貴方は中央トレセン学園から追放されることを希望しています。 作:はめるん用
地方との交流会ですが、もちろん貴方は詳しい内容などは綺麗さっぱり知りません。悪役トレーナーである自分はヘイトを稼ぐこととウマ娘たちの安全を死守することだけに集中すれば良いと割り切っているからです。
仮に参加している中央トレセン学園側のトレーナーが貴方ひとりだけであれば違ったのかもしれませんが、ウマ娘たちの信頼どころか全面的に嫌われている人間のクズに遠征を一任するはずがありません。ちゃんとほかにもさまざまなランクのトレーナーが名門・エリートを含め参加していますのでご安心下さい。
今日はどんな手段で嫌われようかとワクワクしながら流されるまま周囲に合わせてお気楽に動くだけの無責任な貴方。
取引中のウマ娘たちも交流会に参加するために同行していますので、深く考えずとも彼女たちの予定に合わせるだけの簡単なお仕事です。
ちなみにいつもの黒ジャージ姿の貴方の両隣には三冠ウマ娘のミスターシービーと短距離・マイル覇者のマルゼンスキーが、ほかにもクラシック路線やティアラ路線も含めたGⅠ勝利ウマ娘でタマモクロス、アイネスフウジン、メジロライアン、エアグルーヴ、サイレンススズカ、アドマイヤベガ、ビワハヤヒデ、ライスシャワー、マンハッタンカフェ、ヤエノムテキ、シンコウウインディ、タップダンスシチー、ケイエスミラクル、シンボリクリスエス、ナカヤマフェスタなどがお揃いの黒ジャージを身に纏い一緒に歩いていますがこれはいつも通りの日常風景なので貴方の評価にはなにも影響しないことでしょう。
ちょっと有名なレースで活躍しているだけで同じ学生だろうに、なにもそんなにガチガチに緊張しなくても……と。
まるで想定外の殿上人でも相手させられているかのような態度で案内役を務める地方トレセン学園所属のウマ娘たちに先導されて歩くことしばらく。
今回の遠征という名の交流会の目的である“中央で活躍するトレーナーの指導を受けて模擬レースを開催する”ために集められた地方のウマ娘たちとの顔合わせとなりましたが、用意されたルームに入る瞬間までは外まで溢れていた緩い空気が一瞬で張り詰めたことを貴方は正確に感じ取っています。
そのあまりにも露骨なウマ娘たちの態度の変化にはさすがの貴方も苦笑いするしかありません。中央で活躍するトレーナーの指導という名目でありながら明らかなハズレ枠を引き当ててしまったという事実に気づくことができず、ただ中央というブランドに萎縮している姿は微笑ましくもあるからです。
しかし考えようではこの状況も「騙して悪いが」という悪役ムーブ的に繋がるので貴方としては喜ばしい勘違いなのでしょう。
中央所属の優秀なトレーナーに指導されているつもりのお前たちの姿はお笑いだったぜという決めゼリフもたったいま用意したようです。
そこまで予定が埋まれば、あとは交流会の最後の模擬レースまで地方ウマ娘たちをどのように育成するのか、ですが────。
①地方ウマ娘をほかの中央トレーナーが連れてきたウマ娘に勝てるまで鍛える。
②普段はなにもしないクセに他所でばかり真面目に働くとはなんていい加減なヤツだッ!
③しかも名門と呼ばれる先輩トレーナーに堂々と歯向かうなど社会人としての礼儀がなっていないッ!
④中央トレセン学園から追放される。
これこそが伝説と呼ばれた蒼月鳥の涙のレシピも後ずさりして逃げていく、チート転生者である貴方にしか閃くことができない追放までのフルコースメニューです!
隠し味として忍ばせたひと掴みのジョロキアぐらいの慎ましさで希望的観測が見え隠れしているような気もしますが、仮に相手が飲食を拒否してきたとしても柔らかく微笑みながら「愛する家族と過ごす時間が尊く幸せなものであると、キミもそういった認識なら嬉しいね?」と優しく語りかけながら肩をポンッと叩くことで喜びの涙を流しながら美味しい美味しいと食べてもらえるかもしれませんね!
こうして今回の追放計画も無事に決定しましたが、レースに関する部分については何故か貴方もしっかりと現実が見えています。
地方ウマ娘たちは伸び代こそあるものの、基礎能力は明確に劣っているため中央ウマ娘たちに勝てる可能性は2割にも満たないと判断したようです。
普通のトレーナーであれば頭を悩ませる数値かもしれません。
しかし悪役トレーナーである貴方に悩むための頭はありません!
2割の勝率を掴むことができれば計画通り、仮に失敗したとしてもあらかじめ必ず勝たせると豪語しておけばホラ吹きのクソトレーナーとしてヘイトを稼げると上機嫌な様子。
幸いなことに、理由は欠片ほども想像ができませんが指導を割り当てられている地方ウマ娘たちは育成評価が最低のトレーナーである貴方に対して舐めたような態度を僅かたりとも見せていません。
貴方は今日も順調に追放に近付けることの喜びをそのままに、地方トレセン学園のウマ娘たちへ「それじゃあ早速始めようか? お前たちが自分の走りで勝つための準備をな」と笑いかけるのでした。
デイリーレースを消化したつもりになって夜中に慌ててアプリを起動する自分の姿はお笑いだったぜ!
いつも最初に済ませるのですが、たまに違う順番で遊んでいるときにぼちぼちやらかします。