貴方は中央トレセン学園から追放されることを希望しています。   作:はめるん用

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『田植えの季節は終わっていないが、アイネスガチャの傷が癒えないうちにパーマーガチャが来て腹が立って投稿した。後悔はしているが反省はしていない』


ふえた。

「カヒュ……カヒィ……モ……ムリィ……」

 

「いやぁ、ごめんねテイオー。まさか私もここまで差があるとは思ってなくて」

 

 

 貴方はいまミスターシービーとトウカイテイオーの一騎打ちを見届けたところです。

 

 ミスターシービーとの契約から今日まで、貴方は彼女の立案したトレーニングプランにあれこれと口出ししながら与えられたルームで怠惰な日々を過ごしていました。

 そんな貴方のところにある日突然“トウカイテイオー”が宣戦布告にやって来たのです。正確には貴方のルームに入り浸っていたミスターシービーに対してですが。

 

 いったい何故かと疑問に思っている貴方たちに、トウカイテイオーに同行していた友人であるマヤノトップガンが丁寧に説明してくれました。どうやら彼女は憧れのウマ娘である中央トレセン学園の生徒会長“シンボリルドルフ”の名誉のために挑んできたようです。

 シンボリルドルフといえば三冠ウマ娘の、強いウマ娘の代名詞たる存在ですが、この世界ではまだメイクデビューすら走っていません。それ自体は別になにか含むところがあるワケではないのですが、どうもトレーナーたちの間ではシンボリルドルフよりも先にミスターシービーが三冠ウマ娘になるだろうと話題になっているらしいのです。

 

 貴方にしてみれば順番的にはそうだろうなとしか思いませんが、我らが生徒会長殿を慕うトウカイテイオーには我慢ならなかったようです。

 

 勝負の提案に対しては貴方は一切の口を挟みません。そもそもミスターシービーは貴方の担当ウマ娘ではありませんし、なにより当人同士が納得した上での勝負だからです。貴方がしたことはせいぜいレース前にはしっかりウォーミングアップをして筋肉をほぐし怪我に気を付けるよう言い付け、ほかにターフで練習しているウマ娘たちの迷惑にならないよう注意し、2人に適度に冷えたスポーツ飲料を用意したぐらいのことです。

 

 

 結果は見ての通りでした。

 

 

 担当トレーナーが現れる前に弱体化させるワケにはいかないと、貴方はミスターシービーのトレーニングプランはチート能力を最大限に活用しています。彼女の現在の能力値を分析し、最適なトレーニング方法をいくつか提示して選ばせることでミスターシービーの追い込みの走りはかなり成長しています。

 いくらトウカイテイオーが天才で態度とは裏腹に走ることにもトレーニングにも真摯に向き合っているとはいえ、トレーニング内容の基本は教官たちの万人向けのプランです。ミスターシービーとは大きく差が開いているのも仕方のないことなのです。カツオブシとカツオノエボシぐらい戦闘力が違います。

 

 完全な敗北は時としてウマ娘の心をへし折る可能性を有していますが、貴方はトウカイテイオーについてはさほど心配していません。彼女であればこの程度で、1度くらいの敗北で折れはしないと確信しているからです。ただ──。

 

 

 ◇◇◇

 

 

「勝負だミスターシービーッ! 今日こそボクが勝ってみせるもんねッ!!」

 

 1着じゃなければ納得できないトウカイテイオーが敗けっぱなしで引き下がれるはずもなく、すっかり貴方のトレーナールームの常連となりました。ついでに、面白くなりそうな気配を察知したマヤノトップガンも常に一緒にやって来ます。

 訪問者が増えたことについて貴方は特に文句はありません。ジュース類お菓子類の消耗速度や対戦ゲームでの敗北数が数倍に膨れ上がったことについても全くの許容範囲内です。

 

 ですが、ミスターシービーとの打ち合わせのためにチート能力による能力識別状態のままトウカイテイオーを“視て”しまった貴方は頭を抱えそうになるのをこらえるのに必死でした。

 

 

 トウカイテイオー:ステータス

 

 状態異常『故障』蓄積量──11%


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