貴方は中央トレセン学園から追放されることを希望しています。   作:はめるん用

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とりあえずキリの良いところまで集中するとして、今シーズンのオマケは誰にしたものか。
現段階ではグラスワンダーを中心に、スペエルキングスカイあたりを登場させたいな~とか考えています。


くるま。

 過去の貴方は真面目な守銭奴トレーナーを目指していましたので、嗜みのひとつとして前世と同じく運転免許証を獲得しています。

 

 運転技術そのものについてですが、そちらに関してはストレートで全ての試験に合格していますし、チート能力に頼らなくとも無事故無違反ということで“上手いかはともかく少なくとも下手ということはないはず”というのが貴方の自己評価になっています。

 さすがに前世で有名だった某オープンワールドゲームのように警察組織に追いかけられながらアクロバティックな運転などはしたことがありません。せいぜい学生時代に履き物の鼻緒が切れて困っていたご年配の和服ウマ婦人を自転車の後ろに乗せて安全運転で爆走したり、電磁槍で武装したバイク集団と回転式機関銃で武装したヘリコプターから逃げるため仲間たちを荷台に乗せて軽トラックで爆走したことがあるぐらいなものです。

 

 

 そんな過去の経験が現在に活かされているのかは不明ですが、取り引きの都合によりウマ娘たちを車やバイクで運ぶ貴方の姿は中央トレセン学園においてそれほど珍しい光景ではありません。ありませんが……。

 

 

 ◇◇◇

 

 

「これが、道の駅限定スペシャルDXフルーツパフェなのですね……ッ! そう、これは合宿で充分なトレーニングを行うために必要なエネルギーを摂取する行為なのですから、仕方ない、仕方のないことなのです……ッ!! それでは失礼して──はむッ♪」

 

「……なぁスカーレット。マックイーンのヤツ、まさかここのパフェ食うためにトレーナーさんの車に乗ったとかないよな?」

 

「さすがにそれは違うでしょ……。途中で寄り道するって決めたのはトレーナーさんなんだから……。ま、まぁホラ、長距離移動には適度な休憩も必要だから」

 

「マヤノ! あっちでメロンパン焼き立てだって! しかも好きなアイスクリームを挟んで食べられるらしいよッ! これはもう食べるしかないでしょ!」

 

「アイコピー! フフ~ン♪ こーゆータイミングをバッチリ逃さないのもイイ女の特権だってマルゼンちゃんも言ってたからね♪」

 

「みんなでトラベル出会いはミラクルご当地グルメもマーベラス☆ うんうん、マーベラスな青空の下で食べるもつ煮込みうどんと鯖寿司のセットもとってもマーベラス☆」

 

 

 なぜ自分が担当でもないウマ娘たちを車に乗せて合宿先に向かう途中の道の駅で一服するような状況になってしまったのだろうか? そんな疑問を抱きつつ貴方はキンキンに冷えたメロンソーダに口をつけます。

 

 アプリでは学園に所属するウマ娘全員が合宿に参加していると予測できますが、少なくともこの世界では予算等の都合により合宿に参加できるウマ娘の人数は限られていることを貴方は知っています。

 また、詳細については興味がないため把握していないものの全員が合宿でトレーニングできるように大勢の関係者が様々な努力を続けていることも察しています。メイクデビュー前の、本格化がまだまだ途中のウマ娘たちも短期間ではありますが夏合宿を体験させようという計画も、そうした努力が実を結んだからこそ実現したことも想像できることでしょう。

 

 ですが。

 

 

 ──なんで、俺が送迎をしているんだ? 

 

 

 悪役トレーナーとして活動しているものの、貴方は保有する車両について学園側にちゃんと報告しています。なぜならば報告を怠った場合、処罰を受けるのは自分だけではなく学園側も含まれることを理解しているからです。

 

 ヘイトコントロールに絶対的な自信と揺るがぬ美学を持つチート転生者としての矜持はもちろん、いつかアニメに登場した沖野トレーナーのように、夢に向かって努力するウマ娘たちを送迎してくれるトレーナーたちのためにも車両による不手際など言語道断。

 そんな事情もあって、学園側がウマ娘たちを送迎できるだけのキャパシティーを備えた車両を貴方が所有していることは当然の権利のように把握済み。なんなら貴方の知らない間にどの車も様々な小物で内装がデコレーションされているぐらいです。

 

 しかし。

 

 

 ①夏合宿に参加できるウマ娘の人数を増やそう。

 

 ②そのためにはウマ娘たちの移動手段が必要。

 

 ③自分はウマ娘を送迎する手段を持っている。

 

 ④なので自分にウマ娘たちを送迎させよう。

 

 

 やはり何度考えても意味がわからない、どんな思考回路をしていればこれらの事象が繋がるのだと貴方は難しい表情のままストローで氷をカラカラとかき混ぜています。

 どうやら大事なウマ娘たちの送迎を頼む相手として、どう考えても不適切である自分を選択肢に加えることを良しとしたトレセン学園の意図を理解できない様子。

 

 

 ウマ娘たちのため、まして大義名分があるのなら。秋川やよい理事長であれば嬉々としてポケットマネーからバスのチャーター代金ぐらいポンッ! と出しそうなものなのに。

 実績も経験もなければ信用もやる気も持ち合わせていない悪役トレーナーの自分を利用して、いったいなにを企んでいるのだろうか?

 

 これはただの夏合宿ではない、確実に裏の目的が隠されている。面白い、チート転生者であるこの俺を出し抜こうなどという浅はかな考えがどれだけ儚い幻想であるかを教えてやろう。

 

 

 今回の知恵比べ、追放計画の片手間に楽しむには丁度よい暇潰しになるかもしれないと機嫌よくメロンソーダを飲み終えた貴方は、手元を覗き込んでいるマーベラスサンデーが奏でる生姜の甘酢漬けをボリボリ食べる音も気にせず今後送迎予定のウマ娘たちについて確認をするのでした。




ちなみに作者の初ウマ育成はダイタクヘリオスでした。

『一番人気だしクラシックで負けてるから凱旋門にレジェンドも出てこないし余裕だろ』とか気楽に考えてたら目覚まし時計フルで使うことになって焦りましたけど。
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