貴方は中央トレセン学園から追放されることを希望しています。   作:はめるん用

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蒙古たん、ナトリ、カプヌのとうがらしなども好きですが、ポロいち味噌に焼肉のたれで炒めたモヤシをのせて食べるラー油をたっぷりかけていただくのも好きです。


わるもの。

 チート転生という特権を存分に使い自由気ままに悪役トレーナー生活を楽しんでいる貴方ですが、別にウマ娘のトレーナーライセンスを獲得してから急に自分勝手な生き方を始めたワケではありません。

 転生したときから好き勝手に生きることを人生の目標とした貴方は、学生時代にもかなりのヤンチャを繰り返しています。それこそ頼れる友人たちと背中を合わせて数多の修羅場をその拳で潜り抜けるほどヤンチャなスクールライフをエンジョイしてきました。

 

 さすがはウマ娘の世界とでも言うべきか。なかなか人間離れした武術を扱う者が多く、退屈とは無縁の日々を貴方は存分に満喫していたようです。

 水滴をライフルの弾丸のように飛ばしてくる特撮好きのイケメンだったり、特注のハサミを鮮やかに操る制服&妹マニアの残念なイケメンだったり、筒状の道具から妖怪のようなモノを呼び出し使役するクールなイケメンだったり、鬼を斬るのが使命であると一振りの刀と共に全国各地を放浪するイケメンだったりと、なんともバラエティー豊かな交友関係を貴方は獲得しています。

 

 それぞれの出会いと友情を交わすまでを説明するにはひとりにつき単行本3巻分は必要になるので割愛しますが、とにかく学生時代の貴方は決して優等生などではありませんでした。

 そう……実は貴方はチート能力を惜しみ無くフル活用して鍛え上げた肉体で、東西南北あらゆる喧嘩に首を突っ込んでは自分が満足するまで暴力を楽しむ正真正銘の問題児にして大悪党だったのですッ! 

 

 具体的には貴方に内緒で密かにつけられた『仁哮義侠』の二つ名を聞くだけで弱者相手にしか強気に出られない半端なアウトロー気取りなど簡単に追い払えますし、有事のさいに貴方がひと言「力を貸してくれ」と言えば理由を聞くよりも先に駆け付ける者が何人もいる程度には大悪党です。

 

 さて、そんな貴方ですから中央トレセン学園に通う思春期のウマ娘たちのルール違反をいちいち注意などするはずもなく──。

 

 

 ◇◇◇

 

 

「らっしゃい。お、ニイちゃん。今日もべっぴんさん何人も連れて、大した色男してんねぇ? ま、ウチは儲かるから別にどれだけ連れてきても──あぁ、いや。ちょっとだけ遠慮してほしい子たちもいるっちゃいるんだけどよ。いやぁ~、ホントにちょっとだけな? ダハハハハッ!」

 

 徐々に秋も深まり屋台メシを楽しむには肌寒い季節になっていますが、だからこそ夜の屋台で食べるラーメンの美味しさは格別というもの。

 しかし、アスリートにとって適切な時間以外での食事はマイナスでしかありません。美味しいから大丈夫だという免罪符も、体重の増加という審判の前では無効です。

 

 さらにはこうして校則違反のウマ娘たちを咎めることなく当たり前のように一緒に食事をしているワケですから、貴方の評価は地の獄の底の底まで下落して閻魔大王の補佐官も扱いに困るレベルで低下していること間違いなしでしょう。

 

 ただこうして美味しくラーメンを食べるだけで追放計画が加速する。

 なにをしても勝利にしか繋がらないこの運命力こそが最強のチート能力なのでは? と最近の貴方は自画自賛のスタイルが少しだけ変化していました。

 

 

 ちなみに。貴方はこの校則違反ウマ娘たちの詳しい事情などまったく知りませんし、興味もありません。なぜなら貴方は悪のトレーナーであり、明日にでも追放されるかもしれない身分ですので、知ったところでなにも変わらないし変えられないと確信しているからです。

 

 もちろん相手の都合など無視して悪用するのが悪役トレーナーとしての正しい姿。こうして一緒に行動することにより責任だけは全部総取りでヘイトを稼ぐ、なんと見事に計算され尽くした悪役ムーヴでしょうか! 

 理想としては現行犯として駿川たづな秘書に発見されその場で断罪されることですが、そもそも彼女も夜になれば自宅に帰り休息を取らなければなりません。論理的思考によりエンカウントを期待するのは無意味であると貴方は早々に諦めています。

 

 

「う~、ハラへったぁ~! いや、この時間に食うラーメンってマジ悪魔的にうめぇんだよなぁ~」

 

「夜ごはん、食べ損ねちゃいましたからね。ヒシアマちゃんがお夜食作りましょうかって言ってくれてはいるんですが……」

 

「いやぁ、さすがに後輩にそこまでさせるのはちょっと、ねぇ? こう、やっぱ違うじゃん」

 

「てゆーか、ソコ気にすんなら自分でやれよって話な! カップ麺でもコンビニ弁当でもなんでもあるじゃんっていうね!」

 

 

 テーブル席で和気あいあいと食事が運ばれるまでの時間を楽しむウマ娘たちの声。それを背中越しに聴きながら屋台のカウンターで飲むウーロン茶のなんと美味なことか。

 もちろん校則違反を犯しているワケですから、彼女たちの行動は決して褒められたモノではありません。ですが貴方には自分自身も社会のルールから情熱的なほどはみ出た学生生活を満喫してきた過去があります。

 

 そんな人間が他人に道理を説くなど、いったいなんの冗談か。そんなものにいったい誰が耳を傾けるというのか。

 過去の行いがいまの自分の行動に説得力を与えてくれる、やはり日頃の積み重ねによって形成されるバックボーンは大事であると貴方はとてもご機嫌なようです。

 

 

 ウマ娘たちのもとへラーメンなどの主食が運ばれ、貴方の目の前にも餃子のお皿がコトリと置かれたところで。

 

「よう。邪魔するぜ」

 

 貴方が返事をするよりも先に隣に座ったのは──アプリでは不良ウマ娘たちの拠り所としてお馴染みのイケメンウマ娘、シリウスシンボリでした。

 もし、このまま無言で餃子のお皿を持って別の屋台に移動したら……と好奇心が疼いた貴方でしたが、それをしてしまうと格好よく登場したシリウスシンボリが可哀想なことになりそうなので、短く「おぅ」と答えておきましょう。

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