貴方は中央トレセン学園から追放されることを希望しています。   作:はめるん用

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 ウマ娘とは関係ありませんが、FEエンゲージの女性主人公の顔が少しスペッとしたモッチイーンみたいだな〜と思ってます。



けっぱれ。

 学生のための教育機関であると同時にアスリートのための訓練施設でもある中央トレセン学園ならではの特徴として、有マ記念や東京大賞典といった年末のGⅠレースをひとつの区切りとすることが挙げられます。

 通常の学校でも年末年始の教職員の皆様はもちろん、受験生などは気の休まらない時期が続くことでしょう。当然ながら悪役トレーナーとして追放される予定の貴方には全く関係のない話なので今日も今日とて沢山の書類をキャベツの千切りの如き速度でタンタンと処理しています。

 

 その内訳は大きく分けて2種類。まずはウマ娘たちの健康管理に関する書類です。名門と呼ばれるトレーナーたちが連名でウマ娘のレース等による怪我などを含め、彼女たちの学生としての権利と安全を護るために様々な働きかけをした結果、こうした業務が日本全国のトレセン学園で追加されました。

 

 さすがは名門、一流の中の一流とは勝利だけでなく多角的な視点からウマ娘たちのことを想っているのだな……と、貴方は感心するばかり。しかしそれはそれとして自分が取り引きしているような単独出走のウマ娘たちのことが気にならないと言えば嘘になるのでしょう。

 その書類が有効であるためにはURAが正式に認めたトレーナーの直筆が求められることを知った貴方は、担当でもないウマ娘のためにそんな面倒なことをするトレーナーなど存在するのだろうか? と疑問を持ってしまったからです。何故か自分のルームに届いた大量の書類を前に考え込んでしまうのも無理はありません。

 

 どうにかコレの処理を済ませなければレースに出られない高等部のウマ娘たちが100人以上出てくるが如何するか? と誰もがご存知の信頼性を誇る総身の知恵を総動員していたところ、ミスターシービーから「それは普段、みんなのトレーニング計画表を添削してるのとなにが違うの?」と言われたことにより解決しました。

 最低評価のGランクトレーナーでもURAが認めたという事実は事実。健康状態など完璧に把握していますし、幸運にも友人知人には何人ものお医者さんがいるので万事滞りなく処理が進んでいます。

 

 

 もうひとつの書類は、レースを引退することになったウマ娘たちの進路に関する物です。どうして事務局の職員が真面目に働きもせずルームを占拠して好き放題ダラダラしている名誉ニートの自分のところにそのような真逆の性質を持つ書類を持ち込んできたのか貴方にはまるで理解できません。

 その行動を訝しんでいる貴方のことなどお構い無しにニコニコ笑顔の事務員さんが語るには、なんでもレースを引退するウマ娘の中には挫折によりそのままトレセン学園そのものを去ってしまうウマ娘も少なくなかったそうです。それが現在ではアスリートを引退したあとも学生として新たなゴールを目指して歩き始める生徒が大勢いるとのこと。

 

 なるほど、この大量の書類は嬉しい悲鳴というカテゴリーではあるのかと納得しつつも無関係の自分のところに持ち込んだ理由がわからないと言う貴方の文句を無視してよろしくお願いしますねと置いていかれてどうしたものかと悩んでいましたが、ミスターシービーから「それは普段、みんなのトレーニング計画表を添削しているのとなにが違うの?」と言われたことにより解決しました。

 真面目にトレーナー業務を遂行してお金を稼ごうとしていた時期の名残りにより、貴方の人脈であれば海底調査基地から宇宙開発ステーションまで地球圏内であれば取り敢えず職場を紹介することが可能です。ついでに各地に散らばったウマ娘たちと情報を共有して特定のウマ娘の現在位置を把握できるアプリ【日刊STG】の開発も進みドリームジャーニーも常にご機嫌で一石二鳥というもの。

 

 

 やるべきことは普段と変わらない、そして自分の行動は全て追放という名のゴールを目指している、つまりこれらが追放計画に影響を及ぼすことはない。今日も冴え渡る冷静で的確な判断、きっと中等部のウマ娘たちがメイクデビューを果たすまでも果たしてからも貴方の悪役ムーブは留まるの意味を知ることはないでしょう! 

 

 

 それはそれとして大量の書類仕事を続ければ気持ち的に外の空気が恋しくなる程度の普通の感性だって仮にも人類である貴方はちゃんと持ち合わせています。

 作業の合間にマンハッタンカフェが用意してくれたコーヒーもヒシアマゾンが用意してくれたサンドイッチも絶品ではありますし、戸棚の中にあるお菓子等も賞味期限の早いものから順番にエアグルーヴがテーブルの上に出しておいてくれたりもしますが、屋内での休憩と屋外での休憩は一味違うので仕方ありません。

 

 本人の名誉のために実名は伏せますが頭先頭民族と頭フワフワを寮長に引き渡すための犠牲となり朽ち果て再誕を果たしたハリセン【ぎんなんカプカプ】の試し斬りの犠牲となったアグネスタキオンとオグリトレーナーを畳エリアの端っこに片付けて、貴方は特に音の鳴らない肩を適当に動かしながらルームを出るのでした。

 尚、自分のトレーナーをしばかれたオグリキャップはいつものことなので気にすることなくコタツでほかのウマ娘たちと知育菓子パーティーを楽しんでいます。

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