貴方は中央トレセン学園から追放されることを希望しています。 作:はめるん用
(ぱかチューブ)
セイウンスカイもゲーム実況してましたが、正直あの回はカルストンライトオが強すぎるなと思いました。主にキャラクターの濃度的な意味で。
「いや、別に並走トレーニングはいいんだケドさ。あたし得意なん差しだけど? 参考になるん?」
「モチのロンですよ先輩♪ むしろセイちゃん的にはホラ、逃げウマ娘なので遠慮なく後ろからプレッシャーかけてもらったほうが勉強になるんで」
「プレッシャーて。そーゆーの、あたしのキャラじゃなくね? まぁ、スカイちゃんがそれでイイってんなら……あ、追加で誰か声かけとく? とりま差し得意で圧強めってーと……」
「いやいやいやいや大丈夫ですハイ。ただのトレーニングでグランプリ開催とか求めてないんで。遠慮とかフリとかじゃなくでガチで大丈夫なんで取り敢えずケータイ置きましょう、ね? あ、ライアン先輩にバンブー先輩も座ってて下さい本当に大丈夫なんで」
逃げを得意とするウマ娘が差しを得意とするウマ娘からなにを学ぶのか。普通のトレーナーであれば単なる併走トレーニングとして解釈するのが精一杯かもしれませんが、トーセンジョーダンがスカウトされる日を夢に見て下地作りに協力し続けている普通ではない貴方にはセイウンスカイが求めているモノについて心当たりがあります。
目的はトーセンジョーダンが身に着けた完璧な時間管理能力に関わる部分だろう……と、貴方は予測しています。今後トリックスターとしての才能が花開くであろうセイウンスカイにとって、レース中の展開をコントロールするために必要となるスキルといっても過言ではありません。どの程度役立てることができるかはともかく、少なくとも同じ逃げウマ娘であるダイタクヘリオスやサイレンススズカより有効活用できるのは確実でしょう。
如何にもギャルな見た目と言動から学園内でさえも未だに誤解されることがあるトーセンジョーダンですが、楽しいコトが好きで集中力に難があり自己評価が低い以外はどちらかと言えば真面目なウマ娘です。
GⅠレース勝利を含む実績により多少は自分を信じることができるようになった彼女であれば、後輩からの頼み事も快く引き受けてくれるのも当然の流れ。気になることがあるとすれば、せいぜい未だに担当トレーナーが見つからないことぐらいなものです。
そして、その懸念はセイウンスカイにもまた当てはまります。体調不良により本格化が遅れているツルマルツヨシはともかく、順調にメイクデビューに向けて準備が進んでいる黄金世代ウマ娘たちに何故かスカウトを仕掛けるトレーナーが見当たらないのはどういうことなのか?
前世の記憶による贔屓目は無いと言い切ることが難しいのは貴方も自覚しているようですが、それでも先に行われた選抜レースでの走りを見ればスカウトの声などいくらでもあるはずだと疑っていません。
取り引きをした記憶も無いまま知らない間にトレーニングに参加しているウマ娘がいるのは平常運転なので気にする必要は無いとして、それなりの期間をスカウトに備えて面倒を見ていた貴方にしてみれば現状は想定外であり不服としか言いようがないのでしょう。
完全無欠のチート能力を持ちながら何故、計画に綻びが生じているのか? 答えは単純明快、それを用いる己に問題があるからだ。だが至らぬ部分とは即ち、能力の磨き残しであり成長の余地でもある。つまり悪役としてより高みを目指す権利を獲られたも同然。
逆境すらも糧とする貴方の精神性は相変わらず見事としか言いようがありません! あとは追放計画をどのように修正するかが重要ですが、貴方がこれまで積み重ねてきた実績を鑑みれば柔軟性に重きを置いて臨機応変に対応するのが最適解なのは明らか……とはなりません。
悪役として成長する貴方はキングヘイローと一緒に好奇心から編み込みをリクエストしてきたハルウララのヘアメイクを手伝いながら考えます。
何故、このまま黄金世代のウマ娘たちがスカウトされなければ困るのか。それは、優秀なトレーナーからヘイトを稼いで追放してもらうことができなくなるからであるからだ。
ときには堅実な土台の追放計画も必要かもしれないと気づいた貴方はマヤノトップガンと一緒にせっかくなのでたまには気分転換をと編み込みをリクエストしてきたトウカイテイオーのヘアメイクも手伝いながら考えます。
アプリに登場したような優秀なトレーナーが出現する可能性を信じることは悪いことではないが、希望的観測により不確定要素が大きいことを無視するのはリスクマネジメントを軽視している可能性がある。既に目の前にウマ娘という確定した存在がいるのだから、初心にかえり彼女たちからヘイトを稼ぐことについて再び検討するべきではないのか。
才能に溺れ基礎を疎かにしたチート転生者の末路など破滅しか残されていないと知る貴方は、ここはウマ娘から嫌われるという悪役トレーナーとしての原点でもあり質実剛健な作戦について本気を出して考えることにしたようです。
幸いにして気まぐれで気分屋であるセイウンスカイがメイクデビューに向けて行動を起こそうとしているタイミングに立ち会えたのですから、これを利用しない手はありません。
トウカイテイオーに頼まれ写真撮影を引き受けていたゴールドシチーからまるで「コイツまたなんか変なこと思いついてんな」とでも言いたげな視線を向けられていることを気にすることなく、嬉しそうに決めポーズをするハルウララを無言で撮影し続けるオルフェーヴルという珍しい光景すら気にも留めず、ターゲットであるセイウンスカイがこの場にいることすら無視してセイウンスカイからヘイトを稼ぐための計画立案を優先しルームから出ていくのでした。
手段のためなら目的すら置き去りにするという高度な駆け引きもチート能力を与えられた悪役トレーナーなら容易いことなのさ!