は俺高所恐怖症なんっすが……」

 

「いいや、この技はお前にしかできない! とにかくやってみようぜ!!」

 

 壁山と豪炎寺先輩はイナズマ落としの練習を開始

 

 その間に円堂先輩はノートの最後のページにあるマジン・ザ・ハンドに目がいっていた

 

「震撼、ニャル、ちょっと来てくれ……これなんだけど意味分かるか?」

 

「A.分かりません。解読お願いします」

 

「グッとやってぐぐっとしてバン! どん!」

 

「いやー、キツイ」

 

「理解不能」

 

「注目すべきはここだって」

 

 円堂先輩はノートに赤く塗られた丸の部分……胸、特に心臓と思われる場所を指差した

 

「心臓ですか……」

 

「ごめんなさい。これだけじゃ分からないわ」

 

「良いって……でもこれからのシュートを止めるには必ずこの技が必要になってくると思うんだ。震撼のライフルもV3は止められないしな!」

 

「私も技の開発を急ぎます。特に皇帝ペンギン1号と分身ペンギンを合体させる事ができれば凄まじいパワーのシュートが完成すると思われます」

 

「そうか! よーし! 今日もイナビカリ修練場で特訓するぞ!!」

 

「はい」

 

 

 

 

 

 

 

 壁山の高所恐怖症克服の特訓はスムーズには進まなかった

 

 約80cmの高さがギリギリのため、自身がジャンプした高さを怖がってしまい、すぐに体勢を崩して尻から落ちてしまうのだ

 

 円堂先輩のマジン・ザ・ハンドも困難を極めた

 

 ゴッドハンドは円堂先輩が約1年にも及ぶ特訓で身につけた技なのに対してマジン・ザ・ハンドは今日見つけた技だ

 

 早々に上手くいくハズが無い

 

 ニャルという超人がアドバイザーとして付いているのでたぶんできると思うが……

 

 私はまずリアルインパクトの完成を急いだ

 

 分身を使えばできるのであるが、1人でできるようになって初めて完成と言える

 

 まず最初の一撃で空中にボールを固定する(膝位の高さ)

 

 続いて目にも止まらぬ連続のリトルインパクトで複数の亀裂を空中に作る

 

 そしてトドメに両足で前にボールを押し込めば

 

 バンっという破裂音と共に爆発が発生する

 

 今回は最初の固定が甘かったらしく、少しのズレからボールの威力が不安定になり、暴発してしまった

 

 ただ、後少しの調整をすれば完成が見えているため開発を急いだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日曜日

 

 ニャルとのデートの日となった

 

 流石に重りを外して持ってる服の中で町に出ても問題ない服装になり、駅前でニャルを待った

 

「お待たせ」

 

 集合時間丁度にニャルがやって来た

 

 白を基調としたワンピースだが、ニャルが着ることによって横を通る人全てが振り向く絶世の美少女がそこにいた

 

「ふふ、顔が真っ赤よ」

 

「失礼、あまりの美しさにフリーズしました」

 

「さて最初はエスコートしてくださる」

 

「色々考えましたが、少し移動しましょう。大江戸に移動しますよ」

 

「大江戸……あら? 嫌な場所ではなくて?」

 

「流石に6年近く経過しましたから割り切りは付いております。住んでいた近くなはいきませんよ。ただ稲妻町ではデートに向く場所が限られるため、デートスポットの多い大江戸に行こうと思います」

 

「ふふ、楽しみにしているわ」

 

 大江戸に到着した私はとりあえず科学博物館を選択した

 

 科学博物館には巨大な振り子時計に最新のロボット、絶対零度発生装置等が置かれていた

 

「私は来るのが初めてですが、ニャルはどうでしょうか?」

 

「私も来るのは初めてよ。ただやっぱりミ=ゴの科学力には劣るわね」

 

「そんなにすごいんですか? ミ=ゴって」

 

「えぇ、見たこともない武器や脳だけでも生存できる生命装置、不思議な物が沢山あるわ」

 

「科学博物館に来たのは失敗でしたでしょうか?」

 

「いえ、良いチョイスだと思うわ。私にとっては最新の機械でなくても、古い機械でも面白さというのは代わり無いわ」

 

「……私もなぜかこれらの機械が古臭く見える物があるんですよね。なぜなのか分かりませんがね」

 

「あなたは能力をサッカーにほとんど費やしてしまったけれど、本来ならば科学者等になっていたのかもしれないわね」

 

「どうでしょう。サッカーも復讐が殆どを占めてますよ」

 

「でも、サッカーをやっている震撼は楽しそうよ」

 

「そうでしょうか?」

 

「ええ、そう。サッカーを楽しんでいるわ」

 

 館内を歩いていると大きな振り子時計の前に来た

 

「流石のミ=ゴでも時間は操ることができないわ。時間を支配した存在が居ればどんな神かしらね」

 

「もしかしたら時間を支配している種族がいるかもしれませんね。ミ=ゴや神々が居るのですから居ても不思議ではありませんよ」

 

「ふふ、そうかもね」

 

「うーん。何か閃きそうなのですが」

 

「あら? 必殺技?」

 

「こう指をパチンと鳴らしたらゆっくりになったりして」

 

「あら震撼でも冗談を言うのね」

 

 パチンと指を鳴らしてみる

 

 すると振り子時計が一瞬ゆっくりになったような気がした

 

「気のせい……か?」

 

「どうしたの震撼、次地震体験コーナー行くわよ」

 

「あぁ、すみません。行きましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんだかんだで科学博物館を満喫した私とニャルは横にある動物園に移動した

 

 国内でも5本の指に入る巨大な動物園で、科学博物館の横にある立地からデートスポットとして人気がある

 

「ミ=ゴが脳を集めるように、人は別種の生き物を檻の中で飼う……上位種が下位種を観察するのは普通の事ね」

 

「ナイアルラトホテップが人間を観察するのも同じ理由なのでしょうかね」

 

「かの神は好奇心と変化の神よ。ナイアルラトホテップが面白くなると思ったことに介入してくるわ。その一端の側面を持つ私も理性と好奇心を秤にかけた時好奇心に振れるわ」

 

「なるほど」

 

「……ふふ、面白い物を見つけたわ。こっちに来て」

 

 ニャルに付いていくとそこは使われていない古い扉だった

 

 鍵は掛かっていないようで簡単に開くことができる

 

「ナイアルラトホテップの痕跡があるわ。何かしらの異界に繋がっているわ。この扉」

 

「何かあったら守ります」

 

「ふふ、頼もしいわね……せっかくですし中に入ってみましょうか」

 

 私とニャルは扉を開けると別のエリアに繋がっていた

 

 後ろを振り返ると扉は有るようだ

 

「閉じ込められる感じでもないか」

 

「分かりません……とりあえず進みましょう」

 

 前に進むと花畑に様々な花が咲き乱れており、春夏秋冬関係なく色とりどりの花が存在した

 

「……造花ですね」

 

「……嫌な予感がする」

 

 ニャルが警戒心を強める

 

 更に進むと休憩所があった

 

 中からカーテンがかけられており、中の様子は見えない

 

 ただ、人の気配はする

 

 ノックをしてから休憩所の中に入る

 

 

 

 

 

 

 

 

 中には赤い服を着た美女が本を読みながら座っていた

 

「おや、また迷い込んだ人が現れたか。そろそろここは廃棄しようと思ったが……おや? おやおやおや? 私に似せたミ=ゴの改造人間ではないか。久しいな。くく、好奇心かはたまた無謀への挑戦か……実に面白き事だ」

 

 ニャルの事をミ=ゴの改造人間と言い切り、私に似せたと言った

 

 と言うことは目の前に居るのは

 

「ナイアルラトホテップ神でしょうか」

 

「ふむ、ほぉ、人にしては中々……ふむふむ、なるほど……我と対極なる者よのぉ。気に入った。我が信者となれ。さすれば栄達は約束されるが」

 

「気に入られるような思考や肉体はしていないと思われますが」

 

「なに、人でありながら人ならざる者の側面を持つ者よ。お前がミ=ゴごときに気に入られるのは惜しいと思ったまでだ。なに、信者としての試練は簡単だ。私の眷属を1匹倒すだけで良い。改造人間も打ち勝てば何か役立つ知識を与えようではないか」

 

「ありがとうございますナイアルラトホテップ様」

 

「いや、震撼、このお方の出す試練だ……普通ではない」

 

 ナイアルラトホテップはニヤリと笑う

 

「なに、そなた達が力を合わせることができれば倒せるかもしれないものよ。……ふむ大震撼よ。何か1つアイテムを渡そう。何が良い」

 

 試練の内容の生物が何なのか良く分からないが、この場合だと戦闘だろう

 

 戦闘と言うことは恐らく武器を選ぶのが正解なのだが、私はサッカーばかりしてきたため、武器を扱える自信がない

 

 [いや、ある。本体がの使える武器が]

 

 {いつも蹴っているあれだ}

 

「……では私がいつも蹴っている鉄球をいただきたい」

 

 ナイアルラトホテップ神はクスリと笑うと

 

「良かろう!」

 

 パチンと指を鳴らすと鉄球が落ちてきた

 

 床が軋む音がするが、私は手に持つとご丁寧に復讐の文字が書かれていた

 

「ニャルは武器か何かありますか?」

 

「そうね……」

 

 そう言うとニャルの腕がグニャリと変形し、ハサミの様になる

 

 その腕でバックの中から銃の様な物を取り出した

 

「電気銃……ミ=ゴとの協力者である私達に渡された武器よ。強力な電撃で内部から焼くわ」

 

 ニャルは普通に戦えるようだ

 

 私達は頷き、ナイアルラトホテップ神に話す

 

「準備はできました。あなたの試練に挑戦させてください」

 

「よろしい。勇気有る者よ! 我が信者に相応しいか見せてみよ」

 

 勢い良く扉を開ける

 

 目の前には誰も居ない

 

 が音がする

 

 風を切る音が

 

「上よ!」

 

 私とニャルは咄嗟に回避をする

 

 私達が先ほど居た場所には空から突撃してきた片方だけ翼が生えた蛇が私達をじっとこちらを見ている

 

 キシャァァァっと威嚇の声をあげた

 

 戦闘開始だ

 

 最初に動いたのは私だ

 

「ライフルV3」

 

 空中に浮かせた鉄球を両足で挟み回転を開始し、蛇の怪物に向かって発射する

 

 しかし鉄球が蛇に当たっても蛇は押し込まれただけでピンピンしている

 

 人間だったら普通に死ぬかもしれない一撃なのに

 

「理解不能!」

 

「神話生物はこんなものよ! 奴は固い皮膚により弾丸をも弾くわ! ……来る!」

 

 蛇の攻撃はギリギリ2人共に避けることができた

 

 ニャルによる電気銃による攻撃が炸裂する

 

 バチバチと電気が蛇に襲いかかるがダメージはあんまり入ってないようだ

 

 私は跳ね返ってきた鉄球を転がしながら何時でも蛇の行動に対処できるようにしておく

 

 蛇はニャルに向かって噛みついてきた

 

 私は鉄球を蹴り込んでニャルの回避を手助けする

 

 蛇に当たった鉄球は強烈なスピンがかけられており、震撼の足元に戻ってくる

 

 ニャルは蛇の攻撃をバグ転をしながら華麗に回避に成功する

 

 私は再び蛇の出方を伺う

 

 蛇は私に噛みついてきた

 

 蛇の頭部めがけて鉄球を蹴る

 

 鉄球が蛇に当たり、蛇は吹き飛ばされる

 

 今回はダメージが入ったようだ

 

 続けざまにニャルの電気銃による攻撃を行う

 

 青い光が蛇に命中し、蛇は苦しそうにのたうち回る

 

 追撃とばかりに私は頭部にめかけて鉄球をぶつける

 

「皇帝、覇王」

 

 {[おう! ]}

 

「{[リアルインパクト]}」

 

 凄まじい一撃が蛇に叩き込まれる

 

 鉄球は蛇の頭を粉砕し、蛇の頭はグロテスクなミンチに変化した

 

 蛇の巨体は痙攣したかと思うとズドンと地面に叩きつけられ、二度と動くことは無かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「素晴らしい。実に素晴らしい。よく試練に打ち勝ったものだ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「では改造人間よ。何か知りたい知識は有るか?」

 

「知識ではなくこちらを改良していただきたい」

 

 いつの間にか腕が人の形に戻っていたニャルはバックから服を取り出した

 

 見るからにゲテモノな服は不思議な突起と明らかに人が身に付けることを想定していない何かであった

 

「ミ=ゴから渡された装甲服なのですが、私達人間が着用すると劣化と激痛がはしるのです。それを無くしていただきたい。できれば普通の服に見えるようにしていただけると嬉しいです」

 

「良かろう」

 

 パチンとニャルが指を鳴らすと白黒のチェック柄長袖Tシャツに変わった

 

「選択による色落ち等は我慢しろ」

 

「ありがとうございます」

 

「さて、次は震撼よ。何が欲しい」

 

 私は考える

 

 今の神に頼めばよほどの事がない限り願いを叶えてくれるだろう

 

 私は……

 

「私専用の特訓場が欲しいです。機材なども付きで」

 

「ほぉ……そんな物で良いのか?」

 

「はい。まだまだ私は鍛え足りません。ただ強くなるためにはイナビカリ修練場だけでは足りないのです」

 

「良かろう」

 

 ナイアルラトホテップ神は私の頭を撫でると体に電撃がはしったかのように痺れた

 

「左手で指を鳴らせば他人には見えない扉が開くだろう。何時如何なる時でもそれは開く。他人を入れるには片手を繋ぐこと。その中にはお前を鍛えるのに最適な道具を揃えてある……これで良いな」

 

「ありがとうございます」

 

「我が信者よ、我が好奇心を満たすよう心がけよ。我は常に見ているぞ」

 

 意識が遠退いていく

 

 気がつくと動物園内にあるレストランのテラスで私とニャルは座っていた

 

 まるで先ほどのは夢であったかのように思えてしまう

 

 ただ、足元には持ってきていないハズの鉄球が転がっていた

 

「……疲れました」

 

「私も疲れた……中々濃いデートになったわね」

 

「ナイアルラトホテップ神はいつもこの様に人に試練を与える神なのですか?」

 

「いいえ、人を破滅に導く神よ。ただ、震撼は気に入られたわ。これからあなたには多数の試練が付きまとうと思うけれど、乗り越えていくしかないわ!」

 

「……頑張ります」

 

 その後動物園で一通り楽しみ、濃いデートは終わりとなった

 

 稲妻町のニャルの家まで送り、私は自宅へ帰るのだった

 

 




実際にサイコロを振らせていただきました

最初の震撼の攻撃は8ダメージで蛇の装甲により無効

狩人(蛇)は70%の組み付き失敗

ニャルの電気銃は装甲貫通及びクリティカルなのでダメージ2倍の4ダメージ(電気銃は気絶判定が通常入るけど神話生物なので無効)

2ターン目 

震撼Delay(行動順を遅くする)を選択

蛇の攻撃は噛みつき 自動成功 対象ニャル

震撼の鉄球のシュートにより攻撃を反らす(命中 回避20%の補正)

ニャルの回避(サイコロの目6)のため成功

3ターン目

震撼Delayを選択

蛇噛みつきを選択(自動成功)

鉄球 頭部狙い(判定-20) 成功

ダメージ2倍のため12ダメージ 装甲軽減のため3ダメージ

ニャル電気銃 9ダメージ

4ターン目

震撼分身によるダメージボーナス3倍

鉄球2d6+ダメージボーナス3d4、頭部狙い2倍36ダメージ

戦闘終了



今回の出来事でクテゥルフ神話技能+3%となりました

正気度が93となりました

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