貴方は中央トレセン学園から追放されることを希望しています。   作:はめるん用

202 / 223

 投稿時期は新年でも中身は年末という不思議。



ありま。

「今年もついにやってきました年末のオールスターウマ娘ちゃんたちによる大決戦もちろん取り残されることも置いて行かれることもなくしっかりバッチリじっくりその勇姿をこの目で堪能させてもらう所存ではありますがそれはそれとして全てのウマ娘ちゃんが等しく尊い存在として崇め奉る立場のデジたんとしては人気投票というシステムを積極的に受け入れることができなかったワケでそんな無責任な立場でありながらこうしてレース場に現地入りして許されるのかなんて思う気持ちも少しはありましてですねでもひとりのファンとしてはやっぱりテレビ画面越しではなくライブ感を味わってこその推し活だと言い訳しながら毎年のように参戦していたところをこうしてトレーナーさんに連れられることにより堂々と観客席へ向けて歩き出せることには感謝しかないのですがただでさえトレーニングのときも大勢のウマ娘ちゃんたちと触れ合うというシャインがスパークしてしまうほどの経験をさせてもらっているのに一緒に有マ記念を観戦するなんてご褒美を何度も繰り返すとか最早エンペラー級の贅沢でしてそもそも今回出走するウマ娘ちゃんたちのトレーニングのお手伝いとかいう前世と今世と来世まで含めた徳を使い果たしたレベルの幸せを味わわせていただいているワケでしていやでも決してこの環境に不満があるなどということではなくてですね本当にもう推し活の喜びとライン超えの罪悪感の間でメンタルがもう反復横跳びのマッハスペシャルが止まるんじゃねぇぞぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!! あ、トレーナーさんこのタコ焼きモフモフのモッチモチで美味しいですよ〜♪ おひとついかがですか?」

 

 

 なるほど確かにモチモチである、と。アグネスデジタルのほっぺたを指先でズビシッと嫌がらせを実行したもののポンッと膨らませて反撃されたことで「ほぅ、ついに抗ってみせたか。やるじゃないか」と感心する貴方の本日のお楽しみはもちろん有マ記念────ではありません。

 

 取引中のウマ娘たちの中に今回を引退レースと定めている者が複数人いるため、最後の煌めきを堪能すると同時にいつものように常人離れした巧みな言動で完璧なヘイトコントロールを実行するためです。

 人外の力を獲得し一心不乱の大戦争を楽しみついには人類側の司令部に乗り込み残すは家柄しか取り柄がなく他人に言われた()()()をこなすことしかできない自他ともに認める無能でありどうして重要組織のメンバーに選ばれたのか理解できない海軍中将を追い詰めたときの吸血鬼のように当然貴方はトレセン学園を出発するときから油断などしていませんでした。

 

 

 まずは身嗜み。こちらは悪役や追放とは関係なく社会人として最低限のマナーとして清潔感を蔑ろにすることはできませんし、やはり悪役の見た目が貧相では正義の味方の活躍が引き立ちません。

 その上で貴方はすっかりお馴染みとなった銀幕スタァの浪漫スタイルではなく普段通りの黒ジャージ姿を選択しました。ウマ娘たちにプレッシャーを与えるための装いではありますが、あえて引退レースというタイミングでそれを外すことによりワクワクしていることを巧妙にカモフラージュするのが目的です。

 

 ついでに愛用している薄紅色の刀身が美しい仕込み杖も趣味であるトレーナーごっこの傍らに様々な良くないモノを斬っているためちょうどメンテナンスに出す必要があったので好都合でしょう。

 

 

 そしてウマ娘たちを送り出すときの対応も貴方は彼女らの最後の本気の走りを惜しみつつも楽しみであるという心情を完璧に隠匿することに成功しています。

 具体的にはレースに関する話題や取り引きに関わるような話題を一切持ち出すことなく、まるでなんの変哲もないいつもの日常のような会話のみを続け、まるでちょっとコンビニへ行くかのような気軽さの雰囲気のなかでウマ娘たちが控え室へ向かう様子を見送っています。

 

 最後のレースということで本日までのトレーニングや作戦について微に入り細を穿つ心構えで調整した結果、夜遅くどころかルームに泊まり込むことになってしまったところを駿川たづな秘書他に目撃されてしまいましたが今回のテーマは引退する取引ウマ娘のヘイトコントロールなので問題ありません。

 

 

 ところどころに計画性の甘さが見えるような気もしますが、常人ならひと口で頭痛に襲われるとしても貴方の頭の頑丈さと幸運の前では無意味ですので結果論的には今回の追放計画も完璧であると言っておくしかありません。

 さて、貴方のメンタルハッピーセットがいつものように完売したことについての確認は特に必要ありませんのでより価値のある出走ウマ娘たちの様子に注目します。やはりライバルのラストランというものには敏感なのか、いつも以上に緊張感のある面持ちとなっていました。

 

 能力の限界というネームドウマ娘とモブウマ娘の間にある壁について複雑な想いを抱きつつ、それはそれとして取引ウマ娘たちの輝きをしっかりと目に焼き付けることにしましょう。





 今年も本作を何卒よろしくお願いします。

 今回で高等部メインの話は終わりますが、高等部のウマ娘たちの出番が無くなるワケではないのでご安心ください。
 年齢や時間経過については考えてはいけない。クレヨンしんちゃんだってダイヤル式の固定電話とスマートフォンが共存していますからね。

 キミたちは、時間についてなにも気づかない。いいね?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。