貴方は中央トレセン学園から追放されることを希望しています。   作:はめるん用

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寄り道(遠出)

先日、中山競馬場の所在地を調べるついでに千葉県の名産品を調べたところ、なぜか作者の携帯端末は熱いなめろう推しをしてきました。

なめろうがそんなに旨いのかよッ!!
(食べたことない)


どうき。

 冷静で的確な判断に優れた貴方は考えました。

 

 シンボリルドルフの残っている仕事を片付けるというセリフ、そしてこの場にいないエアグルーヴ。アプリの知識を参照するまでもなく、生徒会長がレースに集中できるように副会長が仕事を引き受けたというシチュエーションだと予測できます。

 

 このままシンボリルドルフを帰して仕事を手伝わせようものなら、エアグルーヴの使命感と自尊心に小さな傷が付けられることになる。

 その憤りを自分へ向けるよう誘導できれば面白いことになるが、残念ながら上手い手段が思い付かない。

 

 ならばどうするか。答えは簡単です、シンボリルドルフをすぐに学園に帰さなければいいのです。

 

 

 貴方は流れるような動作でいつものようにスーパークリークに財布を渡そうとしますが……ギリギリのところで思いとどまることに成功しました。そう、これから貴方は自分で車を運転しつつ買い物なども楽しまなければなりませんので、免許証と資金の一部をキープしなければなりません。

 必要な措置を終えたのち軍資金をウマ娘たちに提供した貴方は「生徒会長殿は体力・気力ともにもて余しているようだ、ならば皆で盛大にもてなしてやれ」と指示を出します。

 

 ウマ娘たちはごく自然な動作でシンボリルドルフの両脇を固める者、交通機関の情報を検索する者、手頃な飲食店を探す者、学園と寮に連絡を入れる者と手分けして、新たなジュニア王者誕生の打ち上げ準備を進めます。

 それは実に見事な連携であり、もしかしたら日常的に厄介な言動を繰り返す問題児が側にいて判断力や行動力が鍛えられている可能性もあるでしょう。

 

 突然の出来事に困惑するシンボリルドルフですが、先手を打たれて包囲された以上いまの彼女に逃げ出す術はありません。何故ならば、余裕があるように振る舞っていても気合いと根性で見栄を整えているに過ぎないからです。

 シンボリルドルフの演技力に不足があったワケではありません。ただ単純にウマ娘を守護ることに関わるときの貴方は神速の縮地・瞬天殺の初動を完全に見切って発動を封じる程度の能力を発揮するため欺くことは事実上不可能というだけの話です。

 

 

「あ~……うん。ウチはちょいと遠慮させてもらうわ。やっぱGⅠレースは緊張して疲れたし、ルドルフも逆に気ぃ遣ってまうやろ? タダメシは魅力的やけど、ウチらの残念会はトレーナーがちゃぁ~んと労ってくれるもんなぁ?」

 

「なんだよタマ、せっかくの機会なんだからアタシと一緒に会長にウザ絡みしようぜ~。ついでに3人で皐月賞のオープニングトークの打ち合わせもしてよ。グループ名は『ええカラダ四天王』なんて面白いんじゃ──あっ、ワリィ」

 

「ハハハよっしゃそのケンカ高値で買ぉたるわコッチ顔向けて歯ァ食いしばれやゴラァ」

 

 

 ◇◇◇

 

 

 観念したシンボリルドルフは僅かにフラついたところを何故か少しだけ安心したような雰囲気のトウカイテイオーに支えられ、皆と一緒に中山レース場を出発しました。

 駐車場に残っているのは貴方と、じゃれ合うタマモクロスとゴールドシップと、そしてシンボリルドルフのトレーナー。あとは物陰で息を潜めて気配を遮断している老トレーナーぐらいなものです。

 

「こういうときはまず軽く世間話でもするものかもしれませんが、あまり長々と引き留めるのもご迷惑でしょう。なので単刀直入にお聞きします。──なぜ、ミスターシービーと担当契約をしないのですか?」

 

 

 逆に聞きたい。なぜ自分のような外道がスターウマ娘であるミスターシービーと担当契約が可能だという意味不明な勘違いをしているのかと。

 どうやら目の前のトレーナーは一般的な感性とは違う独特の価値観を有しているらしい。だからこそのシンボリルドルフのトレーナーなのだろうか? 

 

 困惑しつつも抜け目のない貴方は、彼の発言の中に悪役ムーヴに利用できるセリフがあることを見逃しません。正統派トレーナーらしくウマ娘との担当契約というものを重要視しているのであれば、そこを逆撫でするように言葉を選んで投げ返せばパーフェクトコミュニケーション達成となるでしょう。

 

 

 真剣な表情で問いかけてくるトレーナーとは相反するように、世間話でもするかのような気楽な態度で貴方は「そのほうが面白いから」と答えました。

 

 

 絶句、という表現がこれほど似合う表情はなかなか見ることはできないでしょう。

 まだまだ自分のターンが続いていることを確信した貴方は追撃の手を緩めません。

 

 

 面白いかどうか、それが俺の全てだ。それ以外のことに興味は無いし、必要ともしていない。理解を求めようとすら思わない。ただ己の心のままに、それだけだ。

 

 

 貴方の100パーセント本音だけで構成された暴言は、狙い通りに相手トレーナーの心を燃え上がらせることに成功したようです。

 キリッとしたイケメンから放たれる気迫は真っ直ぐで清爽であり、素直さ故に少々物足りませんが悪くない将来性を貴方は感じ取っています。

 

 背後から聞こえてきたふたり分の口笛はさながら第2ラウンド開始の合図といったところ。芦毛コンビがいまどんな表情をしているのかも知らぬまま、貴方は丁寧に育て続けている悪意を惜しみ無く剥き出しにする態勢を整えました。




会長とトレーナー君の覚醒はseason4でやる予定でしたが、このままだとルドルフの扱いに不安を感じる人や本作をシリアス系と勘違いする人がいるかもしれません。

なのでルナちゃんとルナトレくんの脳ミソは早めに焼き始めることにしました。
(エフェジーのことではない)
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