ガンダムビルドブレイカーズ EternalMemories 作:瑠璃音 永遠
私が中学2年生の頃のある日の深夜
ある家から少女のうめき声が聞こえる
エタ「痛い…痛いっ…もう…やめてっ……」
男の脚が私の腹を襲う
エタ「ゔあ゙ぁ゙っ゙…!!」
今度は頭を掴まれ持ち上げられた
この男は私のお母さんの再婚相手だ
「叫び声がやかましい」と言い私にビンタをする
エタ「っ…」
もはや生気の残っていない私の顔を何度も叩く
もう叫び声も出ない
どんなに泣いても、誰も助けてはくれない
それもそうだ、私のお母さんも、この男に苦しめられて死んでしまったから
エタ「はぁっはぁっ…ヒック…げほっ…げほっ…おえぇ…」
過呼吸の末嘔吐物を吐いてしまった
また男の怒りに触れたようだ
再び激しい痛みが私を襲う
隣の部屋で寝ていた妹も起きてしまった
音で状況を理解したようで、泣き声が聞こえてきた
男は妹の泣き声に苛立ち始めた
このままだと今度は妹が痛い目にあわされる…
なんとか体を起こし妹の部屋に向かおうとする男を止める
エタ「…やめ…て……」
それから数十分程痛めつけられた
全身がボロボロになり、立ち上がることも出来なくなった頃、男は寝室に戻っていった
ようやく気分がおさまったらしい
ひとまず妹には手を出させずに済んだ
男が寝たのを確認してから妹が心配して私の部屋に来た
なんとか妹が部屋に入るまでに体を無理矢理起こして机の椅子に座り、何も無かったように振舞った
が、今思えば無理があった
音も凄かったし、全身ボロボロだし、私も痛みで震えてしまっている
妹「おね…ちゃ…じょうぶ…?」
意識を失いかけていて、よく聞こえないけど、心配してくれているのはわかる
「大丈夫だよ」と言ってあげたいけど、声が出ない
だから無理矢理腕を動かして優しく頭を撫でてあげた
妹「……」
妹は悲しそうな顔をして私を撫で返した
妹の手はあたたかくて、柔らかくて、とても癒された
妹の温かさについ涙を流してしまった
心配させたくなくて強がってたのに、結局眠るまで妹に慰められてしまった
朝になって目が覚めても、妹は隣で私の頭を撫でていてくれた
妹「あっお姉ちゃん…おはよう…もう大丈夫なのっ…?」
妹が休ませてくれたおかげでちゃんと聞こえるようになった
エタ「うん…大丈夫だよっ…ありがとう…」
こんなにも優しい妹に悲しい顔をさせて…いっぱい泣かせて……
あの男…絶対に許さない……
その頃から私は妹に対して過保護になったりで、いわゆるシスコンになった
毎晩妹を庇っては体に傷をつけられ
その度に妹に慰められた
妹「お姉ちゃんがこんなに傷つくことないよ…私も一緒に…!」
そう言われることもあったけど
エタ「だめっ…!」
と言って説得したりもした、何があっても傷つけるような真似はしたくなかったから
そんな日々がしばらく続いた
妹は絶対に守りたい
かと言ってこのままじゃ私の体も持たない
私に限界が来たら、あの男はきっと妹に手を出す
考えた末に、私はある行動に出ることにした
3月の下旬、暖かくなってきた頃、私は朝一で外に出た、もちろん妹も連れて
妹「お姉ちゃん…どこに行くの…?」
エタ「…安全なところだよ」
妹の手を優しく握ってやって来たのは、駅だ
そう、家から、あの男から逃げるんだ
私は2人分の切符を買った
お金は…男が寝てる間に財布から盗んだ
何日かは食べていけるはず
あの男のお金で生きるのはいい気分はしないけど、まだ中学生の私にはわがままをできるほどの力はなかった
頼れる人は誰もいない、出来ることをして生きていくしかない
電車を待っている間
エタ「…なにか飲む?」
妹「うんっ…」
駅の入口あたりの自販機でお茶を買って2人で飲んだ
エタ「…おいしい…」
お母さんが死んで、あの男と3人暮らしになってから少量の水道水くらいしか飲んでなかった私たちにとって、この市販のお茶はあまりにも美味しすぎた
そんなこんなしている内に電車が来た
エタ「行こっか」
妹「…うん」
手を繋いで電車に乗り、2人で椅子に座った
早朝だし、この町も田舎だしで電車の中はほとんど人がいない、おかげで人見知りな妹も不安にはならなかったようだ
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電車に乗っている間に自己紹介でもしましょう
エタ「私はエタです。この物語の主人公…で合ってますか?」
合ってます
エタ「あっよかった…ホッ…」
エタ「改めましてエタです。15歳の中学2年生です」
エタ「で、こっちが…」
アイナ「ア、アイナ…です…よろしく…おねがいします…」
エタ「えっと…私の妹のアイナです!ちょっと人見知りだけどすごく優しくて可愛い子なんですよ!」
アイナ「ちょ、ちょっとお姉ちゃん…言いすぎっ…」
エタ「ほんとのことなんだからいいのっ!
ほらほら、私と喋る時みたいに明るくっ!」
アイナ「あわわわ…え、えっと…ア、アイナですっ!よろしくっ…!!」
エタ「うんうんっ!偉い偉いっ!なでなでなでなで♪」
アイナ「あうぅ…」
とまぁタイミングを逃していた自己紹介を挟んだところでそろそろ元の時空に戻りましょう
エタ「えっこれ茶番だったんですか」
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何回か乗り継ぎをして、だいぶ遠くまで来た
エタ「…湯ノ森市…」
駅を見てもなかなか悪くなさそうな場所に見える
エタ「少し見てみよっか」
アイナと手を繋いで電車を降り、改札を抜けて駅を出る
アイナ「わぁ…!」
あの男のせいでいつも暗かったアイナが一気に笑顔になった
そして私もアイナの楽しそうな顔を見て微笑んでいた
町の外に出たのは久しぶりだし、とても素晴らしい町並みだったから
そんなこんなで市内のいろんなところを見て回っていたら
アイナ「お姉ちゃん、あれなに?」
アイナが張り紙を指さして言う
エタ「え〜っと…ガンプラバトル…公式大会…?」
ガンプラってなんでしょう…バトル…?武道みたいなものでしょうか…?
田舎者の私にはよくわからなかった
エタ「う〜ん…わかんない…」
アイナ「あっお姉ちゃん、あっちで何かやってるみたいだよ!」
エタ「あっちょっと…!」
アイナが1人で走っていってしまったので追いかける
エタ「はぁっはぁっ…勝手に行っちゃダメでしょっ…!」
アイナ「……」
エタ「ちょっと、ちゃんと聞いて…」
エタ「…!?」
アイナの向いている方向を見ると、田舎者の私たちには見たことのない光景が広がっていた
小さな人型のもの同士が銃やら剣やらで闘っている
エタ「え…え…なにあれ…?!」
と困惑していたら隣で見ていた男の人が話しかけてきた
男性「なんだい嬢ちゃん?バトルを見るのは初めてかい?」
エタ「バ、バトル…?」
男性「ガンプラバトルだよ、もしかして知らない?」
エタ「はい…」
男性「今時知らない子なんているんだなぁ、今若者を中心に1番人気なんだぜ」
エタ「は、はあ…」
男性「試しにやってみたらどうだい?俺おすすめの店なら無料で貸し出しもしてるよ」
エタ「えぇっと…なら…少しだけ…」
男性「最近は大会なんかも頻繁にやってるからな、気に入ったなら始めてみるといいぜ!」
エタ「はい、ご丁寧にありがとうございます…」
男性「おう!」
その後ガンプラやガンダム作品についての話を聞かせてもらいながらバトルの観戦をし、それが終わってから夢中になって見ていたアイナを連れてそのお店に向かっていた
ちなみにその男性も一緒だ
練習に付き合ってくれるらしい
エタ「あの、どうしてこんなに親切にしてくれるんですか?」
男性「そんなの、ガンプラバトルの楽しさを知って欲しいからに決まってるだろ〜!」
とてもニコニコしていて、楽しそうな目をしてる、なにか企んでいるのかと思っていたけど本音らしい
そんな話をしているうちに男性おすすめというお店に到着した
男性「ここここ!湯ノ森一の店だよ!」
エタ「電之商店…ですか」
男性「おう!湯ノ森で1番ガンプラの品揃えが多いんだぜ!」
エタ「なるほど…でもあくまで練習に来てるんですよね?」
男性「まぁそうだけど、あわよくばガンプラバトルを始めて欲しくてな、それだったらガンプラ選びもしやすい店の方がいいと思ってね」
エタ「どうしてそこまで?」
男性「あ〜…実は俺、次の大会に出たいんだけどさ、3人ずつでのチーム戦なんだよ…だからまぁ、スカウト的なところもあるかな…」
エタ「なるほと…でもそれって私よりもっと強い人とか誘った方が…」
男性「無理無理!その大会締め切りまでもう1週間もないんだよ、だから強いファイターなんてもうみんなメンバー登録終わってるよ」
エタ「なるほど…って、え?」
男性「ん?」
エタ「締め切りまであと1週間もないんですか?」
男性「うん」
エタ「チームメンバーはまだ1人も集まってないんですか?」
男性「うん」
エタ「それで未経験者の私を誘ったと?」
男性「うん」
エタ「ばかなんですか?」
男性「急に辛辣だな?!」
エタ「実際そうじゃないですか、熟練者がたくさんいるのに未経験者と組んで勝てるとでも?」
男性「い、いや!エントリーしてから練習すれば!」
エタ「仮にそうだとしても3人戦なんですよね?私が参加したところで足りないままですよ?」
男性「いや、妹さんも一緒にスカウトするつもりだったから…」
アイナ「私バトルしたい!」
エタ「え、アイナ、やりたいの?」
アイナ「うんっ!」
すごくニコニコしてる…こんなに楽しそうな顔をするアイナは久しぶりに見る
せっかくこんなにやりたそうにしているんだ、あの男もいないんだし、好きなことをさせてあげたい
エタ「…その大会だけなら、付き合ってあげます」
男性「おっ、やった!!」
エタ「ただし、私たちもこれから初めて触るような身ですし、負けても文句は言わないでくださいよね」
男性「うん、わかった!」
エタ「元気ですねぇ…」
男性「それが俺の取り柄だからな!」
エタ「はあ…」
男性「とりあえず、これでチーム結成だな!」
エタ「そうですね」
男性「冷めてるなぁ…」
エタ「名前も知らない人に妹を預けるんですからそりゃ…」
男性「あ〜っ!」
エタ「な、なんですか…」
男性「自己紹介してなかった!」
エタ「…今更ですか」
男性「冷静だねぇ」
エタ「あなたが大袈裟すぎるだけですよ」
ダイスケ「あなたじゃなくて、俺はダイスケだ!ダ・イ・ス・ケ!」
エタ「はいはいわかりましたよ、ダイスケさん」
ダイスケ「冷たいなぁ…」
エタ「私は、…瑠璃音エタです」
アイナ「…んゅ」
お母さんが再婚してからの苗字は使わなかった
もうあの家から出て、私たちはもうあの男の子供ではない自由の身なのだから
瑠璃音はお母さんが再婚する前の苗字
お母さんが私たちにくれた本当の名前
エタ「で、こっちは…」
アイナ「アイナ!お姉ちゃんの妹っ!」
エタ「(かわいい…)」
ダイスケ「瑠璃音エタに、アイナちゃんだな、OK!」
エタ「待ってくださいなんで私だけ呼び捨てなんですか」
ダイスケ「んー、なんとなくかな?」
エタ「なんとなくって…まぁ私は構いませんけど…」
ダイスケ「よし!じゃあ自己紹介も終わったしこれからよろしくな!」
エタ「はい、よろしくお願いします」
アイナ「よろしくっ!」
エタ「…いつまで店の前で話してるつもりなんですか?」
ダイスケ「おっと…つい盛り上がっちまったな、そろそろ入ろうか」
エタ「はい」
アイナ「ゴーッ!」
次回予告
ダイスケ「さーてチームメンバーも決まったしガンプラ選ぼうかぁ!」
アイナ「ど〜れ〜に〜し〜よ〜お〜か〜な〜!」
エタ「私が選ぶのは…」
次回
第2色〜運命の色〜