さぁ、地獄を生きようか   作:狼黒

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地獄の始まり

ウィッチ、英語で魔女と呼ばれるそれは今では救世主と崇められている

『ネウロイ』と呼ばれる正体不明の敵にはそれしか対抗する手段がないからだ

ストライカーユニットを履いてネウロイと戦う少女達

彼女らのおかげで今にも全土を飲み込まれんとしていた欧州大陸を何とか維持し、膠着状態に持っていくことができていた

 

そんな中、とある基地が壊滅した

その基地は戦果だけを見ればかなりのものだったが、数少ない生存者からの証言でそれは嘘だと証明された

かの基地では一人のウィッチのみに出撃をさせ、そのウィッチが挙げた戦果を自分たちのものにしていた

まぁそのウィッチが固有魔法が『トランザム』という自身の速度を上げる事しかできないうえに、彼女自身の魔力がそこまで多くないので短時間しか使えないものだったからかもしれないが

そしてその基地に所属するウィッチ全員だけでなく、その基地に所属していたほとんどの人員がそのウィッチに対してとんでもない扱いをしていたのだ

理不尽な暴力、連続出撃の強要、飯は食わせない、補給は横取り、機材にわざと細工を仕掛ける…etc

無論、基地には良識的な整備兵や兵士が僅かながら存在し、そのウィッチに対してできる限りの事は行っていた

僅かではあるが睡眠時間の確保、自分たちの飯を分ける、機材の整備など…

そんなある日、そのウィッチはネウロイ迎撃に出撃したのち、帰ってこなかった

戦死したかと思われていたがその翌日、ネウロイが基地に襲来した

かのウィッチ一人に出撃を押し付けていたため練度などないに等しいウィッチしかいない基地、全滅も間近と思われたが次の瞬間、ネウロイが突如輝きを失って墜落していく

やがてネウロイが全滅し、何が起こったのかわからず唖然としている基地の人員らの目の前に現れたのは戦死したと思われていたウィッチその人であった

生きていたことに苦い顔をしながら、表面上は生きていたことに喜びを覚える言葉を投げかけながら近づく基地司令だったが、そのウィッチが手を動かし

 

基地司令の首をナイフで切り裂いていた

 

何が起こったのかわからずそのまま絶命した基地司令

咄嗟の事に何が起きたのかわかなかった整備兵だったが、気を取り直す前に全員が命を絶たれていた

気を取り直したウィッチ達が怒鳴ろうとするも、基地司令や整備兵たちの返り血を浴びた姿を見て、あるウィッチは腰を抜かし、あるウィッチは失神し、あるウィッチは慌ててユニットを履いてその場から逃げ出した

前者二つの行動だったウィッチは、次の瞬間には腹を深く切り裂かれたり、両腕を斬り飛ばされたり、運が悪いものは両手足を斬り飛ばされていた

あまりの痛さに悲鳴を上げるウィッチ達だったが、数分後には出血多量で次々と死んでいった

そしてユニットを履いて逃げ出したウィッチ達は、逃げることができたと安堵した

が、

 

『ETERNAL MAXIMUM DRIVE』

 

そんな音声が流れたかと同時に、彼女らのストライカーユニットが突如動かなくなり、それどころか彼女らの魔力自体が消え、真っ逆さまに落ちていく

一刻も早く離れようと高度を取っていたことが災いし、次々と地面に激突しては頭がつぶれていく

辛うじて何とか体勢を変え、何とか生き延びたウィッチもいたが、次の行動に移る前にいつの間にか近くまで来ていたウィッチのナイフにより次々と首を斬られていった

そうして良識派以外の整備兵や兵士を除き、基地の人員は全滅した

何が起こったのかわからないまま怯えている基地の人員達だったが、返り血を全身に浴びまくったウィッチが怯えている兵士たちに振り向く

自分たちも殺されるのかと思ったが、そのまま何もせずにユニットを履いて飛び去って行った

その後、救援部隊が到着して保護されたが、基地は完全に放棄された

例のウィッチに関しては、味方を殺害したことから厳罰に処されるものかと思われたが、生存者による証言や基地から撤退する際に見つけた証拠、さらにはそのウィッチの精神状態、そしてそのウィッチが持つ固有魔法などを考慮され、見つけた場合保護すべきという命令が下された

 

 

そんな事件があってから1年…

 

件のウィッチは今やネウロイに飲み込まれた帝政カールスラントにある都市の廃墟にいた

時々襲ってくるネウロイは、自身の固有魔法により自分から墜落するよう仕向けていた

理由は簡単、その方が楽だからである

 

(いつまでここに居座るつもりだ?)

 

「さぁね、まぁ下手にウィッチに見つかったら処刑だろうし別にいいんじゃない」

 

そんな言葉を発する少女だが、周りには誰もいない

いや、正確にはその言葉を返す人物は頭の中に住んでいた

先程出てきたネウロイやウィッチ達を墜落させた魔法、それを授けた本人である

正確には彼が与えたのは魔法ではないが、それはまたいずれかの機会に

 

(にしてももう少しまともな飯食ったらどうだ?)

 

「腹膨れれば何でもいいでしょ」

 

彼女…正しくは頭の中の声が元々扱っていた武装である『エターナルエッジ』と呼ばれるナイフを手入れしながら適当にそう返す

彼女自身はダガーナイフでいいのではないかと思っているが、頭の中の声によりそう呼んでいる

 

「えんやこらさ~、すっとこどっこいひろさ~♪」

 

そんな感じで歌いながらナイフの手入れを終えると、傍らにあったパンを口に含む

因みにそのパンだが、長い間放置されたことによりもはやカビそのものと言ってよかった

だがそんなことを彼女は気にしない、何を食べても同じなのだから

 

(カビ生えてるやつを食うか…)

 

「もともと死体だったのに食ったことないの?」

 

(逆に聞くが食ったことがあると思ってるのか?それと殺されたいのか?)

 

「いや?」

 

(地獄に送ってやろうか?)

 

そういうが頭の中で存在しているだけなので何もできはしない

ただそろそろ移動する頃合いかとも思っていた

 

「じゃあブリタリアでも行く?」

 

(何がじゃあなんだ何が…まぁ別に構わんがな)

 

「じゃあ決まりだね」

 

そう言って自身のユニットである『零式艦上戦闘脚一一型』を履く少女

あちこちボロボロなうえ、所によっては内部構造が見えている始末である

それでも魔力を通せば動くあたり、これを開発した研究者を流石というべきか、ちょこちょこ自分で整備していた彼女を褒めるべきか…

 

「これもいつまで持つかな…ま、別にいいか」

 

そう言いながらユニットに魔力を込めて空へと飛びあがった

 

 

時々落ちそうになりながらも、ブリタリア近くの空域まで到着した彼女

ネウロイとの戦闘はあったものの、同士討ちさせるか、またはナイフで切り刻むかのどちらかで突破した

ただ予想外だったのは

 

「ブリタリアが落ちてないとはね…」

 

そう、未だにブルタリアが落ちていない事だった

まじめな話、どうせ陥落していると思ってブリタリアに来てみたのだが、とんだ誤算である

取り敢えず欧州へ引き返そうとした彼女だったが

 

「とまれ!」

 

レーダーか何かで探知されていたのだろう、瞬く間に付近を哨戒中だったであろうウィッチ達に囲まれてしまう

 

「こちらは第501統合戦闘航空団のゲルトルート・バルクホルン!そこのウィッチ!官姓名、所属部隊を述べよ!」

 

その中でいかにも真面目そうなウィッチがそう述べる

服装から察するに恐らく今はネウロイに飲み込まれているカールスラントの軍人だろうと考えた

というよりブリタリアにカールスラント軍人がいるとは、追い詰められて混成部隊でも作ったのかと考える

まぁ彼女からしてみればだから何だという話だが

 

「聞こえないのか!」

 

そんなことを考えていると、バルクホルンと名乗ったウィッチが再度警告してくる

 

(どうする?やるか?)

 

そう聞いてくるがぶっちゃけ知らないウィッチを殺すのは気が引ける彼女

あの時は躊躇なく殺したがそれはやり返しという名目があったから

無関係あろうウィッチを殺すのは気が引けていた

とはいえこのまま黙っていてもどうせ連行されるだろう、そしてそこから銃殺という流れが目に見えている

ならばと彼女がとった行動が…

 

「なっ!?」

 

そう、逃げるである

いかに奥の手があるとはいえ、そうホイホイと使いたくない

というか使ったらまた遭遇した時に対策を取られる可能性があるため、ここは逃げの一択だった

あまりに予想外な行動に思わず反応が遅れるウィッチ

その時間を利用してどんどん距離を離し、欧州上空に近づく

このまま逃げ切れると思った彼女だったが、次の瞬間、目の前に二人のウィッチが現れていた

 

「はっはっはっ!まさか逃げの一手を取るとはな!」

 

「しかしネウロイじゃなくてウィッチだったなんて…」

 

片方は右目に眼帯をして猫耳が生えているウィッチ、もう片方は狼のような耳をはやしているウィッチだった

だが少なくとも自分並みか、それ以上の激戦をくぐっていることは気配で分かった

その証拠に先程から隙が無くて逃げれない

そうこうしているうちに追いかけてきたウィッチ達が追いついてしまった

 

「さて、いい加減話してもらおうか…お前は誰だ?」

 

眼帯をしたウィッチがそう聞いてくるが、彼女からしてみれば答える義理がない

とはいえ囲まれている現在、答えるしか道は残っていない…彼女以外ならばであるが

 

「答えるつもりなんてないから、悪いね」

 

「ほう…なら基地に連行してから聞くとしよう」

 

そう言うと囲んでいるウィッチ達の纏う雰囲気が変わる

その時、彼女とウィッチらの間をビームが突き抜けた

無論回避したのであるが、そのビームを放ったものの正体は

 

「…面倒なのが来たね…ネウロイ…」

 

恐らくブリタリアを焼きに来たのだろう、制空型と爆撃型のネウロイが接近していた

すぐさま囲んでいたウィッチ達が迎撃しようと戦闘態勢に移ろうとしたその時

 

「邪魔」

 

そう言って眼帯をつけたウィッチと狼の耳をはやしたウィッチを押しのける彼女

何をするのかと言おうとしたが

 

「目に入られると面倒なの、黙ってて」

 

そう言うと持っていたナイフを手の中で回転させると同時に、左手に何かを持つ

すると彼女の纏っている気配が明らかに変わる

彼女自身ともう一人何か禍々しい気配を纏っていた

そして

 

「『さぁ、地獄を楽しみな』」

 

彼女しか喋っていない筈なのだが、今喋った声にはもう一人男の声が混ざっていた

それはとにかく、そう言ってナイフに左手に持っていた何かを差し込んだ

すると

 

『ETERNAL MAXIMUM DRIVE』

 

そんな音声が流れたかと思うと、次の瞬間ネウロイの動きが止まる

いやそれだけではない、輝きを失ったかと思うと次々と自ら墜落していったのだ

それを見て唖然としているウィッチ達を放って、彼女がつぶやいたのは

 

「単純だね」

 

そんな言葉だった




細かい突っ込みはしないでくれると助かる
サイトで見た知識しかないから
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