貴方は中央トレセン学園から追放されることを希望しています。 作:はめるん用
やったぜ。
①ビワハヤヒデが模擬レースで走る姿をナリタブライアンに見せる。
②勝利したところを重箱の隅をつつくようにネチネチとダメ出しをする。
③究極で完璧な我がお姉ちゃんを侮辱するなど許すワケにはいかんッ!!
④トレセン学園を追放される。
本日も理想の追放を目指して通常営業中の貴方は今回もいつものように素晴らしい追放計画を閃き、黙々と課題を頑張っているハルウララとツインターボの集中を乱さないよう心の中で勢い良く立ち上がりました。
ターゲットから直接ヘイトを稼ぐのではなく親しい身内を利用する。以前メジロライアンとアイネスフウジンを相手に実行し貴方の中では大成功として記録されている信頼と実績に満ちた追放プランです。
基本的に貴方は一度の成功体験に囚われてしまうことを恐れ、常に多角的な視点から追放計画を考え実行するように心掛けています。しかし、どうやらこの度は成功した事例を踏襲するのもまたひとつの答えなのでは? と考えた様子。
しかも今回は正真正銘の身内、妹大好きな姉と姉大好きな妹という理想的な組み合わせです。ここに最強チート転生者である貴方が考案する追放計画が重なるのですから、その多次元的超密度に対抗しようとするなら蝉の抜け殻レベルの代物を用意しなければとても太刀打ちできないことでしょう!
しかも向こうは生成されるまで土の中で七年という年月を必要とし、その後は七日間という短い期間で命の煌めきを燃やし尽くしてしまいます。ですがこちらは頭の中で七秒ほどで完成し繰り返し利用できますので、時間的パフォーマンスで比較すれば悪役トレーナーとして活動する貴方の頭脳は蝉の抜け殻よりも優秀であることが同時に証明されるのです!
数字の七がたくさん並び貴方の記憶領域が今日も大安吉日であることが確認できたところで、具体的な内容について検討を始めましょう。
最大の問題点はナリタブライアンの行動をどのようにしてコントロールするか、という部分です。ビワハヤヒデとは取り引きの関係で微々たるモノながら交流がありますが、ナリタブライアンはすでにSクラスの老トレーナーと正式に契約しているウマ娘です。
ログインボーナス感覚で戸棚からジャーキーを勝手に持ち出していることは知っていますが、そこにビワハヤヒデのために模擬レースをセッティングするからお前も参加しろと言ったところで簡単に了承するとは貴方は思っていません。
あるいは、ヒシアマゾンなどを利用することも考えましたが……肝心の我らが姐さんウマ娘は現在うっかり赤点を取ってしまい陸に打ち上げられた鰯のような表情で教科書とタイマンの真っ最中です。
なぜそのことについてフジキセキは自分に相談してきたのか、なぜ当たり前のように自分のルームで勉強しているのか、その理由についてどれだけ考えても貴方は答えにたどり着くことができず一時は混乱しましたが、とりあえず追放計画には影響はないだろうと無視することにしたようです。
もしくは、ナリタブライアンが肉食を好んでいることにつけ込み、友人から送られてきた和牛食べ比べセットで釣る作戦も考えました。しかしいくらナリタブライアンがお肉大好きウマ娘とはいえ、真剣勝負に餓えている彼女のプライドがその程度の安っぽいエサに食いつくとは思えません。なのでそちらはタマモクロスに黙って食べさせてからネタばらしをして面白リアクションを堪能しています。
餓狼ナリタブライアン、やはり一筋縄ではいかない強敵か。しかし、だからこそ挑む価値がありヘイトコントロールが成功した暁には悪役トレーナーとしてさらなる成長、さらなる進化、さらなる飛躍を遂げることができるのだと貴方はワクワクが押し寄せている様子。
それはそれとして、模擬レースについてはしっかり真面目に考えなければいけません。ウマ娘の脚は唯一無二の財産であり、それを自分勝手な目的のために無駄遣いしようというのですから、参加者全員が成長の糧となるようなレースを開催するのは当たり前のこと。
特にビワハヤヒデには勝利の方程式を完成させるという目標があることを忘れてはいけません。100パーセントの全力で走り、その結果が100パーセントの勝利となるような環境を整え、その上で問題点を見つけ出して扱き下ろし、しかもほかの参加するウマ娘たちが本気で勝利を望むのであれば彼女たちにも勝ち目を狙えるようなトレーニングとレースプランを用意する必要があると貴方は考えています。
いいだろう、簡単にクリアできるゲームなどなにも面白くない。無敵のチート転生者であるこの己の手を煩わせて、せいぜい楽しませてみるがいい。勉強するウマ娘たちの邪魔をしないよう心の中で高笑いをする貴方は、補習から逃げ出した赤点組のウマ娘をどうにかしてほしいと頼みにきた教員からリストを受け取りバンブーメモリーとエアグルーヴを抱えてルームから飛び出しました。
コスパという言葉は普通に使えるのに、タイパと言われると一瞬「うん?」となる作者はオールドタイプ。